50.カサノバ
温かくて、人間愛溢れる、ロマンチックコメディでした。
初めは、正直、ラッセ・ハレストレム監督が、この稀代の女キラーを・・・と言うのが、正直、はてなはてな?・・・と、思っていたのです。
一体、どう料理するのか、楽しみでもありました。
そして、もう一つは、ヒース・レジャーがこの役を・・・と言うのが、正直、不安で、私・・・。「ヒース・レジャーって、そんなにカッコ良かったっけ?」っていう。
少なくても、“ものすごい色男”と言う訳ではないし、「ブロークバック・マウンテン」のイニスのイメージが、まだまだ強くて。
イニスは、無骨で田舎のアメリカ中西部のカウボーイ・・・この役では、ヴェネチアの、都会派女ったらしな訳ですからね。
ところがどっこい!!
ヒース・レジャーは、やっぱりすごかった。うまい俳優だと思っていたけど、こんなにスクリーンで、魅力的になれる人なんですよね!!
垂涎モノのオーラを持って、輝いていた!
今までで、一番カッコ良く見えましたね〜。白いシャツ(胸はいつもはだけまくり)に黒いパンツだけで、あんなにカッコ良く見えるのは、やっぱり、肩幅の広さと、上半身の鍛えられた筋肉が、見え隠れするからなのだろうか・・・。
話し方だって、イニスの時とまるで違う・・・別人そのもの。
くぐもった様な話し方は同じなのに、出す雰囲気が全然違っていましたよ・・・
18世紀のイタリア・ヴェネチア。この当時の風紀は大変乱れていて、街全体が肉欲ムード一色。不倫・夜這いの横行する、当時のキリスト教社会には、眉をひそめられるような、そんな風土に、目と鼻の先にあるヴァチカンが、黙って見過ごす訳はなく・・・。
そんな時に、槍玉にあげられたのが、“恋愛の達人”として、一世を風靡し、今なお有名なジャコモ・カサノバ(ヒース・レジャー)。
女性なら、娼婦から貴族の令嬢、教会に殉じる修道女に至るまで、彼の腕にかかれば、拒めるものはいないという手腕、その恋人の数は130人にも及ぶという。
日本で言えば、光源氏?・・・ってありゃ、実在の人物じゃないか。
その彼にとって、初めて、鼻も引っ掛けられず、自分の恋愛哲学を真っ向から否定した女性、フランチェスカ(シエナ・ミラー)。
頭脳明晰で、才能溢れる彼女であったため、当時の時代性にあっては、思うように行動することができず、女性の権利が全く認められない時代に、一人歯がゆい思いをし、自分の名で著作をすることが出来ないため、ゴーストライターとして執筆をするフランチェスカであった。
しかしそんなフランチェスカも、家の窮乏にあえぐ母親からの、辛抱強いススメで、気乗りのしないお見合い結婚を、否が応にもせざるを得ない状況に陥っていた。
一方のカサノバは、今までの数々の乱行が仇になり、投獄か追放か、となってようやく、いやいやながらも結婚を決意し、身を固めるはめに。ある貴族の娘との結婚を決意した矢先に、フランチェスカに対する思いを強く抱くようになる。
だがその頃、バチカンよりとうとう送られて来た、プッチ司教(ジェレミー・アイアンズ)が、不貞行為・異端の罪で、いよいよカサノヴァを捕らえようと、執拗に彼を追って来ていた。・・・
この映画では、カサノバの女性遍歴のみが羅列されることなく、シェイクスピアのような古典喜劇で、とても楽しく、かつ安心して見れる、上質の作品であった。
最後、ポーシャを思いさせるところも、「ヴェニスの商人」のよう(ヴェニスはヴェネチアの英語読み)。
アクションシーンでも激しい音楽でなく、のんびりとしたクラシック・・・、こんな優しさも、とても見ている者には嬉しく、悪人や、苛められすぎもいなくて、ホッとする。
そして何より、映しているだけで画になる、ヴェネチアの風景が、またなんとも心地が良い。
あのゴンドラに一度は乗って、あんな風に傾かせてみたいなぁ。
そうそう、ヴェネチアでは、カサノバがつけていたような、仮面があちこちに売られているんだよね。
ところで、余計なお世話かもしれないが、シエナ・ミラーって、男装している時や、ナチュラルメイクの時の方がずっといい。アイメイクすればするほど、あまり綺麗には見えなかった・・・私も、気をつけなくちゃ(笑
パーティ好きで派手な行動をする人らしく、今後ゴシップを大いに聞かせてくれそうな女優さんなんだけど・・・まだ若いし、これからブレイクしそうではあるんだけど、ちょっとイマイチでした。
ラッセ・ハレストレム監督が、シェイクスピアに挑戦したかのように、今までで一番力量を感じてしまった。
想像していた以上に、とても素晴らしい映画だった!!
2006/07/02 | 映画, :コメディ・ラブコメ等, :ラブストーリー
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コメント(35件)
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『カサノバ』
—-カサノバって人、よく映画になるよね。
「うん。チラシの言葉を借りれば
<恋愛史上最も名高いプレイボーイ>。
その道を究めた人のドラマと言うのは、どんなものであれ、
それだけでオモシロいけど、
それが色恋ごととなれば、さらに映画向きってことじゃないかな」
—…
カサノバ
魅惑の伊達男、Viva Casanova!!
カサノバ@シネセゾン渋谷
映画監督など十把一からげでエゴイスト、総じて性格が悪いとふんでいるが、ラッセ・ハルストレムは別だと思う。人の良さが作品ににじみ出ているように感じる。
18世紀イタリアの水の都ヴェネチアで繰り広げられる愛の物語、その中心には常にジャコモ・カサノバがいた。3…
カサノバ
人類恋愛史上最も有名なプレーボーイ・・・ジャコモ・カサノバ
どうも実際のカサノバ自体もさほど美男子というわけではなさそう。
ヒースがカサノバ役なんて。どうして彼なのかよくわからなかったけど、映画を見て納得。
コメディタッチの娯楽作品で、18世紀の女性の立場を…
こんにちは!はじめまして。
TB&コメントありがとうございました。
どうも天邪鬼なものでして…もっと暗い涙する感動作みたいなものだったら評価が上がったのかもしれませんわ。汗
まあ、たまにはこういうドタバタもいいかなあ。(^^ゞ
今後ともよろしくお願いしますね♪
ラッセ・ハルストレムの映画はいつも優しさに満ちてますね。
大好きです。とか公言しながら、
今回ちょっとジョン・マッデンとごっちゃになってしまったのは内緒の話です。
シエナ・ミラーってまだ若かったんですか。
おお、まだ20代半ばですか。
今ちょっと調べてみました。
見えない…老けてる…
僕はブレイクしないとみました!w
カサノバ
カサノバ流愛の錬金術
カサノバ2006年日本公開原題:CASANOVA監督:ラッセ・ハルストレム【ジャコモ・カサノバ】ヒース・レジャー【フランチェスカ・ブルーニ】シエナ・ミラー【プッチ司教】ジェレミー・アイアンズ【ピエトロ・パプリッツィオ】オリヴァー・プラット【…
こんばんは、とらねこさん♪
カサノバ!素敵でしたね!!
「ブロークバック・マウンテン」で
ジャックと別れた後、崩れるように泣いて悲痛な演技を見せてくれたヒースの大変身!!ヒース・レジャーもなかなかスゴイ俳優ですね。やっぱり後味のいい映画って、いいですよね。DVDが出たら、また観てみようかな♪
『カサノバ』
『ショコラ』のラッセ・ハルストレム監督・・とよく形容されるが、私にとっては『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のハルストレム監督。あの作品が大好きだっただけに、ハリウッドに活動拠点を移してからの彼の映画には「特に彼じゃなければ撮れない映画ではないのに・・」…
Charlotteさんへ
こんにちは!わざわざご訪問、ありがとうございます!!
今まで、pcを繋げず、携帯の頃から
(これが非常に長かったのですが)
時々見させて頂いていたのですが、今回、初めてコメントを残してみたので・・・
こんな風に気軽にお越し頂いて、とても嬉しいです、ありがとうございます。
いやいや、私、ひねくれ者・天邪鬼な方は大好きなのです。変人も変態も大歓迎なんですよぉ
これからもよろしくお願いします。
現象さんへ
連日、TB&コメントさせて頂いちゃってます・・。
ええっ、ジョン・マッデン!?
なんで、こんな短いコメントの中で、私のツボを押して大爆笑させてくださるのですか??
・・・もう、ハマリ過ぎちゃいますよ!!
シエナ・ミラー、ジュード・ロウと婚約&破棄したのですが、あの男とは結婚しなくて良かったです。
そ〜か、ブレイクはしませんか、了解しました(笑
Pamyさんへ
そうですね!優しくて温かい、ワクワクするコメディで、安心してみれましたね
ヒースって、ナオミ・ワッツとのゴシップの頃、写真で見ていて、そんなにカッコいいと思ったことありませんでした。
でも、ブロークバック〜にしろ、このカサノバにしろ、スクリーンで見ると、なんてカッコいいんだろ〜
演技がうまいところが、今後も応援したくなるんですよね。
おはようございます!
たくさんのコメント、ホントにありがとうございました!
ごめんね・・・とらねこさん、やっと来れました。
カサノバ、良かったでしょ?睦月ね、運よく、ロス行きの飛行機の中でこれをやっていて2回目の鑑賞が出来たんですわ。
ヒースってよりは、やっぱハルストレムの手腕と、脚本の巧さが素晴らしい作品だと思いました。
実際のヴェニス・・・、やっぱとっても美しいところです。
睦月さんへ
おはようございます
いやぁ〜、今回の睦月さんは、本当にすっごい体験をなさいましたね〜!!!
眠いだろうに、記事をすぐ上げて下さって、本当に私、影ながらありがとうx2って、感謝の気持ちでいっぱいでした。
睦月さんが睡眠不足と戦いながら、とても素敵な記事を書いて下さって。
そうですか、ロス行きの飛行機で、カサノバやってたんですね。
そりゃ、寝る訳にはいきませんね。
他は何やってましたか?
記事で、上げて下さいよ〜
★「カサノバ」
2006年6月17日の劇場公開日のナイトショウで観てきました。
ひらりん的には「カサノバ」って聞くと・・・
ちょっとエロチックなイメージだったけど・・・
予告編では「恋愛至上主義」・・・なーんてキャッチコピー。
『カサノバ』・試写会
特に興味があったわけでもなく、応募した記憶も全くないのだけれど 最近あまり試写会に当たっていないので
ステキな映画でしたね。
久しぶりに楽しめたロマコメだった気がします。
最初の印象とのギャップにもやられてしまいました。
好きな映画です。
しましまさんへ
こんばんは!!コメント、先日はたくさんTBいただき、ありがとうございました!!
そうですね、カサノバの女性遍歴ばかりがただダラダラと長く続くストーリー展開ではなく、なかなかのクラシックな味わいがまた良しな、上質のコメディでしたね。
『カサノバ』
楽しくて美しくてロマンチック。
カサノバ様と一緒に気球に乗りたい。ゴンドラに乗いたーい。
18世紀、ヴェネチア。生涯に1,000人の女性とベッドを共にしたという伝説のプレイボーイ、カサノバの物語。え?ラッセ・ハルストレムがイタリア舞台でコスプレ時代劇?! え?…
カサノバ
Casanova Femur 1753年 ヴェネチア。 人妻も修道女も時も場所も選ばず、誘惑し誘惑され色恋に耽る噂の男、ジャコモ・カサノバ(ヒース・レジャー)。 そんな彼がついに捕まり、ダルフォンソ審問官(ケン・ストット)はついに縛り首に出来ると喜んだのも束の間、総督(テ…
とらねこさんの感想を拝見し、コメントするのを躊躇ってしまいました。
きっと哀生龍の感想を読んで、がっかりされたんではないかと・・・
哀生龍が期待した内容と描き方が違っていたのと、ハレストレム監督との相性があまり良くないのとで・・・(^^ゞ
>ラッセ・ハレストレム監督が、シェイクスピアに挑戦したかのように
実は、シェイクスピアが得意なケネス・ブラナーが格調高く作ったら、どんな感じになるんだろう・・・
と、見た後に胸の内で思った哀生龍なのでした。
哀生龍さんへ
こんばんは★コメントありがとうございます!
>とらねこさんの感想を拝見し、コメントするのを躊躇ってしまいました。
>きっと哀生龍の感想を読んで、がっかりされたんではないかと・・
あら〜☆私は、哀生龍さんの記事を読んでも映画の内容がうすらぼんやりとしか思い出せず、
哀生龍さんにコメントを頂いてようやく自分の記事を読み、「あ、こんなこと書いてたっけ」と思いました・・・笑っ
ケネス・ブラナー、私も大好きです!
いやはや、ケネス・ブラナーは、サーと呼ぶべきでしょうか?
TBいただいたエミリオ・エステベスもそうですけど、俳優として素晴らしく才能のある人が、監督業もこなすマルチな人って、本当に凄いなあ!と先日あらためて思ってしまいました。
こんにちは。
これ、すごく楽しかったです。
最初は、
「ふ〜ん、ヒース・レジャーがプレイボーイの役なんだー、へー」
くらいに思っていたのに、どんどん素敵に見えてきちゃいました。
この内容がしっとり大人っぽくではなくてコメディタッチで描かれているのがすごくいいな〜って思いました。
カサノバ
カサノバ
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ、オリヴァー・プラット、レナ・オリン、オミッド・ジャリリ、ナタリー・ドーマー…
「恋愛至上主義
100万
ひめさんへ
こんばんは〜☆コメントTBありがとうございました!
お返事遅くなってしまって、本当にすみませんでした!
私も、初めは「ふーん、ヒース・レジャーが、へ〜」てな感じでしたヨ♪
それが、だんだん、「ほう?」となり、「ホウホウ♪」と、調子が乗ってきましたよ。
この俳優さんも、今後が楽しみな一人だったりします。
この人、なかなかの実力派ですよネ。
カサノバ
2006年:アメリカ
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ、オリバー・プラット、レナ・オリン
史上最も有名なプレイボーイ「カサノバ」を主人公に描く痛快恋愛コメディ。18世紀のヴェネチア。修道女との情事が….
カサノバ
レンタルで鑑賞―【story】あらゆる女性をその魅力で虜にするカサノバ(ヒース・レジャー)は、不貞や異端行為の罪で死罪を言い渡される。ヴェネチアの総督のとりなしで、なんとか無罪放免になったものの、まもなく始まるカーニバルが終るまでに良家の子女と結婚するように命…
こんにちは!
先日レンタルで鑑賞しました。
私もヒースがカサノバって事にピンときませんでしたが、すごく似合っていましたね〜
コメディタッチのストーリーがツボだったようで楽しく鑑賞出来ました♪
由香さんへ
こんばんは〜♪コメントTB、ありがとうございます。
そうですね、この時、ちょうど『ブロークバックマウンテン』の後で、ヒースが出るというだけで、喰らい付いてしまった私でした。
コメディタッチも楽しくていいですよね★
カサノバ
私は女性のために生まれ、つねに女性を愛し、愛されるよう務めた。
ジャコモ・カサノバ「回想録」より
原題 CASANOVA
製作年度 2005年
上映時間 112分
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ヒース・レジャー/シエナ・ミラー/ジェレミー・アイアンズ/オリヴァー・プ…
こおんばんは!
>あのゴンドラに一度は乗って、あんな風に傾かせてみたいなぁ
いや〜〜ん、とらねこさん♪大人の発言〜
ギラついてないプレイボーイが何気にはまっていたヒースに萌え〜でした(笑)
シエナ・ミラーはワタシもやっぱ微妙でした
kiraさんへ
こんばんは〜♪コメントTBありがとうございます!
ハハハ♪大人の発言でしたか
でも、このゴンドラを傾けるシーン、
夢とユーモアとエロスが入り混じった、素敵な1シーンでしたね
ヒース良かったですね〜♪
≪カサノバ≫
カサノバ
¥3,192
Amazon.co.jp
(WOWOW@2007/10/27)
原題 CASANOVA
製作年度 2005年
製作国 アメリカ
上映時間 112分
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ヒース・レジャー 、シエナ・ミラー 、ジェレミー・アイアンズ 、オリヴァー・プラット 、…
カサノバ
『恋愛至上主義 100万もの恋か、ただひとつの愛か…』
ってなワケでコチラの「カサノバ」は、6/17に公開になった伝説のプレイボーイのラブストーリーをラッセ・ハルストレム監督が描いた映画なんですが、今日は映画の日〜♪って事で観てきちゃいましたぁ〜v( ̄Д ̄)v…
カサノバ
恋愛至上主義 100万もの恋か、ただひとつの愛か・・・