#129.ブラック・スネーク・モーン
「サミュエル・L・ジャクソンが、蛇の次に、説教する相手を選んだって、今度の相手は一体・・・?」
なんて感じで、『映画秘宝』に載ったんだろーか?
確か、『スネーク・フライト』の時に、第一面の勢いで特集されてたのを、覚えてるんだけど・・・。
だけど、今回もやっぱり、蛇がらみなんだなコレが。
・・・狙ってんの?サミュエル親父は?
ストーリー・・・
アメリカ南部の田舎町。畑仕事をしながら静かに暮す元ブルース・ミュージシャン、ラザラス(ストーリー・・・)はある朝、道端で血だらけになって倒れている若い女を拾った。女の名はレイ(クリスティーナ・リッチ)。子供の頃の虐待の影響でセックス依存症となっていた彼女は、恋人のロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)が入隊したため、孤独に耐えられなくなりドラッグと酒に溺れ、男に殴られたのだった。・・・
なんだかエロチック・バイオレンスな感じを予想させてワクワク。
おバカ映画を予想していた私は、いい意味で裏切られた。
なかなかいい映画だったような気がする。・・・
依然としてB級の扱いなんだろうけど、どこか、それだけで終わらない映画のような、妙な味わいのある人間ドラマになってたの。
まず、クリスティーナ・リッチ演じるレイ、セックス依存症の女が、鎖に繋がれて、こうして、イカレたサミュエル御大にグルグル巻きにされてる、っていう、この画そのものだけで、随分とソソるでしょ。
この画をこう、映し出す、それだけで、そこになんだかゾクゾクするものがあるのに、きちんとしたストーリーがあって、それがまた良くてね。・・・
『ハッスル&フロウ』を撮った、クレイグ・ブリュワーの監督・脚本作品。
『ハッスル&フロウ』でも、ミュージシャンを目指すアフリカ系アメリカ人の話を、等身大に描いていたけれど、そうした普遍的なよくあるテーマを選んでかつ、見ごたえのあるドラマに仕上がっていたのだけれど。
どこか、連綿と続く、奴隷制時代のアメリカ南部の、ブラックの人の持つ影を映しているというか・・
ブルースの持つ、真の哀しみ、それらをそこかしこに感じることが出来て、満足してしまった。
本当だったら、もう少し、エゲツない作りになっていたと思うのですよ。
だけど例えば、クリスティーナ・リッチがあまり化粧もせずに、顔を殴られた痣が、ずっと映画の間中、ついていたり。
これだけでだいぶ、エロチックさを体現するだけの対象でない、リアルな女性に近づいていたようにも思えるし。
それから、サミュエル演じるラザラスの背景も、十分に描かれていたと思う。
彼の過去、背中に背負った重さ・・・そういう、いわば“ブルースの基本”となるものを存分に感じられたからこそ、彼の音楽も、すごく響いてきた。
男の哀しみ、女のケダルさ、そうしたものに、妙な実感を覚えて、ブルースを堪能することが出来たんですね。
これぞ、ブルースの世界!
「Ball and Chain」ですよ!!
鎖を引きずる重さ、これこそまさしく、ブルース魂!!!
映画の間中、どっからか蛇のシャーッっていう、とぐろを巻く音が聞こえてきて、女を苦しめるんだけど、ギターのリフにこれが生かされていて、鳥肌モンでした。
久しぶりにブルースが聞きたくなっちゃった。
Howlin’ Wolfでも聞こうっと。
クリスティーナ・リッチは、すごく痩せてましたよ。
この人、もともと、太ったり痩せたりするよね。
『バッファロー’66』では、芋虫みたいな体型だったのに、『アリーmyラブ』第5シーズンの時に、すごく痩せててビックリしたんだけど、その後、また『モンスター』の時に、シャーリーズ・セロンと一緒に激太りしててビックリしました。
そしたら、この作品でまた、かなり痩せている!
この人も案外、レニー・ゼルウィガーのように、「女デニーロ」なのかしらん?
「ブラック・スネーク・モーン」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(30件)
前の記事: #128.ショートバス
映画 「ブラック・スネーク・モーン」
「ブルースは男女のもつれから生まれる」byサン・ハウス
昔はバーでブルースを演奏していたが今は田舎で農業を営む初老の黒人ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)彼は女房から突然の別れを持ち出され(実は弟に寝取られた)憤りを隠せないでいる。ある朝、道端で暴行の後…
こんばんは♪
「説教界のカリスマ」サミュエルの次のターゲットは何だ!?(誰だ?じゃなくてねw 相手ひとじゃなくてもアリだから)
なぬ!アダムスファミリーのあの娘がこんなにプリンプリンに!なクリスティーナ・リッチですと!
しかも鎖で監禁して!?
そりゃもう、呻くッ呻くぜ!俺様ちゃんのどす黒いヘビが!!(笑)
いや〜、もう大好き!
ローズのローズ園をトラクターでバキバキにするサム!
トレーラーを背後に従え、F○CKサインなクリスティーナ・リッチ!
鎖でつながる前からクギ付けでした(笑)
>「Ball and Chain」
あ、やっぱ元ネタこれですかね
ジャニスがメーター振り切って唄ってる曲ですよね?
「ブルースを描きたかった…」とブリュワー監督
いや、比喩をまんま画ズラに!て、それブルース魂じゃなくてボンクラ魂だから!
Bしかあってないよ〜(笑)
「ブラック・スネーク・モーン」
女を鎖でつないで、家に監禁?
主演は、サミュジャク(サミュエル・L・ジャクソン)と、クリスティーナ・リッチ?(クリリチとは言いません!)
面白そう!
そんな情報のみで、ほいほいと観に行く私であった。
…すっ
今年のベスト1候補!
みさま♪
こんにちわ〜(^O^)/
わーい、いつもよりテンション高っ!なコメントありがとうございます♪
このバカ画ヅラは、ほーんと必見ですよね!どのシーンもどのシーンも、画ヅラのまあ見事なこと★
>ローズのローズ園をバキバキにするサム
ここから早、心を奪われましたか(笑)まだほんの冒頭ですが(笑)
クリスティーナ・リッチは私としては『スリーピー・ホロウ』の時「ジョニーったら私に夢中なの」なんて言ってて、頭がやかんになるほど煮えくり返ったことがありますが。
>BALL AND CHAIN
これって歌そのものが元ネタ、というより、この言葉が奴隷性時代を表現する、一つの言い方なのでしょうね。足首に鎖と鉄球・・・
しかしジャニスの歌は本当カッコよかった。
本当、ボンクラ魂炸裂の陶酔感を思う存分味わえる今作でした。サミュエルのギターシーンは、彼の背後に雷鳴って黒蛇背負ってるかと思っちゃった!
ボーBJジングルズさんへ
こんにちは〜♪
OH〜、だいぶ気に入られたようですね!
TBありがとうございました★
『ブラック・スネーク・モーン』を観たよ。
シェアブログminiに投稿
※↑は〔ブログルポ〕へ投稿するために必要な表記です。
よく思いつくなぁ、こんなすごい話。
『ブラック・スネーク・モーン』
“BLACK SNAKE MOAN”
2006年・…
とらねこさん、こんばんは♪ トラバ、ありがとうございました★
私もBJさん同様、この映画をとっても気に入ってしまった者のひとりです(^^;)
クリスティーナは本当、レニー同様、体型変化が自由自在って感じですよね〜。今作ではびっくりするくらい細くて。鎖がウエストに食い込んでる姿は、「痛そ〜」って思って、観ながらつい自分のお腹をさすってしまいました(^^;)
ブラック・スネーク モーン
「ブラック・スネーク モーン」 BLACK SNAKE MOAN/製作:2006
お!こちらにもお邪魔するです。
サミュエルさん、そう言えば前回も蛇がらみでしたねぇ。
とらねこさんが挙げたクリスティーナ・リッチの過去の作品を思い浮かべてみて。
どう考えても、全部別人じゃん!とか思いました。
若きカメレオン女優に拍手を送っちゃう。
[やっぱり映画館]『Black Snake Moan』後記
いつ以来か忘れましたが、久しぶりの渋谷です。 湾岸は空いてて走っていて気持いいデスネ。 ぼくは『インランド・エンパイア』を見たかったのですが、ツマの意向やマルホランド・ドライブで一つの到達点をすでに見たような気もしており恵比寿ではなく渋谷へ向かった。 とこ
香ん乃さんへ
こんばんは☆香ん乃さんもこの映画、気に入られたのですね^^
これ、思ったより、ずっとしっかり作られていて、とても楽しめるし本当、満足でした。
クリスティーナ・リッチも思った以上に太ったり痩せたりしてるんですよね。
アリー5の時は、本当に痩せててビックリしたのですが、またここまで痩せてて。
みんな意外に、『バッファロー』の頃しか、印象にないんですね。『モンスター』もすごかったのに。
となひょうさんへ
こちらにも、コメントTBありがとうございました☆
そうなんですよ、サミュエルさん、前回も、「蛇を追う役」だったんですが、今回もある意味、蛇を追い払う役、と言えますよね!
もうね、「ハリウッド屈指の蛇使い」と呼ばれたいんでしょうね、きっと!(笑)
クリスティーナ・リッチは、私は結構好きでした。昔から活躍してたので、あまり若い印象はなかったんですが、調べてみたら、今27歳だったんですね。
黒ヘビのうなり
226「ブラック・スネーク・モーン」(アメリカ)
アメリカ南部の田舎町。かつてブルースに情熱を注ぎ、今は畑仕事を営み、教会通いを続けるラザラス。しかし愛する妻が弟と関係を持ち、去っていったことに絶望する。
幼少の頃受けた性的虐待の影響でセックス依存症…
映画:ブラック・スネーク・モーン
ブラック・スネーク・モーン(シネ・アミューズ)&HABU写真展「夢にむかって」
「私の小さな光を輝かそう」
あらすじだけでこのキャスティングじゃなかったら敬遠しただろうなー、作品。
偶然見つけた少女に浮気し出て行った妻を重ね、更正させることで自分の傷を…
『ブラック・スネーク・モーン』
独創的でクールにして鮮烈。
アメリカ南部で畑仕事をして暮らすラザラスは、ある日道端で半裸のまま血だらけで倒れている若い女を見つける。このタイトルにこのフライヤーの写真だもの、初めはバイオレンス作品かと思っていた。だって、黒い蛇でチェーンですよ。ちょうど…
とらねこさん、こばは。
これは、初めバイオレンスものかと思っていて、
私は観なくていい系かと見送るところでした。
劇場鑑賞してよかった、くーるな映画でした。
もうちっと大きいスクリーンで観たかったー。
アメリカ映画のカガミって感じ。
踊り狂うリッチーもよかった♪
かえるさんへ
おはようございます〜♪コメントTBありがとうございます。
そうですね、これなかなかイイ映画でした。かえるさんも当初、スルー予定だったのですね。私も面白く裏切ってくれた感じがあって、意外にきちんと表現していて、嬉しくなりました。
クリスティーナ・リッチのあのけだるそうな表情がよかったです♪
ブラック・スネーク モーン:私の小さな光を輝かそう シネ・アミューズ
クリスティーナ・リッチを見に行ったのに・・・ タイトル:ブラック・スネーク モーン 監督:クレイグ・ブリュワー 出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティーナ・リッチ 製作:2006年米 俺は女房に手を上げたことはない。でも、それが間違いだったのか。 妻に別….
こんばんわ。かえるさんのところからお邪魔しましたー。サンダンスで評判になってた映画だったのでずっと気になってたのですがようやく見ることができましたー。サミュエルの演技が同じ蛇でもスネーク・フライトとは大違いでしたね(笑)
それにしてもこのシチュエーションからあんなエンディングに持っていくなんてオドロキでしたね。でも説得力もあって…。今年のお気に入りの一つになったかも。
他の記事も読ませていただきますねー。
またTBしちゃうかも、です。
どうぞよろしくお願いしますー。
『Black Snake Moan』ブラック・スネーク・モーン
どんなにCrazyなシチュエーションにも、光が射した。 ぽちっとプリーズ。
minoriさんへ
こんばんは〜☆初めまして!
コメントTBありがとうございました。
ようこそ、いらっしゃいませ。
本当、妙な説得力のある映画でしたよね。
この映画は、他の人が撮ってたり、もっと演出を適当にするだけで、全く違う下世話な映画になってたに違いないと思うんですよね。
この1シーンが撮りたい、ってだけの映画かと思ったら・・・なかなか面白かったです。
こちらこそ、今後もどうぞよろしくお願いします!
映画「ブラック・スネーク・モーン」
映画「ブラック・スネーク・モーン」に関するトラックバックを募集しています。
ブラック・スネーク・モーン:精神の解放、弱さの吐露、そしてブルース
★監督:クレイグ・ブリュワー(2006年 アメリカ作品) 京都みなみ会館にて。 今年の夏にとらねこさ…
こんばんは、コメント・TBありがとうございました。
いやあ、J・ジョプリンの「Ball and Chain」は良いですよね。ベスト盤でこのナンバーを初めて聞いたのは高校生の頃だったか、あの演歌歌手(都はるみとか)顔負けのコブシ廻しを聞いた時はひっくり返りそうになりましたよ。そうか、奴隷制時代にまでルーツがさかのぼれるキーワードだったのですね。ブルースの世界は奥が深いなあ。
そういえば、アニマルズの『朝日の当たる家』にも「Ball and Chain」という歌詞が出てきたと思います。
本作の後半は、なかなか心温まるヒューマンドラマでしたね。私にとっても良い意味で期待を裏切られた作品だったと思います。前作『ハッスル&フロウ』も音楽がベースの映画なのですね。機会があれば見てみたいです。
こんばんは★コメントありがとうございました。
椀さまも「Ball and Chain」お好きですか!
私は、やっぱジャニスのベスト盤に収録されている、曲内のスピーチが好きでした〜。これ、歌詞に訳が載ってないんですよね。おかげで、一生懸命、リスニングしましたよ。
彼女の生き様を端的に表現したような、そんなスピーチなんですよ。
うん、「朝日の当たる家」にも出てきました。
いいポイントを突きますね!実はこの「Ball and Chain」という象徴的な言葉が使われるのは、ジャニスの歌よりこちらの方なんですよ。
うーんさすが椀さまだわ。感心してしまいました。
ぶっちゃけ私は、ジャニスファンだったので一番に出てくるのがジャニスでしたが、イギリス人だったら、アニマルズの歌の方を出すと思います。
『ハッスル&フロウ』はちょっと椀さまのテイストには違うかも?ブラックコミュニティーなので・・・。
ブラック・スネーク・モーン
【BLACK SNAKE MOAN】 PG-122007/09/01年公開製作国:アメリカ
監督:クレイグ・ブリュワー出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティナ・リッチ、ジャスティン・ティンバーレイク、S・エパサ・マーカーソン、ジョン・コスラン・Jr.
タイトルはずっと“ブラック….
ブラック・スネーク・モーン リッチが危ない?心に沁みる「黒ヘビのうめき」声
タイトル:ブラック・スネーク・モーン
原題:Black Snake Moan 2006 アメリカ
ジャンル:ヒューマンドラマ
DVD:3,092円(Amazon)
満足度:75%
おすすめ度:70%
◆序
この土日は、久々福知山の自宅でゆっくり。雪もちらちらのなか昨年見逃して
残念だった作品ナンバー…
ブラック・スネーク・モーン
あなたのハートを監禁する
ブラック・スネーク・モーン
セックス依存症の女クリスティーナ・リッチ孤独な日々を送る元ブルース・ミュージシャンサミュエル・L・ジャクソン幕張コミックショーブラックスネーク カモーン4月に地デジにしたんですけど、無料体験っていうのがあって、いろんなチャンネルが見れるんですね。わたしの場