35●マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
こんなおもちゃ屋があったらいいのにナ〜
と、羨ましくなるような素敵なおもちゃ屋さん。
文字通り、おもちゃ箱をひっくり返したような、にぎやかさと不思議がたっくさん詰まっているおもちゃ屋さん。
ストーリー・・・
都会の一角にある、マゴリアムおじさん(ダスティン・ホフマン)の不思議なおもちゃ屋。おもちゃたちが魔法で動き回り、子どもたちに大人気だ。しかしマゴリアムおじさんは引退を宣言。支配人のモリー(ナタリー・ポートマン)に店を継いでほしいと言い出し、資産価値の計算のために会計士のヘンリー(ジェイソン・ベイトマン)を雇う。自信のないモリーは必死におじさんを引き止めるが、聞き入れてもらえない。そんな中、オーナー変更や魔法を信じないヘンリーに、おもちゃたちが怒り出し。・・・
’07アメリカ。『主人公は僕だった』の脚本家、ザック・ヘルムが初監督をした作品。
『主人公は僕だった』では、ナショナル・ボード・オブ・ザ・レビューの脚本賞を取った新進気鋭のザック・ヘルム。大学卒業してすぐ、FOX2000の脚本家として雇われ、この時期に書いたこの『マゴリアムおじさん〜』の脚本を、’04年に自ら権利を買い戻し、自らメガホンを取った、・・・というわけなのね。
『主人公は僕だった』も、大人の実写映画でありながら、ファンタジーの物語だった。
ファンタジーだからと言って、現実を無視した描き方をしているわけではなくて、ファンタジー的な要素を上手に使って、現実の世界から少しだけカーブし、道を未知数な不思議な世界の方向へとズラした作品だった。そこが好きだったの。
こちらはもっと、直球に、現実のどこかにきっとあるかもしれない?、魔法の世界。魔法と直結した素晴らしい場所、素晴らしいお店のお話。
魔法の力を本気で信じて、上手にこの店を切り盛りする、モリー(ナタリー・ポートマン)がとにかく素敵だ!
ワクワクするぐらい、退屈からは縁遠い、夢のような場所。
この世界にユーモアはつき物というのが、唯一のルールかな?
エリック(ザック・ミルズ)という、よく来る近所の子みたいに、周りからはみ出したり、思い思いに行動するのは大丈夫だし、そういう寛容な場所なんだけれど、
ユーモアを解さないと、この世界に馴染むことが出来ない。そんなムード。
その中、支配人であるモリーは、昔からここで働いていたこともあり、魔法たちがかけるユーモアと、絶妙なやり取りをするところが楽しくって仕方がなかった
accountant“会計士”をやとって、この店の全体的な資産価値を計算しようと言い出す、マゴリアムおじさん。
「アカウンタント」という言葉を「計算するミュータント」なんて言っちゃうのが可笑しかったんだけど(韻踏んでる。)、そしたらその後ずっと“ミュータント”とみんなが呼んじゃうのも可笑しくて。
感情らしい感情というものを全く解さない、計算だけしかする能力のない“現実的な人”に対する、ほんのちょっぴり馬鹿にしたようなコチラ側の世界、というものがすっごく自分に合ってる感じ!
私も、全然こういう人じゃないのに、実際は今の仕事で、お金をたくさん数えなきゃいけなかったりするので、ちょっぴり胸が痛んでしまった。
転職したものの、続くんだろ〜か?って。
私にしてもきっと、ここでいう「ミュータント的」な現実的な人ではないんだもん。細かい性格でもないしね。数字とかは嫌いじゃないけど。
これ見てたら、だんだん不安になってきちゃった!
私も「あっちがいいなあ〜」って。うーん・・・早まってしまったかな・・・。
自分の将来を不安に思う、大人の入り口にたった、モリー。
本当は昔から得意だった、ピアノをやりたい気持ちもありつつ、次のステップに踏めるほどの才能を自分に見出すことも出来ず、
だけどこのままではどこかいけない、と思い出した、そんなモラトリアムな時期。
夢を諦めてしまった彼女は、自分自身の魔法を信じられなくなっていたのよね。
自分を信じること、夢を信じること、それらが魔法に繋がっていて・・・。
ここがこの映画ってポイントだったなあと思う。
小さい頃って誰もがなりたい、現実とかけ離れた職業ってあるけれど、
それを失った時にどう生きるか?何を求めてゆくか?という辺りから選択していくことで、自分らしさ、というものが確立されていく。
自分の夢から何となく遠ざかっていたモリーは、それでも、魔法を信じていた。
うん、それって私たちには、なんとなく分かる感覚だったりする。
そこで、全く魔法を信じなくなってゆく大人たちの方が、多いだろうけど・・・。
彼女の気持ちもとてもよく分かるし、「これをやれ」と道をいきなり示されても、それはそれで、いくら大好きなマゴリアムおじさんと言えど、いや、大好きだからこそ、おじさんが引退するなんて、絶対反対してしまうに決まってる!
モリーのそんな気持ちにすごく寄り添えたし、おじさんを後悔させようと、「とっておきの一日」を彼女なりに工夫するのもすっごく楽しくって大好きだった。
そばで手伝う、魔法の世界の常連さん、エリックもとっても頼もしくて、モリーとおじさんとの凸凹コンビにいいスパイスを添えていた感じ。
私は、魔法の方がヘソを曲げちゃう辺りなんか、すごく好きだった。
魔法の世界が生き生きと感じられるのは、まるで宮崎駿みたいで、全面的に大好き。
ただ、この魔法の世界が本気で楽しめないと、いまいちノレない人もいるのかも?
キューブというのは、魔法を信じる力。
考えることでキューブが動くのは、その力を具現化させたもの、つまり
それを現実の世界に「象徴」として置き換えたもの。
思念というのは、形にはならないから、
形になったものを、信じるというのは、なかなか難しいことなのよね。
2008/03/08 | :SF・ファンタジー
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コメント(29件)
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「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
何でもかんでも目に映る全てが新鮮で、不思議に満ち溢れていた子供の頃が懐かしくなりました。巨大なピョンピョン玉をつつくときのあの目。あの好奇心や探究心を今では殆ど忘れ、時間とノルマに追われて、精彩に欠けた灰っぽい生活に従事しているのかと思うと、何と勿体無…
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋-(映画:2008年21本目)-
監督:ザック・ヘルム
出演:ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマン、ジェイソン・ベイトマン、ザック・ミルズ、テッド・ラドジグ
評価:68点
公式サイト
んー、かわいらしい映画だったがどうにも理解が難しい。
それはきっと日々の暮らしの中で私が童心….
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
私の好きなナタリーポートマンが演じる普通の女の子に会えそうで楽しみにしてました。まさか魔法使いになっちゃったりはしないよね?それとここ最近公開されてる出演作ではちょい役ばかり(でも「ホリデイ」のカメオ出演は衝撃的だったけど)ダスティン・ホフマンを今回は長く….
「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」試写会 東京厚生年金会館で鑑賞
こんなおもちゃ屋さん、実際にあったら毎日通ってしまいそうです。
絵本から飛び出したというのではなく、これは絵本そのもの。
絵本が実写化されたという表現も決して間違いではないと思い…
★「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
今月は地味に「ファンタジー特集」に突入してる感のあるひらりん。
ナタリー・ポートマンのカジュアルな服装はキュートだし・・・
木村カエラちゃんが歌ってるテーマソングはポップだし・・・
ダスティン・ホフマンは、オチャメだし・・・
こりゃーーーー、観るしかない…
またまたとらねこさん、、、
バレンタインは名刺代わりにチョコばらまいてたんじゃなーーーい?
なんて。
ひらりんなんか今年に入ってから
「魍魎のハコ」は観るわ・・・
「マゴリアム〜」で木箱が出てくるわ・・で、
ハコに取り付かれて、キューブ買っちゃいましたわ。
今、納車待ち。
てなわけで、いろいろ妄想してるところだったので、
映画鑑賞ペースが遅くなってしまったのでした。
そんなひらりん・・・少年ぽくて可愛いでしょ!!!!
なんちゃって。
あのおもちゃ屋さんを最初に観たときなんとなく「チャリチョコ」の工場を思い出しちゃいました。さすがに鮮魚のモービルは欲しくないけど(笑)。そうそう私も魔法のおもちゃたちがストライキを起こしちゃうという発想がツボでしたね。宮崎駿っぽいって私もそう思いましたヨ。
あのキューブって人間の凝り固まった固定観念の象徴みたいにも思えちゃうんですよね。だからただの箱にしか思えない人にはそれだけなんだけど、想像力豊かな人にとっては魔法の箱になる。もしかしたらこの映画もそういう意味では観る人を選んでしまうのかもしれませんね(笑)。
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 観てきました。
予告編を見た時に、美しく、楽しそうな映像に一目惚れ、しかもキャストはダスティン・ホフマンとナタリー・ポートマンと、僕の好きな俳優が主演。これは観に行かなければ!マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋を観に行くことにしました。
ひらりんさんへ
こんばんは☆コメントありがとうございます。
バレンタインね〜、仕事場では、みんなまとめていくらっていう徴収をされましたよ・・・
こうしてもらえると、すごく楽でいいですけどね。
一人ひとりで買うとなると、結構メンドクサイんですよね〜。
でっ
買いましたか〜、キューブ!
いいですよね、かわいくって。納車待ちなんですか〜、きゃー楽しみ
ちなみに、何色ですか?私の友達はね、イイ女が二人揃って、白のキューブに乗ってた。
ん?少年ぽくてカワイイ??
ムム。。。
かのんさんへ
こちらにもありがとうございます♪
この作品、本当、かのんさんがおっしゃるように、見る人を選ぶ作品かもしれませんね。
私には、楽しくてワクワクさせられた作品だったんですが、あんまりそういう意見て耳にしないんですよね。
なので余計、かのんさんの好意的な意見がすっごく嬉しかったです。
魔法を信じられるか信じられないか・・
本当、ハヤオのように、アニメで描かれていたら、みんな喜んだし理解が出来たように思うんですけど・・
カタチあるものを信じるのって、意外と本気で難しいことなのかもしれません。
【2008-39】マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋(MR. MAGORIUM’S WONDER EMPORIUM)
人気ブログランキングの順位は?
夢と興奮!!
世界でただひとつの・・・
マジカル・ワールドへ!
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「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
ナタリー・Pが出ていなかったら、観なかった映画。
ダスティン・ホフマンが、243歳の、魔法を使えるおもちゃ屋のオーナー、マゴリアムお…
私も最初は魔法の国を面白く見ていたんですけど、話的にも、だんだん飽きてきました…。
会計士が卒倒したあたりも、彼が見たのが本当なのか、よく分からない話になってませんでした?
ボーさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ボーさんはダメだったのですね☆
あ、確かに会計士が卒倒した辺りは、彼が見たものがまるで夢だったように描かれていましたね。
でも、会計士にとって、それは夢に映らなかった、というのは、すでに会計士はこの世界に影響されていたんでしょうね。
ところで、ボーさんのコメント欄、いくらやろうとしても、コメントが書けません。
実は、他の人のコメント欄でも、fc2ブログさんのところで、そういうところがありました。
画像認証は間違ってはいないのですが、「コメント制限を受けています」になってしまいます。
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
『夢と興奮!世界でただひとつのマジカル・ワールド、ついにオープン!』
コチラの「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」は、ナタリー・ポートマンとダスティン・ホフマン共演で”世界でただひとつの特別なおもちゃ屋を継いで欲しいと頼まれたモリーの冒険を描….
そっかぁ〜なんでコレがアメリカで評判を
呼んだのか分からなかったのだけど、
ちょっと字幕のせいもあるのかもしれませんね。
あ、いやあたしのリスニング能力のせいでもあるのですけど、
全然ミュータントのくだりなんてわからなかったもの。
とらねこさんの記事を読んでほんのちょぴっとは理解できたかも(;・∀・)
miyuさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
そうですね、これ分かりずらかったですかー?
自分は結構楽しめた映画だったんですよ。
ミュータントのくだりは、単なる語呂合わせですね。
『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』
ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマンが共演した、とても可愛らしい感じのファンタジック・ムービー。
243歳のマゴリアムおじさんのおもちゃ屋は、すべてのおもちゃが魔法で動く不思議なおもちゃ屋。マゴリアムおじさんが支配人のモリーに店を譲って引退することを決…
【映画】マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋…SWフィギュアなんかは取り扱ってない感じの店だね
{/kaeru_fine/}
明日もお仕事なピロEKです{/face_ase2/}
一つ前の映画記事「魍魎の匣」
サブタイトルが(本文同様に)あまりにもダラダラ長かった{/face_ase2/}ので後で変更しました{/ase/}
(そんなこと言いながら今日も長いなぁ{/face_ase2/})
ちなみに元々は…
「【映…
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋’07:米
◆原題: MR. MAGORIUM’S WONDER EMPORIUM ◆監督・脚本: ザック・ヘルム「主人公は僕だった」(脚本)◆ 出演:ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマン、ジェイソン・ベイトマン、ザック・ミルズ、テッド・ラドジ….
映画評:マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋は、魔法のおもちゃ屋だ。
お店に並ぶおもちゃには、魔法が掛けられている。
そんなマゴリアムおじさんも??..
映画評:マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋は、魔法のおもちゃ屋だ。
お店に並ぶおもちゃには、魔法が掛けられている。
世界中から集められたおもちゃが並ぶ。
そんなマゴリアムおじさんも、243歳になる。
そろそろ引退する時がやって来た。
マゴリアムおじさんは、支配…
映画『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』(お薦め度★★)
監督・脚本、ザック=ヘルム。2007年米。原題『MR. MAGORIUM’S W
『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』’07・米
あらすじ都会の一角にある、マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋。おもちゃたちが魔法で動き回り子どもたちに大人気だ。しかしマゴリアムおじさんは引退を宣言。支配人のモリーに店を継いでほしいと言い出し資産価値の計算のために経理士のヘンリーを雇う・・・。感想…
「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」 僕にとっての魔法使い
映画を観ていて、幼稚園の頃ブロック遊びでロケットを作って、「ゴ、ゴ、ゴー」とか言
『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』を観たぞ〜!
『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』を観ましたナタリー・ポートマンとダスティン・ホフマンという豪華共演による、奇想天外なおもちゃ屋を舞台にしたファンタジードラマです>>『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』関連原題: MR.MAGORIUM’SWONDEREMPORIU…
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋
この記事は、姉妹ブログ『写真と映画のブログ』『映画と写真のブログ』から転載されたものです。
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋に並ぶ玩具は普通の品ではない。すべてに魔法がかけられている。どの玩具も生命を持ち、子供を楽しま…
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
ナタリー・ポートマンとダスティン・ホフマンの
ファンタジー?
キャストに魅かれて観ました。
かつては天才ピアノ少女と呼ばれたけれど、
作曲ができずに自信をなくしたモリーは、
マゴリアムおじさんのおもちゃ屋で雇われ支配人をしている。
都会の一角にあるこの…