19●ヘルボーイ
『パンズ・ラビリンス』の、ギレルモ・デル・トロ監督、’04アメリカ作品。
マイク・ミニョーラのアメコミ原作、ダークホースコミックス。
ストーリー・・・
第2次世界大戦末期。ナチス・ドイツがオカルト作戦を実行し、地獄の門が開かれた。連合軍は作戦を寸前で阻止するが、その時に召喚されたヘルボーイ(ロン・パールマン)は、ブルーム教授(ジョン・ハート)によって取り上げられ、彼の手で育てられることになった。そして、赤ん坊だったヘルボーイも、魔物退治のエージェントとしていつの間にか時が過ぎた。ある日、サマエルという地獄の生き物が復活を遂げた。・・・
こ、このヒーローは、ちょっと珍しいかもしれない。
元々地獄の生き物なんだけれど、「真っ赤な顔した悪魔」って、日本人には「赤鬼」に映るかも。その方が親しみを感じるというか。いや別に、わざわざ親しみを感じなくてもいいんですが。
そうなのです、このヒーローの容貌が・・・あまり見ないような感じ。
落ち武者ハゲ!ブサイク!マッチョ!
しかも、オッサン!なんですよね。
どういう三重苦っていう。
あ・・・「マッチョ」は別に、悪口ではなかった(笑)
それはともかく、あまりにカッコ良さとは縁の薄いヒーロー像。
でもこのヒーロー像。だからこそ、アメコミ原作の中では、特異な存在なのかな?
ヒーローももともとは人間だったり、しかもどちらかと言えば敗者や、社会的弱者の立場にいた者が、特殊な力を得て、スーパーヒーローになる・・・そういう物語の方がアメコミには多いかも?
一方こちらは、地獄の生き物であったはずの、ヘルボーイ。
特殊な力も、強さも、最初から持っている、という設定。
だから、とにかく強い!強すぎるのです。
にも関わらずこのヘルボーイ、性格がやたらと人間臭いんですよね。
嫉妬したり、ストーカーしたり、それを通りがかりの子供に見つかったり。
言い訳も、子供に見破られる上に、アドバイスまで受けちゃいます(笑)
・・・どんなヒーローだろうw
でも逆に、本当はすごくコンプレックスが強い、ということが分かって来て、だんだん彼がかわいそうになってしまうのです。
人間は、環境によって決められるのか、それとも遺伝子によってなのか?
というパラダイムが、かつてあったけど。
この物語では、ヒーローのヘルボーイは、地獄の使いかもしれないため、遺伝子上では、悪の方に位置するし、それどころか、何も人間世界で生きていく必要はないんですよね。
設定では、年は人間よりずっと遅い取り方をする、とのことなので、かなり子供の設定(見た目オッサンだけど)。
本能で動きやすい、子供なのだから、いつ暴走するかと、ドキドキしてしまう。
しかし彼の“環境”の方はと言うと、
父親代わりのブルーム教授によって、幼なじみのリズ(セルマ・ブレア)と一緒に、愛情いっぱいに育てられた。
環境が彼の性格を善へと導くのか?・・・と言えば、それも・・・グレイゾーンかなあ。
なぜかと言うと、彼はしょっちゅう、その生まれのことで、逆に人間から、冷たい目で見られてしまう。
「役には立つから、必要ではあるけれど、その強さのみ求められているだけ・・」
と、やり場のない思いを抱えている。
そして、思いやりのないマニング大佐から、嫌味を言われたり、人間の見た目と違う、ということで、逆にリズに積極的に出れなかったり・・・。
だから、彼にとって、とても望ましい環境、というわけでは、決してないんだよね。
・・・切ないね〜
・・・そうなってくると、返って応援したくなってしまうというのが人情。
ブツブツ言いながら、敵をやっつけたりする姿、頑張ってと言いたくなってしまう。
本当は、人間にとっては敵だろうと、そもそも彼にとって、敵なのかどうなのか・・・?そう考えると、ちょっと怖い。
しかし、彼を「個人」として決めるのは、生まれでもなければ、環境でもない。
その選ぶ行動だ、ということが分かるクライマックスに、やはり嬉しくなる。
話自体はストレートな物語そのもの、かもしれないけど、設定がそうでなく、マニアックなんですよね。
そして何が特徴的って、やっぱこのヒーロー像だよね。
ちなみに、この主役を演じた、ロン・パールマン。
『ブレイド2』、『スターリングラード』・・・と来て、アッと驚いた!
あ、あの、ジュード・ロウと一緒に射撃の名手の役をやっていたあの人だっ!
この特殊メイクの下からでも・・・すぐ分かる容貌(笑)
ってゆーか、特殊メイクしてもしなくても変わらない、ってヤツ・・・。
あと、セルマ・ブレア。私は『キル・ミー・レイター』の映画が、大好きだったな〜。渋谷ジョイシネマ(現・シネマGAGA)でレイトショーオンリーでやってた。
『クリスティーナの好きなコト』では、キャメロンの友達役。クリーニング屋に、とんでもないシミをつけて持ってった人です。
それが何のシミだったかは、とても私の口からは言えません。
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コメント(18件)
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>特殊メイクしてもしなくても変わらない
メイク前後の顔を見比べたときには、もう大爆笑でした。
赤く塗って切り株状の角をつけたら、もうお終い!?
アメコミって、気楽にアクションとかコスプレとかを見て楽しむのも良いし、作品やキャラが持っている背景やテーマに思いを馳せてみるのも良いですよね。
哀生龍さんへ
こんばんは★コメントありがとうございました。
アハハ!メイキング映像あったんですね〜。私は見ませんでしたが・・・
そんな簡単すぎるメイクは、見たら絶対爆笑しちゃいそうです(笑)
そうなんですよね、アメコミって、設定とか凝っててすごく面白いです。
アクションも、衣装とかも面白いですよね〜♪
>アハハ!メイキング映像あったんですね〜
紛らわしい事を書いて、スイマセン(^^ゞ
DVDは見ていないので、どんな特典映像があるのかは知らないのです。
一時「ヘルボーイ 日本限定スペシャルフィギアBOX」を買おうかどうしようか迷った挙句、結局買わなかったので(苦笑)
ネットに映像が出たときに誰がやっているのか確認して、“赤く塗って切り株状の角をつけたら、もうお終い!?”と思ってしまったのです。
2枚組DVDが2000円以下で買えるので、また欲しくなって来ちゃいました・・・
哀生龍さんへ
コメント返しが遅くなってしまって、すみませんでした!!
DVDメイキングを見た訳ではなかったのですね。
でも、確かにあれは見るからに
>赤く塗って切り株状の角をつけたら、もうお終い!?
な、特殊メイクでしたよね!
特殊メイクが必要でない、っていう辺りは私も、ものすっごい面白かったです(笑)
で、そのロン・パールマンのフィギュアですか!
なんだか、あまりにかわいくないような・・・と素人目には思ってしまうのですが、やはりマニアにはあれはすごい価値なのでしょうか(笑)
おはようございます
デルトロ氏の仕事の中でも一番B級な作品だと思います。こっから『パンズラ』に行こうとは誰が予想しえたでしょう(笑) 強いて共通点を挙げるとするなら、「実は異世界の王族だった」ということくらいでしょうか
で、このヒーロー、アメコミではどっちかといえば変り種だと思います。それらしいコスチュームは羽織ってないし、みるからにオッサンだし(「ボーイ」なのに・笑) でもそこがこのキャラの魅力でもありますね。魔界の王子さまなのにけっこう純真なところも。そういえばゴーストライダーも、悪魔の手先のくせにいいことばっかりやってましたっけ
映画版は、武器やビームを使うヒーローが多い中、素手でどっかんどっかん殴り飛ばすアクションが多いところを評価しています
原作記事TBさせていただきますね
まんが妖怪今昔物語 マイク・ミニョーラ 『ヘルボーイ』
たったひとつの地獄を捨てて 生まれ育った地上の世界 鉄の拳で妖怪退治 ヘルボがや
SGA屋伍一さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
この作品は、さすがにアメコミ原作映画の中でも、B級でしたでしょうか
ただ、「ギレルモ・デル・トロの中で、一番B級」かどうかは?ですよ。
『デビルズ・バックボーン』の方がマイナーなんじゃないでしょうか?あちらの方が、バジェット低いでしょうね。
>強いて共通点を挙げるとするなら、「実は異世界の王族だった」ということくらいでしょうか
そうですね!オッサンだし、ブサキモマッチョだけど、次期王位継承者なんですよね。ステキー!
そうですね!素手で人を殴り飛ばすアナログなアクションも素敵ですし☆
さらに、ほとんどCG処理も特殊メイクも必要としていない、素のままに近い顔で出てる、そんなアナログなところもたまりません♪
ヘルボーイ
本作品のキーワード : 『人間以上に人間らしいヒーロー』
【公 開】2004年
【時 間】 132分
【製 作 国】 アメリカ
…
こんばんは、ホーギーです。
アメリカで夏に大ヒットしたヘルボーイ2が、1月に日本で公開されるので、その予習と思い(笑)、本作品を観てみました。
それまでは、全くこの映画のことは知らなかったのですが、これが予想外に面白かったのです。
見た目は醜く、それに対してコンプレックスを持っていて、それでいて、考え方が人間らしい、これまでにないヒーローというのが新鮮だったことと、魅力的なキャラクターの存在が、その要因だと思います。
特に、仰るとおり、嫉妬したり、ストーカーしたり、そして、通りがかりの子供にアドバイスまで受けるシーンは、本当に笑っちゃいましたね。
ということで、今から続編が楽しみになりました。
ホーギーさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>ヘルボーイ2
『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』ですよね★
お正月、1月9日公開ですね♪
チラシを今日ゲットしましたよ。
ロン・パールマン、セルマ・ブレア、ダグ・ジョーンズと前作と同じですね〜!楽しみです。
おっしゃる通り、ヘルボーイのキャラが魅力的な今作でした。
公開前に見る人も増えるかな★
今のアメリカのヒーロー像には、強くて金持ちなヒーローより、共感が得られるのかもしれませんね。
アメコミヒットしてないので、これもどうでしょう・・・。
音楽がダニー・エルフマンだってのがいいですね。
『ヘルボーイ』を観たぞ〜!
『ヘルボーイ』を観ました悪魔の子にして心優しき異形のヒーロー“ヘルボーイ”の活躍を描くアクション・アドベンチャーです>>『ヘルボーイ』関連原題: HELLBOYジャンル: アクション/アドベンチャー/SF上映時間:132分製作国: 2004年・アメリカ監督・原案・脚本…
ヘルボーイ
コチラの「ヘルボーイ」は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督がアメコミ界きっての異色のヒーローを映画化したSFアクションです。続編の公開がいよいよ迫ってまいりましたので、ちょっとチェックしてみようかと思った次第です〜。
まぁ面白かったら….
あはは、マッチョは悪口じゃないけど、
本当こんだけ散々な言われようのヒーローって
珍しいですよね〜。
だけど、とっても人間臭くって、
ヘルボーイっつ〜やつがどうしても
好きになってしまうんですよね。
miyuさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
そうですね、マッチョは悪口じゃないのでした(笑)
ブサイク、ハゲ、オッサン・・・。
アメコミって、本当いろんなタイプのヒーロー像があって、すごく懐が深いんですよね!
人間くさいヘルボーイが大好きです。
ヘルボーイ
HELLBOY
2004年:アメリカ
原作:マイク・ミニョーラ
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ロン・パールマン、ジョン・ハート、セルマ・ブレア、ルパート・エヴァンス、ジェフリー・タンバー、サンティアゴ・セグラ、カレル・ローデン
第二次世界大戦時、敗色が濃厚な…
【映画】ヘルボーイ…この鬼キャラには勿体無いぐらい(?)の美術的作品
天気が良い{/kaeru_fine/}実に行楽日和な連休です{/face_nika/}
どこに行っても渋滞でしょうけど、どっか行きたいですなぁ{/face_ase2/}…熊本あたりにでも。でもETC付きの車が入院中{/face_hekomu/}…家族は私を恨んでたりしないよねぇ{/face_ase1/}
さて、そんな好天{/k…
『ヘルボーイ』’04・米
あらすじ旧ドイツ軍の陰謀により誕生した悪魔の子ヘルボーイは怪僧ラスプーチンにより悪の手段として利用されようとしていた。しかし、間一髪のところでブルーム教授率いる特殊部隊に阻止されヘルボーイは秘密裏に人間に育てられ、政府のエージェントとして魔物たちと戦う…
ヘルボーイ
魔界の使者を倒せるのは、地獄から来た“奴”しかいない!
ちょんまげ
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