※9.『ドランのキャデラック』
原作/スティーブン・キング
8月がいよいよやって来ましたね〜
小学生は、今もう夏休み真っ盛り。いいなぁ〜〜。
7月が終わって、8月になると、いよいよ序章が終わって、本章が始まった、という気になったものでした。
これまたボーとしてると、アッと言う間に夏は終わってしまいますからなぁ。ぼーっとしちゃおれん。遊ぶぞ!!
という、はやる気持ちになったものですね。
だけど、社会人になった今、そんな風な楽しい気持ちには、もうなれないのでしょうか。さみしいなぁ。
小学生や中学生が、夏休みに「塾だ」なんて言ってると、
「けしから〜〜〜んん!!遊べ遊べ!!」と思ってしまう私。
子供って、何か道具を使って遊ぶのですが、遊び道具ばかりでなく、実は想像力を使って遊んでいる、と思います。この想像力、これって、なんだか人間にはとっても大事なことのように私には思うんですよね。
子供の頃遊ばないといい大人になれない、なにか本能的にそう思いますよね。
自分はもう小学生ではないんだけど、“夏休み気分”から「仲間はずれ」にはされたくないなぁ。
なので、自分にとって、夏休みを盛り上げるアイテムを、毎年取り出すので〜すっ!!
それが、スティーブン・キング!!
夏と言えばホラーですよね〜!!
そして、夏と言えば、=イコール私には、スティーブン・キングの季節なので〜す
この作品、『ドランのキャデラック』は、過去これまでも、(『ナイト・フライヤー』他ホラー作家の短編集・新潮文庫、等)これに含まれる短編は別の出版社などからも、出版されているんですね。
だけど、最近あまりパッとするような長編小説のないキングの、昔の作品集である、この作品。そしてそれの完全版であるということで、嬉しくなりました。全4巻中の第1巻が、この作品、『ドランのキャデラック』です。
そして、この原題“Nightmeres & Dreamscapes”のこの“序章”、これが私は大好きなんですよ〜。スティーブン・キングの、「悪夢と想像力について」論というべきか、彼が何故ゆえホラーを書くか?ということについての、率直な心情と信条が述べられている。久しぶりに読んで、とても嬉しくなりました。
ホラー嫌いな人にも是非是非この記事は読んでもらいたいな。
>子供のころ、わたしは耳で聞いたこと、本で読んだこと、そして自分の過熱した想像力から発信されたことのすべてを信じた。そのおかげでいくたび眠れぬ夜を過ごしたことか。
だが、それは私の住む世界に、生涯保証された安眠とひきかえでも手放したいとは思わない色取りと手触りを添えてくれもした。
わたしはそのころすでに、世の中には想像力が麻痺するか枯渇するかして、単色に近い精神状態で生きている人間があまりにも多すぎることを知っていた。
これら想像力にかける人々の多くが、単に私が理屈に合わないもろもろの恐怖におびえているだけでなく、ほとんどあらゆることを心の底から無条件に信じているという理由で、わたしを憐れむか軽蔑していたとは(少なくとも当時は)露知らず、いつも彼らを気の毒に思っていた。(『ドランのキャデラック』序より引用〜)
スティーブン少年は、幼い頃、“鉄のテント釘を使えば人間の影を地面から引き剥がすことができる(きっかり正午に)”とか、“街のあちこちで見かけるサンタは本物のサンタの手先だ”とか・・・
はたまた、“鉄道線路の上に10セント硬貨を置けば、最初に通りかかった列車が脱線する”とか、“流産では、出来損ないのモンスターのように生きて産まれてくることもあるから、【特殊看護人〜スペシャル・ナース】という不吉な名前で呼ばれる保健所の役人の手で殺してしまわなくてはならない”とか・・・。
そういったことの全てを、スティーブン少年は、信じていたのだそうです。
当時の彼の情報源は、友達の言ったことや、「リプリーの信じようと信じまいと!(Ripley’s Believe it or Not!)」と言うポケットブックだったそうですけどね(笑)
それらを子供の頃信じていた彼は、そういった想像の世界の産物を信じることが、彼の想像力を養っていた原動物だった、と言います。
>すぐれた物語は、想像力の引き金であり、想像力の目的は、それが無ければとうてい耐えられない状況や生活からの避難所を提供することである、とわたしは信じている。
もちろん私は自分の経験からしか語れないが、わたしの場合、子供のころ私を恐ろしさでしばしば夜も眠らせなかった想像力は、大人になってから苛酷な現実の恐ろしい連続を無事に切り抜ける助けになってくれた(引用 上に同じ)。
ホラーやUFOその他、あるかわからない馬鹿馬鹿しい物事の全て、これらを“信じるか信じないか”は、想像力の産物だという・・・。
中世では、普通の人々が、魔術を信じ、神罰を信じ、マリアの処女懐妊や、キリストの復活を信じていたわけですし(と、言って語弊があったらすみません)、現代の人々がUFOやツチノコやESPやポルターガイストを、信じたっていいじゃないか、なんて私は思います。
ま、そんな訳で、夏には是非、ホラーはどうでしょう??
スティーブン・キング原作の映画って、本当にレベルが低くて、(『スタンド・バイ・ミー』、『ショーシャンクの空に』、『キャリー』、・・・あと、ま、『グリーン・マイル』も一応入れるとして、それ以外)あまりこの括弧内に出した作品以外は、正直オススメできませんけどね(あっでも、『ブギーマン』は、ある方が★5つって言ってたな!)
2006/08/02 | 本
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コメント(12件)
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やわらか映画〜おすすめDVDさまへ〜
了解しました〜。今後もあのコメントが来るのですね。
遅くなっちゃいました。もしもバトンやらせていただきました。良かったら覗きにきてくださいな。
ジュンさんへ
おおー、了解です。UPありがとうございました!
早速、見に行きます。
私の名前を書いていただき、ありがとうございます。(「ボー」って…違うか…)
「グリーン・マイル」はハンドルネームの「ジングルズ」の生みの親だし、スティーブン・キングには足を向けて寝られません!
とはいえ、あまり読んでないんですよ。同じ系統では、クーンツは、よく読みました。
お気に入りに入れてもらって感謝です!<(_ _)>
ボーBJジングルズさんへ
ボーさん、原作の『グリーン・マイル』、読んだことありますか?すっごくいいですよ。
ジングルズが最後に“サーカスねずみの遊園地”に行くって、ブルータス達と言うんですが、映画でそこのシーンは使われていたかしら?
もしまだだったら、是非とも読んでいただきたいわ〜ん。
「Stephen Edwin King(スティーヴン・キング)」の感想
「Stephen Edwin King(スティーヴンキング/スティーヴン・エドウィン・キング/リチャード・バックマン)」著作品についての感想文をトラックバックで募集しています。 *主な作品:キャリー、ショーシャンクの空に、グリーンマイル、死のロングウォーク、バトル・ランナー、….
読みました! ハンドルに使ってるんだし、と思って、文庫版を何冊も読みましたよ。
映画で、そのシーンはどうだったか…。
映画は、あの悪ガキが憎たらしくて、ミスター・ジングルズより印象に残ってしまいました。
ボーBJジングルズさんへ
そうですねえ、『グリーン・マイル』は原作の良さが伝わらない作品でした・・・。映画も悪くないんですが、小説の方が何倍もいいんですよね。
ところで、TBが全然反映されないようです。BJさんのTBポリシーを4つ全て読んだんですが・・・記事中リンクは貼らなくてもいいんでしたよね?それぞれ4度づつTB出したのですが・・・。
こんにちは!
とらねこさんは夏休みになるとスティーヴン・キングを読むんですね♪
私も真似しようかしら?(笑)
『ランゴリアーズ』の感想を書いたので、恥ずかしいけど報告にきました。
感想と言っても、私の場合は本の紹介ですので超〜〜〜簡単に書きましたが(汗)
この本も面白そうですね。
またまたインプットしておきま〜す。
由香さんへ
こんばんは〜♪古いところにコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!
しかも、スティーブン・キングのところに・・う、嬉しい
『ランゴリアーズ』書きあがりましたか♪
そうなんですよ、私、夏になると、習慣でついついスティーブン・キングが読みたくなってしまうんです!
「これぞまさに私の夏休み」って感じなんです^^
『ドランのキャデラック』 スティーブン・キング
たまにはホラーもいいかなぁ… と思い、、、
「スティーブン・キング」の『ドランのキャデラック』を読みました。
でも、ちょっと後悔、、、
頭の中で物語の場面を映像化すると気持ち悪くなるような残酷なシーンが幾つかあり(ホラーなんだから当たり前なのですが… …