#152.眠れる美女(’68 日本)
隣に素っ裸で横たわる若い女。睡眠薬でも飲まされたか、ぐっすり寝ていて、起きる気配は決してなく、揺すっても起きない・・・。
こういう状況ってやっぱ、男にとってはたまらないんだろうな。
ただこの場合初めから寝ているという設定で、決して朝になっても起きず、その前に退出しなければいけないという秘密のクラブのような宿なのです。
なかなか、ヨダレの出そうな設定でしょ?
だけど、「男でなくなった老人」しか、入ることが出来ないのがポイントなのでした。
皆、れっきとした信用ある身分の人で、紹介がないと入れない老人男性のためのクラブ。
まだまだ男だってことを証明しようと思ってはみるものの、すやすやと安らかな眠りについている生娘(?)の前では、過去の悔恨の念や、過ぎ去った情事を思い出したりするのみ。
中には泣き出す老人もいるとのこと。
生娘という設定に疑問を抱く江口(田村高広)。自分はまだまだ、とこの宿の禁を
破ろうとするも、そのみずみずしい肉体の前においては、それが出来ず・・・という話。
監督:吉村公三郎 主演:田村高広、香山美子、殿山泰司、中原早苗、松岡きっこ
’68年作品。
なかなか想像を掻き立てる状況設定が素敵です。と思ったら、原作は川端康成の『眠れる美女』。
ちなみに、その後、二ヶ月後に、’05年、ドイツ製作の同タイトル、川端原作作品が公開されました。感想はこちらへ → (『眠れる美女(’05 ドイツ)』)
こんな素敵な設定の割には、あまりパッとしない印象の作品。
原作が読んでみたくなったけど。
主人公江口を、田村高広が、若者〜中年〜老年と、一人で演じ分けようとしているんだけど、老人にはどうしても見えない感じw
で、画面上には裸体が横たわっているのに、決して触れようとしたりしないものだから、見ているこちらはストレスが溜まる。
乳、揉めっ!
とか、
掴めっ!
と、叫びそうになった!!!
フラストレーションが溜まるぅぅ(なぜ私の・・・)
画面に向かって伸びた手が、にぎにぎ、みたいな・・・
そして、述懐してばかりいるのです。
自分の過去の過ちやら、情事を・・・
とっても上品ではあるのだけれど、エロが、エロが、・・・
エロが足り〜〜〜〜ん!!
そうこうするうち、自分の年頃の娘・美子(香山美子)の話が絡んでくる。
美子は、吉田と、樋口という二人の男と付き合っていて、どちらと決めることが出来ないのだが、ある日、樋口に突然強引に身体を奪われ、そのために相手を嫌いになって、吉田と婚約する。
吉田は、その事実を知った上で、それでも美子と結婚するというが、父親である江口は、なかなか心中複雑・・・という話。
まあ自分も昔似たようなことをしたからなのね。
嫁を出す前の男親の気持ちって、こんなものなんでしょうね。
あらすじだけなら結構イケると思うんだけど。もっとエロを足してくれたら良かったのに・・・
2007/10/17 | 映画, :カルト・アバンギャルド
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コメント(4件)
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シネマヴェーラですね。
つい最近、原作を読んでいたので、がっかりする可能性大との判断で今回はパスでした。
状況設定、その着想が素晴らしいですよね。是非、原作を読んでください。新潮文庫なら「片腕」も入っているし、お薦めです。
imaponさんへ
こんばんは〜★コメントありがとうございました!
とっても嬉しかったです^^
新潮文庫をススメてくださいますか。でも、海外からの輸入版というか逆輸入版の、英語バージョンのものも読んでみたいですね。
クリムトが表紙で、とっても装丁が綺麗なんですよ。飾っておくのも良さそうです♪
でも、川端康成がこんなフェティッシュな物語を、書くんですねえ。フェチと言えば、すっかり谷崎と思ってました私。(谷崎大好きなんです★)
原作から、だいぶアレンジされているようですが
10年位前にこんな映画もありましたよ↓
http://movies.jp.msn.com/film.aspx?P_MediaID=22928
ochiaiさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございます!
おおーっ、情報ありがとうございました。
本当ですね☆なにやら、この宿屋という状況が一緒ですね。
そこから江口を主人公に、オリジナルな物語を描いた作品、という感じですね、
時系列的にも長い、ドロドロした人間関係を描いてるようですね☆
ところで、江口江口江口江口・・・
こう書いていると、「江口」と言う字が、さんずいのついた「エロ」に見えてきませんか?^^