28.夜になるまえに
ハビエル・バルデム、2000年のアカデミー主演賞ノミネート作品。
レイナンド・アレナス、キューバの亡命作家を、確かな演技力で魅せている。
ハビエル・バルデムってば、顔がメチャ濃くて・・・目も口も超〜大きくて、鼻はそびえ立つ彫刻か、モアイ像か、てなぐらいに大作り。体もかなりデカい。
・・・何もかもがスケールの大きい、スペイン映画の星★だ!!
のっぺりアジア人な私には、本当言うと、ちょっと、この顔の濃さについていけないんだけど・・・、俳優は顔じゃなくて、やっぱりその演技力が、一番の魅力じゃないですか!!ねぇ。
遅らばせながら、『海を飛ぶ夢』以来、彼のファンです。あの時は実年齢より、30歳近い年取った役をやっていて。映画の途中で、若い頃の役を、本来の自分の姿で演じていて、「んんッ!?」と、初めて気付いた私。
本当、演技の素晴らしい人なのだ!!
この作品では、革命の理想に触発されながらも、個人の体当たり人生を生きた、ホモであり、新進気鋭の作家、の役を、堂々と演じている。
ストーリーは、“裏側からのキューバ革命”と言うべきか、芸術が総て、“反革命分子”とされる時代。ホモとして生きることや、本を執筆すること、それだけで糾弾される、カストロ政権下のキューバ、60年代〜70年代。
映像の中で、何度となくチェ・ゲバラの肖像画が掲げられているけれど・・。でも、『ゲバラ日記』のような凄惨な戦いの記録ではなく、こちらの方は、《ペンは剣より強し》・・・と言うより、自由な精神を持つ、個人の人生、その克明な記録なのです。
最後まで、ホモの関係性こそ持たずとも、真の友情を築いた、ラサロ(オリビエ・マルチネス)との出会いと別れ・・・これに、グッと来たね。 海の映像が多いんですが。
海は、レイナンドにとって、のびのびと生きる場所、本来の自分に戻れる場として描かれている。ラサロが引用した、メキシコ人詩人の、空と海についての詩が印象的だ。
《一日の終わりに海で死にたい。顔を空に向けて。苦しみはただの夢に思え、魂は空を飛び回る鳥のよう・・・》
レイナンドの人生、投獄されたり、弾圧されながらも、なんとか自由に生きようとした、そんな人生を、生きる場―海、として、空―に思いを馳せるのが美しい1シーンだ。(途中、鳥のオマージュも出てくるしね)
話は変わるが、フランス人要人との出会いにより、何とかフランスにて本を出版する機会を得つつも、海水浴中に、服を奪われ、あらぬ疑いをかけられ、赤い海パン姿で、ひょんなことより投獄され・・・そのまま、赤い海パン姿で、海を泳いで脱獄。
そう来たか!!とびっくり。
その後、家まで戻って来て、即刻逃亡の準備を計る。・・・クドイけど、赤い海パン姿で、浮輪で海外逃亡・・・ラッコスタイルに泳いで、ですよ。(ばしゃばしゃ)
クドイけど、赤い海パン姿で・・・(笑)
これにはちょっと笑った(笑うとこじゃないけど)。
特典映像は、ジュリアン・シュナーベル監督の娘、ローラ・シュナーベルによる、ナレーション付の撮影背景を載せている。自分で撮った映画に感動して、涙を流すシュナーベル監督の姿が、微笑ましい♪
シュナーベル監督のアトリエも、特典映像に入っているし。『バスキア』を撮った彼自身、絵画も描くアーティストでもある。彼の描画法は、筆を使わない、ちょっと変わった物だけどね。特典映像で、そこら辺はご確認アレ☆
ところで、ジョニデのいきなりの登場に、かなりびっくりした。『フレンチな幸せの見つけ方』以来の驚き・・・いや、『プラトーン』か! ところで、刑務所内のドラッグクイーン、ボンボンが、やたらカッコ良かった♪
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コメント(20件)
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先ほどはオイラのブログに遊びにきていただきありがとうございます。
映画のことを書かれておられるのですね。オイラは映画は詳しくないのですが、また寄らせていただきます。面白いコラム期待してますね。
ジュンさんへ☆
コメントありがとうございます。
そうなんです、私のブログは一応、映画ブロ‥さぼりまくっているのですが‥。
ジュンさんはスポーツですもんね‥本当、天と地みたいに違うんですが。
でもジュンさんの記事の、徹底して正確な記述と、内容の濃さ、
スポーツの詳しくない私にも、とても面白く読めるので、すごく助かります。
ブルーザー・ブロディ‥『プロレス烈伝』思い出して泣きそうになりましたよ!
また遊びに行かせてもらいますね!
ごていねいにりょも!!プロレススーパースター列伝をしってるのかな。嬉しい限りです。オイラのブログはスポーツ全般で特に格闘技とかプロレスとかを扱っています。後、K-1選手の我龍真吾を応援しておりファンクラブのスタッフもやっております。
もしよろしければ相互リンクをしてもらってもよろしいでしょうか。
オイラも過去記事読んでいたらとらねこ殿の記事もおもしろかったもんで・・。
よろしくです。
ジュンさんへ☆
ありがとうございます。
リンク、是非貼らせて下さいませ♪
私は、ジュンさんの記事を読んで、ぺろっとK-1の知ったかぶりをしよう♪
‥と思って(笑)、勝手にお気に入り登録させていただいておりました〜☆゛
リンク貼らせて頂ければ幸いです。
ですがうち、引っ越したばっかりで、実は来月早々に光に繋ごうと思っていまして‥、
まだ携帯で操作している状態ですので、
しばらくPC画面にリンクを反映させることが出来ません(゚Д゚;)
申し訳ありませんが、少しだけお待ち下さいませね!!
こんにちは〜初めまして♪
睦月さんのブログ経由で遊びに来ました〜(^^)
この映画、突如としてジョニーが
登場しますが存在感ありますよね!
ボンボンも色っぽいし!
スクリーンで観るジョニーが大好きなのです(^^)
Pamyさんへ☆
おぉ!Pamyさん!
Pamyさんじゃありませんか!!
ようこそ、お越し下さいましたo(^o^)o
Pamyさーん、私もジョニー、大好きですよぅ。
ジョニーの出演作は、本当にいい映画が多いですよね。
ジョニーを知るだけで、いい映画に出会えるのだから、
ジョニーファンの方も「間違いない」と、私思っています。
ところで、どうでしたか、このハビエル・バルデム?
ジョニーの股間でスーハー、スーハー‥
股間がドアップになっていましたね(大爆笑)
ところで、この中尉=ボンボンだったのでしょうか?
このドラッグクイーン、ジョニーにそっくりですよね。
化粧が濃いので、断定が出来なくって。
メイキングも見たのですが、ジョニーのように見えましたけど‥
Pamyさん、何かご存知ではありませんか?
こんにちは。とらねこさん♪
ジョニーファンの方と語り合えるのは
とっても嬉しいです!!
ホントホント、
ジョニーの出演映画を選ぶ才能は
凄いなと思っているのです。
で、観る側もいい映画に出会える事が
できるんだなあと。
<ジョニーの股間でスーハー、スーハー‥
股間がドアップになっていましたね(大爆笑)
うはは、もちろんドキドキしておりました(爆)
目力がスゴクて圧倒されてましたね〜。
この映画のボンボン、色っぽいですよね!!
私なんかより、よっぽど色気があります(笑)
お察しのとおり、ボンボン=ジョニーですよぉ〜!
とらねこさん、よくピンときましたね。
さすがです!!
ボンボンの写真がみれますよ↓
http://blog.goo.ne.jp/johnny_diary3458/e/4045832d77808dc49b8262fe7a109501
また、遊びに来ますね♡
Pamyさんへ☆
やっぱり、あれジョニーだったんですね。
ボンボン、半ケツも出していたし、化粧もすっごくかわいかったですけど〜!!(爆)
世界の全女性のほとんどが、かなわないほど、美しかったんですけど〜!!(泣)
股間のアップは何度も撮るわ、女装は決まっているわ‥
こりゃ、ホモのジョニーファンが一気に増えたでしょうなあ。
マストアイテムですね(汗)
こんばんわ!
おお・・ここでPamyさんの
お名前を見つけてしまった!!
みんなつながって、仲良くなっていく
ことはとっても素敵なことだ♪
Pamyさんとこはウチなんかよりも
ずっとジョニー情報がテンコ盛り
なのよう!
もう知ってしまっただろうけれど・・
中尉とボンボンはジョニー。
2役なのよね。
あのジョニーはとってもキュートで
綺麗!!
そういえば、外国のホモサイトに
ジョニーの写真がたくさんアップ
されていて・・・少しびっくりした
ことがある・・(笑)
睦月さんへ☆
睦月さん‥フルフルフル。
これは睦月さんの《変態修行》ですか。
そうですかそうですか。
いつものURLが違っていて、
「アレ‥誰だっけコレ?見たことはある。
確か、shawshank→『ショーシャンクの空に』も、感動モノも、全然似合わない人だったような‥
と、ここまで覚えていた私、偉い。
そう‥
いつの間にか、蔵六さんの『変態村』へと誘われていた私。
フッ、アルバトロスから自然な流れで、『変態村』へ(ぷぷぷ‥うまいわ)。
私はアルバトロスは、『キラーコンドーム』『えびボクサー』、そしてえびボクサーのポスターが部屋に飾ってある。
あと、昨日借りたばかりの『悪魔の毒々モンスター』が手元にあるなあ‥
って、もしも〜〜し!!
いつの間にか変態修行されている!!
MOCOさんだけじゃなく、私の事も変態にいざなうのね!!
そんなあ〜!!
戻って来れないじゃない!!
・・・・
こりゃ、『ぼっけぇ、きょうてぇ』見るしかないな。
アンダー・プレッシャー
夜になるまえにアスミックこのアイテムの詳細を見る
『夜になるまえに』
BSフジにて、ジュリアン・シュナーベル監督。
作家レイナルド・アレナスが死の直前につづった自伝の映画化。
1943年、キューバに生まれたアレナス(ハビエル・バルデム)は、20歳で作家としてデビュー…
夜になるまえに
同性愛の描写がリアルで驚きましたが、女装好きのボンボンをジョニー・デップが好演していて救われました。
夜になるまえに
キューバ出身の亡命作家レイナルド・アレナスの自伝を基に作られた映画。 キューバの裏の部分がよく見えます。 アメリカの作った映画なので、全てを鵜呑みにすることはできないけど、 それでも、現実も多く語られていると思う。 キューバでは、ホモセクシャルである詩人のア…
TBありがとうございます♪
デップの女装シーン、私も大好きです(^_^;)
すごくセクシーですよね。
レイナンドといい、デップといい、才能のある人は感性が
私みたいな凡人とは違うんだなぁって実感しました。
奈緒子と次郎さんへ
こんばんは!
コメントご丁寧にありがとうございます。
二人で仲良く書いていらっしゃるんですね♪
一人二役ではありませんよね?^^;
そうですね、ジョニデのドラッグクイーン姿、すっごくキュートでしたよね。
私全く知らずに見たのですが、ジョニデが軍人役で出て来てビックリし。
その後またまたドラッグクイーン姿に(しかもかなり美しい)ビックリの、二段重ねでした。
また遊びに行かせていただきますね。
ありがとうございました☆
詩の魂は蝶の夢を見る〜『夜になるまえに』
BEFORE NIGHT FALLS
キューバからアメリカに亡命し、ニューヨークで自由を得ながら47歳の若さで
この世を去った作家、レイナルド・アレナ…
とらねこさま、こちらにもお邪魔です。
ハビエル・バルデム、本当に名優ですよね。。オスカー受賞、めでたいです。
これは『潜水服』後に観たのですが、DVD特典で監督のアトリエなどを知ることができてよかったです。
感極まる姿に「自分の映画に感動して泣く監督なんて初めてだよ〜」とか言われてませんでした?
熱いオトコなんですね〜、ジュリアン。
『バスキア』も観たいと思います!
ではでは〜。
真紅さんへ
こちらにもありがとうございます♪
おっ、真紅さま、『潜水服〜』の後でこちらの作品を復習されたのですね!
この作品は、なかなかでしたよね。
そうですね、アトリエや、芸術製作の工程なんかを、このDVDで披露しているのですよね。
>感極まる姿に「自分の映画に感動して泣く監督なんて初めてだよ〜」とか言われてませんでした?
あ、私アカデミー受賞式って、今まで一度も見たことないんですよ。
一度くらいは見てみたいですね・・・。豪華で楽しそうです。
ジュリアン・シュナーベル監督、そんなこと、言ってたのですね☆
『バスキア』は面白くないですよ。
独断的映画感想文:夜になるまえに
日記:2008年8月某日 映画「夜になるまえに」を見る. 2000年.監督:ジュリアン・シュナーベル(つい最近「潜水服は蝶の夢を見る」を見た). 出演:ハビエル・バルデム(レイナルド・アレナス),オリ
独断的映画感想文:夜になるまえに
日記:2008年8月某日 映画「夜になるまえに」を見る. 2000年.監督:ジュリアン・シュナーベル(つい最近「潜水服は蝶の夢を見る」を見た). 出演:ハビエル・バルデム(レイナルド・アレナス),オリ