※4〜6.『ダ・ヴィンチ・コード(上・中・下)』
もう、かなり遅れて記事を上げた感はありますが・・・まだギリギリ公開中かな?・・・焦っ
ストーリーは・・・
(って、今さらストーリーもなんだけど、一応知らない人もいると考えて。)
ルーヴル美術館の館長、ジャック・ソニエールが異様な死体で発見された。
死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ビンチの最も有名な素描《ウィトルウィクス的人体図》を模した形で横たわっていた。
殺害当夜、ソニエール館長と会う約束をしていた、ハーバード大学、象徴学教授のロバート・ラングドン。フランス警察より調査協力を求められ、現場に向かう。
だが、現場に駆け付けたソニエール館長の孫娘で、暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く。そして一方、ラングドンは、実はソニエールのダイイングメッセージに、名前が上がっていたのだった。彼を罠にかけ、ハメようとする警察だった・・・。
あ、ちなみに私はまだ映画見ていないので、映画との違いについては述べることが残念ながら出来ない。でもたぶん・・・DVDがレンタルされるの、すごい早いんじゃないかと思うんだよね。
本の方は、かなり面白いです。何かの折に、しばしば蘊蓄(ウンチク)を語ります。でもこのウンチク・・・例えば《秘密結社》・・・秘密結社と聞いて、なんだかよく分からなくったって、ワクワクしない人間が一体どこにいるだろう?
はたまた、《ダ・ビンチの名画に隠された謎》だ、それから《聖書にまつわる、ヴァチカンが隠匿しようとした事実》・・・こう来て、好奇心が刺激されないはずがない。
《フィボナッチ式数列》は分からなくても、ちゃんと《黄金比》だ、《アナグラム》だと、誰もが一度は聞いたことのある、分かりやすいウンチクを手始めに、いかにも一般大衆を悦ばせるコツも得ているところが憎いところ。
不思議なことに、《黄金比》って、何度聞かされてもウットリしちゃうのは、私だけではないはず。
黄金比から、ラングドン教授の講義のシーンを導入して、アナグラム解析へと流れるまでのこの優雅な調べは、圧巻だ。
そして続くは、モナ・リザからソフィーの過去のフラッシュバックに至る。この辺りの描写、本当に掴みはOKというか、その後例え、ある程度グズグズしようとも、それらを導入に、徐々に、深みへと誘ってゆく。
Welcome to my world・・・ラングドン教授の姿を借りたダン・ブラウン、喋る喋る!
そして、映画では“アメリ”を演じたオドレイ・トトゥ。アメリでは謎を仕掛けて、マシュー・カソビッツを次の謎から次の謎へと誘った。
今回アメリは、私達と同じ、暗号を解読しつつ、謎を追う方の役だ。
「歴史上、多くの天才たちが、情報を保護するための暗号を生み出したと言われている。ジュリアス・シーザーは“シーザーの箱”と呼ばれる転置式暗号を考案した。スコットランド女王メアリーは、換字式暗号を作り、獄中からひそかに声明を発した。」
歴史の重みと、美術史学の美しさを湛えた、このように凝った謎仕掛けのミステリーは、ご存じの通り、ダン・ブラウンを一挙に億万長者にした。
謎仕掛けで導入することなく、普通に《キリスト教の真実!!》とのみ謳っていただけだったら、宗教学者しか相手にしなかっただろう。こうまで大衆受けしなかっただろう。
私は以前、シオニズムと言う言葉から、普通にシオン修道会を調べてみてびっくりしたことがある。眉ツバもんだな、とまるきり信じなかった。
だって“ストア派”みたいなものかと思っていたのに、全然違うじゃない。これが“フリーメーソン”のことならばすぐに信じていたはずだ・・・。ちなみにフリーメーソンはちょこっとしか言及されない。「シオン修道会とだいぶ共通点がある」くらいの、サラッとした記述だった。
しかしこの本をオススメしたいのは、誰もが興味あるであろう、キリスト教の真実を描いているところ。とは言え本人は、はっきりと、こう述べている。「信仰を真に理解する者は、その種の挿話が比喩に過ぎないと、承知しているはずだ。」
ええと・・・これって、当たり前の事のように、宗教を信じていない私には、至極マトモな意見のように思うのだけれども、やはりキリスト教原理主義者や、ストイックなカトリックには、聖書は史実であって神話ではないのだろう。
ちなみに、キリスト教の考え方を私は否定している訳ではないのであしからず。それどころか、自分、《天国と地獄》という概念は、かなり好きだ。あってもいいように思う。
ともあれ、コンスタンティヌス帝が聖書を編簿した、・・・どうも、その通りの事実であったようにしか聞こえないのだ。
ところで、・・・私の友達がいい事を言っていたので、彼の一言を言及して、筆を置きたい。
「人々の心の中にこそ神仏は存在すると、もうそろそろ人々は気付いてもいいはずだ。」
2006/07/14 | 本
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コメント(28件)
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TB,ありがとうございます。
素晴らしい批評ですね。感心してしまいました^^他のブログでは、めったにお目にかかれません。
僕は、映画にはかなり詳しいつもりですが、好きな監督で名を挙げていらっしゃるのは、ほとんど知りません^^;
好きな映画も、チラホラしか^^;
TBくれた「本が好き・・・」のアッシュとトグサは同一人物です。
今日は、トグサで代表させてもらいます。
後ほど、TBさせてもらいます。
「ダヴィンチ・コード」について
ダ・ヴィンチ・コード (上)
ダン・ブラウン, 越前 敏弥
ご存知、ベストセラーの「ダヴィンチ・コード」について語りたいと思います。
この本は、最初に美術関係への記載は全て真実だと断りが入れられています。小説の中で、ダヴィンチの描いた「最後の晩餐」などに今ま…
トクザ特命捜査官さま焦ります!
TB、コメントまで、本当に有難うございました!!
そして言い遅れました、初めまして!
げげっ!褒め過ぎですよ〜
そんなに言って下さるなら、もっと頑張れば良かったなんて思っちゃいます
私も本好きですよ〜。最近映画ばっかりなのですが・・・。トグサ特命捜査官さまを見習って、もっと本読もうと思います。
また、遊びに行きますね!
『ダ・ヴィンチ・コード』
なんだか、しばらく文庫化される気配が微塵もないので、
クールビズ仕様な経済状況なのに、とうとう、勝ってしまうま!
(でもブックオフで!←かしこい消費者!)
『ダ・ヴインチ・コード』上 下 /ダン・ブラウン
いやぁ〜!面白い!!面白かったっ!
ダヴィ…
コムバワー☆
必殺☆TB返す刀でコメント!!
この本は良く出来たエンタメでしたよねー。
白髭、久方ぶりにワクワクして読みました!
信仰の皮を被って、パワーゲームに終始する
宗教という名の企業を、盲目的に受け入れる神経が
わっかんねー白髭としては、
この小説相手に血気盛んに怒りまくるアレな人達の
思考回路の方が何倍も不思議発見☆です。
白髭さんへ忘れられたかと思いました。
こんばんは〜、おひさしぶりに、コメントありがとうございます!!
ううん、そうですね、だがしかし、やはりこれは、白髭さんの言うように、思い切りキリスト教に喧嘩吹っかけてる作品と、思いますねぇ。
この見方を異端と切り捨てるには、あまりにも一般大衆に読まれてしまって、さすがにヴァチカンが物申さざるを得なくなったんでしょうが・・・
そういうスタンスで来ると余計、この説が真実味を増してしまいますね。
どう考えてもコンスタンティヌスの編簿であったようにしか、もう私には思えませんもの。
って、長くなってしまった。
白髭さん、よく遊びに来てくれてるなんて、優しい言葉、ありがとうございます!!
私もしょちゅうお邪魔してますよ〜。
たまにはコメントくださいね〜
ダ・ヴィンチ・コード
ダ・ヴィンチの謎と真犯人を追え!
ダ・ヴィンチ・コード2006年公開原題:THE DAVINCI CODE監督:ロン・ハワード【ロバート・ラングドン】トム・ハンクス【ソフィー・ヌヴー】オドレイ・トトゥ【ベズ・ファーシュ】ジャン・レノ【リー・ティービング】イアン・マッケラ…
ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン 著『ダ・ヴィンチ・コード』を読みました。 とても読みやすい本で面白かったです。 話の展開がなかなか巧みで最後まで次はどうなるのだろうかと気を持たされました。 推理小説なので当たり前なのですが登場するすべての人物を犯人であるかのように匂…
小説「ダ・ヴィンチ・コード」/ダン・ブラウン
作:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥 観てから読むか読んでから観るか いつも悩みの種
こんにちは〜
映画を先に観てしまったので
ミステリーそのものを楽しむという
姿勢ではなく
あくまでも、映画と比較する
という読み方でしたが
とらねこさんの批評を読ませていただくと
やっぱり小説先に読めばよかったか?!
と後悔したくなります
何か、根本的な楽しみを、損した気分(笑)
ま、それが私のスタイルなので、
やっぱり後悔はしませんけどね
(どっちや)
ほんと「秘密結社」って聞くだけで
ドキドキしますよねぇ(笑)
小さい頃の図書館を思い出しました♪
まめさんへ嬉しいです!!
こんばんは。
私ってば、映画みないで小説で済ますって、よくするんですよ。
それで、DVD出るまでもたせるんですね(笑
なんか自分、基本的に本の方が好きな人間のようです。
たぶん、スティーブン・キングのファンは、“映画化”というものに、そもそも期待を抱けなくなってしまったんですね(爆)
でもまめさんも小説読む方なんですね
ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン
「ダ・ヴィンチ・コード」は、映画では描ききれないであろう豊富な知識と、綿密なプロットに支えられたエンターテイメント小説です。当初は映画を観るつもりでしたが、小説を読んで正解だったと思います。
キリスト教の聖杯伝説に関する記述は、ストーリー展開以上に面白…
とらねこさんトラックバック有難うございました!
ついにダ・ビンチ・コードですね、宜しく。笑い!
前のも今度整理して、見やすく致します。
尚、テンプレートはライブドアで探しまくり、一目で気に入りました!
イタリア・フランス・イギリスといい地図でイメージが湧く感じでしょう。
努力をお褒め頂き嬉しいです。(誰も誉めてくれないから!)
映画の紹介はとらねこさんで、ダ・ビンチ・コードの真実・解説は私のブログで!
PS,ダン・ブラウンの”天使と悪魔”はもっと面白いですよ。主人公は同じくラングドンで、この作品からダ・ビンチ・コードへと繋がっています。
★ダ・ビンチ・コード★が判らないあなたのために!
ダ・ビンチ・コードについてお知りになりたい方いらっしゃいませ。
ダン・ブラウンに代わりお待ちしておりました。
こんにちわ、初めましてミナミの吟遊詩人と申します。
皆さんは、もう映画ダ・ビンチ・コードはご覧になりましたか?
どうでした?面白か….
ミナミの吟遊詩人さんへ
あ、本当ですね!!すみません、私、タイトル変えたのかと思いましたが、違うIDをlivedoorでお持ちだったんですね!
そっか、後でホムペのように連動させたりも、じゃあ、なさるんでしょうか。
そうなんです。今頃読みました(笑)
随分遅かったです
『天使と悪魔』もまたいつか読もうと思っています!これからもよろしくお願いしま〜す(ペコリ〜★)
とらねこさん、TB&コメントありがとうございます。
なかなか面白い本だったと思います。
さすが、ベストセラーですねえ^^
でも、ただのサスペンスではなくいろんな資料を基に書かれているのも
また読んでいて面白みの一つですよね。
「へえ、なるほどね」的なものがかなりありました。
ダン・ブラウン。違う作品もぜひ読んでみたいですね!
『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン/著
(文庫版)「ダ・ヴィンチ・コード上・中・下巻セット」◇内容◇閉館後のルーブル美術館で秘密結社の総長ソニエールが殺された。彼は死の直前、不気味な暗号を犯行現場に残していた。その暗号を解くことができるのは、被害者の孫娘で著名な暗号解読者でもあるソフィー・ヌ…
ヘーゼル・ナッツさんへ
こちらにもコメントありがとうございます!
私もダン・ブラウンの他の作品、是非いつか読んでみたいと思います!
ヘーゼル・ナッツさんのところ、とてもいい雰囲気で、内容もテンプレートも、整理の仕方もとても好きです。
また必ずや遊びに行きますネ
「Dan Brown(ダン・ブラウン)」の感想
「Dan Brown(ダンブラウン)」著作品についての感想をトラックバックで募集しています。 *主な作品:ダ・ヴィンチ・コード、パズル・パレス、天使と悪魔、デセプション・ポイント、他 書評・評価・批評・レビュー等、感想文を含む記事からのトラックバックをお待ちしていま….
『ダ・ヴィンチ・コード(上)(下)』・本
ダ・ヴィンチ・コード(上)(下) ダン・ブラウン 〔訳〕越前敏弥 角川書店 (2004
ダ・ヴィンチコード 続編決定
ダン・ブラウン著作の大ベストセラーである「ダ・ヴィンチ・コード」がトムハンクス主演、ロン・ハワード監督で公開され、全世界で大ヒットしたのは記憶に新しいですよね。原作で「ダ・ヴィンチ・コード」を読んではまり、「ダ・ヴィンチ・コード」の秘密を解くための解…
映画 ” ダ・ヴィンチ・コード ”
原作が世界中でよく読まれているので わたしも映画化には熱い期待と興味シンシンが大きかった
あらすじを知っているわたしは 随所を俳優がこんなふうに演じてる と冷静に観てしまうけれど
原作を読んでいない人たちには 主人公たちが謎を解いていく高揚感は伝…
TBありがとうございます
映画に期待したのは 本からは想像しがたいルーブル美術館やあっちこっちの実在する教会の映像です
観光で訪ねる機会のない者には映画で観られるなら好機ですもん 笑
美術館めぐりの案内映画じゃないから じっくり見られなかったのがザンネンでした 笑
こういう機会にキリスト教を知りたいと思って 本の参考文献として載っていた書物を図書館へ予約して ほとんど読んでみました
読後感? え〜っと なんも残ってまっせん (-_-;)
華やぐ時間さんへ
こんばんは、コメントありがとうございます!
なんか、お手数をかけてしまったようで、すみませんでした(+_+)
livedoorって、コメの反映が遅い時あるんですよ・・すみません
そうなんですか、この機会にキリスト文献を漁ったのですね☆
私は・・聖書を読もうとしたのですが、なかなか進まず、そのまんまになっています。
映画はまだ見てないんですが、どうやら、納得いくものではなかったようですね☆
なかなか行けないところだからこそ、映像で堪能したいですよね☆
はじめまして。コンスタンチヌス帝が聖書を…..いい線いっていると思います。
tatuijinさんへ
初めまして。コメントありがとうございます。
>コンスタンチヌス帝が聖書を…..
これ、この本の中に一言だけ出てくるんですよ。
でも、こうした一言が、キリスト教世界の反感を買うのでしょうね。
またよろしくお願いします!
こんばんわ 本のコーナーにも遊びにきちゃいました〜。
実は私,叔父が牧師でして,(私も一応キリスト教徒ではあります)教会では「この本は読んじゃ駄目!」なんて言われてましたが,話題作って,読みたいじゃないですか。
でも,これが事実かどうかは考えないようにして読めば,蘊蓄やサスペンスがものすごく面白い内容でした。
蘊蓄の中では,私も黄金比が一番好き。キリスト教徒の私としては,黄金比が自然界のあらゆるところに存在する事実からは,かえって「神の創造」を感じたりもしました。
映画も観ましたが,これだけの内容をものすごい駆け足で説明するのがやっとと言う感じでしたね。
キリスト教徒にとっては,イエスに子供がいたという説は,天地がひっくり返るくらい(神性の完全否定だから)許し難いことです。でも,日本人にはその緊迫感を理解しろというのは無理でしょう。
ななさんへ
こんばんは〜★コメントありがとうございました!
そうだったんですか、牧師のお父様がいらっしゃるのですか。
お父様がこの本を読むのを禁止なさったとは・・・
なんだか、中世的ですね。
でも、「読むな」って言われたら、読みますよね。普通人間は・・・。禁止されればされるほど、やりたくなるのが人間かなあと思うんですよ(笑)
黄金比がお好きですか!そうですね、私もちょうど昨日、マイミクの方と黄金比の話をしていたところだったので、少しビックリしました。
黄金比に神の創造と、その美を見出す、普通に納得しますよ。素晴らしい神の技、と思いますよね。私は不信の徒なのに、軽々しくこう言ってすみません。
キリストに子供がいた、という話がかなりショッキングであるのは、日本人にも想像はつくと思いますが、どうでしょう。何百年もその話が禁忌として回避されるのも、理解できます。
あくまで想像の範囲内ですが。