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46.テッセラクト

2ef07d7f.jpg原作がアレックス・ガーランド(「28日後・・・」「ザ・ビーチ」)であるからと言うより、「the EYE(アイ)」のオキサイド・パン監督なので、見たかったこの作品。
だけど正直、あまりパッとしなくて・・・CG等の映像技術者である、弟のダニー・パンがこの作品では携わっていないので、自分はダニーの方がパン兄弟では好きなのかも、なんて思ってしまった。


:::ネタバレも多少含みます:::


タイのオンボロホテルで、麻薬取引の相手を待つ、イギリス人の運び屋、ショーン(ジョナサン・リース・マイヤース)。
一方、心理学の調査でやって来た、女性心理学者のローザ(サスキア・リーブス)は、この朽ちたホテルに住み込みで働く少年、ウィット(アレクサンダー・レンデル)に見た夢の内容をインタビューする。
少年の夢の内容は、大男が夜這いに来る、女性の死体を発見する、など異常さを伴うものであった。
だが、翌日、実際に女性の銃殺死体が発見される。運び屋のショーンは、その頃、取引相手の地元のヤクザに出会い、ブツを渡されていた。


・・・ 時系列が多少複雑になっていて、冷たさを感じさせるセピア色の画像、なかなかスタイリッシュな感じを与えるのだけれども、残念ながら、ストーリーに引き込まれる事のないまま、淡々とラストまで向かってしまう。
少年ウィットが語るセリフ「運命と同じで見る夢は選べない・・・扉を開けるまで、扉の向こうに何があるか分からない。箱の中身が何であるか知りたければ、それを開けてみなければ・・・」


このシーンは、夢を語るホテルの部屋と最後にもう一度、少年の語るシーンが付け加えられているのだけれど。
なんだか唐突で、なんとなくシメのために持ってきた感が・・・。
もう少しテーマとして描くのであれば、扉の向こう側にいる映像や、箱を手にしたシーンを印象的に映し出してくれれば、もう少し纏まったんじゃないか。

心理学者のローザが、少年に興味を示して、自分の抱える悩みや、少年の理解力を超えた話を無理やり語って聞かせたり(“逆転移”であるのだから、心理学者ならもう少し自分の心の動きに自覚的であるべきなのにねぇ・・・)。


その上、麻薬を「ドリアン・プリン」と渡されて、へぇ〜、ドリアン・プリン・・・と、アッサリ信じ込んでしまったりします・・・。“ドリアン・プリン”って、何やねん!?


全体的に、もう少しな印象。
少年ウィット役のアレクサンダー・レンデルは、タイ人とイギリス人のハーフで、映画は初出演ながら、なかなかに印象的。
素直そうな瞳の割に小ズルく、最下層の生活を送らざるを得ない少年の役を、すんなりこなしていた感じでした。


 「the EYE」を監督した時は、「なかなかに本格的に怖いホラーが現れた!!こいつは、天才だ!!」と、パン兄弟の出現にかなり喜んだんですよね。
その一番素晴らしかったのは、お化けを撮る映像技術だったので・・・ダニー・パンが、元CG技術者なので、もう、細部までコダワリのある幽霊が、美しいわ、心底ゾワ〜っと来るのが、カッコ良かったんだけど。
トム・クルーズがハリウッド・リメイク権を買ったといっても、どうせ「リング」みたいな事になるんじゃないかな。
あるいは、「オープン・ユア・アイズ」か。

 

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コメント(2件)

  1. テッセラクト

     コチラの「テッセラクト」は、ハリウッドでジェシカ・アルバ主演でリメイクされた「the EYE」のオキサイド・パン監督のサスペンスです。
     原作は、「ザ・ビーチ」のアレックス・ガーランドのベストセラー「四次元立方体」。タイトルの「テッセラクト」とは、この四次元…

  2. テッセラクト

    どの辺が四次元かはさておきタイ発スタイリッシュ系
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