#71.バベル
モロッコを旅するアメリカ人夫婦、リチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)の乗ったバスに突然、一発の銃弾が放たれた。
テロを政府が警戒し、国際問題にまで発展するが、実はその銃はとある現地の案内人に、旅行で狩猟に来た、とある日本人が与えたものだと判明した。・・・
ロス、メキシコ、モロッコ、東京の4つの都市のそれぞれの物語が、一発の銃弾で繋がり合う。コミュニケーション不全の物語。
それぞれ個々の物語は、必然的な繋がり方を展開していくのではなくて、偶然の繋がり、といったテイストだ。
それぞれのパートは、4つの異なる、同じテーマの完全に別個の物語としても見ることが出来るが、その物語は目に見えぬ細い糸で繋がっているといった感じだ。
『アモーレス・ペロス』においても、そうした繋がりの、不思議な偶然性を持たせた作品だったけど。この、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの名を知らしめたデビュー作である、『アモーレス・ペロス』を見た人は、『クラッシュ』を見た時に、この作品からのオマージュを思い出したことだろうと思う。
こうした、繋がりが見えないところでの偶然性を、運命的な“事故”といったもので必然性と同時に、まさに“ぶつかり合わせていた”作品だった。
時系列をバラバラに並べるのが大好きなこの監督だけど、今回は分かりやすくて、物語についていけなくなることは決してないし、映像はとても見事だったと思う。それぞれのパートがきちんと、似通ったりすることなく描き切っているしね。
ただ、大きな感動は決してない感じだった。
ちょうど『21g』と同じような感じかな?
この一つの事件が起こったそのきっかけ、もしくは“要因追及”を考える、という見方でこの映画を見ることが出来る。
すると、決して、どこにもその明確な原因が見つからなかったりする。
皆、それぞれ事情があって、「私たちは皆、悪い訳ではない。ただ、愚かなだけ。」そういうことかな。
映像は良いし、普通に画面に釘づけになって見れた。
だけど、テーマは特に目新しくもなくて、別に面白くもない。
一言で言えばこんな感じですかね。
・バベル@映画生活
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コメント(72件)
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バベル
モロッコの山岳地帯を男が進んで行く。これだけで危なげな雰囲気がスクリーンに満ち満ちてくる。
このような映画のワイルドサイドに、とうとうイニャリトゥも突入してきた。
しかも、信じられぬ傑作として完成させてしまった。
『バベル』
名古屋駅前に高層ビルが次々と建設されています。先日オープンしたばかりの天下のトヨタ様のミッドランドスクエアがその筆頭と言えるでしょう。そのせいで随分と名古屋駅前の景観が変化したものです。
そんな高層ビル建設ラッシュの名古屋駅周辺でなかなか独創的な形を….
こんばんは!
とらねこさんはこの映画好きなのかと思っていたらそうでもなかったのですね。確かに目新しさがないと言われればそうかなという気もしますね。
僕はこのイリャニトゥ監督の映画って初めて観ましたが、時間軸をずらすのが好きな監督なんですね。
この映画ではそれほどゴチャゴチャなることもなく楽しめましたが、ちょっと気になったのはブラッド・ピット夫妻はあの銃撃事件後、ベビーシッターが結婚式に出かけたせいで今度は子供の失踪事件に巻き込まれてしまうって事になりますよね?あの電話でのやり取りを見ていると時間の流れはそうなのかなって思いましたけど・・・。
なんかアメリカ人夫婦に対して自棄に冷たい仕打ちをしているなとフト思いました。
蔵六さんへ
こんばんは★コメントありがとうございました。
>とらねこさんはこの映画好きなのかと思っていたらそうでもなかったのですね
うん、そうですね。映像はいいと思うんですが。
>ブラッド・ピット夫妻はあの銃撃事件後、ベビーシッターが結婚式に出かけたせいで今度は子供の失踪事件に巻き込まれてしまうって事になりますよね?あの電話でのやり取りを見ていると時間の流れはそうなのかなって思いましたけど・・・。
そうですね、だから、ベビーシッターのメキシコの話も、ブラットピット夫妻の話も、時間軸で言えば同時進行ですよね。そして銃の事件後の日本の話、モロッコの話だから、これも同じ時間帯なんですね。つまり、最初のシーンを繋げただけですね。
話題作 バベル 観てきました。
公開前はいろいろな意味で評判だったけれど、いざふたを開けると反応は微妙な映画、バベルを見てきました。
[ バベル ]愚かさの向こうに・・・
[ バベル ]を吉祥寺で鑑賞。
菊池凛子がアカデミー賞助演女優賞ノミネートで俄然注目を浴び、今なおロングランで劇場上映されている[ バベル ]。
監督は、これがまだ長編3作目のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。1作目[ アモーレス・ペロス ]から2000年のカンヌ…
mini review 07075「バベル」★★★★★★★☆☆☆
解説: モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本を舞台に、ブラッド・ピット、役所広司らが演じるキャラクターが、それぞれの国で、異なる事件から一つの真実に導かれていく衝撃のヒューマンドラマ。『アモーレス・ペロス』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、言…
バベル
『私たちは、いまだ、つながることができずにいる―。 届け、心。』
コチラの「バベル」は、旧約聖書の”バベルの塔”をモチーフに、モロッコで放たれた一発の銃弾が世界中に影響を及ぼす様を描いている4/28公開になったPG-12指定のヒューマン・ドラマなのですが、早速…
(〃⌒ー⌒)/どもっ♪
帰ってきましたぁ〜。
なんかトラバが上手くいってないとのコトで、
ご報告いただきありがとうございました。
またチャレンジしてみます〜(^-^;
バベル
『私たちは、いまだ、つながることができずにいる―。 届け、心。』
コチラの「バベル」は、旧約聖書の”バベルの塔”をモチーフに、モロッコで放たれた一発の銃弾が世界中に影響を及ぼす様を描いている4/28公開になったPG-12指定のヒューマン・ドラマなのですが、早速…
miyuさんへ
こんばんは〜★コメントありがとうございます!
お帰りなさい!実家はごゆっくり過ごされましたでしょうか?
TBですが、初めに見ていた時には反映されてなかったと思いますが、後で反映されてましたでしょう?
なんか良く分からないのですよ、「TB後反映」にしてからか・・?
わざわざ検索かけて探しに行って、TBしないといけないこともしばしばなんです・・・。
迷惑かけて、ごめんなさいね!!
『バベル』’06・米
あらすじモロッコを旅行中のアメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)が、突然何者かによって銃撃を受け妻が負傷するという事件が起こる。同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊地凛子)は、満たされな…
独断的映画感想文:バベル
日記:2008年2月某日 映画「バベル」を見る. 2006年.監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ. 出演: ブラッド・ピット(リチャード),ケイト・ブランシェット(スーザン),ガエル・ガルシ
とらねこさん今晩は.
TBありがとうございました.
この映画は極めて寓話的な映画ではないでしょうか?
登場人物は愚かだし傲慢なところも確かにあると思います.
でもそのために悲しい思いをしている.その悲しさには共感せざるを得ません.
演じている俳優の力にもよるのでしょうが.
ほんやら堂さんへ
こんばんは、コメントありがとうございました。
そうですね、寓意的でしたね。
>その悲しさには共感せざるを得ません
そうですか!この文、なかなか素敵な一文ですよね。
私は実はこの作品には感激も感動もしなかったのですが、おっしゃる通り共感という言葉には頷けます。
『バベル』を観たぞ〜!
『バベル』を観ました『アモーレス・ペロス』、『21グラム』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、旧約聖書の“バベルの塔”をモチーフに、モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本、それぞれの場所で孤独な魂どうしが織りなす愛と哀しみ、再生への希望の物語が…
バベル
本作品のキーワード : 『現代社会におけるバベルの塔とは』
【公 開】 2007年
【時 間】 143分
【製 作 国】 アメヮ..
こんばんは、ホーギーです。ご無沙汰しています。
この映画は見終わった後に、「結構、奥が深いなあ」とあらためて感じる映画でした。
まず、何と言っても、この映画の内容を見事に表している「バベル」というタイトルが素晴らしいと思いました。
異国で言葉が通じ合えないせつなさ、聴覚障害者の人との通じ合えないせつなさなどを一丁の銃によるある事件をきっかけに、それらが通じ合えることになるというストーリーの素晴らしさに感心させられました。
それから、ブラピとケイトの渋い演技が光っていました。
ただ、何度も観たい映画か?と言われるとちょっと・・・・という映画ですね。
ということで、これからもどうぞよろしくお願いします。それとTBもお願いします。
ホーギーさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
ホーギーさんは、この作品をとっても気に入られたのですね!
そうですね、一丁の銃で関係性が見出せる物語でしたね。
それは細く切れやすいものかもしれませんでしたが・・。
ケイト・ブランシェット良かったですよね!さすが、彼女はいつもいいんですよね!好きな女優です。
ブラピも頑張ってましたね!
こんばんは、ホーギーです。
御丁寧なレスコメントありがとうございました。
それから、キャメロンの記事にもコメントを頂き、かつ、貴重なご指摘まで頂戴し、本当にありがとうございました。さっそく、訂正させて頂きました。
ところで、事後承諾で誠に恐縮ですが、映画情報満載のとらねこさんのブログを私のブログのお気に入りにリンクさせて頂きましたが、よろしかったでしょうか。もし、差し支えがあるようでしたら、ご連絡を頂ければと思います。ちなみに、サムネイル表示になりますので、よろしかったら一度ご覧にお越し下さい。
ホーギーさんへ
リンクのお申し出、わざわざありがとうございます!
こちらこそ、よろしくお願いします。
それから、丁寧に戻って来ていただいて、恐れ入ります。
いつも丁寧なコメント、感謝いたします。
記事もとっても丁寧ですね。
私の方は、「マトモであるより破天荒でありたい」
をモットーにした、ムラのあるブログで、私自身変わり者だったりして、
ハリウッドメジャー映画が最近それほど好きでなかったりするのですが・・・
こんな私でよければ、どうぞよろしくお願いします。
バベル
BABEL
2006年:アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラッザ 、エル・ファニング
夫婦の絆を取り戻そうと、モロッコを旅するリ…