#28.グアンタナモ、僕達が見た真実
2006年、ベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)受賞作品。
マイケル・ウィンターボトム監督、ドキュメンタリー。
イギリス、バーミンガムに住むアシフ(アルファーン・ウスマーン)は結婚式をするために、友人のローヘル(ファルハド・ハールーン)、シャフィク(リズワーン・アフマド)、ムニール(クカール・スィディーキー)と共にパキスタンへ向かった。・・・
だが、モスクの牧師が、米軍の侵攻で混乱しているアフガニスタンへの援助を行っていて、現地へ行くボランティアの人間を探していることを知る。
隣国アフガニスタンの実情を見たいというのと、人助けになるなら、と国境を越える。だが米軍の空爆が始まり、ムニールは行方不明、タリバンと間違われて捕虜にされる。やがて彼らの素性を怪しむ米軍により、グアンタナモ基地へと送られてしまう。・・・
目を覆うような光景が繰り広げられる。イギリスに住む彼らは、アメリカは自分たちの敵ではないと思い行動するが、それらのために返って裏切られる。自分たちの意見はまるで信用されず、全く身に覚えのない事実無根のことばかり並び立てられる。
アメリカの掲げる正義のための戦い、敵は冷酷非道と言って兵を送るが、その実、人間としての扱いをまるでされていないのがこのグアンタナモに送られた捕虜たちだった。
映像は淡々と、手酷く扱われる、いつ終わるとも分からない日々を映し出している。この3人は全く普通の若者で、特に政治に熱心でもなければ、どちらかと言えばファッションの方に興味があるような若者だったりもする。タイミングを間違えただけなのだ。
俳優の松山ケンはこう言っている。
「僕達は何も知ってはいない。知っているのは全てではない。
全てを知ることは無理かもしれない。でも、知ろうとする気持ちは常に持っていたい。
この作品で知って欲しい。僕達はある一方の視点に偏っていることを。
そして、白黒つけられるものなんて殆どない事を。」
アメリカはいつまでこの戦争を続けるつもりなのだろう。
このドキュメンタリーは、そんなに衝撃的なのだろうか。
アメリカ目線でないというそれだけで。
でも、『ユナイテッド93』、『ワールド・トレード・センター』なんてアメリカ目線で作った映画がいつまでもヒットするのだから。アメリカの戦意を高める必要があるのだろうと思うと苦々しい気持ちにしかならない(もちろん、私は見る気などさらさらなかった)。
以下はドイツの音楽だが、面白いものなので、私の気持ちの代弁として揚げようと思う。
民族衣装を着た人たちがPizza Hutを食べていたり、ナイキを脱いで礼拝を捧げたり、コカ・コーラを飲んでいたり、いろいろと風刺が効いていて面白い。
まあ、アメリカNASAの月面着陸に関しても面白かったりするのだけれど。・・・Rammstein “Amerika”

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・グアンタナモ、僕達が見た真実@映画生活
2007/02/17 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
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コメント(28件)
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「グアンタナモ、僕等が見た真実」映画感想
映画の日、映画三昧記録その1「グアンタナモ、僕等が見た真実」原題名「the Ro
ガンタナモ 僕たちが見た真実 – 冤罪ってコワイ
マイケル・ウィンターボトムってイギリスの監督のファンです。
全部の映画を観ているわけじゃないけれど なかなか 骨太の作品を撮っており 去年は確か性描写が激しい 9Songsという映画で話題となりました。
実は ??
グアンタナモ、僕達が見た真実
グアンタナモ、僕達が見た真実(2006 イギリス)
原題 THE ROAD TO GUANTANAMO
監督 マイケル・ウィンターボトム
マット・ホワイトクロス
撮影 マルセル・ザイスキンド
音楽 ハリー・エスコット
…
とらねこさん、こんばんわ!
コメント&TBありがとうございました。
今、アメリカ目線で語られる情報を鵜呑みにするととんでもないことになりそうですね。
アメリカ目線情報の洪水に飲まれて、この映画が埋もれてしまうようなことがなければいいんですけど…。
グアンタナモ、僕達が見た真実/アルファーン・ウスマーン
当初は特に観たいと思っていた作品じゃなかったんですよね。というよりどんな内容なのかも知らなかったんです。「人生は、奇跡の詩」を観にシャンテ・シネに行ったときに予告編を観てその内容を知りとても興味が沸いたのでした。この作品もあの「9.11同時多発テロ事件」に関….
moviepadさんへ
こんばんは☆コメントありがとうございました!
そうですね、ベルリンで賞を取ったいうだけでも、この映画を見るキッカケになった人も多くあるかと思うのですが、そこが救いです・・・。
『グアンタナモ、僕達が見た真実』
人の道に反したグアンタナモへの道。人としてその道を振り返ろう。
2001年9月、パキスタン系イギリス人のアシフ、ローヘル、シャフィク、ムニールは、アシフの結婚のために故郷パキスタンを訪れた際、隣国アフガニスタンへ向かい・・。1年前のベルリン国際映画祭で、大好…
こんばんは。
こういう作品を見てしまうと、米作品をだんだん見たくなくなっちゃうわけでして。
まあそれも偏見かもしれませんけど、これまで米作品主体で鑑賞してきたスタンスが最近結構ずれてきました。いろんな視野を持っていたいものですよね。
ようつべ見ました。
月まで征服しちゃいそうでこわひです・・・。
グアンタナモ 僕達が見た真実
パキスタン系イギリス人のアシフは、結婚式を挙げるため友人のローヘル、シャフィク、ムニールを誘い、パキスタンへ向かった。そこで隣国アフガニスタンの様子を知った彼らは、実情を見るために国境を越える。
その直後、米軍の空爆が始まった。混乱の中、ムニールは行方不明…
シャーロットさんへ最後、NASAの月面着陸が、「実はハリウッドの撮影だった」という・・・。
おはようございます★コメントありがとうございました!
あ、YouTube見てくださったんですねwありがとうございます!
これ、面白くないですか?
>こういう作品を見てしまうと、米作品をだんだん見たくなくなっちゃう
うーん、そうですね、でも、カルチャー、芸術と政治や経済は別だ、と自分は考えてはいます。
アメリカと一緒くたにしてしまうのは、表現者にとって、可哀想かな、なんて。
こんばんは♪
『ユナイテッド93』 も 『WTC』 も決して、
戦意高揚映画というワケじゃなかったですよ。
まぁでも観て複雑な映画だったことは確かだけど。
イランなんか旅すると街中にはフツーに、
コカ・コーラやアディダスが溢れてて驚きます。
映画館じゃアメリカ映画もかかってますしね。
(でも、いずれも9.11前の話なので今は違うかな)
夫婦がベッドでTV観ながら話してる場面でも、
カットされているのにはびっくりしましたよ。
それでもボクは…テロリストじゃない 『グアンタナモ、僕達が見た真実』
『ホテル・ルワンダ』 以降の流れなのか、
ここ最近、目立ってアフリカの政治的事件を題材にした映画が増えているけれど、
期を同じくしてアメリカ政府は、来年9月までに、
これまでイラクを担当する軍などが分担して管轄してきたアフリカに、
新しくアフリカ軍を創設…
栗本東樹さんへ
こんばんは★コメントありがとうございました!
>イランなんか旅すると街中にはフツーに、
コカ・コーラやアディダスが溢れてて驚きます。
おぅ〜!まるでこのPVまんまですね★
栗さまはイランを旅されたこともあるのですね・・
9.11以前は本当にここにあるような映像そのものだったと考えると、この映像の意味がまた違って心に響いてきます。
栗さまは凄いなぁ〜。もう、しばらくは行けなそうですよね・・・
お話、とっても聞きたいです♪^^
“The Road to GUANTANAMO”
パキスタン系イギリス人のアシフが結婚式を挙げるために両親の故郷、パキスタンに行く
世界はそんなにいい所じゃない
54「グアンタナモ、僕達が見た真実」(イギリス)
アシフ・アクバルはイギリス、バーミンガム近くの町ティプトンに住むパキスタン系イギリス人。2001年9月、アシフは結婚式を挙げるためパキスタンへと向かう。そして結婚式に招待された、同じくイギリスに住む友人…
こんばんは。
これは結構衝撃的な作品でした。延々と続けられるアメリカ側による尋問、拷問には憤りさえ感じるものがあります。
作品の作りとしても、惹き込まれるものとなっていたように思います。
CINECHANさんへ
おはようございます〜☆コメント&TB,ありがとうございます!
>延々と続けられる尋問、拷問には憤りすら感じた
人権を無視したこのやり方、アメリカ軍が行っているということを、世界に堂々と知らしめた作品でしたよね。
こんばんは〜
実はもっと重い映画だと思って観るのをずいぶんためらっていたのですが、連休貰えて重い腰あげて観てきました。
ドキュメンタリーだったなんて知らなかったのですよ。事実に基づくストーリーだと思ってて。だから、「気楽に」ということばはおかしいですけど、冷静に観ることが出来て助かりました。再現ドラマですから、余計な脚色なしだったのでしょうか?(出来とかストーリーとかじゃく)いい映画を観させてもらったと、感激しています。同時期の「夜明けに向かって」より、こっちの方がいいかなぁ〜
八ちゃんさんへ
こんばんは☆コメントありがとうございました。
そうですか、八ちゃんさんは、この映画の方が『輝く〜』より良かったですか♪
そうですね、淡々とあったことを述べるという手法の方が、ずっと冷静さを失わない印象で、とても良かったですよね。
グアンタナモ、僕達が見た真実
パキスタン系イギリス人のアシフ(アルファーン・ウスマーン)は、結婚式を挙げるため
映画「グアンタナモ、僕達が見た真実」
イギリスに住むパキスタン系イギリス人の若者が縁談のため、パキスタンに帰省する。
そして結婚をきめ、イギリスから友人3人を呼ぶ。
結婚式までの数日、友だち同士で楽しんでいる時、あるモスクに入る。
そこの指導者の話から、米軍がアフガニスタンに侵攻し、
…
スパイダーマンとグアンタナモ
今日は、2ヶ月まえに見た映画のレビューを
★スパイダーマン3
あいかわらずCGやスピード感ある対決は楽しめる。
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はじめまして♪TBさせてもらいました。私にとってはかなりショックな映画でした。
あずーるさんへ
こんばんは!初めまして、TBありがとうございました。
早速遊びに行かせていただきます。
これからもよろしくお願いしますね☆
グアンタナモ、僕達が見た真実
ずっと見たかった「グアンタナモ、僕達が見た真実」です。 パキスタン系イギリス人のアシフは、結婚式を挙げるため友人のロー
こんにちはTB失礼します☆
こういう映画、好きなので一通り見ていますが、本作は案外淡々としていたものでしたね。そのお陰でいろいろと学習させられました。
見て良かったと思っています☆
またお邪魔させて頂きます!
もももさんへ。o ○
こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました!
この作品、確かに淡々としていましたが、言いたいことが伝わってきましたよね。
こうしたことを声高に言わずに、冷静に述べる、そのテイストがすごく良かったですよね。
>またお邪魔させて頂きます
こちらこそよろしくお願いします〜☆
グアンタナモ、僕達が見た真実
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