#74.アクメッド王子の冒険 〜ロッテ・ライニガーの世界
このロッテ・ライニガーの影絵は、あまりにも気に入ってしまって、私のPCの壁紙にもなっていたりするんだ。
なんだか、見ているだけで、素敵なイマジネーションが拡がってゆくかのようでしょ。
影絵って、なんだか、温かくて、手作りで、・・・とっても素敵だな。
この絵は、見た途端に、惚れこみました。以来ずっと、これを壁紙にしていて、浮気はしてません。
影絵。・・・
まるで、ロールシャッハ・テストのインクのしみのように、そこに映し出す世界は、自分の心の中に投影される、影のようなものなのかな。
顔が見えないこの、2Dと3Dの“あいのこ”のようなこの世界は、手作業で作られた、くるくる動く影が、とても目に優しい。
そこに描かれる想像性豊かな絵も、素晴らしい。
(以下、goo映画の解説より)
あまりの美しさに映画評論家の故・淀川長治氏も絶賛し語り続けた、ドイツの影絵アニメーション作家ロッテ・ライニガー(1899〜1981)。彼女の処女作にして最高傑作「アクメッド王子の冒険」(26)は、世界初の長編アニメーションというだけでなく、その芸術的かつ娯楽的な質の高さで、数十年に渡って世界中の多くのアーティストに影響を与え、今もまったくその輝きが失われることのない映画史に極めて重要な作品である。
しかし伴奏を必要とするサイレント作品であることから世界的に上映される機会が非常に少なかった。今回ドイツおよびイギリスの権利保有者と交渉の末、この作品の世界初となるステレオ・サウンド版ニュープリントを制作し、一般の映画館で上映することを可能とすることに成功した。
以上
この『アクメッド王子の冒険』は、1923年〜26年に製作されたものだ、とのこと。
DVDには、影絵の製作方法の解説がついていて、実際のロッテ・ライニガーが登場する。その製作現場で、実際に彼女がその場で、影絵の製作過程を説明する映像も同時収録されていて、オススメ
こんなに面倒な方法でもって、手作りで、映画を作っているのか、なんて、ビックリする。
そして、この影絵の手法は、1919年、ライニガーが創り出して以来、ずっと50年間変わっていない、とのこと。
黒い型紙におもむろに絵を描いて、それを、顔、胴体、手の関節、足の関節、という風に切っていき、それを留め金具で、穴を開けて繋ぎ合わせる。
そして、それを少しづつ動かしてゆく、クラフトワークのコマ送りのような世界。
ただ切り貼りしただけの、この世界の中で、こんな風にイマジネーションが広がってゆくなんて、すごいなあ・・・。
中国や、トルコといった東洋での影絵という手法を、このドイツの影絵作家が、影絵アニメーションという、映画の技法に育て上げたそうです。
彼女の夫、カール・コッホと共に『大いなる幻影』や、『かえるの王子さま』を作った時は、この影絵の技術も、黒一色から、カラーになるのだけれど。
私は、あくまでも黒の影絵の方がずっと好きだな。
その他、ロッテ・ライニガー作品は、この『アクメッド王子』の他は、「カルメン」「パパゲーノ」「ガラテア」「眠れる森の美女」「長靴をはいた猫」等。
最高傑作、と言われているこの作品、『アクメッド王子の冒険』は、まるで神話のような世界観に、一人の勇者の冒険譚でもあり。
そのくせ、“アラジンと魔法のランプ”がそのまま出てきたりして、オドロキ。
少し変わった物語で、一番の盛り上げどころでは、アクメッド王子じゃなくて、別の人が活躍していたり・・・。
でも、何よりも、この影絵の世界をボーっと見ているのが好きだった。
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(13件)
前の記事: #73.約束の旅路
次の記事: #75.主人公は僕だった
アクメッド王子の冒険
住まいの近くの施設で、無料上映会をやってました。
これって去年、東京都写真美術館で上映されたプログラムの一部なんだよね。もうけた。
ロッテ・ライニ
わあ〜……
影絵というと、私は藤城清治の作品が好きで、「お母さんに読んできかせる話」なんて絵本が幼少時の思い出だったりするんですが(笑)。展覧会なんかあると観に行ったものですが……。
これDVDで出てるんですね。レンタルもできるなら、探して観てみます!
yoccoさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます!
おお、yoccoさんも影絵、お好きですか!
実は私も、影絵の展覧会、行ったことあります。
というか、ガラスの博物館で一緒に特集されていたのだったかもしれませんが、その時に藤城清二の企画展を見たんです!
とても素敵でした・・・
なんだか影絵って、とてもいいですよね。
このロッテ・ライニガーのものは古いのですが、なかなか素敵です!
yoccoさんが目をつけられたなんて、とても嬉しいな♪
こんばんは
お!これDVDになってたんですね
恵比寿、といってもガーデンシネマじゃなくてお隣の写真美術館でやってたヤツだ
影絵、良いですよね♪
影絵といえば…
このライニガー女史やバリ島のワヤン・クリなども素敵ですが、やぱし巨匠藤城清治の名前が挙がりますね〜
わたくしも好きでした
「暮しの手帖」愛読者だった故(笑)
とらねこさまは昇仙峡影絵の森美術館はご存知かしら?
藤城作品常設展示のギネスにも掲載されてるという世界一(ほんとかよ〜笑)の影絵美術館
良いとこですよ〜、癒しの空気に満ち溢れてて
ちょっと寄り道、で行けないアクセスの悪さが玉にキズですが…(笑)
みさま
こんばんは〜♪コメントありがとうございます!
みさまも、さすがよくチェックしていらっしゃいますねえ!
ああ!暮らしの手帳。それも藤城清治だったのですね。あの黒い顔に目は、印象的。なるほど、それは知らなかったです。
意外に日本人は、いつの間にか慣れ親しんでいるのですね。
そして、ああ〜!影絵美術館!懐かしい!
これ、ツアコン一年目に経験する、昇仙峡のオプションで、毎回配らされる割引券の一つじゃないですか〜!うう、苦い思い出が・・・
ああ、そうか、これも行った記憶があります。
うん、でも、ここはとってもいいですよね。
昇仙峡にまた行きたくなってしまいました〜♪
魅惑の影絵アニメーション 『小さな煙突屋さん』 ロッテ・ライニガー
サイレント映画で、しかも影絵アニメーション。そういった作品を家庭で観ることは少ないので、最初はとっつきにくいかもしれませんが、よく見ると実によくできていて味わいがあります。とりあえずは、まず1回観てみてください。
アクメッド王子の冒険
アクメッド王子の冒険監督 ロッテ・ライニガー年代 1927年 ドイツ 65minstoryアクメッド王子は悪い魔法使いに騙され、空飛ぶウマに乗せられて遠い異国に飛ばされてしまいます。point世界最古の長編アニメーションらしいです。登場人物の紹介から始まり、影絵の美しい…
とらねこさん、ご無沙汰してすみません^^;
影絵ってどこか懐かしくって素敵ですよね。
恵比寿に前観にいきましたが、
上映館が少ないのもあってか、満席でした。
結構性描写露骨で「え!?」って驚いた記憶もあります。。。
TBもらいますね!
『アクメッド王子の冒険』
これは、映画に分類するのだろうか、、、それとも芸術・美術かしら、、、マメ情報 ジャンル;アニメ 制作年度/国;1926年/独 配給;エデン 上映時間;65分 監督;ロッテ・ライニガー観賞劇場:11/13(日)東京…
ヘーゼルナッツさんへ
こんばんは〜♪いや、本当、久しぶりですよね☆
コメントTBありがとうございます。
これ、ヘーゼルナッツさんも、ご覧になってらしたんですね。
そうですね、確かに、懐かしい感じがしますね。
正直言うと、このコメント欄で他の方も言っている、藤城清治の影絵の方が、よりカラフルで、見映えがするかもしれないです〜
こんにちは。DVDで観てみました。
静止画でも、たいへん美しい。
作家さんが、動きを予測しながら、一生懸命、自分で動かしているので、心の中で思ってるセリフとか語りが、こっちに伝わってくるイメージがあり、作ってます!という作品でたいへん良かったです。
もうすこし簡単な動きかと思ってたんですが、
ここまで、動くのには、かなり、びっくりしました。
DVDの製作風景も、なるほど〜でしたね。
ロッテ・ライニガー「アクメッド王子の冒険」
1926年に上映された世界初の長編アニメ。
全てのアニメーションの原点とも言われている。
ドイツの影絵作家、ロッテ・ライニガーさんが、3年の..
kinoさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
いかにも手作り感満載のこのアニメーション。
本当に美しくて、目を奪われましたよね。
影絵って、本当に不思議な魅力でいっぱいですよね。
製作過程を映した特典映像も、すごく興味深いんですよね。