#14.忘八武士道
素敵だっ・・・!素敵な作品ですよ、これは!
故・丹波哲郎さん(R.I.P・・・)が脚本を気にいって、自ら製作に乗り出したという、この作品。
油も乗ってるし、カメラに向かってのこの、ケレン味たっぷりな目線!
丹波哲郎、というと、『大霊界』のイメージしかない人が多くいると思うのですが、若い頃は、こんな“ポルノ時代劇”を、ノリノリで演っちゃう、面白い人だったんですね。
’73年、石井輝夫作品。
ストーリー・・・
明日死能(丹波哲郎)は、“人斬り死能”と呼ばれ、役人に追われていた。危ういところを、吉原遊郭一帯を取りしきる、忘八者と呼ばれる者によって助けられる。
忘八者とは、八つの徳を忘れた荒くれ者たちの集まり。
八つの徳とは、親孝行の“孝”、兄や目上に仕える“悌”、君に尽す“忠”、“信”、“礼”、“義”、欲心なく正しい行いをする“廉”、そして最後に、“恥”。
これを忘れた忘八者は、“人にして人に非ず、人たる姿を忘れた鬼畜外道の集まりで、江戸吉原一帯にはびこっていた無頼の徒。
「死んでゆくのが地獄なら、生きていたとてまた地獄。」
と言って、忘八の入団試験を受けるが、そこまでの非人情を捨てることの出来なかった死能は、これに落ちてしまった。
だが、忘八者を用いて幕府に闇金を掴ませ、この辺りの吉原を取り仕切っていた、白首の袈裟蔵(伊吹吾郎)に目をかけられ、また別の用途に死能を用いることを目論んだ。と、いうのは、当時、湯女、茶屋女、私娼窟がはびこり、吉原遊郭の風俗が乱れに乱れ、デフレ状態になっていたのだった。・・・
ストーリーも文句なく面白く、カメラがなんとも大胆不敵の構図。
血しぶきの飛び具合といい、1シーン1シーン、本当に面白くて、もう、魅入るばかり!
先に言ったように、丹波さんのカメラ映えもすごく良くて、角度から、何から何まで、とにかく面白くって、言うことナシ!のこの作品。
女の裸も、ひっきりなしに出て来るんですが、それが、退屈しない。ひし美ゆり子の背中の和服がバサーっと一文字に切り落とされて、はらりと見えてみたり、
くの一が裸でズラーーーっと並んでみたり、画としても構図としても本当に面白いんですよね。
石井輝夫の撮り方って、裸が単に情緒的にエロチックで、こう、出し惜しみしながら見せる、というのではなくって、もう、サービス精神満載で、ドバーと、出す。
裸!裸!裸の連発技!
だけど、決して、暗さも後ろめたさも、まるで感じないんです。
裸で、面白い画を撮ってやろう!裸を使って、面白い、より大胆な、より強烈な、そんな画を、撮って、撮って、撮りまくってやろう!
なんていう、明るさを感じるのです。なので、女の私から見ても、面白いことこの上ナシ。
なんちゅーか・・・“裸のプロヘッショナル”。そんな感じですわ^^w
カラっとしてて、明るいんですね!
ネチネチっとした、例えばフランスのような、情緒でエロさを感じる某、とかではなくて、インパクトが強烈な作品、ていうところが、私には新しくって・・・(と言っても、これ、’73年なんですけど)、なんか面白いです。
たぶん、今の人が見ても、きっと面白いと思いますよ!
見たことない映像満載、間違いなしです。
オープニングも面白ければ、最後の“完”の文字がまた、粋なんだなあ〜。
もの哀しさを感じることなく、カッチョ良く終わります。たぶん、やられちゃうと思いますよ。
2007/01/26 | 映画, :カルト・アバンギャルド
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コメント(19件)
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こんばんは〜
これを観たら、次はぜひ「地獄」(石井輝男)をドウゾ。
丹波先生おいしいとこどりですから…w
bambiさんへ
こんばんは〜♪コメント、ありがとうございます★
うお!『地獄』ですか。今回のヴェーラの特集では、やってなかったですね〜。
「死んでゆくのが地獄なら、生きていたとてまた地獄」
この覚悟!
丹波さんは、今頃地獄で石井輝夫と映画作ってるんかな、・・・なんて、シャレたことを、栗本さんが言ってましたね〜♪♪
あ、bambiさん、珍しく栗さまにコメント書いていましたね♪
ポルノ時代劇 忘八武士道
死んでゆくのが地獄なら、生きていたとてまた地獄。
丹波哲郎さんがお亡くなりになりましたね。
個人的な追悼…という意味で、代表作(?)の『ポルノ時代
お!『忘八武士道』だ!
「ラジー賞」記事の方でシャマラン原理主義者の輪に加わりわたくしも一席打とうかと思ってたけどコッチにパックンチョ(笑)
>裸!裸!裸の連発技!
そうなんすー♪
え?これ確変?ってくらいのマッパGo!Go!っぷりが堪らないのです
そこにエロはあるのかい?いやない!あるのはバカ絵面だけ!(笑)
あ、bambiさまは丹波先生つながりで『地獄』をお勧めされてますね
では、わたくしは裸つながりで『やさぐれ姐御伝/総括リンチ』をば
池玲子と101匹おぱーいたん大集合!
万人が突っ込むであろう当時18歳の玲子たんの貫禄あり過ぎな様と語り継がれるであろうクルクルマッパな立ち回りをぜひご賞味あれ!
>コピーライターじゃないかなあ・・・
ふふふ、バリバリの製造業エンジニア
ダーク文化系ナチュラルボーン理系でございますよ
映画「ポルノ時代劇 忘八武士道」のDVDを鑑賞。
ポルノ時代劇 忘八武士道 – goo 映画
昨日は、1973年の東映作品「ポルノ時代劇 忘八武士道」をDVDで見た。
主演は、先日亡くなった丹波哲郎、私の世代だと丹波哲郎といえば、「キーハンター」や「Gメン75」など、映画だと「砂の器」の主演の他、大作映画…
初めまして、TBありがとうございます。
「忘八武士道」、私は以前この作品を名画座でスクリーンで見た事がありますが、くの一の女性の裸ずらーっは圧巻でしたよ。
とらねこさんが指摘していたように、石井輝男監督は出し惜しみをしないんですよね、観客が見たい映像を2倍くらいにして返してくれるので、たまにはそれが行き過ぎちゃったりで今見ても凄く楽しませてくれる監督で私も大好きです。
これからも「e-mono select」を宜しくお願いします。
最近毎日のようにお邪魔しとります…w
「地獄」のラストは本作を観ていないとポカーンなので,順序としては大正解でありますよ。
そしてここにもやはりみさんが…w
>やさぐれ姐御伝/総括リンチ
全ての男が理想とするボディの持ち主・池玲子嬢。
オープニングの全裸立ち回りは伝説ですね。
そーれっ,裸と裸のおつきあいっ!
やっぱり輝男作品で,半裸神輿があったような気がしますが,あれは三原葉子だったかしらん?
やっぱ観て良かったでしょ、『忘八武士道』!
僕は変な映画は薦めても、決してつまらない映画は薦めないのです!ですから『直撃!地獄拳』も堪能して欲しいですし、『バトルフィー(以下、略)
『忘八武士道』はオープニングから最高に格好良いですし丹波哲郎もストイックな感じで素敵ですよね。
そして何より女性の裸ですよ!石井輝男監督は本当に女性の裸を撮るのがお上手。エロいんだけど爽快!素晴らしい!
『地獄』も色んな意味で凄いから是非是非!
宮○勤や某尊師がえらい事になっちゃってます。あんまりな内容のため、東京で初めて公開された映画館が上野にあるポルノ映画館だったはず。
凄まじい映画を想像するとカックンしちゃいますが、面白いですよ!
こんちわ。
この映画、昨年から狙っていたのですが、何かと忙しくなってしまいスケジュール調整が難しくなったので断念しました。シネマヴェーラに嵌るとキリないですし・・・
とらねこさんの記事はそんな私に地団駄踏ませるに充分すぎる!
やっぱり、観にいけば良かった〜残念!またの機会を待ちます。
みさま
こんばんは〜。お返事、ちょっと遅くなり、すみません。
昨日は飲んでたのもありますが、PCに向かって、意識がいつの間にか落ちてました・・
「みさまへ」までは書いたんですが、・・・たぶん、寝言で「マッパGOGO」って言ってたと思いますw
>シャマラン原理主義の輪
ああ、命拾いしました・・・『忘八〜』見といて良かった♪
オープニングから全裸って凄いですね。
調べてみたら、このみさまがオススメくださった『やさぐれ姐御〜』、こういったテーマの方が、たぶん私の好みかもしれませんです。
女が主人公なんですね、わくわくw
んで、これまた73年の石井作品みたいですしね、この『〜武士道』と比べるにふさわしい作品が『〜姐御』、双璧を成す作品なのかもしれませんね。
masalaさんへ
初めまして、コメント&TB返し、ありがとうございました★
コメント書かずに失礼しました。
私もこれ、映画館で見たんですよー。
あの裸ズラーっ、にしろ、それ以外のエロシーンにしろ、何しろ迫力満載でしたよね。
私はあの、暗転スポットライトの“勝負”シーンなんか、古くて新しいというか、あんまり見たことなくて、面白かったですよ〜。
こちらこそ、今後もよろしくお願いします。
bambiさんへ
こんばんは〜♪コメント、ありがとうございます★
>最近毎日のようにお邪魔しとります…w
とっても嬉しいですー♪にしゃ
bambiさんも『やさぐれ〜』見られたのですね。
やっぱりこれも、すっごく面白そう♪
どっかでかからないかなぁ・・
>「地獄」のラストは本作を観ていないとポカーンなので,順序としては大正解でありますよ
どわっww知らないところで、順序があるのですね^^;
懇切丁寧なマニアなお友達がいろいろ教えてくださり、とらねこは幸せです・・・
これからもよろしくお願いします(ぺこりー★)
コチラにもこんばんは。
やっぱり6、70年代の東映は最高です♪
『忘八〜』 を含めて、
“異常性愛路線”てゆうDVDBoxが出てるんですが、
いつか買いたいと思っとります。
(友人は持ってる。しかも女のコ)
石井輝男大先生にはもっともっと長生きして、
破天荒な映画を作り続けてほしかった!(涙)
蔵六さんへ
おはようございます〜★
返事が少し遅くなりました。風邪気味で、昨日は早寝してしまいました。
これ、面白かったですよ!オススメしてくださり、ありがとうございました。
うん、蔵六さんのオススメは、今のとこ十分面白いですよ♪でも、『バトルフィールド〜』かあ・・・でも、蔵六さんはまだ『インプリント〜』も見てないじゃん!
みなさん『地獄』を勧めるんだけど、なんでかな?^^;蔵六さんの話を聞いていると、変テコ映画のようなんですけど。
もしかして、明日死能が出て来るんですね♪
ここで死んでその後行った世界が、『地獄』なわけですね♪
てことは・・・最後、まさか地獄で生き返っちゃう?
imaponさんへ
初めまして、コメントありがとうございます!
imaponさんも、観たくて、狙っていらっしゃったのですね!
うーん、残念。今回は行けなかったのですね。
やはり、ヴェーラにハマルと、キリがないのはおっしゃる通りなんですが、他のつまんない新作を見るより、何倍の価値もある時があるので、やはり外せません!
特にこの作品は、とっても面白いので、是非とも映画館で見て欲しい作品でした!
次回機会があれば、是非見てくださいね〜★
どうぞ今後もよろしくお願いしますね〜★
栗本東樹さんへ
こんばんは〜☆
異常性愛路線、お友達の女の人が持ってるんですね。DVDboxになってるなんて、なかなかニクイシリーズ
私はあんまりモノを集める趣味がないんですが(買い出したらキリがないですからね〜)、なかなか劇場でやらない作品、なおかつレンタルではほぼ手に入ることのない作品ていうのは、やはり購買意欲もそそられますよねっ。
ただ、買うと満足しちゃって、なかなか見ようとしないんですよねー。
石井輝夫も今は仲良く地獄ですね〜♪
また来てしまった…w
東映異常性愛路線BOX、わたし持ってますよ。
スクリーンで観たことのある作品ばっかりですが、発売と同時に買いました。
収録は「徳川女系図」「徳川女刑罰史」「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」「亡八武士道」「徳川いれずみ師 責め地獄」
個人的に輝男の大傑作は「徳川いれずみ師」だと思っています。
次に「恐怖奇形人間」「直撃地獄拳 大逆転」が続く。
また2回書き込んでしまいました(´・ω・`)
bambiさんへは、石井輝夫監督『異常性愛記録ハレンチ〜』の、あのラストの劇的な雷をイメージしています(笑)
こんばんは〜♪お戻りくださり、ありがとうございま〜す★
おおっ、噂の高い「徳川」シリーズがズラリなのですね☆
それで、東映の異常性愛路線と聞いて、『大奥』がエロいのでは、と期待をしてしまうわけなのですね。ふむなるほど〜。
で、bambiさんのベスト1が『徳川いれずみ師〜』なのですか。そう言えばこないだ蔵六さんが『明治・大正・昭和〜』をUPしていて、ものすごそうだなあ、と思っていたのですが、bambiさんもこれお持ちだったのですね。(大正は猟奇犯罪が入っていないそうですが・笑)
それも購入が発売と同時にとは・・素早い(笑)
大逆転は見ようとしていたんですよ、ああ〜悔しいなあ!奇形人間も見はぐってしまったし!
次回は逃さないつもりです
それから、コメント欄が不具合で、ご迷惑をおかけして、申し訳ありません!
もうすぐメンテがあるので、もう少ししたらたぶん、解消されると思います。
ちなみに、bambiさんの絵文字指定の雷