#185.デビルズ・リジェクト マーダーライドショー2
『マーダー・ライド・ショー』(リンクでそのままそちらの記事へ行きます)の続編。
’05アメリカ。
こちらもまたロブ・ゾンビ監督作品。
’02年に『マーダー・ライド・ショー』を作り、自身のホラー趣味を明らかにしたロブ・ゾンビ監督。自身のPVにモデル・ダンサーとして起用していた、シェリ・ムーン(この作品で映画デビュー)と、その年、つまり’02年に結婚してたんですね。
シェリ・ムーンが、つまりはシェリ・ムーン・ゾンビになってしまった。苗字がゾンビになっちゃうのって、どうなんだろ?
でも、意外に、二人は若くない。この時、シェリ・ムーンは32歳、ロブ・ゾンビは37歳。知り合って長かったようで、この時点で知り合って9年も経っていたそうなので、結構、「年貢の納め時」って感じなのかもね。シェリ・ムーンは、ロブ・ゾンビのライブでは必ず、あのベイビー・ファイアーフライの高音の笑い声を、いつもリクエストされるとか。
ちなみに、’07年のUSAトゥデイでは、スクリーム・クイーン(叫び声の女王)に選ばれています(IMdbより)。
ストーリー・・・
一度は恐怖のファミリーを追い詰めた捜査陣だったが、ファミリーは何とか逃げ切り、再び血なまぐさく猟奇的な殺戮を繰り広げる。・・・
いつの間にか、ベーシックタイプのシリアルキラーものが、ロードムービーになてしまったらしい。なんだか、イメージ的に、ハンドルを切り損ねて、そのまま旅立ってしまい、それがまんま文字通りのロードムービーになった、みたいな。
しかも、完全に目線は、前回以上に、殺人ファミリーに寄り添った作り。
彼らを執拗に、追い詰める保安官は、彼らによって狂気に駆られ、法律を破ることも辞さなくなってゆく。
おかげで、追い詰められる殺人ファミリーの攻防戦といった感じになり、うまく逃げるとしてやったり、という感じになってくる。
ただ、せっかくのキャスティングで、オーティスはビル・モーズリィ、それからみんなの人気者キャプテン・スポールディングは、シド・ヘイグ、ベイビーはシェリ・ムーン、というのはせっかく1と全く一緒なのに、残念ながら、母親のマザー・ファイアフライが、前回のカレン・ブラックから、レスリー・イースターブルックになっていて残念。
この人、少々ブキミで太め、なのに妙にエロいという、かなり1でもインパクトが強かったマザー・ファイアフライ。2でが壮絶なその最後を見せるなど、せっかく見所があるのに、1の時よりちょっと綺麗めな人になってしまって、その分インパクトは普通に落ちてしまった。そこがちょっとがっかり。
グロさは依然としてすごくて、やはり標準レベルを軽くクリアしているし、前回以上にクレイジー。だけどやっぱり酷い話だし、非常に「間違った」物語なんですけどね〜。
ただ、これって、どのサイトを見ても、こんなにヒドイ物語なのに、意外と点数が甘いというか、結構評判も良かったり。なんでなんで?と思うんだけど。
それは当然ながら、前回で懲りた人は、こっちを見ていないからじゃないかと当然の如く思うわけです。そう、自然淘汰がなされた結果。
なので、良い子は、その極悪な皆さんの、良い下馬評を聞いても、信用なんてしてはいけませんからね〜!
以降、ネタバレなので、見た人だけ読んでください。
何が間違ってるかって、ラストがまたこれ、強烈。
アメリカン・ニューシネマを本人が意識した、なんて言ってるけど、これ、まさしくロードムービーで最後の最後で破滅に向かってゆく姿。家族の幸せな時間の終焉には、カウボーイハットが血だらけになり、かかる曲はレイナード・スキナードの『フリー・バード』って、ええええ〜〜〜っうそ〜〜〜ん。
ちょっとちょっと、この曲私の大好きな曲なんですけど、ここまで間違った使い方みたことないよ・・・(失笑)
うーん、参りました。スローモーションで、家族の最後の姿を、「この目に焼き付けん」と言わんばかりの、映し方。まさに、旅の劇的な終わり。
で、エンドロールは、当然ながら、道を映します。肉体は滅びても、これからも道はそこにある、続くというわけ・・・
じゃあせっかく『フリー・バード』使ってるんだから、もしかして、精神は飛翔し、空の彼方へ・・・魂は無限。なんて、カメラが空へと向かってゆくんじゃ、あるめえな、と思った。そしたら、そこまではしなかったですけどね、ロブ・ゾンビ。
私だったら、絶対そうするんだけど。もったいないなあ。
2007/12/08 | 映画, :ホラー・スプラッタ
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大量殺人を繰り返していた一家に警官隊が急襲、母親は捕まってしまうが、オーティス、ベイビーの二人はからくも脱出し、キャプテン・スポールディングと共に逃亡する。殺人を繰り返しながら、逃…
とらねこさん、こんにちは。
お久しぶりです。
ただいま不調です。
まあ仕事が忙しいというのがその要因なんですけどね。
映画は観て、記事もアップしてるんですが、それだけでアップ、アップ・・・
他のブログ訪問の機会も減っております(泣)
そんなわけでのご無沙汰でした。
この作品、前作とは毛色が変わってしまいましたね。でもまんまと罠にはまって、殺人一家の目線で観るようになってしまいましたよ。これって「俺たちに明日はない」とか「明日に向かって撃て」と同じような感覚で観てしまったということだなぁ。
音楽はよくわかりませんが、こんなラストに余韻を覚えました。
マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト
「マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト」を観た。
ヒッチハイカーの若者を狙い恐るべき大量殺人を繰り返してきたファイアフライ一家。ある時、ついに警察は最大規模の部隊で彼らの家を急襲する。しかし、兄オー〆??
CINECHANさんへ
こんばんは☆コメントありがとうございました。
お仕事が今お忙しいのですね。
映画は見ていらっしゃるのですね。いや、私も、PCの前で過ごす時間が多いのがちょっと気になって来て、最近は出来るだけ少ない時間で効率よくやろうと思っています。
お互いに、忙しいですので、工夫しないといけませんよね。
おっしゃる通り、この映画は、特にラスト部分、あえてわざと狙ってきましたね。
まあ、完全に悪ふざけなんですが、もう、やりたい放題で、笑ってしまうんですよね。
「おいおい」って言いたくなりました(笑)