#37.キング・オブ・ポルノ
昨日UPした『BOBBY ボビー』があまりに気に入ってしまって、もいっちょ、エミリオ・エステベスの監督作品をば。
ジム&アートのミッチェル兄弟という、ポルノ映画で一時代を築いた、実在の人物の物語。
実際の兄弟である、エミリオ・エステベスと、チャーリー・シーンが兄弟役を演じているのが面白い。
’60年代後半〜’70年代のヒッピー文化から、元はアート映画を目指して映画を撮り始めた兄のジム・ミッチェル(エミリオ・エステベス)と、その弟、アーティ・ミッチェル(チャーリー・シーン)。
時代の自由精神からポルノ映画に移行し、その時代お得意のドラッグに二人とも、次第しだいに溺れていく。
・・・なんていう、今じゃまあ、ちょっとありがちなストーリー。
描かれ方はとても丁寧で、ドキュメンタリーとして、正当に撮ろうとする姿が感じられる。
一番核になる部分は、兄弟間の愛情で、そこに葛藤がある時ですら、兄ジムの弟に対する深い愛情が伝わってくる。
とは言え、それが悲劇の引き金になっているバッド・エンディングで、その辺りの緊張感を醸し出すカメラがちと丁寧すぎた。
悪い予感が的中する割に、それまでの愛情表現とウラハラになっているところが、唐突な印象を受けるのが少々もったいない感じだ。
でも明らかに、ここでのチャーリー・シーンは、兄エミリオ・エステベスによって、本当に愛情たっぷりに描かれていて、
この作品の中のチャーリー・シーンは、とても魅力のある表情が映し出されているのだった。
何よりこの兄弟のハゲっぷりが見事で、25歳という設定のその時点から、この兄弟は二人ともツルツルなんだけど、きっと実在の人もそうだったのだろう〜。
そして、raven風のサングラスに、ハゲ、口髭というスタイルは、『ラスベガスをやっつけろ!』のジョニー・デップを思い出したり。
ハンチング帽をかぶってサングラスで闊歩する姿がとても印象的で、二人ともオソロでソックリ。
ハンチング帽をかぶるから髪が薄くなるのか、髪が薄くなった人がハンチング帽をかぶるのか、順番が分からないながら、
とにかくこの時代の映画製作者はこんなスタイルが多かったんじゃないかナ〜なんて思う。
あと、『ジョン・マルコビッチの穴』にチャーリー・シーンが出て来たときに、やっぱりハゲヅラだったんだけど、それはこの映画のセルフ・パロディだったんですよね?
タイトルからついつい期待しがちなポルノ色は、あんまり大したことありませんでした(笑)
マッパはあるけどね。最初の方だけです。
この兄弟が共演しているというただそれだけでもう、画になる作品。
・キング・オブ・ポルノ@映画生活
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コメント(5件)
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キング・オブ・ポルノ的内容だったのかが、ちょっとだけ気になりました(笑)
ふるちんさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
ナイスツッコミです★
私、映画中のマッパが当然になりつつあるみたいで・・ヤバイ。まずい。
エロゥすんませんでした^^;
書き直しましたよ〜
キング オブ ポルノ
RATED X 大学で映画作りを勉強していたジム(エミリオ・エステヴェス)は、仲間たちとスタジオを作り、“芸術作品”作りと資金作りを兼ねて、ポルノを自主制作していた。 たまたまそこに遊びに来た弟アーティ(チャーリー・シーン)に、“ワーナー・ブラザースのように、ミ…
エステヴェス好きなのに、なかなか時間が合わなくて「ボビー」を見に行けないでいる哀生龍です(涙)
>一番核になる部分は、兄弟間の愛情
>チャーリー・シーンは、兄エミリオ・エステベスによって、本当に愛情たっぷりに描かれ
この兄弟だからこそ、と感じられるテイストの作品に仕上がっていましたよね。
実話を元にしているとはいえ、別の脚本家&監督が映画化したら、全く違った雰囲気や切り口になっただろうと想像されます。
エステヴェスは本当に弟が可愛い(&心配?)に違いない!
と言うことで「メン・アット・ワーク」も、大好きです♪
もしまだご存知でないのであれば、是非!
哀生龍さんへ
こんにちは★コメント&TB、ありがとうございました。
『BOBBY』はすっごく良かったです。今年の中で、早ベスト1になってます。
時間があれば是非とも・・♪
>実話を元にしているとはいえ、別の脚本家&監督が映画化したら、全く違った雰囲気や切り口になっただろうと想像されます
本当にそうですよね!エミリオ・エステベスの弟への溢れる愛情あってのこの描き方だったのですものね^^
『メン・アット・ワーク』もエミリオ・エステベスの監督作品ですね。
今見たいのがたくさんあるのですが、これもそのうちに見たいリストに加えておきますね♪