#99.リサイクル/死界
またまた13日の金曜日、私的にホラー祭りを行うべき日にちがやってきました、第二弾
と、いうわけで、今回は、サム・ライミの製作で、ハリウッド・デビューをした、『ゴースト・ハウス』がもうすぐ公開(7月21日〜)の、パン兄弟の同時期公開作品であります♪
この映画のチラシにも、“サム・ライミが認めた”と枕ことばがついているにも関わらず、そして、“カンヌ映画祭等で賞を取り・・・”と書いてあるのも不思議なくらい、ひっそりとした公開で、なんだか可哀想なんですね。
さらに、この作品、主演がアンジェリカ・リーで、『the EYE【アイ】』の女優さんである彼女と、パン兄弟の再タッグ作品なんですよね。
『the EYE【アイ】』が大好きで、「これぞまさに天才!」と思った私には、この作品は楽しみでした。
※ストーリー・・・
霊体験をモチーフにした新作小説「鬼域」の執筆に取りかかった女流作家ディンイン(アンジェリカ・リー)の周囲で不審な出来事が続発。やがて彼女は奇怪な光景が広がる“死界”に迷い込み、抜け出せなくなってしまう。・・・
まず、圧倒的な映像技術が、怖い上にスタイリッシュで、さすがのパン兄弟。
見ていて本当に嬉しい限り。
ホラーの怖さ、というゾクゾクする感じに加えて、一枚、一枚の画にこだわりまくった作りに、感心してしまう。
そして、ここでは、私の考えている、ホラーというジャンルに対する思い、というものに、まさに合致する感じが本当に嬉しくなってしまう。
それは何かというと、私がスティーブン・キングを読んでいつも考えているような、“ホラーというジャンルの持つ、発想の自由さを体現する”ってことだったりする。
例えば、この映画で言うと、“死界”、というものを映像化しているのだけれど、
様々に場面が変換して、“この世にないどこか、恐ろしくなるような場所”というものを、ありとあらゆる場面で見せてくる。
“私たちが忘れていた、棄てたものたちがより集う場所”なのだけれど。
どこか懐かしいような、悪夢の残骸のような場所であったり、奇妙で奇天烈であるけれども、心底ゾッとするような・・・
そんな場所を、次から次へと描き出してくる。
こうしたテーマであるだけに、ただ単に怖いかどうか、というより、“恐怖”を喚起させる、彼らの持つ無限の想像力、これを映像化して見せられているようで、特に私はこの辺りが好みだ。
途中から、ホラーファンタジーとも言えるような、不気味な世界へと誘われてしまうところも圧巻だ。
まるで、エンデの『果てしない物語』の、ファンタアジェンの終わり、・・・一番不気味で恐ろしい辺りを思い出させられた。
ホラーという入り口から入って、そこから決してズレてはいないのに、あっと言う間に夢幻の、いや、無間地獄に落ちてゆくかのような、この映像美は凄い。
ラスト、不覚にも泣かされてしまいました。
オドロキ。
それから、音楽の使い方が、すごくいいですよ。
いかにも個性的で、印象深い。全体を包むなんとも言えないムードを、音楽が引っ張っていってます。
まあ、でもこれは、公開規模も狭いし、それほど知られない作品なのだろうなあ・・・。
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コメント(9件)
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捨てられ、忘れられたものたち
169「リサイクル ??死界ー」(タイ・香港)
人気作家ディンインが次に執筆を進めていたのが霊体験をテーマにした「鬼域」であった。しかし筆は思うように進まず、創作メモを書いてはゴミ箱に捨てていた。
「主人公は長い髪で・・」「バスルームに人影が・・」
…
毎度、こんばんは〜
観られたんですね。本当にひっそりと公開していて、観られる人も少ないんですねぇ。
ちょっとイメージとは違いましたが、
序盤の恐怖シーンと、中盤からの映像。
もしかするとパン兄弟の色全てを見せているのかもしれません。
私もパン兄弟作品の音楽の使い方は好きです。
大概のホラーとは全く逆の感じの音楽で、
それがまた煽られます。
「ゴースト・ハウス」も楽しみですよ。
リサイクル/死界
@シネマート六本木 〔公式サイト〕
【前売券】で【1300円】 ついでに、ポイントカードに入会して【300円】
感想:★★★★
異論は承知で言い切ってしまおう。
「the EYE」で一躍名を上げたパン兄弟は天才だ。
天才が故に「the EYE 2」「同 3」みたいなトンデモな…
こんばんは、TB&コメント戴き感謝です。
昔はホラー作品を「ファンタジー」とする事がよく理解出来なかったものです。
でもこういう良質なホラーを観ると、それがファンタジーの重要な一角を占めていると判りますね。
簡単に「ホラー」と言っても、「ドラキュラ」なんて完全無欠のラブストーリーだし、
逆にヒューマン・ドラマとして語られがちな「グリーンマイル」なんて本質は物凄いホラーですよね。
私としては愛がどうだ、とか言うのならS・キングやR・マキャモンも読んでくれ、と(笑)
例えば、映画「ドリーム・キャッチャー」の中で、
空を見上げた眼鏡のレンズに落ちてくるひとひらの雪の映像に
愛情を感じられないのなら、ホラーのその奥にあるものに辿りつくのは難しいかもしれない(笑)
CINECHANさんへ
おはようございます★コメントありがとうございます。
本当、この作品は、ハリウッドでデビューする前に、パン兄弟が「自分たちは、本当はこれだけ出来るんだ」って言っているような気がしました。
次の作品『ゴースト・ハウス』は、予告で見る限り、オーソドックスな作品なんじゃないでしょうかね?
その前に、少々やりすぎなくらい、自分たちのやりたいことを、やっておいた、って感じなのでしょうね。
音楽の使い方は、少々変わってるんですよね。
サム・ライミのように、ハリウッドでもやりたいことを貫いて欲しいですね。
yes90125さんへ
こんばんは★こちらでは初めまして。
コメント、TBレスありがとうございました!
なんか・・・すごく“分かってる”方の言葉という感じで、一言一言、すごく自分の中に気持ちよく入ってしまいました!
ああ〜、アナタと私は、同じことを言っているんですよね!!
久しぶりに、コメント読んで、のけぞりそうなほど嬉しくなってしまいました!
私も、昔はホラーとファンタジーの領界点というのが、よく分からなかったんです。
おかげで、「タリスマン」の良さが、全然分からずでした!
そうそう、『ドリームキャッチャー』でのひとひらの雪・・・
うう〜mmm。何てカッコいい一言なんでしょう!
そうなんですよね、ホラーのその奥にあるもの。
しかし、『ドリームキャッチャー』ってのがまた、自分のポイントだったりして・・私も大好きだったんです〜!
あ、私の場合は小説がすごく好きで、映画は爆笑しながら見ました!
何だか恐縮です(^^ゞ テヘ
最近のオススメでは「ファウンテン」なんてレザボアさんに
合うのではないかなぁ、と勝手に思ってみました。
お時間やらお財布やら気持ちに余裕があれば是非。
yes90125さんへ
再訪問ありがとうございます!
>『ファウンテン』
ダーレン・アロノフスキーですかぁ〜^^;
ちなみに私、『レクイエム・フォー・ドリーム』のレビュー、書きましたが・・
これまた、一筋縄ではいかないオヤジなんでしょうね〜。
もう、見られたのでしょうか??
自分は、『魔笛』『ルネッサンス』『レッスン!』を先に見ようかな、『ファウンテン』はその後余裕があれば・・・なんてタカをくくってたのですが、やっぱこれは、行っとくべきですかね〜?
行ってしまおうかなあ
リサイクル -死界-
途中で急に冷房を強くするのはやめてくれ>映画館
<公式サイト>
これもタイ映画。正確にはタイと香港の合作です。
えー内容ですが、一言で言えばサイレントヒル(ゲーム版)でした。
松たか子と松嶋菜々子を足して2割痩せさせたような小説家が本作の主人公。
このヒト…