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123.マスターズ・オブ・ホラー 『虫おんな』

ファンタジーテイストでキュートな“INSECTION”ムービー。・・・じゃ、なかった。TV番組。


ストーリー・・・
レズの性癖を持つ、アイダ(アンジェラ・ベティス)は、虫が大好きでペットに飼うほどなので、引っ込み思案でなかなか恋人が出来ないのに、ようやく出来たと思うと虫を嫌がられていつも恋人にすぐ振られてしまう。
だが、ある日、会社で良く会う顔の良く見えない女性(ミスティ: エリン・ブラウン)に、意を決して話しかけてみたところ、顔もカワイイ上、自分を「魅力的」と思ってくれているようで、有頂天になり、アッという間に恋に落ちて、一緒に住み始める。


だが、ここのマンションの大家のお婆さんが、何かと口うるさい。
その上、ある日、昆虫の学者であるアイダすら見たこともない、新種のブラジル産の昆虫が、見知らぬ人から送られて来て、・・・


アイダの純粋さが、とてもかわいい。虫オタクで変人ではあるが、生真面目で心優しい人なのだ。
初デートで二人並んでDVDを観ている時に、(“妖精のDVD”、などという良くワカラナイ代物)電話がかかってくると、途端に直立不動の姿勢で立ち上がるアイダ。きっととっても緊張していたのだ、と分かって、微笑ましい。


短期間で恋に落ちたミスティとの幸せな蜜月期間も、この短い1時間という中で、丁寧に描かれていて、幸せオーラを放っている。とても新鮮な思いで作品を楽しめた。

アイダの同僚で、俗物な男性である、マックスの描かれ方も、二人と対照的で興味深い。でも、この人も悪い人ではなくて、ただ男性のアホさ、幼稚さという様子が描かれているだけなので、ちょっとしたスパイスになっている程度だ。


:::::::::この先多少ネタバレになるが、:::::::


『エイリアン』や『X』で使われたような、見知らぬ生物の注入、というものも、この作品にあっては、なんだか違った感覚でストーリーが進んでゆく。
それらがなかなか表出されることはなく、あくまでもこのうるさい大家とどう遣り合うかが切実な問題だったりする。
世間に不理解を投げつけられても、性格が曲がることなく優しい気持ちをずっと持ち続けていたアイダだったのだ。

これらがラストで平和的に解消してゆくのも、なんだかとってもカワイイ、キュートなファンタジー。
SFっぽいテイストを効かせたファンタジーという印象で、ハッピーな終わり方もとても和めて、自分は好きだ^^w


ところで、冒頭の一言、“昆虫”であるinsectと、“感染”を意味するinfectionをかけて、insectionムービー、なんて勝手に呼んでみましたw
(どう、どう?・・・うふふ^^)

この監督については知らなかったので、調べてみたところ、イタリアン・ホラー界の巨匠、ダリオ・アルジェントに強く影響を受けたという新星監督とのこと。(マスターズ・オブ・ホラーのカップリングでも、二人一緒にされている)

今までのシネマグラフィーは、’02年の『MAY -メイ-』と、’06年の『怨霊の森』。
『MAY -メイ-』では、“深い孤独が生む悲劇の意味”というテーマの“あまりにも切ない新感覚のホラー”とのことで、なんだかとても面白そう!
こちらでも94分という短いストーリーの中に、この『虫おんな』という作品同様、いろんな要素が凝縮されているのかな、と、是非チェックしてみたい作品
そして、ここで主人公アイダを演じるアンジェラ・ベティス(『17歳のカルテ』)が主人公とのことで、それもとっても楽しみ。主人公の相手役の俳優は、『unknown』で手錠にかけられ(、肩甲骨を銃に撃たれ)た役の、ジェレミー・シスト。

マスターズ・オブ・ホラー DVD-BOX Vol.1



その他のマスターズ・オブ・ホラー作品
・『インプリント ぼっけえ、きょうてえ(トークショーつき)
・『愛しのジェニファー
・『世界の終わり
・『ゾンビの帰郷
・『ダンス・オブ・ザ・デッド
・『チョコレート
・『ディア・ウーマン
・『閉ざされた場所
・『ハンティング
・『ヘッケルの死霊
・『魔女の棲む館
・『ムーンフェイス』

 

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コメント(17件)

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    8月末にレンタル開始された「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。(関連記事はこち

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    虫おんな Sick Girl
    2005年   ラッキー・マッキー 監督アンジェラ・ベティス 、ミスティ・ムンディ
    マスターズ・オブ・ホラー 恐-1グランプリインプリント 世界の終り 魔女の棲む館 愛しのジェニファー ディア・ウーマン ゾンビの帰郷 ムーンフェイス ハン…

  3. 「マスターズ・オブ・ホラー」ラッキー・マッキー

    「虫おんな」
    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
    昆虫学者のアイダの元に見た事もない昆虫が送られてくる。
    彼女は密かに思いを寄せていた女性と両思いだった事に喜ぶが、虫が逃げ出して見つからない。
    昆虫パニックっぽいが変な方向に落ち着く変な映画。虫が送られて来た理由も….

  4. 『マスターズ・オブ・ホラー』虫おんな

     TVシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」4番目の記事は、ラッキー・マッキー監督の「虫おんな」
     
     「え、ラッキー・マッキー監督って誰でしたっけ??」ってつい思っちゃいました。『MAYメイ』(02年)の監督でした…。わずか1作で、“マスター”なの??まぁ、当初予…

  5. こんにちは。
    TBありがとうございます。
    自分は、ホラー映画は好きなんですけど、
    どうも“虫”は苦手で、観ながら
    ゾクゾクッ!ときちゃいました。

  6. @KOBAさんへ
    こんばんは♪
    @KOBAさんは、この作品、だめだったみたいですね・・^^;
    私は、結構気に入ってしまいました
    何より、カワイイ話だったので
    虫は嫌いな人多いですね。私は、害虫でなければ、殺すことも絶対しません。
    嫌いな虫は、ゴキブリくらいですかねー。

  7. 虫おんな

    Sick Girl “Masters of Horror”(マスターズ・オブ・ホラー) 監督:ラッキー・マッキー 昆虫学修士の資格を持つアイダ(アンジェラ・ベティス)は、大好きな虫たちをペットとして部屋中にケースを置いている虫オタク。 もちろん仕事も虫関係。 そんな彼女の悩みは、恋の対….

  8. >ラストで平和的に解消
    >ハッピーな終わり方
    え? そうなんですか??
    てっきり哀生龍は、「最後のシーン“まで”で2人の幸せな時はお終い。 このシーンの後に待つものは・・・ニヤリッ」と言う、皮肉たっぷりの終わり方だと思っちゃいました(笑)

  9. 哀生龍さんへ
    こんばんは♪
    なるほど、ラストの後のことですか。
    確かに子供の顔とか気になりますけどね・・・
    ザ・フライ2世誕生状態ですかね・・・
    でも、パパ、喜んでるしっ。
    あの、丸く切り抜いて終わる終わり方が、結構オチャメでまた良かったですー。私はね。

  10. >確かに子供の顔とか気になりますけどね・・・
    >ザ・フライ2世誕生状態ですかね・・・
    あっ 全く違う事考えてます(爆)

  11. 哀生龍さんへ
    こんばんは♪戻って来てきださり、ありがとうございます〜。
    で、アレレ、全く違うこと考えていましたですか。
    そして、何考えていたのか、教えてくださらないんだから、哀生龍さんてば〜
    なんだろう?当てろ、ということかな?んんんん〜
    分かりません〜。だって、やっぱり優性遺伝子説に従えば、自分の遺伝子を残したいだろうし・・・

  12. 映画「マスターズ・オブ・ホラー/虫おんな」

    「MAY -メイ-」のラッキー・マッキー監督作品。アメリカのTV局“SHOWTIME”が企画したホラー・プロジェクト<マスター・オブ・ホラー>。トビー・フーパー、ダリオ・アルジェント、ジョン・カーペンターはじめホラー界を代表する巨匠監督13人がホラー作品を競作したアン…

  13. 【MOH】虫おんな(ラッキー・マッキー)

    【マスターズ・オブ・ホラー@ホラーTV】
    アイダは昆虫学修士を得ており、昆虫の研究を仕事にし、自宅で様々な虫を飼っていた。しかも彼女はレズビアン。アイダの部屋に遊びにくる女性たちは、決まって気味悪がり、彼女は振られるのだった。ある日、差出人不明の荷物がア…

  14. マスターズ・オブ・ホラー ダリオ・アルジェントVSラッキー・マッキー

    製作年度 2005年
    製作国 アメリカ
    上映時間 60分+60分
    監督 ダリオ・アルジェント、ラッキー・マッキー
    製作総指揮 キース・アディス、モリス・バーガー
    脚本 スティーヴン・ウェバー、ラッキー・マッキー
    音楽 クラウディオ・シモネッティ、デヴィッド・ロ….

  15. マースターズ オブ ホラー/虫おんなって怖いの?

    ホラー映画洋画
    ホラー映画初心者のすけきよです。マスターズ・オブ・ホラー「愛しのジェニファー」のカップリング作品「虫おんな」観ました。
    あらすじ:昆虫学修士をもつアイダ・ティーターは、昆虫の研究を仕事にしているだけでなく、高級アパートの自室…

  16. こんばんは。
    男が生き残る道は無いんでしょうか(涙)
    ボクも虫になりたいなぁ(笑)

  17. すけきよさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    「優性遺伝子説」(懐かしいなあ)を思い出す映画でございましたw
    私もそろそろそっちの道に走ってもいいかな、なんて考える時がありますので、とても楽しく見れましたよ^^
    すけきよさんも、虫にな〜れ




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