#8.ゼブラーマン
撮影初日、「エライことになってしまいました・・・」という三池監督の一言から始まった、という。哀川翔100本目記念!にこれを選んでしまったのね・・・Vシネの帝王、哀川翔。
宮藤官九郎が『木更津キャッツアイ』で、五本木役で出演した際に、「今『ゼブラーマン』ていう映画撮ってるんだ」と言った、その一言で偶然にも始まったという今プロジェクトだそうだ。・・・
ストーリー・・・
学校では生徒に受けの悪い学年主任であり、家庭は崩壊気味で、誰にも省みられない存在の、市川新市(哀川翔)。密かな楽しみは、34年前に人気がなく、7話で打ち切りになったTV特撮番組、『ゼブラーマン』の、自前のコスプレだ。
ある日、ひょんな事から、通り魔殺人鬼をやっつけるが、その正体は、地球侵略を狙い、やって来た宇宙人の、人間に寄生した一人だったのだ。
影では、防衛丁も、この町を調査にやって来ていた。
偶然にも、この年、2010年は、ゼブラーマン誕生の年。
果たして、自分に自信を取り戻し、立ち上がることが出来るのか?・・・
’04年、三池崇史監督×宮藤官九郎脚本。
お馬鹿映画の装いをしつつも、その実、ユルめなテイストの、本当は真面目なヒーローものだった。
オヤジの復権。
家庭では影が薄く、学校でも言いたいことの言えない先生の悲しげな後ろ姿が、少しづつ自信をつけていくのに、丁寧に描いていて、すぐに強くなりすぎないところがポイント
まあ、宮藤官九郎にしては、ギャグも弾けているとは言うほどではないけど、最後、爽やかな感動をちゃんと感じる事が出来る。泣いてしまいました、不覚にも・・・。
宇宙人のアートワークは、『マーズアタック』以来の、良く出来たものだった!と自信を持って断言する!
オデコがピカピカ、電波がスケルトンで見えてるのも何かいいし。うさん臭さも、ちょうどいい按配。
小さい宇宙人をゴロゴロ蹴っ飛ばすのも面白いし(やっぱ、足元にあったら、蹴っ飛ばすよね、ボールみたいに・・・)。
ずっと手作りの、変テココスチュームかと思いきや、パワーアップした姿は、本当にカッコ良かったしねっ!
この辺り、“待たせ”具合のタイミングを見誤らないところが、さすがは三池監督。
アクションの時に、自慢ゲにマントを翻す姿は、イイっ!イイっ!
まさに、白と黒のエクスタシー!!
ダメオヤジと対照的な、斜に構えた防衛丁役人の、及川(渡部篤郎)は、こういう役が似合って、ちょっと嫌味なテイストだけどやっぱしカッコいいし、
可奈役の鈴木京香は、胸元がググっと開いたコスプレ姿で、「ここってもしかして見所だったのかな」なんて思わせるし。
見放されたお父さんであり、教育という立場にいながら、言いたいことも言えない、哀しげな背中の市川は、言ってみたいセリフの一つに
「俺の背中に立つんじゃねぇ!」
というのがあって、とてもいいタイミングでこの台詞を吐くのも、ニコニコ喜んでみてしまった。
寂しげなオヤジは、現代において共感を感じるところで、特に、今の私には、こういうものにグッと来てしまう。
ちなみに、『ゼブラーマンの歌』は、歌詞・クドカン、歌は水木一郎。
舞台挨拶の’04年の映像では、三池監督はオシャレゲに、頭をシマシマメッシュに染めていた。ゼブラだけに。今よりちょっと顔が丸かった
2007/01/18 | 映画, :アクション, :三池崇史(今月の三池さん)
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コメント(12件)
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ゼブラーマン
哀川翔 映画 特撮
ゼブラーマン
映画(DVD)「ゼブラーマン」
(三池崇史:監督/宮藤官九郎:脚本)
哀川翔の主演100本記念作、らしいです。
さすが、Vシネの帝王{/ee_3/}(笑)
この映画は、ちょうど3年前、
「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」
公開時に予告篇を見…
こんばんは♪
TBどうもありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきました。
よろしくお願いします。
うんうん、マジメなヒーローものでしたね。
なんせ私、泣いちゃったくらいですから(笑)
ほんとうに好きな映画の1つです。
よかったですよね!
miyukichiさんへ
初めまして!コメントありがとうございます。
こちらこそ、コメントをつけず失礼致しました。
私も泣いちゃいました〜!!
この映画がすごく気にいられたのですね♪
私もとても気にいりました。特撮ものヒーローの中で、たぶん一番好きな作品になりました〜!
ゼブラーマン/三池崇史監督
昨年、私の飲み仲間のあいだで人気の高かった作品です。正月早々見る映画かなあなんて少し思いましたが、見てみることにしました。
感想はというと面白かったです。ヒーロー物の伝統的パターンをなぞりながらも斬新だなあと驚きました。
で、いままでのヒーロ…
ゼブラーマン
白黒つけたぜ!!
こちらにもお邪魔を…
これね、わが家で感想をUPした時、
多くの人が「来るブログを間違えたのか?」と
思ったとか、思わなかったとか。
いつもの傾向と違う作品で、周囲のほうがビックリしたみたいだけど、
この雰囲気、何故かわたしもかなり好きなのです。
悠雅さんへ
TB&コメントありがとうございました!
確かに、『ゼブラーマン』は、悠雅さんのテイストとは、かけ離れているようなイメージですもんね(笑
私も、これ、初めはバカにしてみていたのですが、最後、ちゃんと感動できましたよね!
日本のお父さんや、学校の先生も、頑張って欲しい存在ですよねー★
いやー、好きです。この映画。劇場で観て、帰り道で後ろを確かめ「…立つんじゃねぇ!」と誰彼構わず言った…ということはありませんが(^^;)。
実相寺監督だったら、もう少し湿っぽくなっちゃったかもしれないのですが、三池監督にかかると「勢い」ついちゃって…。哀川氏をスクリーンで、まじまじ観たのは、これが初めてだったかも。
あかん隊さんへ
こんばんは〜♪久しぶりで嬉しいです!お仕事は落ち着きましたでしょうか?心配してます。
あかん隊さんもこの作品、好きですかぁ!嬉しいです。ぬるいけど、なんかいいんですよね、これ。
「俺の背中に立つんじゃねえ」とか、「白黒つけたぜ!」とか、決めぜりふが気持ち良〜く、決まってましたよね〜にゃははw
私は、あの宇宙人のアートワークに三池さんを感じちゃいました♪
哀川翔はあかん隊さんにとって、この作品が劇場初体験だったんですね。あっでも、私も実は『太陽の傷』が初でした。
ゼブラーマン
ゼブラーマンが深夜に放送していました。
ゼブラーマンとは、
ダメな中年教師は子供の頃に放送していたゼブラーマンの大ファン
夜な夜なコスプレをして楽しんでいた。
そんなある日、自分が勤務している学校に車椅子の少年が転校してくる。
その少年もゼ…
『ゼブラーマン』03・日
あらすじ市川新市(哀川翔)は、児童から醒めた目で見られ家庭は崩壊気味の小学校教師。唯一の楽しみは、昔、7話だけテレビ放映されたヒーロー「ゼブラーマン」のコスチュームを着ること。その格好でこっそり街へ出たある日、新市は偶然出会った怪しい男と乱闘に・・・。…