9●スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
血って美しい・・・。
抑えた色調、セピア白黒の中に、この赤が映えること映えること・・・!
血みどろな作品だ!
ストーリー・・・
舞台は19世紀の英国、ロンドン。無実の罪で投獄され、その首謀者に妻も娘も奪われた男(ジョニー・デップ)が、名前も姿も変え、ロンドンのフリート街へ戻って来た。15年ぶりに再開した理髪店、そこで腕を振るうのは、殺人理髪師スウィーニー・トッド。胸には復讐、目には狂気、そして手にはカミソリを。・・・
私も実は、「ティム・バートンとジョニー・デップのコンビは最強」だなんて思ってる一人だったりする。だって、面白いもん。
『シザーハンズ』なんて何度も見たお気に入りの作品だし、『エド・ウッド』も大好き、『スリーピー・ホロウ』だってそれからもちろん、『チャリチョコ』も、『コープスブライド』も好き!
ハズレが本当にないもんね。
今回も、「ジョニー・デップが歌う」というのがビックリな要素ではあったけど、楽しみはあっても不安なんて全然なく。元々ロックバンドをやっていたジョニー・デップなので、そんなに下手じゃないでしょう、という安心感はあったしね。
この作品、血みどろなので、そういうのが嫌いな人にはあまりオススメは出来ない。
だけど、ところどころに挟まれる、コメディ部分が本当に可笑しくって。
ギラギラと輝く銀の、顔まで映った、切れ味の良さそうな歯の大きなカミソリを持ち、高らかに歌うスウィーニー・トッド。
ナイフ片手にガハハ〜なんて歌って、その格好でポーズを取って、カメラが一瞬引き、
そこへ冷めた表情の現実的なミセス・ラヴェットが「ところで、あれ(死体)はどうすっかね」
なんて瞬間は、本当に面白かったり(笑)
そもそも、世間に対する絶望感、疎外感でいっぱいになっている孤独な人間、社会からはみ出した人間というと、『シザーハンズ』と本当は一緒だったり。
屋根裏部屋で月明かりを浴びる、白塗りの顔・・・
まさにそれは『シザーハンズ』だなあと思う私。シザーハンズでは、自分の未熟さを憂いながら、世間に何とか同化しようとしていく姿が、可笑しくも哀しい物語だった。
一度は愛そうとしながら、やはりその愛がかなわず、もう一度孤独へと帰っていく物語。人間社会に対する絶望感や、人間そのものに対する諦念、疎外。
そういうものがベースになっていた物語だったので・・・。
だから、これも基本的な路線がこういう彩りであると、もうそれだけで世間的価値観から少々ズレてしまっていて当然だと思うのだけれど。
それなのに、こうした路線で社会的大成功を収めるティム・バートン監督は、すごいなあと思う。
今回は、そうしたダーク・ファンタジーの装いが、さらに一歩踏み込んで、世間に積極的に復讐をしてゆく、その有り様が強烈な物語。
まさに、全世界的に人気絶頂の、ジョニー・デップが選ぶような物語じゃあないはずなんですよね。
そうして思い出すのが、やはり、『シザー・ハンズ』の頃のジョニー・デップだったり。
アイドル路線を嫌ったジョニー・デップが、真っ白でブキミなメイクを施して、徹底的に自分の美を殺して演じたという、あの役柄。
私はそのオカゲで、決してカッコイイ俳優さんとは思わなかったぐらいだもの(笑)
今回はティム・バートンが、「この人気、・・・うぜーよな。大量殺人鬼とかやっちゃう?」なんて、言ったかどうかは定かではないけれど、ジョニー・デップファンがこれをどう思うか、正直楽しみな私だったり。
ハイ、意地悪で〜す。
でもどうせ、すごく売れちゃうんだろうな・・・。ジョニー・デップってだけで。
でも、普通に楽しい物語ですよ。
血みどろが好きならね・・・フフフ(笑)
サシャ・バロン・コーエンは、もうちょっと活躍するかと思いきや、あっと言う間に死んでしまって笑う。歌もなかなか上手で楽しかった。
スネイプ先生(アラン・リックマン)はさすが嫌な悪役が似合う、とっても存在感がある人でした。
そして何より、ミセス・ラヴェット役のヘレナ・ボナム・カーターとジョニーの二人の、見事に息のあった二人三脚。
血みどろなワルツを踊るかのような二人の復讐ぶりが楽しい。
いちいち一人片付くその度に、ザーッと上から下へと降りてゆく、
この無駄のない分担作業。まさにマニファクチュア(笑)。お手製のベルトコンベア。近代的!
やはり笑いがこぼれるのでしたw
血ミドロはう・つ・く・し・い・・・!
2008/01/24 | 映画, :ホラー・スプラッタ
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コメント(82件)
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こんにちは。またまたお邪魔します。
陰惨な雰囲気で、復讐劇なんですが、どこかコミカルな部分があって、楽しかったです。
個人的にはミュージカル部分はどうにもこうにも、忍耐でしたけど。
この作品のミスターTは良かったですよ。
こういうキャラは私好みですね。
見た目も、ああいうメイクしてるけど、ちょっとビジュアル系で、格好いいと思われるんでは?
蔵六さんへ
こんばんは☆コメントありがとうございました!
蔵六さんは、『〜カリビアン』を見ていなかったのですね☆
では、『ホーンテッドマンション』も見ていないのですか〜なんつってハハハ
蔵六さんも、次々人殺しをするシーンは、怖いというより面白さを感じるとタイプだと思いました!
確かにあそこは、ほとんど楽しそうに描かれているんですよね。私も相当楽しかったです。
>人肉ミートパイと農薬入り冷凍餃子のどっちかを食べなきゃならないといわれたらどっち
ナヌー!どういう究極の選択なんですか〜!時事ネタまで使っちゃって、蔵六さんてばおちゃめ〜♪
うーんそうですね、農薬入り餃子は結構食べてしまっているかもしれません。知らず知らずのうちに・・
私はでも、冷凍食品の餃子はAJINOMOTO派なので、ギリギリセーフかもしれません・・
CINECHANさんへ
こんばんは〜☆コメントありがとうございました!
CINECHANさんもやっぱり、楽しめてしまいましたか!
CINECHANさんも楽しめるタイプだと思いました☆
私も楽しかったですが(笑)
私はミュージカルらしいミュージカルとは、これは思わなかったんですよね。
ダンスがないからかな?
このミスターTは良かったですよね☆
このメイクは、確かにゴス風ですね。
マリリン・マンソン風だったのかも?(笑
自分はデビュー当時からマリマン好きなので!全然アリですね☆
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
期待はずれ。
バートン=デップのコンビだから期待しすぎなのかもしれないが、ただ原作をこなしていった、だけのような印象を受けた。
舞台??.
『スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』 2008-No4
オープニングの赤い雨のしずく・・・ココがもう好きです!
こういった色使いの映像は大好きです!
「すごい話だね」 「やっぱ…
いやー、おもしろくなかったです。つまらなくもなかったですけど。
ミュージカルとしておもしろくないし、いいたいことが、よく分からない。
期待したぶん、反動が…。
SWEENEY TODD THE DEMON BAREBER OF FLEET STREET
JOHNNY DEEP の話題作「SWEENEY TODD」、公開されました。
1月22日、MOVX京都にて鑑賞。今や、カリスマ的俳優、ジョニー・デップ再びティム・バートン監督とのコラボで誕生した「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」、長いタイトルですね。…
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
このブログには度々書いているが、監督が持っている独自の世界観を発揮しているという点で筆者の評価が最も高いのはティム・バートンである。評価が高いというよりも、単に好きなのかもしれない。最初は勿論、「バットマン」である。ゴッサム・シティーの世界観は映画の世界…
映画「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(2007年、米)
★★★★☆ ブロードウェイの傑作ミュージカルを、 Tim Burton 監督&Johnny Depp主演のコンビで映画化した。 原題は「Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street」。 19世紀のロンドン。 フリート街で理髪師を営む男(Johnny Dep)が、 悪徳判事(Ala…
ボーさんへ
こんばんは〜☆コメントTBありがとうございました。
ボーさんはこれ、ダメだったんですね。確かにこの物語は、中にはだめな人もいるんじゃないかと思ってました。
ミュージカルらしいミュージカルとはあんまり思ってなかったんですよ、私は。
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
【SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET】2007年/アメリカ
監督:ティム・バートン
出演: ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アヮ..
ジョニー・デップファンはこういう奇抜な役を演じるジョニーが
異常に好きだったりする傾向があるんじゃないかと思います。
一般人、いいお父さん役よりも私もかなり燃えました。
復讐に生きるあの狂気の姿がたまらなかったです。
ダークファンタジーでしたよね。
ところどころ笑いも差し込まれ、そうかと思うと
グログロ、ギャァ〜というシーンに突入、
私は血みどろ部分よりも下に落とされグシャッとなるのが
一番ダメでしたが。。。
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (ジョニー・デップ主演)
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム??.
全体的に暗いのは、たくさん出る血のショックをやわらげるためかな?
と思ったら、血はすっごく鮮やかで
「うひゃああ」ってなっちゃいました。
でも、ところどころに挟まれていたコミカルな部分は楽しかったです♪
ミセス・ラベットの夢、すごいカラフルでかわいくて笑っちゃいました。
>今回はティム・バートンが、「この人気、・・・うぜーよな。大量殺人鬼とかやっちゃう?」
こんなようなこと、2人でコソコソ話して楽しんでそうですよね♪
「エド・ウッド」の監督と俳優の関係が、そのまま2人にかぶりますよね^^
ジュンさんへ●○
こちらにもありがとうございます♪
そうですよね!ジョニーファンは変な役の方が、カッコいいジョニー役より喜びそうですね!
真面目なジョニーファンに怒られそうなこと書いてます・・・最近、ジョニーファンて盲目的すぎて怖くなってしまいました。
そうですね、ところどころ挟まれる笑いの部分、すごく面白かったですよね。
死体が下にグシャーっ、ドサーっと流れてゆくのは本当にすごいですよね。
ひめさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
本当、血が真っ赤で、うひゃあって感じでした!
ミセス・ラヴェットの夢、カラフルでかわいかったですよね。
でも、あそこだけカラフルというのが、また少し悲しいですよね。
あまりにもミスターTの見ている世界と違う、というのが、それだけで通じてしまう。
とっても上手なシーンでした!
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
そのキャラクターにピッタリな配役を、「ハマリ役」というが、この場合、「ハマリ監督」というべきだろう。
実在の猟奇殺人をミュージカルにしたものが原作の、ブラックユーモアあふれる、楽しい作品。
作品自体が、ティム・バート
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」オリジナルサウンドトラック
血が騒ぎ 歌に酔いしれ 肉踊る
今でも脳みそから離れないのは「ジョアンナ」の歌。ああ、二度目の掛け合いで歌われる「ジョアンナ」をもう一度聞きたい。こりゃあ、やっぱオリジナル・サウンドトラックを入手するしかないかな。
そう思った私は、結局、このサン…
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」オリジナルサウンドトラック
血が騒ぎ 歌に酔いしれ 肉踊る
今でも脳みそから離れないのは「ジョアンナ」の歌。ああ、二度目の掛け合いで歌われる「ジョアンナ」をもう一度聞きたい。こりゃあ、やっぱオリジナル・サウンドトラックを入手するしかないかな。
そう思った私は、結局、このサン…
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 観てきました
今週4本目、そして今年10本目はスウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師でした。今年は映画館に行くペースが例年になくスローペースです。挽回できるのか?!
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師-(映画:2008年18本目)-
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ローラ・ミシェル・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、エドワード・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー、ジェイン・ワイズナー、サシャ・バロン・コーエン、ティモシー・スポール、アラン・リックマン
評….
映画 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
おっと、旧作ばかり追っかけているのでまたしても危うく観たい新作を逸するところであった。というわけで、やっと観てきました。{/face_tehe/}
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」2007年 アメリカ 監督:ティム・バートン
期待通りのダーク・サイド・オ…
「スウィーニー・トッド」*観賞記
性懲りもなく、英語ままならないのに観賞してきました。
しかも今回は同伴者一人。
こちらに来てまだ間もない方が映画を見たいというので…
とらねこさん、お久しぶりです。
なかなか映画観る環境にない中(それでも好きなものは観る)
しっかり観に行ってきました。
・・・・・・。
香港では受けないようです・・・・。
駆け込み観賞して良かったわ〜。
こっちは入りが悪いとバサバサと打ち切られてしまうから。
そして私も「シザーハンズ」を思い出していました。
頭の中が「シザーハンズ」 と「コープスブライド」が駆け巡り、
そして映画はあっけなく終わってしまいました。
オチの読めるラストは、あの後静かに幕が下りるであろう「舞台」の世界ですね。
やっぱり中文字幕でなく、日本語字幕で観たい!
くりりんさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
くりりんさんったら、随分とお久しぶり〜!
ありがとうございました!本当に嬉しかったです^^
おかげで、映画見る前に思わず漫画喫茶に入って、そこからTBしに飛んでいってしまいましてよ(オーッホッホッ)
↑変なテンション☆
で、香港では受けないんですね〜。いや、日本は、ジョニーファンが多いせいか、結構これウケたんですよ。
よく考えたら結構グロいんですけどね^^;
で、本当シザーハンズな世界観でしたよね!
うんうん!コープスブライドの暗さもありましたね。
映画『スウィーニー・トッド、フリート街の悪魔の理髪師』を観て…
11.スウィーニー・トッド、フリート街の悪魔の理髪師■原題:SweeneyToddTheDemonBarberOfFleetStreet■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:117分■日本語字幕:佐藤恵子■鑑賞日:1月25日、セントラル(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□…
ジョニー デップ Johnny Depp
プロフィール
【本 名】 ジョン・クリストファー・デップ二世
(John Christopher Depp II)
【生年月日】 1963年 6月 9日
??.
こんにちは、御無沙汰してます、ホーギーです。
ミュージカル映画があまり得意でないので、
本作は劇場で観なかったのですが、
やはり気になっていたので、これからレンタルして
観ようと思っています。
この映画でもジョニーの実力、魅力とも
満載の素晴らしさを観ることができそうですね。
ということで、これからもどうぞよろしくお願いします。
それから、ジョニープロフィールの記事をTBさせて頂きます。
ホーギーさんへ
こんばんは〜♪お久しぶりです。
コメントありがとうございました。
ミュージカルが得意でないんですか〜、なるほど。
私は、ここ最近の映画では、ミュージカルものには特に当たりが多いと思っていますよ。
「ミュージカルだから」と敬遠するのは、少しもったいないですよ〜。
よければ、『ヘアスプレー』や、『ムーランルージュ』も見て欲しいなあ、なんて思います。
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
つと、バイトの終わりに棚を見た所、残っていたので借りて来た今作は、ジョニー・デップとティム・バートンという素敵タッグ四回目の作品の..
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
ミュージカル大好き!
ジョニー・デップとヘレナ・ボナム=カーターのミュージカルと聞けば、
監督がティム・バートンでも気になります。(笑)
DVDで鑑賞。
19世紀。
ロンドンのフリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーは
愛する妻と娘と幸せに暮らしていた…
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
いらっしゃいませ。そして、永遠にさようなら。