#198.ベティ・ペイジ
実在したピンナップ・ガール、ボンデージファッションが有名なベティ・ペイジ。
この時代の『ボンデージ・マブ』という雑誌に掲載され、ボンデージ・クイーンの名で一時代を築いた人のお話
ストーリー・・・
テネシー州ナッシュビルの貧しい家庭で育ったベティ(グレッチェン・モル)は、最初の夫、ビリー(ノーマン・リーダス)との結婚に失敗した後、ニューヨークへ向かう。ビーチで出会ったカメラマンに誘われ、ベティは偶然にモデルのキャリアをスタートさせた。彼女は男性用雑誌に掲載される写真の撮影だけではなく、個人コレクター向けのボンデージ写真やアマチュアカメラマン向けの撮影会でも高い人気を得る。しかし彼女の写真は50年代のアメリカの道徳観念と真っ向から対立するものだった。・・・
’05年アメリカ。メアリー・ハロン監督。
’50年代のアメリカのピンナップ・ガールで、彼女の名前はかなり有名なものかも。
私はなぜ知ってるのかと言ったら、『ショーシャンクの空に』原作の、『塀の中のリタ・ヘイワース』(スティーブン・キング)で、主人公アンディが、気に入っていたポスターの一つが、ベティのもの。
映画の中でも、振り向いて微笑むポーズがあって、これがアンディの、脱走前のポスターだったはず(確か)。何年間もアンディの壁の穴を隠したポスターとして彼の一番のお気に入りだった、という記述があったはず。そう、リタ・ヘイワースじゃないじゃん!て感じですよね。でも、原作よりも『ショーシャンクの空に』という映画の方が有名だから、まあいっか。(原作は友達に貸したまんま)
で、私は『塀の中のリタ・ヘイワース』が大好きだったので、当時PCもないのに、苦労して調べたことがありました。ベティ・ペイジのポーズの中で、もっとも有名だったものがこの、背中越しに振り向くポーズだったよう。
自分は、ベティ・ペイジのことはずっと忘れていたのだけれど、マリリン関連で何度か彼女のピンナップ写真も見たことがあったのでした。アメリカの古い時代の映画や小説なんかに、彼女の名前は時々登場するんですよね。
私はベティの顔は特に好き、というほどではないけど(なんとなく大作りな顔?)、着ているボンデージ・ファッションはすごくイカしてるなあ!と思った。グレッチェン・モルの方がずっと綺麗だなあと思う。
それにしてもベティの半生。デビュー前の話は特に、マリリン・モンローを思い出すものだったなあ。
若くして結婚し、最初の結婚の破局後に一人で上京し、デビュー。カメラマンに見初められたり、ピンナップ・ガールや、モデル、ヌードモデルもやって、だんだんに有名になるところ辺りが似ているなあって思った。
もちろん、華々しく成功したマリリンとは違って、ベティ・ペイジの方は、そこまで大きな成功は収めることは出来なかった。
’55年に『Playboy』誌の雑誌の表紙を飾るのだけれど、この辺りが彼女のピークかな。その後、風俗写真の取締りが厳しくなって、表舞台からベティが姿を消すのが同じ年の55年。
Playboyの第一号がマリリンの巻頭カラーだったから、ベティ・ペイジがマリリンに並んだ?と、映画を見ていて思ったんだけど。
その後しばらくして、ベティは雲隠れしてしまい、キャリアはそこで終わりを告げてしまう。
マリリン同様に、ベティ・ペイジもスタニスラフスキーの演技のクラスを受講もしていたし、本当にマリリンの姿がカブって感じられてしまう。
マリリンは、リー・ストラスバーグのアクターズ・スタジオで、直接ストラスバーグ自身から演技指導をつきっきりで受けていたこともあるし。
(ちなみに、アクターズスタジオは、ここで行われる、俳優のインタビューが有名。NHKやCSでも流れているよね。最後に、ここの生徒との質疑応答もあって、ティーチングもある。
他にここの演劇学校の出身者で一番有名な人は、ロバート・デ・ニーロ。
ちなみに、『ガラスの仮面』でも、スタニスラフスキーの演技の理論が出て来て、マリリンの本を読んでた私は感激しちゃったことがあるんだw)
で、映画の話に戻って。
ベティ・ペイジの半生を綴った映画なのだけれど、割と軽めというか、サラっと描かれていて、それほど来るものはなかったかも。
エロも軽めかな。
森の中で素っ裸になる、ヘア全開の、全裸のシーンはあるのだけれど。
エッチなシーンではなくて、なんだか明るい、精神の解放!というイメージで、嫌味はない感じ。
おお、ワンダホー!ってな具合に、弾ける女体が初々しいのです
どの写真も明るい笑顔でピンナップ撮影をこなす、そんな彼女が愛らしいと言えば愛らしい。ただ、肉薄する一人の女性の描き方としては、なんともマンガちっくに映って、リアリティはちっともないのよね。
画としては面白いし、グレッチェン・モルの久しぶりの姿が見れるし、頑張ってはいる。美しいスタイルが、眩しいことは眩しいのだけれどね。もうちょっとエログロバイオレンスを入れてくれたら面白かったかも・・・。というのが正直な感想でした。
2007/12/26 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
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コメント(22件)
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「ベティ・ペイジ」
映画は「裏マリリン・モンロー」といわれた伝説のモデル、ベティ・ペイジを、彼女のモデル時代を中心にして描く。
「裏マリリン・モンロー」とは、私は初めて聞いた言葉だ。不勉弮..
コメント&TBありがとうございます!
マリリン・ファンの私としましては見逃せない映画でした。
といってもベティ・ペイジのことは、映画になるまで知らなかったようなもので、とにかく彼女のことを知ることができたのが収穫でした。
グレッチェン・モルは素敵でしたが、映画としては、もうひとつだったかなと思います。
ベティが何をしたか、モデルぶりをそっくり再現するのを主眼にした作品だったのでしょうか。
おはようございます〜!
マリリンとはよく対比されますよね。
裏マリリンモンローとか言われたりして。
わたしは「ショーシャンクの空に」は未見なので原作も知らないんですが、
とにかく、とらねこさんはお好きなタイプじゃないかと思ってたんですよー!
そうそう、映画として面白くちゃんと出来てるわけじゃないけどボンデージの画が見られればヨシとします〜♪
ベティ・ペイジ/グレッチェン・モル
ベティちゃんといえば、日本人好みとはちょっと違うようなポップアイコンが有名ですよね。そのモデルになった女性は人気ピンナップガールのベティ・ペイジの半生を綴ったのがこの作品です。ファッション史などでマリリン・モンローなんかは学んだ覚えがあるけどベティ・ペイ….
ベティ・ペイジについてお詳しいんですね。私の中ではボンテージファッションってアヴァンギャルド、退廃的文化という位置付けだったのですが、劇中の天真爛漫なベティの姿を観て、新たな視点が加わりました。
時代背景を考えればこのくらいでも十分刺激的だったのかなぁなんて思いますけど、劇中のマニアの姿なんて今で言うとこのカメラ小僧みたいなものかな?時代と共に変わってるようで基本的なとこは変わってないんですね(笑)。
『ベティ・ペイジ』
The Notorious Bettie Page@渋谷シネマライズ、メアリー・ハロン監督(2006年アメリカ)
世界の歌姫マドンナの挑発的なパフォーマンスやステージ衣裳、前髪を短く切り上げた黒髪とヴィヴィッドな赤リップをほどこした唇にはハリウッド女優たち、そして今注目のバーレスク・…
ボーさんへ
こんばんは♪コメントありがとうございました。
やはり、ボーさんは、マリリンというと目の色が変わってしまうんでしょうか(笑)
ちなみに、ベティ・ペイジの名は、何もマリリンの時でなく、いろいろな時にアメリカの小説で、出て来るんですよね。
確かに、映画としてはちょっとちんまりとまとまっていた作品でしたね。
アンバーさんへってムチ打つ姿がカワイイ〜w
こんばんは☆コメントありがとうございました!
アンバーさん、TBは届いていないようですが、現在ココログとの相性が悪いようなので、そういう時もあるようです。気にしないでいただいて、構いませんので!
で、やはり裏マリリン・モンローって、言われていたんですね☆
そうそう、ボンデージ姿が素敵でした。
ガオウ!
かのんさんへ
こんばんは☆コメントありがとうございました!
イエイエ、私それほどよく知ってたわけではなくて、なんとなく名前をあちこちでよく聞いたりするぐらいだったんですよ。
なので、その点と点が結んで線になって、はっきりと認識したのは、この映画が始めてでした〜。
おっしゃる通り、ベティ・ペイジがSM的ボンデージファッションの走りだとしたら、この時代のカメラ小僧も、「カメラ小僧の走り」なんですね、きっと〜(笑)
こんにちわ。
『再会の街で』へのコメントありがとうございます。こちらにコメント失礼いたします。
この作品を撮ったのって女性監督なのに、女の生き方としてもっと掘り下げた描き方が出来なかったもんか?と少し残念でした。
個人的には、彼女を取り巻く表面的な状況には興味はないんですよね。あの時代に、タブー的分野にあえて身を投じた彼女の内面や思考といった部分にすごく興味があったのに・・・そこがすっぽり抜けている・・実に残念です(苦)。
ペイジのPVみたいな映画だなあと思いました。でもグレッチェン・モルはすごく可愛らしかったですね。
ベティ・ペイジ
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆
エロスの革命児
睦月さんへ
おはようございます!コメントありがとうございます。
>ベティ・ペイジのPVみたいな映画
おっしゃる通りだと思います。
人がまだ存命中に、その人の機嫌を損ねることなしに、伝記モノをしっかり作り上げるのってやはり難しいんでしょうか?
ベティ・ペイジご本人も、後からあれこれ文句をつけたらしいですが・・・そういうの、しないで欲しかったです(苦笑)
これ実は『呉清源』にも感じたことと同じなんですよ。やはり、ご本人の機嫌を損ねる映画を作るのは申し訳ない、というのは分かりますが・・・。
やはり当てにならないのは、その人本人の書いた自叙伝と、まだ存命中の伝記本、伝記映画、これは一般的にあてはまると言えますでしょうか。
伝説のピンナップ・ガール
6「ベティ・ペイジ」(アメリカ)
世界大恐慌の頃、ナッシュビルの貧しい家庭で育ったベティは教会へ通い、賢く勉強熱心であった。しかし、大学進学に失敗、更に若くしてした結婚も短期間で失敗してしまう。
自らを奮い立たせ、新しい人生をスタートさせるためニュー…
こんにちは〜
そうそう、何か軽くあっさりと流れた感じでした。
エロさ全開でもなかったし・・・
映画的雰囲気からすると
嫌いではないですけどね。
それにしても、ベティ・ペイジという名は知らなかったな・・
聞いたことはあったのかもしれないけど、
意識してなかったようです。
CINECHANさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、あっさりした作品でしたね。
>映画的雰囲気からすると嫌いではないですけどね
うん、私もそうだったんですよ!w
なんとなく許せるほのぼのさがありました。
昔のエロって、味わい深くて(笑)
私も、ベティ・ペイジは、名前というより写真で覚えていたのでした☆
【映画情報】ベティ・ペイジ/時代を超えたピンナップ・ガール
天真爛漫な笑顔とグラマラスなボディで世界中を虜にした伝説のピンナップ・ガールの知られざる真実。今なお、ファッション、カルチャーのポヮ..
真・映画日記『ベティ・ペイジ』
JUGEMテーマ:映画
12月15日(土)◆655日目◆
前日の下北沢「クラブQue」でのイベント「ロンドンタイムズ」から帰ってきたのが朝8時半。
クラブのオールナイトの疲れがなかなか抜けない。
夕方5時半になり外に出る。
渋谷「シネマライズ」でこの日から公開の…
【2008-27】ベティ・ペイジ(The Notorious Bettie Page)
人気ブログランキングの順位は?
Who is Bettie Page?
ベティ・ペイジ
天真爛漫な笑顔とグラマラスなボディで世界中を虜にしたベティ・ペイジの儚く数奇な人生。
1950年代、ニューヨーク。アメリカンドリームの陰で、性文化が語ることさえゆるされなかった時代に、ボンデージやランジェリーを身にまとい、嬉々としてポーズをとる女性がいた―…
映画「ベティ・ペイジ」を観ました。2008年46本目
製作年 : 2006年
製作国 : アメリカ
1950年代に彗星のごとく現れて伝説になったピンナップガールの半生を描いた作品。
最初の結婚に失敗したベティはNYに渡り、モデルとしてのキャリアをスタートさせた。
きっかけは偶然だった。しかし、彼女の才能は瞬く間に開花し、マ…
ベティ・ペイジ
『Who is Bettie Page?』
コチラの「ベティ・ペイジ」は、1950年代のアメリカで天真爛漫な笑顔とグラマラスなボディで世界中を虜にしたベティ・ペイジ、裏モンローなんて嬉しいやら切ないやらな称号を仰せつかった彼女の真実と儚い人生を描いたR-15指定の伝記映画です…
ベティ・ペイジ
= 『ベティ・ペイジ』 (2005) =
ナッシュビルの厳格な家庭で育ったベティ・ペイジ(グレッチェン・モル)は、女優を目指してニューヨークへと向かう。
演劇学校に通いながら、授業料稼ぎにモデル業をスタートさせた彼女は、あるカメラ・クラブに紹…