143.悪 waru 完結編
’06年三池崇史監督。真樹日佐夫原作・脚本・製作。
盟友・更級を失い、消息を絶った氷室(哀川翔)。その生存が危ぶまれる中、来日中の大統領夫人の誘拐事件が勃発した。
と、そこへ氷室が突然現れ、事件解決に影ながら尽力すると同時に、警察に司法取引を持ちかける。・・・
表だった敵と戦う中で、その後には味方につけ、次に大きな敵と戦ってゆく。警察すら動かし、次の敵から次の敵へと進む中で、アルカイダの日本支部、ジャパン・アルカイダの本拠地、東光大学理事長、桐野(岡田真澄)を最終目標にと据えた。
“悪の悪たる・・・”と言われる氷室だが、悪というよりヒーロー像で、日本を根底から“世直し”せんとする、『地平同』という組織の幹部。
何より一度戦った相手と組んで、次の敵へと向かう様が、男らしくて清々としている。
時間を無駄にせず、空いた時間を使って手下のものを剣道の稽古をつけたり、下の者を育てようとするに余念がない。
こういった氷室の姿は、まるでチェ・ゲバラのように、信念を持って戦う戦士、のように描かれているようだ。
だが、三池監督の割にはイヤにあっさりと描かれていて、不満はある。
サーっと駆け抜けるかのように生き、やがて死が訪れる有様も、あまり入念な感じを与えないのがガッカリだ。
良かったのは、袴田吉彦演じる美しいゲイ。キバツな髪型も、オシャレな感じがして、素敵だった。三池監督は、『46億年の恋』で突如として男色の世界に目を向けたように思えるかもしれないが、こうして脇役としてではあるが、それ以前からすでに、部分的にでも描かれていたゲイの姿が、こんなに素敵だと分かって嬉しい。
何より、かわいいんだ、袴田が。
「見て。」と言って、自分の太ももを見せるとそこに、両の腿には、“氷室命”、もう片方には自分との相合傘が・・・(爆)
それも、安全ピンで彫ってあるところが、まるで中学デビューのヤンキーだww
「安心して。プラトニックだから。」
なんて言ったりしてププっ☆
2006/12/19 | 映画, :三池崇史(今月の三池さん), :極道・マフィア
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コメント(3件)
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三池崇史「悪 WARU 完結編」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
前編「悪 WARU」を見ずに 完結編を借りてしまった。レンタル中だったからなんだけど。
敵が出てきて闘って仲間になって更に上の敵が出てきてみたいな”ジャンプ”的展開の映画でラスボスが『ジャパン・アルカイダ』ちゅー凄い名前のテロ組織で、その….
はじめまして。随分前ですが、乱歩地獄の記事が素晴らしく、思わずコメントしてしまいました
江戸川乱歩もゆら帝国も中毒のやうにだいすきです。摂取しなくては生きてられません。ブログたのしみに読んでます!
kemuriさんへ
おはようございます★
コメント、ありがとうございます!
そうですね、以前一度いらしていただいたの、私も覚えています。
HNが印象深くて・・・ゆら帝がお好きでいらっしゃるのだから、このHNも、やっぱりバンドのkemuriなのですよね?
コメントいただいたのはどうやら『乱歩地獄』じゃなかったようです。
でも、また来てくださって、本当にありがとうございました♪嬉しいです★