31.隣人13号
獅童のブチキレ演技が見たくて☆ 前から気になってはいたんだ。
でも、原作コミックをず〜っと前に読んだ私には、ちょっと・・・。
映画の出来はいまいちに感じてしまいました。
小学生の頃、いじめを受けた十三(じゅうぞう)は、そのトラウマから二重人格に。
おとなしい好青年の十三の中に、“13号”と言う名の殺人マシーンが生まれてしまう。
そして、二十年後、いじめっ子赤井(元・暴走族のアタマ)と同じアパートに住み、同じ建設現場で働き始めると・・・。
隣人13号 SANTASTIC ! BOX
狭いトイレに閉じ込められた記憶から、閉所恐怖症気味であり、13号がチラチラ顔を覗かせる様になる。
理科室のイジメで硫酸をかけられた十三は、もう顔は治っているのに、13号・獅童の顔にはケロイドの跡と、左目が濁っている演出。
う゛〜ん・・・。
井上三太の原作は、読んだ直後、軽く病んじゃうような、ドロドロ感があって・・・
あのバランスのおかしい、ウマ下手な独特のタッチを直視しているだけで、オイラ、病気になりそうやったもん☆
『隣人13号』もね、いかにも、漫画家になったはいいけど、売れない、“漫画家と言う名のヒキコモリ青年”が、狭くて、キッタネー部屋で、自分の想像のうちに、グログロ彷徨っているうちに、妄想の迷宮にハマりこみ・・・隣りのアパートの薄い壁から洩れる音に、妙に敏感になり・・ある日ポン!と、
「ヒィーホウ!!!」と出て来てしまった、イヤ、生まれてしまった、井上三太自身の分身、それが隣人13号なんじゃないでしょ〜か。
そんな訳だから、物語自体も、きちんと練り上げられていないんですわ☆゛
何しろ、病んだアタマが生み出した、イヤ“膿み”出したモノ、なのであるから、明確な分析も、ヘッタクレもないのです。
・・・だけど、だからこそオッソロシイ、触れたアナタも病んじゃうよ、っていう、妙な気迫が、このカルト漫画にあって。
これが映画化されたのも、もう奇跡のような事で、井上三太自身が、一番びっくりしたんじゃないかなあ。
これを映画にするなら、もっとカメラで遊んで欲しかったなあ。
ちょっとおとなしい感じがしちゃった。
狭いトイレを上から映した画は、閉塞感があっていいんだけど、十三の心を描いた、赤い画像の小屋を、もっと使っても良かったんじゃないのかな〜。
でも、赤い小屋の中で、十三と13号がテクノダンスを踊る・・・
これは、イカレてて良かった。
『殺し屋1』が先に映画化されたので、このカルト作品も、と言う事になったんだろうけど、『殺し屋1』は、原作コミックがもう、もの凄い。
『隣人13号』よりもっともっと病んでるんだけど、もっと深く切り込んでるんだよ・・恐ろしいのなんの。
『殺し屋1』と『隣人13号』は、いじめられっ子がトラウマにより、二重人格的に殺人マシーンを、自分の中に生み出してしまう。
その辺りが物語の発端として、共通してはいるんだけれど、そのまま終わっちゃった『隣人13号』に比べて、『殺し屋1』は、どんどん話が広がって展開して行き・・・なおかつ、ありとあらゆる人間の変態性向を全て描き、浮き彫りにしていて、まことにもって凄過ぎな“一大変態絵巻”と化しているのである。
・・・それを映画にしちゃった、三池崇史もすごい。
一面血だらけになる様も、リアリティを追及するんでなく、漫画らしさを追及するっていう、アメリカ映画と全く逆を行く方法論で。
あれを見たタランティーノが、『キル・ビル』、ロドリゲスが『シン・シティ』でその方法論を試してるんだろうけど、三池さんには遠く及ばない感じ。
肩を並べるまでになってるのは、パク・チャヌク『オールド・ボーイ』で、カメラで漫画画像の様に遊んでるのが、本当スゴかった・・・。
だけど。赤井の妻役、PUFFY由美も、平素、感じが良く、“いいお母さん”な時と、族のアタマの女だった時代や、警察にブチキレる辺り、ここら辺もかなりな二重人格ぶりで、コノ女にも“隣人”はいそうですぜ(笑)
・隣人13号@映画生活
2006/05/30 | 映画, :ホラー・スプラッタ
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こんばんは〜とらねこさん♪
またまた、お邪魔(笑)
この映画ってコミックが原作なんですね。
中村獅童のブチキレ演技には興味あるかも〜(笑)
特にファンというわけではありませんが
あの人のアブナイ系の演技はスゴイですよね。
隣人13号
【映画的カリスマ指数】★★★★☆
あなたの中に『隣人』はいますか?
こんばんわ!!
TBありがとうございます!
こういうカルトチックな作品は
大好き。「イタイイタイ!!」と
連呼しながら絶叫する獅童ちゃんは
ホントに不気味だった(苦)
ちなみにコミックは読んでないの。
殺し屋1はやっぱすごいの?
コミックは読んだ。すごかったなあ。
映画の方は三池監督だものね。実は三池作品、ほとんど観たことがない睦月。
つい最近、やっと観始めたの。
これからもっと頑張って網羅しよう
と思う。
そのDVDが友達の家にあって、
貸すよ〜見てみ〜!えぐいよぉ〜
と言っていた。そして、借りるのを忘れた。
Pamyさんへ☆
コメントありがとうございます。
獅童、『今会い』のすぐ次がコレなんですもんね〜。
そのセンスがまた良いですよね(笑)
でも、正直あんまりオススメは出来ません・・・(汗)
でも、Pamyさんみたいなかわいらしい人が、こんなとこに来てくれちゃった事そのものに、ちょっとウケた、とらねこです(笑)
睦月さんへ☆
そうなんですよ〜!!
しばらく、痛い時やイタイ時に、「イタイイタイイタイイタイ・・・」
と、“獅童”入っちゃいそうですよね〜!(爆)
『十三号』も『イチ』も、いじめられっ子がトラウマにより、二重人格的に殺人マシーンになっちゃうところが、この二つのコミックの発端として一緒なんですが、
その後の展開のさせ方が『イチ』では深さがまるで違うんですよね〜。
三池さんの映画も本当スゴかったですよ!
睦月さんもイチ読まれたんですね☆
なら、大丈夫でっす!!(笑)
あの当時はコミックがまだ終わってなくて、三池さんなりの終わらせ方になってるところが、原作と違うんですよ〜。
でも、三池さんのラストの方が、私は好きです。
見たらまた、感想聞かせて下さいませ〜!!
ケーコさんへ☆
ケーコさん!コメントまめに下さり、ありがとうございます!!
うれしいでっす(^-^)
お友達がオススメされたんですね(笑)
う〜ん、とらねこはオススメとは言えませんが・・・(笑)
これを観て、ケーコさんの中の“隣人”が生まれてしまわない事を、祈るばかりです!(爆)
見たら感想聞かせて下さいね〜☆
隣人13号 06年129本目
隣人13号
2004年 井上靖雄 監督 井上三太 原作中村獅童 、小栗旬 、新井浩文 、吉村由美 、石井智也 、三池崇史
カリスマ漫画家・井上三太 の人気コミックを実写映画化したサイコサスペンス。小学生時代にイジメを受けた男が、狂暴な別人格と共に壮絶な…
こんばんは!TB&コメ、ありがとうございました!
この映画、最後急にトーンダウンしてしまいましたが、原作って、最後までいっちゃってるんでしょ?
そか、、、殺し屋1ね、あたし、浅野、好きなんですケド、見るの忘れていました。
またよろしくお願いしますね。
猫姫少佐現品限りさまへ
こちらこそわざわざのご訪問ありがとうございます〜!!
こちらこそよろしくお願いします。
ようやく猫姫さんのところへTBを出すことが出来てとっても嬉しい私です
原作は、なんと言うか、“理屈もへったくれもなし”みたいな、不気味さが怖いのですが、一番怖いのは、原作者本人が、かなり病んでるところです・・・(滝汗
私も浅野好きですよぉ〜猫姫さま。
邦画の俳優の割りに、力の抜けてる演技と、存在感がありますよね〜
『隣人13号』
小学生の頃にゴキブリを無理矢理食べさせられたり硫酸を顔にかけられるなどの酷い虐めを受け続け、学校を出て行った村崎十三(小栗旬)。
あまりに惨たらしい虐めの数々によって生み出された憎悪の念は彼の体の中に13号(中村獅童)という凶暴な別人格を創り上げること….
隣人13号
今、隣人13号に会いにゆきます。
隣人13号
2004年/日本
監督:井上靖雄
出演:中村獅童、小栗旬、新井浩文、吉村由美
他のDVDに収録されていた予告編を見てとても気になっていた作品。
初めて映像を見た時の中村獅童の不気味さ・・・
小栗くんは私の中では好感度の送
隣人13号
え?ラスト、一体どうなっちゃったの?
あまり何も考えずにボーっと観てたので良く分からなかった〜
イジメる方はすぐ忘れちゃうかもしれないが、イジメられた方はいつまでもずーっと覚えてる・・・で、あなたは一生誰かに恨まれてもイジメやめませんか?的な教訓映画なん…
隣人13号って怖いの?
サイコ・サスペンス邦画
ホラー映画初心者のすけきよです。賛否両論ある作品「隣人13号」見ました。
あらすじ:かつていじめられっ子だった村崎十三は、一見穏やかな青年に成長し、建築現場の仕事に就いていた。だが、彼の肉体には凶暴な別人格”13号”が巣食っていて…
隣人13号
{amazon}
昨今、ありがちな多重人格障害を扱った映画『隣人13号』
これだけ多重人格系がテーマになりやすいのは、前回も書いた
通り、高度情報化社会による共同体の崩壊が大きな原因と思われる。
共同体崩壊前は、同心円的に中心に自分がいて、その