36●裏切りの闇で眠れ
この堂々たるフレンチ・ノワールぶりには、去年の『あるいは裏切りという名の犬』も、適わないかも?
とことんハードテイストで、チョイ悪オヤジどころの騒ぎぢゃないんです。
ストーリー・・・
フランスの闇社会に生きるフランク(ブノワ・マジメル)は、仲間のジャン=ギィ(オリヴェエ・マルシャル)と共に危険な仕事を請け負っていた。彼の確実な仕事ぶりには闇社会の実力者・クロード(フィリップ・コーベール)も一目置いている。クロードは裏切り者には容赦なく、暴力で闇社会を牛耳る男。しかし麻薬取引でひと騒動があった後、クロードは何者かの通報によって逮捕、投獄されてしまう。これをきっかけに闇社会に動揺が走る。誰がクロードを売ったのか?フランクの周囲もにわかに動き始め・・・
’06年、フランス。フレデリック・シェンデルフェール監督・脚本。
このハードテイスト、ここまですごいと思わなくて、ビックリ。
前述した、『あるいは裏切りという名の犬』には出て来なかったような、激しい拷問シーンがどんどん出て来て、ちょっとヒルんでしまいました。
別世界のルールでどんどん進む、闇社会の激しさ。
裏切りには死あるのみ。拷問もエグくて、その上で死が待っているのだから、怖ろしいことこの上ない。
ここまで黒社会が残酷だという描写は、ちょっと見ないかも。
フレンチ・ノワールの復権ですよ(((( ;゚д゚)))
『ゴッドファーザー』meets『殺し屋1』という感じのこのテイスト、
もしかしたら、これを日本映画にしたら、三池監督に声がかかるんじゃないかと、想像してしまった。
いや、他にいないでしょって。
三池さ〜ん!ちょっとちょっと、これ見てくださいよ〜!!
三池さん以降のフレンチノワール、こんなの出ましたけど?
女性の描き方なんかも、本当、徹底しているの。
もう、牝豚以下ですから(笑)
単なる性の捌け口だったりして。
雑魚寝部屋で繰り広げられる、くんずほぐれつの・・・
ええいっ、極道なフランスオヤジめっ!!w
かつて『ベティ・ブルー』で圧倒的に美しかったベアトリス・ダルは、ここでは闇社会のボス、クロードの情婦で、彼を気遣う役で出てくるのだけれど。
女性の描写なんてそれくらいの感じ。
もう、漢、漢、オトコ、♂がトコトン描かれているの。
逆にそれが心地良くなってくる。
この時代の逆行性、ここまで徹底されたら、何も言えないわwって感じで。
フェミニズムの人達も、何も言えなくなりそうで、カッコいいのです(笑)
非情な裏切りの闇の中で、いつ自分の背後から倒されるか分からない。
そんな危険と隣合わせの人生。
そんな組織の色に支配されずに、一匹狼を続けるフランクに、釘づけになって見ることが出来るので、
決して退屈はせずに物語に入っていけるのでした。
日々、流れる風向きの変わり様に、ピンとアンテナを立てながら。
エグい描写がダメな人にはちょっと辛いと思うけれど、
徹底されて逆に新鮮に思えるノワールの闇を、堪能させてしまうのはなかなかどうして。
2008/03/09 | :極道・マフィア
関連記事
-
-
『極道大戦争』 Yakuza Apocalipseって名前は格好イイんだけどね
これはまた、やっちまった感の強い駄作。今回はハズレ三池でした。 ヤクザ...
記事を読む
-
-
モンキーなのか、ボノボなのか 『ガンズ&ゴールド』
これはなかなかの拾い物!予想外の秀作でした。 囚人映画はやっぱり好き。...
記事を読む
-
-
『沖縄やくざ戦争』『カミカゼ野郎 真昼の決斗』@チバちゃん祭り! Sonny Chiba A Go Go!
沖縄やくざ戦争 こちら、実際に起こった、沖縄でのやくざの抗争を元にした...
記事を読む
-
-
三池×クドカン クドめのヤクザアクションコメディ『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』
三池監督の新作映画がやって来た!三池さん×クドカンのタッグは、『ゼブラ...
記事を読む
-
-
映画の極北へようこそ 『オンリー・ゴッド』
来たぁ~!ニコラス・ウィンディング・レフン監督最新作。これぞ、首を長~...
記事を読む
コメント(17件)
前の記事: 35●マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
次の記事: キャンディ、ロード・オブ・ドッグタウン、悪霊喰
こんにちは。
とらねこさんが、この映画のレビューを書かれていると知り、
飛んできました(それはもう興味津々で…)。
やはりハマられましたか!?
配給側では、女性にはキツいのではないかと危惧していたようですが、
大丈夫だったみたいですね。さすが!
ぼくなんて、エロはともかく
あの拷問シーンはまったくダメ。
痛い映画は苦手です。
『裏切りの闇で眠れ』
(原題:Truands)
—–この映画、タイトル聞いただけで
あるイメージができちゃうね。
どう転んでも、ラブストーリーやコメディはありえない。
「それはそうだね。
血で血を洗う男の世界。
でも、それって意外に幅が広くジャンル分けがしにくいんだよね」
—–えっ、アク…
エロカッコグロ切ない 「裏切りの闇で眠れ」「暗黒街の男たち/Truands」
評価:65点
えいさんへ★
おはようございます★コメントありがとうございます。
飛んで来て下さってありがとうございます。
そうおっしゃっていただくと、ついまた行きたくなります♪
イヤイヤ、これ本当に拷問描写激しかったですね。
フランスの極道ってこんなんだろうか?なんて考えちゃいました‥
こわいこわい(;^_^A
ただやっぱりありそうには思えなかったので、傍観してしまいました。
こにちは。
遅くってごめんなさいーっ。
拷問のシーンは勘弁してくれーと言いながらもちゃんと見ましたですよ;
もう震え上がり;
でも、極道でもなんかオサレでしたわ。
ブノアなんてヴェルサーチ着てるとかですよ。もうカッコよすぎ。今年の映画祭ではブノアの映画がないのでさみしーです;;
それにしてもとらねこさんはOKだったのね。さすがです。三池監督版もあったら面白そう〜
眠れーーーzzz
暗黒街の男たち〜フランス映画祭にて その1
今年のフランス映画祭、私は結局4本の鑑賞となりました。
とらねこさん、こんばんは☆
この作品、観応えありそうですね☆
(『裏切りの闇で眠れ』というダンディなタイトルにたまらなく惹かれる私★)
私はノワール映画好きだし、
ブノワ・マジメルくん好きだし、
大阪でも公開されたら観に行こうかな?
三池さんのノワール映画はハードな描写だけど、
登場人物はユーモアのあるキャラクターが多いですよね。
シャーロットさんへ★
おはようございます!コメントありがとうございます。
そうですね、この映画って、オサレだしスタイリッシュでしたよね。
人情だの仁義だの言わないところがとことんクールで。
ブノワさん、ヴェルサーチ着てましたか。
私の場合は、イマダにイマフーなワカモノのよーな格好をする、三池さんみたいなファッションが好きだったりするのですが‥
そろそろ成長せねば。
BCさんへ★
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
BCさんも気になりますか、この映画★
大阪はまだなんですね。ノワール映画好きで、ブノワ・マジメル好きだったら、この映画きっと平気だと思いますよ〜♪
ぶっちゃけ、暴力描写のハードルが高いこの作品ですが‥(;^_^A
BCさんも三池さん好きとは、とても嬉しいです。
ヤッターマン実写版が次でしょうか?楽しみですよね〜!
裏切りの闇で眠れ/ブノワ・マジメル
このタイトルから「あるいは裏切りという名の犬」を思い浮かべるのは自然だと思うんだけど、関連作品というわけではないんですよね。フランスのノワールフィルムってだけで原題の「TRUANDS」はいわゆる「やくざ」という意味らしく、便乗しただけのような匂いがプンプンですが…
裏切りの闇で眠れ(-_-;)
生き残るためのルール、
それは非情であること。
何よりも孤独であること。
7月4日、京都みなみ会館で鑑賞。この後「幻影師アイゼンハイム」を鑑賞しました。フランス映画独特のサスペンス作品ですね。ちょっと分かりづらいところがありましたが・・・・・。…
裏切りの闇で眠れ
甘さなし!容赦なし!激辛ハード・ノワールが待望の公開。暴力が支配するパリの闇社会。
裏切りが裏切りを呼ぶこの世界に生きる男たちをハードに描いた、新時代のフレンチ・ノワール。
物語:フランスの闇社会に生きるフランクは、仲間のジャン=ギィと共に危険な仕事を….
こんにちは。
とらねこさんも『あるいは裏切りという名の犬』観てたんですか?
あっちは「出世欲だけの無能」が出世するんで観てておもくそムカツイタけど、こっちはひたすら男のドラマでしたね。
一匹狼なんだから裏切りも何もねえだろ、とか思うんだけど、フレンチ・ノワールをたっぷりと楽しみました。
個人的にはあんなカリスマ性ゼロの男がボスだったら、裏切りや内部抗争なんて当たり前だと思いました。
男臭い映画でしたね。
『裏切りの闇で眠れ』 2008年61本目
『裏切りの闇で眠れ』 2008年61本目 7/18(金) 仙台フォーラム
『リボルバー』に続きこちらはパリ・ギャング。
フレンチ・ノワールです。
ギャングものなんで下品なんですが、フランス的下品さ、とでも云うべきもので、アメリカン・ギャングやロンドン・ギャング….
健太郎さんへ★
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
ああそうですね、『あるいは裏切りという名の犬』、私もジェラール・ドパルデューの役に少しも感情移入出来なかったので、全く心に残らない作品になっちゃいました。
おっしゃる通り、いいところが見つかりませんでしたよね。
あちらに比べると、こちらは、見てる人がすごく少ないんですよね。
エグい描写が凄惨でしたね。
遅くなってしまいましたが、又来ました。
TB&コメントありがとうございます。
フレンチ・ノワールは意外に少ないので確実に押さえに走ってます。
>『あるいは裏切りという名の犬』
正直、観てムカツキましたね。
その点こちらは一匹狼がメインですし、ラストもラストなので気に入りました。
健太郎さんへ★
こんにちは!こちらこそ、TB&コメントありがとうございました。
そうですか、フレンチノワールを確実に押さえていたのですね!
健太郎さんはマフィア映画が、お好きだったのですね。