5.花様年華
シェアブログminiに投稿’60年代の香港を舞台に、暖かみのある、赤味がかった映像美が、詩情豊かな男女の複雑な機微に絡み合って◎
詩情豊かな、男女の機微を、静かに見つめる、視線が素敵だ。
もの哀しいが、純情でもある、オトナのラブストーリー。
女は、完璧にいつもキレイで、オードリー・ヘップバーン風の髪型に結い上げていて・・
どのシーンも素敵な柄のワンピースを着ていて、細身の体にぴったりと合っている。
背景が渋い赤味がかった映像、であるのがこれら男女の心理描写だとしたら、それと対称的に、いつもカラフルな女のワンピースが、この女性の心理を表現していると言える。
どんな事が起こっても自分を磨く努力を続ける、この女性の華やかさは、凛としていて美しい。
(←お正月に香港に行ったので、ついでにUPしてみました。返還後で、2006年で、すみません。)
お互いに相手に不倫されている、当の本人同士の男と女。しかも隣同士だ。
そんな複雑でドロドロした醜悪な人間関係なのに、メロドラマではなく、オトナの清純さと言うか、情感たっぷりに描かれていて、しかも嫌味な感じのしない手腕がすごくいい。
トニー・レオンとマギー・チャンの、男と女二人は、同じ状況ではあるが、微妙に気持ちがズレている。
未来を見、次に進んで行こうとする男と、夫の帰りを待ち続ける女。
こんなシーンがある。男が、ストレートに部屋に来る様、誘いをかけると、女は、こう言うのだ。
「彼の言い方と違うわ」
そして、一緒に食事をしている時、ふとした瞬間に漏らす女の一言。
「そんなところは、ちょっと彼に似ているわ」
男と遊んでみようか、と言う気持ちがあるにもかかわらず、つい夫と比べて見てしまう。
あまりに夫とかけ離れた誘われ方では、ソノ気になれないのだ。
つまり、男全体に、夫の面影を探してしまう女心。
だが、男もまた、すぐに手に入らないが故に、次第に本気になっていく。
雰囲気や、情感の分かる人にオススメ。
ストーリーより、雰囲気に酔う作品。
でも、ウォン・カーウァイの中では、一番好きです(^-^)v
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(8件)
前の記事: 4.恋愛適齢期
次の記事: ※1.「トラベリング・パンツ」
「花様年華」
花様年華
「花様年華」 ★★★
In The Mood For Love (2000香港)
監督:ウォン・カーウァイ
キャスト:トニー・レオン、マギー・チャン
公式サイト、作品紹介
こんばんは、TB・コメントありがとうございます。
コメントについては貰えれば嬉しい♪(・∀・)という程度なので全然気になさらないで下さい。
この監督の作品は映像の美しさが印象に残りますね。
<ストーリーより、雰囲気に酔う作品
仰るようにストーリーを理詰めで追うような映画ではないですよね。「ヴァージン・スーサイズ」なんかも同様に雰囲気のある作品ですが、修行が足りないせいかついついマギー・チャンのチャイナドレスばかり見てしまいました(玉砕
また宜しくどうぞ〜w
linさんへ
こんにちは!コメントありがとうございました。
まだlinさんは大学生なのですね!若いのにしっかりしてるんだな、と読んでて関心してしまいますね。
「本音」部分が反転するのって、すごく面白いですね。
私も、正直、linさんの本音と同じ感想です。
特に最後の部分がね、意味なく長いんですよね。
それまでは結構面白いんですが・・・。
今後もどうぞよろしくお願いします!私も遊びに行きます★
この映画大好きです!
とてつもなくプラトニックで美しい不倫ですよねぇ。
ちなみにあたいのブログタイトルはこの映画からとりました(笑)
ヨゥ。さんへ
おー!ヨゥ。さんはこの作品から取ったのですね☆
もしや、そうかな?って思ってました。
ところで、ヨゥ。さんてこの作品の良さが分かるなんて・・・センスいいですね!
自分は、自分のリアル友達が、この作品大好きだ、というので観てみたんです・・・ウォン・カーウァイは、本来苦手なんですが・・・
不倫はちょっと・・・て思いますが、でもこの人達はどっちも、相手に浮気されてた人達だったから、寂しかったのかな、なんて。
こんばんは、コメント・TBありがとうございました。
確かに良い雰囲気の映画でしたし、マギー・チャンのぴちぴちチャイナドレス(魔法瓶を提げて屋台へ向かう後ろ姿とか)も印象的だったのですが、私の場合「色気より眠気」というべきか、何度となく睡魔に襲われてしまいました。どういう訳か最近、中国系の映画を見ると眠くなることが多いんですよ。やれやれ。
とらねこさんがご覧になった『呉清源〜』は未見ですが、レビューを拝見した限りではたぶん撃沈するだろうな・・・という予感大であります(汗)。私は眠気覚ましのために目薬を用意したこともありますが、本当に眠いときはどんなに頑張ってもダメですね(苦笑)。
花様年華&ブエノスアイレス
シネ・ヌーヴォにて。 昨年に引き続き、11月は「中国映画の全貌2007」という企画でさまざまなジャン…
こんばんは☆コメントありがとうございました。
はい、ご挨拶がてら、遊びに行きました。あまり椀さまはこの作品、ノリ気でないことは分かってたんですが、なんていうか、お話がしたかったというか(笑)
しかし、この作品はどうやら見事にダメだったようですね〜。
『碁清源』は、雰囲気が良さそうかなあ、と思ったのですが、自分はどうやら、谷啓が好きなのかもしれない、とつくづく思いました。谷啓がナレーションじゃなかったら、見る気にならなかったはずですから。
「色気より眠気」ですか〜むむ。
なんだか、トホホですね〜(+_+)余計なお世話かもしれませんが、まだ若いのに・・・w