#53.『13/ザメッティ』
スタイリッシュな白黒映像を見て、これは見なければと、心が躍った。・・・
ストーリー・・・
セバスチャン(ギオルグ・バブルアニ)は屋根の修理で得るわずかな収入で家族を養っていた。ある日、仕事先の家主、フランソワ(フィリップ・パッソン)の下に友人が金の無心に来た。無一文のジャンキーの彼なのに、「大金を手に入れる方法がある」と漏らしていた。
薬物の過剰摂取によってフランソワが死んでしまい、セバスチャンはこの封筒を開けると、・・・。
2005年、ベネチア映画祭新人監督賞受賞、翌2006年サンダンス映画祭、ワールドシネマコンペティション(ドラマ部門)審査員大賞を受賞、など、なかなかの話題作で、
そしてまた、先物買いの好きなブラピがハリウッドリメイク権を切望し、レオナルド・ディカプリオやトビー・マグワイアが主役候補に名を連ねている、とか・・・。
それでもって、さらに、この、若干31歳(’07年現在)のゲラ・バブルアニ監督自ら、ハリウッドで同作品を、セルフリメイク!だとか。
そんなことはこちらはつゆ知らず、ただ単純に、予告を見て、これは見たいな、と・・・。
生死をかけた人間ロシアン・ルーレット、輪になってその不吉な円陣を組む。
「あの電球が点いたら、開始の合図だ!」
なんていうのを見てしまったら、そりゃ、否が応でも期待度が高まってしまう、というもの。
そんな訳で、ちょっぴり、期待しすぎちゃったかな・・・?
確かに、“人間ロシアン・ルーレット”のアイディアはすごく面白かったので、一度、これを嫌というほどフィーチャーした映画があってもいいなあなんて思うし、このスタイリッシュなフィルム・ノワールの雰囲気も、バッチシ!
このゲラ・バブルアニ監督の実際の兄弟である、主演のギオルグ・バブルアニも、まるで『肉体の悪魔』のジェラール・フィリップのよう!
とても印象に残る、白黒映像の似合う、憂いの美形だったし。
ちなみに、彼の兄役で映画に、監督自身も登場。結構、顔も似ているネ。
電球がビビ〜っと、不吉な音をさせて、緊張で目いっぱいのテンションで、男達の汗臭い匂いでいっぱいのような、すえた感じの部屋。
この瞬間なんかの映像は、一番気合が入っているだけあって、雰囲気が伝わってくる。
とってもイヤーな、緊張感が、ビリビリと全体から醸し出されていたよ。
電球の点灯は、ガチン!と大きな音のする、大仰なスイッチ。
まるで電気椅子の死刑執行の際の、第一スイッチ、第二スイッチのような(たとえば、『グリーンマイル』なんか、思い出してみて☆)、壁についているタイプのもの。ひぃぃ。
ただ、ちょっとネタバレになるんだけど・・・
6番役のオーレアン・ルコワン、この人が、生死の境に立っているというのに、全然平気そうな顔しているの。
コワモテなのは分かるし、事情アリだし経験者であって、慣れっこでもあり、そういったことから、他の円陣を組むその他大勢の参加者とは、少し違っているのかもしれなかったのだけれど、
それにしても、もう少し、だんだん狂ってゆく有様だとか、見ているだけで恐怖感を煽る、恐ろしいまでの心理描写が欲しかったなあ〜。
ちょっとアイディア負けかな?というか・・・
このアイディアを映像化するのでいっぱいいっぱいの、風変わりで邪悪なインディペンデント作品。
その域を超えてはいない感じがしちゃった。
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・13/ザメッティ@映画生活
2007/04/08 | 映画, :サスペンス・ミステリ
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13/ザメッティ
原題:13/TZAMETI
製作年度:2005年
製作国:フランス/グルジア
上映時間:93分
配給:エイベックス・エンタテイメント/ロングライド
監督:ゲ…
13/ザメッティ
原題 13 TZAMETI
製作年度 2005年
製作国 フランス/グルジア
上映時間 93分
製作 ゲラ・バブルアニ
監督 ゲラ・バブルアニ
脚本 ゲラ・バブルアニ
音楽 イースト
出演 ギオルギ・バブルアニ,パスカル・ボンガール,オーレリアン・ルコワン
集団ロシアン・ル…
映画『13/ザメッティ』
原題:13 Tzameti
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