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#157.怪談 牡丹燈篭 鬼火の巻・蛍火の巻

’70年7月に、東京TV12チャンネルで放映されたもの。
「日本怪談劇場」という番組でした。


これまでに何度となく何度も語られて来たという、『牡丹燈篭』。この作品では、TVで放映されたものでありながら、セットはとても凝った作りになっていて、ロングショットでカメラを固定して、冒頭、遠目にずっと映し出す。

新三郎が部屋の中に座っている様子を、部屋の向こうから映し出す、新三郎の隣にはお節介で泥棒の夫婦が住んでいて、手前には鬱蒼と茂った池がある、といった具合。それが一つの画に収まっている様子を見て、驚いた。
物語が始まり、しばらくはそのスタンスで、遠目に映す。長屋の向こうにいる人物を映したり、はたまた柱に思いきりカブっている登場人物など、あまり見たことがない画だった。


ただ物語が進んでくると、正直、カメラの使い方に、初めはいいけど退屈して首が疲れてしまった。同じ角度からの同じショットを多用しすぎているし・・池が出てくると後は同じ画で、「またここ映すんだ〜」って感じ。最初だけにして欲しかった。
それに、ロケで撮った部分とセットの部分が、全体の画として成り立っていない印象。
遠目に映すロングショットの意味を考えたけれど・・・
お露の死んだ後に、人間界から距離を置いて、女中と二人、こちら側を見ている、そういうことだったら自分にはもっと興味が持てたのになあと思う。でもお露が死ぬ前だったので、そういう訳ではないし・・・。
ただ、映画のスクリーンで見たからそんなこと考えてしまうのかも?
TVとして考えてみれば、話に深みはあるし、力作だと思う。


話はもっと進んでゆくと、お露と新三郎の物語ではなく、その周りにうごめく欲と金に目のくらんだ人間たち、こちらの方がもっと語りたい物語だったようだ。
あくまでも『怪談 牡丹燈篭』の部分は、導入といった感じ?


製作:神山守平 /脚本:宮川一郎 /監督:中川信夫 / 音楽:牧野由多加 /田村亮、金井由美=お露、戸浦六宏、阿部寿美子、名古屋章、長谷川待子、大塚国夫、穂積隆信

 

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