#72.サンシャイン2057
ダニー・ボイル監督×アレックス・ガーランド脚本のコラボ作品は、これまでも、『ザ・ビーチ』、『28日後・・・』と、なかなか目が離せない、変テコな作品が名を連ねていて。
「こりゃ一応、見ておかないと」と思わせる何かがあるのですね。
正直言って、好き嫌いで言わせてもらうと、それほど好きでないのが、ダニー・ボイル監督。私は実は、『トレスポ』を当時映画館で見て、その後すぐに『シャロウ・グレイブ』を見て、以来、今まで全作見ている割に、そんなに好きでないのですよね・・・。
でも、結構好きなのが、アレックス・ガーランド、ってことになりそう・・・。
ただ、『28日後・・・』って、私にとっては、SFというより、ホラー。
当時、ほぼ同時期に見た『ドーン・オブ・ザ・デッド』と、内容が似ていませんでした?
正直言って、私、今となっては、この二つの映画が一緒になってしまった。
なので、この作品を見て久しぶりに、
「そういえば、『28日後・・・』は、ホラーじゃなかったんだっけ」
なんて、思い出しました。
私の頭も、だいぶ太陽熱に冒されているのかも・・・(とほほ)
「SFですから」って言いたげな、いかにもSFじみた、SF。
こんな作品を、時々、とても見たくなってしまう時があります。
宇宙船に乗っていてさ、閉鎖的な空間に漂っていて、設定はもちろん未来で。
それほどコアなSF好き、ってほどではないにしろ、なぜだか、好きなんですね。
映画はそれほど知らない私なんだけど、やっぱP.K.ディックが好きで、たくさんこの本たちからイマジネーションが得られたからかな、SFというと、心踊るものがある♪
ストーリー・・・
2057年。太陽の消滅が目前に迫り、地球は滅亡の危機に瀕していた。
最後の希望は宇宙船・イカロス2号に搭乗した8人のクルーたち。
彼らは太陽に核兵器を打ち込むことでその再生を行うという、極限の任務を任されていた。
順調に航行を続けるイカロス2号だったが、そこに突然遭難信号が送られてくる。
送信元はかつて同じミッションに失敗したイカロス1号。8人は協議の末、イカロス1号とのランデブーを試みようとするが…。
1.地球が滅亡の危機に瀕していて、
2.それを救うために宇宙船の中にいて、
3.こうしてクルーと面つき合わせた近未来の設定。
なんていうところが、少女漫画の『ぼくの地球を守って』にソックリで、それだけで、何となく心が浮き立つ私。
この映画でも、宇宙船内部の環境のために、緑を栽培していたりもするので、それがまた、『ぼくたま』と一緒でウレシイ!
『惑星ソラリス』のテイストにもどこか似通っているこの作品だけど、
静寂な中に、緊縛したサスペンス的な空気が流れていて、これからどうなるのだろう?と、なかなか目が離せない展開。
私は、好きでしたよ。
地球より直径が、109倍も大きい太陽。銀河系にこの太陽が存在するおかげで、地球も他の惑星も、その届く光と熱によって、エネルギーになっているのだから、・・・
太陽をあがめる宗教があったって、可笑しくないし。
遠ければ影響もないところを、太陽圏に入っただけで、人類に何らかの影響を与えても、おかしくないように、私は思ったりするんですね♪
そして、太陽の光を近くで浴びるという、普通では考えられない状況を、創り出すことによって、マインドを直に狂わせてしまう。
そうであっても、不思議ではないように私は思います。
絶体絶命の宇宙船の中で、地球の未来のために、人間たちが下す色々な判断。・・・
こういった状況は、見ていて、無条件で楽しかったし、そのために宇宙船内部で、感情のやり取りがバランスを崩すのも、当然の成り行きとして、楽しめる。
そうした、人間の感情が描かれているところや、サスペンスフルなドラマ性なんかは、なかなか面白かったのだけれど・・・
あまりに宇宙船の内部で、失敗が繰り返されていくところは、正直見ていてツライ。いくらなんでも、失敗が多いように思えてしまったかな。
ミッションより、軌道修正し始めたと思ったら、それもことごとく失敗してばかりで、どんどん話がずれていく気持ち悪さがありましたね。
ただ、途中からの展開は『スフィア』を思い出して、これとよく似ているように思えてしまった。
『惑星ソラリス』ではなくて、『スフィア』だった、という感じかな。
そしてラストの展開は、なんだか、懐かしい感じがしちゃった。
何かの映画とソックリなんだけど、なんだったっけ。
(忘れてしまってごめんなさ〜い・・・焦っ。)
キリアン・マーフィ(キャパ、物理学者)が若くて、そこら辺にいそうな兄ちゃんだったのが、逆に、私には好ましくて、本当らしく思えました。
だって、物理学者と言えど、きっと、若い人もいたと思うし。(まあ本音を言えば、この設定がより『ぼくたま』を思い出すから、ってのもあるけど)
それから、クリス・エヴァンス(メイス役)、なかなか存在感を放っていて、良いですね!
かわいらしい感じのキリアンとは対照的で、男らしい役どころ。
この先ネタバレ:::::::::::::::::::::
太陽エネルギーを身体に受けてしまったことで、真っ先にイカれてしまうのが精神科医のサール(クリフ・カーティス)。
いつもSFでは精神科医が一番イカレている、という気がするんだけど、どうなんでしょう?

2007/05/18 | 映画, :SF・ファンタジー
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(53件)
前の記事: ギドクコンプ完了!
次の記事: プリズン・ブレイク vol.1(第2話)
サンシャイン2057
2007年:アメリカ
監督:ダニー・ボイル
出演:キリアン・マーフィ、クリフ・カーティス、真田広之、ローズ・バーン、マーク・ストロング、クリス・エヴァンス、ミシェル・ヨー、トロイ・ギャリティ、ベネディクト・ウォン
50年後の未来、太陽の活動が終焉を迎えよう….
サンシャイン2057
【SUNSHINE】2007年/アメリカ
監督:ダニー・ボイル
出演:キリアン・マーフィ、真田広之、 ミシェル・ヨー、クリス・エヴァンス、ローズ・…
『サンシャイン2057』 Sunshine
『サイレント・ワールド』と同じくらい、B級映画らしいB級映画でした。
映像もものすごく綺麗だし、宇宙船の中も幻想的且つ、
リアルなんだけども、B級映画でした(笑)。
アメリカ人だけが地球を救うのではなく、
多国籍軍?になったところがまぁ、進歩したかなあの…