133.マスターズ・オブ・ホラー 『ディア・ウーマン』
コメディというか、フォークロアもののファンタジー?・・・という感じ。
変テコな展開が笑えた。
車の中で死体が発見される。動物の事件担当の窓際族のファラデー(ブライアン・ベンペン)が現場検証を行うと、ぐちゃぐちゃになった正体不明の死体だった。
目撃者の証言によると、鹿を見た、という話と、美女を見た、という話が。
死体には、どう考えても人間技でない、巨大な動物の体重で踏みつけにされたと思われる形跡が。
一体どんなタイプの新しいシリアルキラーなのか?・・・
:::::::::::ネタバレ気味:::::::::
最初に、「エエーっ、もしかしてそんなオチ?」という嫌な予感が大方の人に一瞬でよぎる。
だが、それを、手を変え品を変え、“刑事の予想”という形で、冒頭にいきなり、それを逐一、映像でもって描いて見せるところが、全く予想だにしない話の運びで、もうビックリ。
だって、「普通こうだろう」ということで、それを裏切る形で進むストーリー、というのはあっても、それをわざわざ、妄想を形にしてしまう、っていうのが全く思いつかない・・・普通は。
「やっぱその通り」なわけだけど、アイディアの変テコさをストレートに出されてしまうのだから、もう笑いが漏れる、しかこちらは出来ないんですよね。
“神鳥サンダーバード”に並ぶネイティブ・アメリカンの伝説だそうで。
このシリーズの最中にあって最早ホラーとは呼べない作品なんですけど、よく考えたら、“民間伝承”モノって、いうのも、ホラーの1ジャンルとしてあるわけで。
で、民間伝承って、現代の人や、違う文化の人から見ると、全く理解不可能なものとか、アホらしくてナンセンスに感じたりするものって、あるんですよね。
なので、それを逆にギャグとして開き直ってしまったらどうなるだろう、っていうアイディアなんでしょうか。キングなんかでも、“だんだんウロコが生えてくる男”とか、“ゼリーになっちゃった男”とか、“水道管を伝わってくる道化師姿の霊”なんていうのもある訳で。
ま、そういったホラーのバカバカしさ、そういうのを愛するようになってしまうと、こういう、逆手に取ったものがなかなかに痛快でツボを突かれたように感じてしまう、ってことなんでしょうかね・・・笑
このシリーズの中にあって、そういうお笑いテイストが効いていると、「味の違うおかずを食べたら、またご飯が美味しい」、って気持ちになりました。
確か、ロシアだったかな、“アザラシ女”っていうのはあったと思う。
その他のマスターズ・オブ・ホラー作品
・『インプリント ぼっけえ、きょうてえ(トークショーつき)』
・『愛しのジェニファー』
・『世界の終わり』
・『ゾンビの帰郷』
・『ダンス・オブ・ザ・デッド』
・『チョコレート』
・『閉ざされた場所』
・『ハンティング』
・『ヘッケルの死霊』
・『魔女の棲む館』
・『虫おんな』
・『ムーンフェイス』
2006/12/02 | 映画, :サスペンス・ミステリ
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コメント(19件)
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『マスターズ・オブ・ホラー』ディア・ウーマン
TVシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」も、残すところあと4話!少しさみしい気もします!全部で13エピソードだから、しょうがないですけど。
今回の記事は、ジョン・ランディス監督の「ディア・ウーマン」です。
『ディア・ウーマン』DEER WOMAN
監督 ジョン…
ディア・ウーマン 06年218本目
ディア・ウーマン Deer Woman
2005年 ジョン・ランディス 監督シンシア・モウラ 、ブライアン・ベンベン 、アンソニー・グリフィス
マスターズ・オブ・ホラー 恐-1グランプリインプリント 世界の終り 魔女の棲む館 愛しのジェニファー 虫おんな ゾンビの帰…
アザラシ女って、
ロシア女性は全員そうなんじゃ、、、
あぁぁ、、お口が滑りました、、、
こんばんは。
ジョン・ランディス監督の今作も
大好きです。
ちょっと笑いのエッセンスも
入っていて最高でした。(自分的には)
マスターズ・オブ・ホラー/ディア・ウーマン/ ゾンビの帰郷
【マスターズ・オブ・ホラー/ディア・ウーマン】 ★★☆ DVD ストーリー 動物の苦情専門の刑事ファラデー(ブライアン・ベンベン)はある
「マスターズ・オブ・ホラー」ジョン・ランディス
「ディア・ウーマン」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
SMAPの歌みたいでカタカナだと分からんが、ディアは鹿だった。鹿女。
ランディスの「狼男アメリカン」は大傑作だ。
この作品もランディスらしい傑作コメディー。
劇中こんな台詞が出てくる「1981年ロンドンで狼が連続殺人….
「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その2
「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズを攻略中でぇーす。(関連記事はこちら) その
猫姫少佐現品限りさんへ
こんにちは!
ロシア女は全員アザラシの毛皮をかぶっているのですか。あはは。
@KOBAさんへ
こんにちは★
私もこの作品、結構笑えて面白かったです。
このシリーズの飽きて来そうなときに見たのがまた自分的に良かった感じもあります。
『狼男アメリカン』でも、腐敗が進んでるので会うたびに顔とかどんどん崩れてる死んだ友人とか、妙におかしかったですよね。
鹿女もグラマラスな上半身でしたが、個人的にはビーバー女を見てみたいです。
ビーバーって、あのビーバーです。歯でかじって木を切り倒し、ダムみたいな巣を作る、普通のげっ歯類のビーバーです。だから、英和辞典とかでビーバーのことは調べないでください。
てなわけで、TBありがとうございました。
「ディア・ウーマン」マスターズ・オブ・ホラー
ジョン・ランディスは、呪われている。
にらさま
こんばんは〜♪
『狼男アメリカン』、すごく面白そうですね!自分は見たことないのですが、見たくなりました。
アメリカンとは、狼の部分がアメリカン(薄い)のでしょうか?どっちかな♪
ビーバーのギャグで、『ゾンビの帰還』の中の話を思い出してしまいました。気の荒いコメンテーターのジェシーが、主人公とバーで初呑みする時に、彼女の名前が“ジェシー・クリーパー”だから、“ビーバー’s クリーパー”と、ヒワイなギャグを言われるらしいのです。
「でもそうしたら、『ジーパーズクリーパーズ』という映画はどうなるんだ?」と思ってしまいました。・・・ねえ?(笑)あれって、ヒワイだったんですね。
原題は「AN AMERICAN WEREWOLF IN LONDON」、映画の内容に即して意訳するなら「旅行先のロンドンで狼男になったアメリカ人」です。
「なんと、まぁ」という驚きを示す米語の慣用句である『ジーパーズ・クリーパーズ』は、「飛ぶのかよ、おい」という意味では「なんと、まぁ」ですが、ホラーとしてはなんとまぁ上品すぎる作品でした。
(つづく)
(つづき)
それをもじった「ビーバーズ・クリーパーズ」というのは、直訳してしまうと「ビーバーのツタ科植物」ですが、「クリープ」には「ツタ=這い寄る」という意味から転じて「イヤなやつ」という意味合いもあり(『ゾンビ』のロメロによる『クリープ・ショウ』とか、『ドラキュりアン』のフレッド・デッカーの『クリープス』とか、「(他社商品とは違い)生乳(ナマチチじゃなくてせいにゅう)です」と言い切る森永の「クリープ」とは関係ないんですが)、それらから類推するに「ゲス女のビーバー」くらいの意味なんだと思います。
ということで「ビデオレンタル最大手のツタヤ」は「ゲス野郎」という結論で締め括ろうとして、ビーバーに関しては敢えてコメントを避けるわたくしは、なんとまぁ紳士なことでしょう(笑)。
にらさま
こんばんは〜★
ご丁寧に颯爽と戻って来てくださりありがとうございます〜★
ちなみに、字幕では“クリーパー”は“裂け目”と普通に訳されていましたよー。
あ、そうそう♪
『ブルー・ベルベッド』に、“私のビーバーを××して・・・”ってセリフがあるんですが、日本語字幕で“タワシ”と訳されていました。
それを、ニュージーランド人の友達6人の前で、私が、なぜ“タワシ”と訳されるのか、説明しなければならないハメに陥ったことがありました
やはり、あれは、「形が似ている」というしかなかったのですが、何しろタワシの存在を知らないヤツラだったので、タワシの説明に一苦労しました。
で、タワシが何か分かったところで、結果、「自分が訳者だったとしても、日本人に分かりやすくするためには、やはり“タワシ”と訳す!」と言って、“ビーバー”=“タワシ”説を納得させることになりました。ビーバーが何たるかを日本語で表現するには、そして暗喩を使うには、やはり“タワシ”しかないですよねー。
そんな感じで、ビーバーが何かを決して言わないワタシタチ・・・タワシタチ・・・
しかし、クリープの生乳を“せいにゅう”と読ませるって知らなかったデス。あはは。
にらさま
(つづき)
でも、『ジーパーズ・クリーパーズ』が「なんと、まあ」っていう意味だったとは知りませんでしたー。
ご丁寧な説明ありがとうございます♪
『狼男アメリカン』は見てみたくなりましたー
『ジーパーズ・クリーパーズ』はちょっと物足りなかったですねー。
『デビルズ・バックボーン』よりは怖かったですが・・・。って、これはホラーではなかったですが・・・。
これはタイトルで本当騙されました。
そっか、ツタヤはゲス野郎だったのですね★
マスターズ・オブ・ホラー2
引き続き、観て行きます。ジョン・ランディス監督「ディア・ウーマン」。トラックの中などでぐちゃぐちゃになった男の惨殺死体が次々発見される。共通点は遺体に残された蹄の痕跡、そしていずれも勃起した状態で殺されている点。窓際刑事が事件を追う。鼻ピアスの解剖医ダ…
ディア・ウーマン
マスターズ・オブ・ホラー
恐-1グランプリ
2005年:アメリカ
監督:ジョン・ランディス
出演:ブライアン・ベンベン、シンシア・モウラ、アンディ・トンプソン、スティーヴ・アーチャー、ソニヤ・ベネット、アンソニー・グリフィス
男の惨殺死体が発見された。死体….
マスターズ・オブ・ホラー/ディア・ウーマンって怖いの?
ホラー映画洋画
ホラー映画初心者のすけきよです。マスターズ・オブ・ホラー復活祭りってことで(ボクの中だけの復活ですが…)「ディア・ウーマン」見ました。
あらすじ:男の惨殺死体が発見された。死体には、鹿のひずめで何度も踏みつぶされた痕跡があった。刑…