102.日本以外全部沈没
す・・・凄いっ!!
この時代に、この作品の映画化・・・国際社会は大丈夫なのでしょうか
恐れ多きはこの、SF社会派ブラックコメディ。
風刺とか皮肉なんて、・・・そんな生易しいレベルじゃありませんね、コレは。
猛毒と呼ぶしかないでしょっ!
でも、ギャグがかっ飛んでいるので、決してマジに取らずに・・ただただ、笑いましょう
本家、『日本沈没』を凌駕した、国際化問題必須の超衝撃作
ストーリー・・・
2011年、9.11事件後、原因不明の海洋プレートの異常地殻変動により、アメリカ大陸は1週間後に沈没した。
そのまた1週間後に中国大陸までも沈没。そしてユーラシア大陸、オーストラリア大陸、・・・日本列島(北方領土、尖閣諸島、竹島含む)以外の全ての大陸が沈没した。
外国人難民は日本に大挙して押し寄せ、食料不足、ドルやユーロはマイナスいくらと、貨幣価値は円以外暴落の一途を辿る。
米国、中国、韓国もこぞって日本の安泉首相(村野武徳)にゴマをする。日本民族は超優先され、外国人の犯罪は増えるばかり。
そこで、外国人を取り締まり、違法を犯した者は国外追放になるという、GAT(Gaijin Attack Team)を設立。
在日外国人の不満は激増し、今にも噴火の一途を辿っていた。・・・
これ、・・・日本人しか、笑えないだろう、と思うんだけど。
というか、国外に流れたら、マズイんじゃないんですかー??
こんなもん作って・・・本気で、大丈夫ですかああ???
私のような、あまり政治知識の持たない者にすら、やはり国際情勢というものにおける日本人のよっわ〜〜〜〜い立場を感じるだけに、
というか、感じるからこそ・・・・
激面白い!
でもでも本当に大丈夫???えらい怖いよ、こんなにあれこれ毒かましちゃったらさあー・・・
知らないよー?
’73年に小松左京が、9年かけて『日本沈没』を書き、呑みの席で星新一が言った一言をネタに、筒井康隆はたった1週間で『日本以外全部沈没』を書いたそうです(公式HPより)。
で、そんなSF会の毒舌ギャグを、現代に映画作っちゃった。
・・・
本家の『日本沈没』を観ていないのですが、そちらよりずっとインパクトの強い、とされているこちらのパロディ。
毒が非常〜に強いものになっています・・・ご注意を!
だけど、これはあくまでも、ギャグですから。
全部丸呑みにして、“ギャグ”ということで片付けてしまいましょう。
だから怒らないで、諸外国の皆さま方!
あ、ちなみに劇場で“防衛庁長官室来賓用スリッパ”が売ってました。千円て、高すぎるよ!350円なら買ったのに
ここからネタバレ:::::::::::::
石“山”防衛庁長官のえらく右よりな姿勢が妙に頼もしく感じたり、
「アメリカ沈没共同募金にご協力下さーい」に死ぬほど笑ってしまいました。
中国政府が「侵略の歴史は沈没と共に無くなった」
韓国政府「水に流しましたー」
「うまいね、こりゃどーも」
これにも腹抱えて笑ってしまいましたー
「捕鯨に反対する輩が皆いなくなったんで、安心して鯨が食べれるねー」
それからあのシュワちゃんの「目玉目玉」あれ、最高〜なんすけどぉー!
落ちぶれてるのが、“元ハリウッドスターとして”であって、“CA州知事として”ではないつーのがもー笑えるし本当、毒が効いてるー。
この不安な国際情勢のまっ只中にあって、こんなに右寄りな思想がギャグになりえるとは思わんかったです。すごいね、筒井康隆。河崎実も最高!
企画持ってきた、元アルバトロス→トルネード社長の叶井さんもついでに、センス最高だ!
こりゃーホンマもんの面白さだっ!
自分がこんなに日本人としての誇りがあるとは知りませんでしたヨ。
古賀(柏原収史)の日本人妻、明子(土肥美緒)がやけに貞淑な、古き良き日本女性である一方、外国人妻である“おれ”(小橋賢児)の妻は、アメリカ人であるだけに、やっぱり強すぎ、我儘すぎなんですよね。
最後話がウマくまとまってちゃんとメッセージになっているけれども、
・・・私としては、やっぱり貞淑な女になろうっとー、なんて思ってしまいましたね。
ちゃんと相手の好みに合わせた料理を、作ったりしたいしさー。
最後に真面目なことを言えば、日本人として言いたいことも言えない、この状況だからこそ、ここまで笑えるんだろね。逆に、国際情勢とかニュースなど、全く知らない人には笑えないんじゃないでしょうか?
なぜなら、どう考えても、憂いを感じるしかない国際社会での“日本人”、“日本民族”としての立場、未来。
こういったことは、とても一言で言い尽くせないものがある。本気で、日本の立場は、以前よりずっと深刻になりつつあるのだから・・・。
そういうことを一切考えたこともないヒトには、この映画は笑えないはずだ。
ただやりすぎの、くだらないコメディにしか映らないだろうと思う。
この映画は、そういった背景あっての風刺、これが毒として効いているので、憂いや心配が大きければ大きいほど、笑えるはず。
けっして言えないことを、ハッキリ言われた感、これが気持ちいいのだ。
そしてこの感覚は、日本人としての誇りとないまぜになっている。
2006/10/10 | 映画, :とらねこ’s favorite, :コメディ・ラブコメ等
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(62件)
前の記事: 禁煙計画始動
次の記事: ※11.『薬指の標本』
おはようございます★
>お返事が遅くなってごめんなさい
イエイエ、今後も、いつでもいいので、ゆっくり無理なくマイペースでどうぞです。
ていうか、随分とふるいところにすみません。
見つけてしまうと、椀さまの意見がどうも読みたくなってしまって。
>河崎監督
あ、鑑賞後記事と、少し感想が違ってきたのですね。
>旧作やマイナーで地味な映画ばかり見ているので、中々とらねこさんと記事がかぶる機会がなくて寂しい思いをしていた
ありがとうございます^^w
私も、結構旧作見ていますよ。でも私も、気分屋なので、大作を見たり小粒な作品を見たりです。
『ダーウィン』お待ちしていますね。私の感想は大したものじゃありまセンが
映画:日本以外全部沈没
日本以外全部沈没@シネセゾン渋谷
「日本が世界なのだ」
「日本沈没(2006)
」「日本沈没(1973)
」も本作を楽しむための布石?? パロディではありません、「日本沈没」にワル乗りしようとしたおバカ映画です。木いちご賞にノミネートされるかなあ?元々真面目に作…
日本以外全部沈没-(映画:2007年12本目)-
監督:河崎 実
出演:小橋賢児、柏原収史、松尾政寿、土肥美緒、ブレイク・クロフォード、キラ・ライチェブスカヤ、イジリー岡田、つぶやきシロー、デーブ・スペクター、筒井康隆(特別出演)、村野武範、藤岡弘
評価:58点
(ネタバレあります)
筒井康隆の原作は…
無ービー駄
『日本以外全部沈没』を観た。
やってくれたなぁ…
まさに掘り出し物。
地球上の陸地が日本以外全部沈没して国内の人口が5倍(80%が避難した外国人)。
『日本沈没』があまり叩かれなかった(叩かれた?)のはこの作品のおかげ。
『地球防衛少女イコちゃ…
日本以外全部沈没
「日本沈没
」を観に行った時に予告編をやってました。(笑)
筒井康隆ファンの私は原作はもちろん読んでましたが
このタイミングで映画になるとは。( ^ _ ^;
DVDで鑑賞。
2011年、日本以外のすべての国が水中に没し、
日本に世界中から難民が押し寄せ、
人口の急増…
ぼっけえ沈没
「日本以外全部沈没」
「ぼっけぇ,きょうてぇ」
『日本以外全部沈没』’06・日
あらすじ2011年。原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈んでしまう。1週間後、中国大陸が沈み始め、その1週間後にユーラシア大陸がすべて埋没。その2日後にアフリカ大陸、翌日にはオーストラリア大陸が海の下へと消えた。やがて日本国以外のすべての陸…
『日本以外全部沈没』 …したらどうなる!?
世界中が沈みゆく中で、
日本だけが残ってしまったら…。
世界中の国の人たちが押し寄せて大パニック!
というのは、楽観的な見方だろうな。
実際には、控えめに「移住」なんかじゃなくて、
がっつり占領されちゃうんじゃない?
というより、日本も大ダメージ…
日本以外全部沈没
2006年:日本
原作:筒井康隆
監督:河崎実
出演:小橋賢児、柏原収史、松尾政寿、土肥美緒、ブレイク・クロフォード、筒井康隆、松尾貴史、デーブ・スペクター、村野武範、寺田農、黒田アーサー、中田博久、藤岡弘、
大ベストセラーとなった小松左京の『日本沈没』….
日本以外全部沈没
あけましておめでとうございます。本年も一年よろしくお願いします。
さて通常なら年明け一発目は映画館で見た作品のレビューといきたいところなのですが、悲しいことに私が見たい作品を上映している映画館が全て元旦は休映。という訳で昨年末に深夜放送されていたこの映画….
<日本以外全部沈没>
2006年 日本 99分
監督 河崎実
原作 筒井康隆「日本以外全部沈没」
脚本 右田昌万 河崎実
撮影 須賀隆
音楽 石井雅子
出演 小橋賢児 柏原収史 松尾政寿 土肥美緒 筒井康隆
藤岡弘 村野武範 デーブ・スペクター 寺田農 松…
日本以外全部沈没
「日本沈没」(小松左京原作)のパロディとして筒井康隆が書いたパロディ短編の映画化。原作は1970年代のもので、筒井氏らしい毒のあるブラックユーモアというものが、時を現代に置き換えているようなこの映画にもまあ確かにある。
B級映画ならではの安っぽさが寧ろ面白い…