17●神曲
この日は、『かえるぴょこぴょこCINEMATIC ODYSSEY』のかえるさんと、『シャーロットの涙』のシャーロットさんに、偶然にも『静かなる一頁』にて、バッタリお会いしたのでした。
“偶然”ていうのが大好きな私なので、
その場の空気とか、流れ、これらを大事にする方が、人生は楽しい、と勝手に決めています。
自己流や、自分なりのチョイスを貫くのももちろん、自分は好きなのですが、
今回はそんな訳で、かえるさんと一緒にこの作品を鑑賞してみました。
’91年、ポルトガル・フランス。
マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品。
現在生存する、最長齢、99歳の監督というオリヴェイラ。
1908年12月8日生まれ、ということは、今年で丸百歳・・・。凄い。
そして全く何の知識も持たずに見たこの作品、実は『静かなる一頁』と、偶然の一致があって、さらにビックリしてしまいました。
この作品では、『静かなる〜』同様、ドストエフスキーの『罪と罰』のシーンが出てくる作品だったのでした。
『罪と罰』は、私は学生の頃からずっと大好きで、時折読み返すドストエフスキーの作品群の中でも、一番多く読んで、何度も繰り返し考えたテーマでもある作品。
それが一日の内に、全く期せずして、二度も出てくるとは・・・。
こちらの作品では、さらに『カラマーゾフの兄弟』のシーンも使われていて。
最近、新訳が出たので早速購入し、もう一度読もうかな、と思っていた矢先だったのでした。
この作品は、ダンテの『神曲』ではなくて(コチラの方は最初の数ページで断念)、現代に甦った神と人間というテーマを、精神病院を舞台に繰り広げられる、という、とてつもなく風変わりな作品でした。
その際に、聖書と、『罪と罰』、『カラマーゾフ〜』が出てくるのでした。・・・
本気なのか演じているのか、これらの主人公が憑依した登場人物が登場し、これらの場面を演じている。・・・
初めは精神病院に入院している人達なのだ、と考えて見ていたにも関わらず、見ている方はいつしかそれを忘れてしまう。
人間の大事なテーマであるこうした物事を、忘れてしまっている人達が、正常と見なされるのかも?
神話の世界を現代に偶像的に甦らせる、というやり方で描かれたわけではなく、精神病院を舞台に、こうした物語が交差する形で繰り広げられるという手法。
自分の好きな文学が、こうした語りで描かれるのは、あまり喜ばしいやり方ではないけれど、それらを忘れていつしか没頭してしまった。
あまり没頭すると、アチラ側に自分は位置してしまうことになるのかな・・・。
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コメント(2件)
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そのせつはどうもー♪
私も折角の流れには乗りたいタチです。
とりわけ、1杯呑むとかそういう流れにはー。w
シンクロニシティだとか偶然の一致というものも大好き。
1日に観た2本の映画のテーマが何とはなしにかぶることって結構よくあるんですが(こじつけも含め。28週後とヒトラーの贋札はサバイバルつながりなどー)、それにしても「罪と罰」アゲインにはビックリ嬉しかったですー。
私ときたら、「罪と罰」はマンガでしか読んでなくて(笑)、「白痴」も途中で挫折して、カラきょうどころじゃないって感じなんですが、やっぱりドストエフスキーは読まなくちゃー。
この映画の構造はまったくもって説明できませんが、イントラスティングでした。
長老の考えることは突き抜けていておもしれーです。
そうか、今年100歳になるのかー。
かえるさんへ
こんばんは〜★コメントありがとうございました!
その節は大変お世話になりました。ご馳走さまでした!次回バッタリの際には、私がワインでも奢らせていただきますね
で、かえるさんのおかげでこの映画を見ることができました。ありがとうございました!
全くもって構造が説明不可能な映画でしたが(笑)、一場面一場面は、好きなシーンが多くて楽しめました。
シンクロニシティ、共時性というものには、私も神秘性を感じてしまうタイプだったりします!
『罪と罰』には驚きましたよね。おかげで、忘れがたい一日になりました。
流れに乗って進むのが好きとは、素敵ですー♪
今年で百歳ですもんね、本当長老・・
誕生日を無事に迎えられることが出来ることを祈っています。