122.マスターズ・オブ・ホラー 『愛しのジェニファー』
『マスターズ・オブ・ホラー』(邦題の副題が“恐ー1グランプリ”)というアメリカの“showtime”というTV番組のホラー企画シリーズ。
『サスペリア』、『フェノミナ』のダリオ・アルジェント監督作品。
ストーリー・・・
刑事フランク(スティーブ・ウェバー)は、とある一人の女(キャリー・アン・フレミング)を手首のところで縛り、いまにも殺そうとしている中年男を射殺する。中年男は、死ぬ前、「ジェニファー・・・」と言い残して死んでゆく。
女は美しいスタイルとブロンドヘア。だが、近寄っていったフランクは、その顔を覗きこんでギョッとする。体に似合わぬ、とてつもなく醜い顔をしていたのだ。・・・
展開としては次が非常に読めるストーリー展開で、特に奇をてらった感じは一切ない。でも、どこか懐かしさと、クラシックの趣があって、見ていてとても安心して楽しめるホラーという感じ。
「うんうん、こういうのいいよね、」なんて、あったかい気持ち・・・って言ったら変なんだけど、時々やっぱりこんなのがあったっていいと思う。
ジェニファーと言えば、先に挙げたダリオ・アルジェント監督作品の『フェノミナ』でも、ジェニファー・コネリー扮する主人公がジェニファー。
って、まあ、それはいいんだけど、この映画で違っているのは、そんな主人公がとても醜い容貌をしていること。スタイルは完璧なのに。
そして、知的障害もあって、言葉も喋れず、口が(後で分かるんだけど)乱杭歯の上に曲がっている。これは、障害であるから、というよりも、何か悪魔的なもの、といった感じの演出なのだと思う。
:::::::::ネタバレになりますが::::::::::
動物や、人間の子供なんかも食べてしまうので、下等の悪魔のよう、というか・・・
『オーメン』のような、成長待たれる悪魔の王子様とかではなくて、ただ邪なる存在のもの、という感じはある。
自分を庇護してくれる者には、泣いてすがったり、その男とは性行為をしたり、本能そのものの存在といったイメージだ。
フランクも、刑事としての立場を忘れて魅入られていく。・・・
初めの方で、ジェニファーの顔の大写しはなく、獣のような目であったり、髪に隠れチラリと見えるめくれた口など、少しづつ映してゆくところが怖さを煽って、ぞくぞくする。
それと正反対に、なぜだかエロさを感じるところがウマかった。
なんだか懐かしくて愛しいホラー。
その他のマスターズ・オブ・ホラー作品
・『インプリント ぼっけえ、きょうてえ(トークショーつき)』
・『世界の終わり』
・『ゾンビの帰郷』
・『ダンス・オブ・ザ・デッド』
・『チョコレート』
・『ディア・ウーマン』
・『閉ざされた場所』
・『ハンティング』
・『ヘッケルの死霊』
・『魔女の棲む館』
・『虫おんな』
・『ムーンフェイス』
2006/11/20 | 映画, :ホラー・スプラッタ
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コメント(20件)
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映画「マスターズ・オブ・ホラー/愛しのジェニファー」
「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督作品。アメリカのTV局“SHOWTIME”が企画したホラー・プロジェクト<マスター・オブ・ホラー>。トビー・フーパー、ダリオ・アルジェント、ジョン・カーペンターはじめホラー界を代表する巨匠監督13人がホラー作品を競作したアン…
「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その1
8月末にレンタル開始された「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。(関連記事はこち
どもども。TB&コメントありがとうございました。
いやー、これは凄かったですねー。思うに、ダリオ・アルジェント監督は、これでもテレビという事でセーブしたんではないかと。本当は、やりたりなかったんじゃないかと。
猫→幼い少女→少年 と、獲物が段々大きくなっているところが怖い。最後の少年なんか、生きたままだったでしょ?恐ろしい...
でも、ジェニファーが大人の男つかまえて甘えて這わせる手の動きとか、めちゃくちゃセクシーでしたね。
会社のホラー好きの人が、私の特集記事を読んで。「ジェニファーが見たい」と言ってました(笑)。
愛しのジェニファー 06年216本目
愛しのジェニファー Jennifer
2005年 ダリオ・アルジェント 監督スティーヴン・ウェバー 、キャリー・アン・フレミング
マスターズ・オブ・ホラー 恐-1グランプリインプリント 世界の終り 魔女の棲む館 虫おんな ディア・ウーマン ゾンビの帰郷 ムーンフ….
隣の評論家さんへ
こんばんは♪
>本当は、ダリオ・アルジェントはやりたりなかったんじゃないかと
そうですよね、きっと!そうじゃないかなー、と思いまする!
この尺で見る分には、なかなか良かったですよね、この作品。ジェニファーの映し方とか、良かったですよね。
本当、あの顔の割になんだかセクシーでしたよね・・そこが怖かったですね☆
会社の人のハートを掴みましたか、さすがバイザーですね^^
「マスターズ・オブ・ホラー」ダリオ・アルジェント
「愛しのジェニファー」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
刑事フランクは、ホームレス風の中年男性が若い女性に斧を振りおろそうとした瞬間、拳銃を発砲する。その場に倒れ込む中年男性は、「ジェニファー……」とだけ言い残し絶命。そしてフランクは、若い女性の顔を見て驚いた。….
『マスターズ・オブ・ホラー』愛しのジェニファー
TVシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」6番目に見た作品は、ダリオ・アルジェント監督の「愛しのジェニファー」
とうとう、ダリオ・アルジェント監督の作品を見ます!「マスターズ・オブ・ホラー」の中でも2番目に期待してる作品です!
「エッ、じゃぁ、1番は誰…
こんにちは。
自分は、ジェニファーに魅力感じなかったです。
「猫を!」あそこで施設に返しちゃいます。
いや、もともと、家に引き取らないです。
(って、それじゃ映画にならないですね)
@KOBAさんへ
こんばんはアゲイン♪
うーん、そうですね、ジェニファーは、魅力感じるというより、醜いというか、怖かったです^^;
そうですよね、私も、猫○○のあそこで、返しますね。
確か、あの後Hしてませんでした?
信じられな〜い(爆)
こんばんは。お久しぶりです!
私としては、アルジェントらしさを期待して観たのでちょっと物足りなかったですね〜・・・あんまり監督特有の個性が感じられなかったです。でもよくよく考えてみると、TV用の1時間モノだったからこそなのかもしれませんね。これが通常の尺の映画になると、彼らしいエッセンスがもっと盛り込まれたのかもしれません。終盤が近づくにつれてグダグダになってくる脚本とか期待してたんですけど(笑)
マスターズ・オブ・ホラー
「マスターズ・オブ・ホラー」を観た。
古今東西のホラー映画の巨匠監督13人の夢の競作!ホラー界の伝説的監督=マスターズ・オブ・ホラー13人が集結して、恐怖をモチーフに60分間のエピソードを描く新作を競作、まさにホラー映画〇ĹĎćI
baohさんへ
こんばんは★
そうですね、確かに、すごく正統派で展開も読める感じはありましたよね。
確かにこの尺では仕方がないかもしれなかったですね。
きっとやりたりないんでしょうね。ところで、baohさんはあんまり三池さんは好きじゃないのかなあ・・・
マスターズ・オブ・ホラー/愛しのジェニファー
(原題:JENIFER
愛しのジェニファー
Jenifer “Masters of Horror”(マスターズ・オブ・ホラー) 監督:ダリオ・アルジェント 警察官のフランク(スティーヴン・ウェバー)は、後ろ手に縛られた髪の長い女(キャリー・アン・フレミング)が、中華包丁を持った男に今にも殺されそうになっている現場に出くわした….
>なぜだかエロさを感じるところがウマかった
そうそう!
彼女に“エロさ”が感じられないとこの作品は成り立たないので、ジェニファーと言うキャラクターの造形(見た目も行動もひっくるめて)は素晴らしい出来だと思いました。
哀生龍さんへ
こんばんは♪
ジェニファーのキャラクター造形は、素晴らしかったですよね〜♪
私も、とっても良かったと思います。
確かにツッコミどころはあるのですが、なんだか好きなんですよね、私・・・この作品。
実は山岸涼子の漫画の『馬屋子の女王(ひめみこ)』を思い出しました。知能が足りなくても、体だけで男を虜にしてく悪魔的な人なんですよ。・・・
マスターズ・オブ・ホラー ダリオ・アルジェントVSラッキー・マッキー
製作年度 2005年
製作国 アメリカ
上映時間 60分+60分
監督 ダリオ・アルジェント、ラッキー・マッキー
製作総指揮 キース・アディス、モリス・バーガー
脚本 スティーヴン・ウェバー、ラッキー・マッキー
音楽 クラウディオ・シモネッティ、デヴィッド・ロ….
マスターズ オブ ホラー/愛しのジェニファーって怖いの?
ホラー映画洋画
13人のホラー監督が恐怖を競ったという「マスターズ オブ ホラー シリーズ」。ダリオ・アルジェント監督の「愛しのジェニファー」観ました。
あらすじ:何者かに殺される寸前の少女を助けた警察官フランクだが、実はこの少女は傷のある醜…
こんにちは。
ジェニファーは男のツボを本能で知っているところが恐ろしいですよね。本人に罪の意識が全くないところが余計怖いです。
男はみんな利用されてしまうんじゃないでしょうか。下半身は別人格だって言いますし(笑)
すけきよさんへ
こんばんは☆TB,コメントありがとうございました!
ジェニファーのこうした手管は、マネしたいような気も・・・^^;
だって、あんなに顔が怖いのに、騙されてしまう男って、本当アホだなと思います。
最後、斧を振り上げた瞬間に、また次の獲物が・・・というのも、単純ですが、好きなオチでした。