’10年アメリカ
原題:Restless
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ブライス・ダラス・ハワード、ガス・ヴァン・サント
製作総指揮: エリック・ブラック、デビッド・アレン・クレス、フランク・マンクーソ・Jr.
脚本: ジェイソン・リュウ
撮影: ハリス・サビデス
音楽: ダニー・エルフマン
キャスト: ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、シュイラー・フィスク、ジェーン・アダムス、ルシア・ストラス、チン・ハン
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’11年、アメリカ
原題:Source Code
監督:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ベン・リプリー
製作:マーク・ゴードン、フィリップ・ルスレ、ジョーダン・ウィン
製作総指揮:ホーク・コッチ、ジェブ・ブロディ、ファブリス・ジャンフェルミ
撮影:ドン・バージェス
音楽:クリス・ベーコン
キャスト:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト
「映画通ほど騙される」という、この手のよくある余計な広告文は半ばウンザリしもはや読む気にすらなれなくて、サクっと無視していた。もちろん見る気になったのは、去年の『月に囚われた男』が面白かった、ダンカン・ジョーンズ監督だったから。今作ではジェイク・ギレンホールを、前作『月に囚われた男』ではサム・ロックウェル!(大好き!)を主役に据えている辺り、センスいいなー!と思っちゃう。
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’11年、アメリカ
原題:Moneyball
監督:ベネット・ミラー
脚本:スティーブン・ザイリアン、アーロン・ソーキン
製作:マイケル・デ・ルカ、レイチェル・ホロビッツ、ブラッド・ピット
製作総指揮:スコット・ルーディン、アンドリュー・カーシュ、シドニー・キンメル、マーク・バクシ
原作:マイケル・ルイス 同名小説
原案:スタン・シャービン
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽:マイケル・ダナ
キャスト:ブラッド・ピット、フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライト、ジョナ・ヒル、ディミトリ・マーティン、クリス・ブラッドリー、スティーブン・ビショップ、ケリス・ドーシー
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2010年、アメリカ
原題:Piranha 3D
監督:アレクサンドル・アジャ
製作:マーク・カントン、マーク・トベロフ、アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルパスール
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、アレックス・テイラー、ルイス・G・フリードマン、J・トッド・ハリス
脚本:ピーター・ゴールドフィンガー、ジョシュ・ストールバーグ
撮影:ジョン・R・レオネッティ
美術:クラーク・ハンター
編集:バクスター
音楽:マイケル・ワンドマッチャー
キャスト:エリザベス・シュー、ジェリー・オコンネル、ビング・レイムス、ジェシカ・ゾア、スティーブン・R・マックイーン、イーライ・ロス、クリストファー・ロイド、リチャード・トレイファス、アダム・スコット
いやー、もう、最っっ高!なんスか、このテンションの高さは!?
アレクサンドル・アジャって、こんなに弾けたアホだったっけー?!いやいや、もう少しクリエイティブなマトモなお人と予想していたんだけど。「おっぱいも臓物も飛び出す3D!!」の下馬評は、全くもって嘘じゃなかったんだ!唖然呆然。寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!遅れてやっと公開の、この夏一番楽しい3D娯楽作品と言ったら、こちらだよー!
実はね、前もってジョー・ダンテの『ピラニア』と、事実上「ピラニア2」であるジェームズ・キャメロンの『殺人魚フライング・キラー』(原題がピラニア2)を用意し、首を長くして待ち望んでいた。・・・のは、私だけではあるまーい! でも、そんな予習、全く意味なかった。
「とにかくおっぱいが飛び出す3Dが作りたいよね」なんて、話し合った結果がこの作品なんじゃないのか?!これまで、3Dと言ってもおっぱいだけは、まだ飛び出してなかった訳だもの。「3Dって、そもそも映画に必要あるのか?」そんなはサックリ置いといて、「人が3Dに期待すること」をクローズアップした結果の、この3D映画。とりあえず誰もまだやってない偉業(異形)、これを成し遂げたのが、この『ピラニア3D』なのだ!!やったあー!!
それにしても、楽しい作品だった。「うーん、分かってる」って感じの、超悪ノリ・悪ふざけ。退屈な描写はザックリカットし、エロとグロとの合わせ技で、ちょうど90分にまとまってる。アジャ、君はなんてやり手なのだろう!
見どころと言えば、全裸の女性二人が水中で舞う美しいシーン(BGMまでキテる)。この辺りから、「オマエらの欲しいのは、コレだろ、あーん!?」なアジャ節が、弾けること弾けること!そして、イーライ・ロス!あんたも居たんか!?私、完全に驚きました。(「ウェット・Tシャツ」パーティの司会者として出演)き、君たち!
ジェリー・オコンネルのトンデモ監督っぷりがまた楽しい。ジェリー・オコンネル、って言ったら私には『スタンド・バイ・ミー』の小太りバーンなんだけど、なんだかんだ言ってあの4人の中で、現在も俳優として生き残り売れているのが彼。そのジェリー・オコンネルが、すごいことになってたなあ。
ちなみに、ちょっと下品ですけど、チ●コって、身体から切り取れば、まんま出してもいいものだったんですね!・・『ウォッチメン』では、青く塗ったまま全裸で歩きまわってた人が居たけど、「そんな手があったのか!」なんて驚いた。今回は、そのモノずばりが大写しに。ピラニアが喰いついてたっけ(その後、吐き出してたけど)。場内爆笑の渦!他にもこの作品、あっちこっちで笑い声がしきりと聞こえてきた。いいね、いいね!この連帯感。
この作品、ジェームズ・キャメロンはこき下ろしたらしいですね。その完璧な奥行きと豊富すぎる制作費とで、次世代の最新技術の凄さを示した、3Dの次世代の担い手である彼としては、このお下劣全開の単なる見世物びっくりショーは、認める訳など出来ないのでしょうか。それとも、巨匠の忘れたいかつての過去、『殺人魚フライング・キラー』の古傷がビチビチと疼いてしまうのでしょうか!?
でもね、『殺人魚フライング・キラー』って、かなり面白い、出来のいい作品だったんですよね。1の『ピラニア』に物足りなかったエロは、2作目で、ちゃーんと見せてくれる。1では、水面下で襲ってくる殺人魚の恐怖が、なにぶん水の中で全然見えない。この点、2では水面だけでなく飛ぶこともできる、という設定でクリアしているし。さらに、『殺人魚〜』は、物語としてもかなり面白い。B級と言われてしまう作品なのかもしれないけれど、さすがキャメロン、しっかりした面白さがあって、さすがだなあと惚れぼれしてしまう。でも、このアジャの『ピラニア3D』と比べてみると、マトモに作ったはずのこちらが、見栄えも出来の悪いものに感じてしまう。徹底して見世物に徹することの凄さ!
あと、1の『ピラニア』では、子供たちがまっ先に襲われるんですよね。こういうの、今はあり得ない。あと、アメリカ軍がベトナムで生物兵器として開発していた、という設定(1と2共通している)も、今回は「古代生物を発見した」と変わっているなど、政治的にはかなりマイルドな改変の仕方になっていると思うのよね。
その代わり!エログロだけは何にも負けないほど、ごっつい楽しめる作りになってる。もうね、アホな若者たちが、丸ごとごっそり血の海になってしまう。グロさも半端ない。さすがのアジャ。
・ピラニア3D@ぴあ映画生活
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’11年、アメリカ
原題:Transformers : Dark of the Moon
監督:マイケル・ベイ
製作:ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ、イアン・ブライス
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・バーラディアン
脚本:アーレン・クルーガー
撮影:アミール・モクリ
美術:ナイジェル・フェルプス
編集:ロジャー・バートン、ウィリアム・ゴールデンバーグ、ジョエル・ネグロン
音楽:スティーブ・ジャブロンスキ
キャスト:シャイア・ラブーフ、ジョシュ・デュアメル、ジョン・タトゥーロ、タイリース・ギブソン、ロージー・ハンティントン、パトリック・デンプシー、ケビン・ダン、ジュリー・ホワイト、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、アラン・テュディック、ケン・チョン、グレン・モーシャワー、レスター・スパイト、バズ・オルドリン
出た、予告編が一番出来のいい映画。
はぁー。全然見る気はなかったのに、予告で見ているうちに「とにかく映像凄そう!」と思ってついつい観に行ってしまいました。このシリーズ、マイケル・ベイが昔から「好きな監督の200位」に入ったことがない、そんな私の意見なので。スルーしてもらって全然結構です。
ちょっとこれ、長すぎない?あと40分は削っても良かったんじゃないか。お金がかかっていようが、世界最先端の映像技術を使っていようが、退屈なものは退屈。映像の凄さとストーリーのダメさが反比例していると、より一層空しくなる、ということを嫌でも感じてしまいます。一番お金がかかってそうな、あの高層ビルの倒壊シーン、あれが終わった後は、もうすっかりお腹いっぱいになって、意図的に寝てしまいました。起きる気はなかったです。それでも、時々目を覚ませば、まだやってるんですよね。・・
ガシャガシャガシャン!と機械を組み立てるのと、おかしなセンスのお笑いが入るのと、ギャーギャー言いながらアクションするの、この3つが永遠にループされるので、途中でその芸の無さにウンザリしました。機械がガシャガシャ組み立てるのって、このシリーズならではの面白さなんじゃないか、と勝手に予想していたので、こんなに「普通」だとは思いませんでした。しかも何度も繰り返されると、全く有り難みが無くなりますね・・。
ジョン・マルコヴィッチやフランシス・マクドーマンドのようなベテラン俳優を起用していたり、パトリック・デンプシーやジョン・タトゥーロが脇を固めているのは個人的には嫌いではなかったです。まあ使い方が中途半端ですけどね。降板されたミーガン・フォックスが好きなので、せっかくだから彼女が良かったな。今回のガールフレンドは脇役っぽいイメージ。
シャイア・ラブーフは演技力のある俳優だと思うし、スピルバーグにも将来を嘱託された若手俳優だと思うけど、出る映画は選んだ方がいいんじゃなーい?そのスピルバーグが関わっているから彼なんだろうけど・・。すっかり興味を失ってしまったよ。『ニューヨーク、アイラブユー』とか良かったのに、マイナスに逆戻り。
マイケル・ベイは、ホラーに関わってる方がずっといいよ。ホラーだとあの下世話な趣味が幸いして、映画も面白くなるんだけどね。『テキサス・チェーンソー』とか’09年の『13日の金曜日』とか結構好きだったし。
P.S.このシリーズ、1の方が断然面白いじゃん!両親が部屋にバット持ってやって来たり、「マスターベーションしてたの?」とママが聞いたり。パパは「それは息子と父の会話だぞ」「じゃあ、言い換えてもいいのよ。サムのハッピー・タイム、もしくはプライーベートな一人の時間」とか、ママが言ったりして、噴いちゃった!ジョン・タトゥーロはYシャツ脱いだら「セクタ−7」をもじった、スーパーマン型Tシャツ着てるし。ジョークもアクションもストーリーも1の方が面白かったよ。2はジョークだけ3より面白いかな。
※ストーリー・・・
宇宙の戦士トランスフォーマーのオプティマス・プライムやバンブルビーと固い友情を築いた若者サムに、新たに迫る危機。悪のトランスフォーマー集団ディセプティコンが、強力な秘密兵器を擁して3度彼らの前に立ちはだかる。地球を舞台にした最終決戦の行方は・・・
・トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン@ぴあ映画生活
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’11年、アメリカ
原題:Super 8
監督・脚本:J・J・エイブラムス
製作:スティーブン・スピルバーグ、J・J・エイブラムス、ブライアン・パーク
撮影:ラリー・フォン
美術:マーティン・ウィスト
編集:メリー・ジョー・マーキー、メリアン・ブランドン
音楽:マイケル・ジアッキノ
ジョエル・コートニー : ジョー
エル・ファニング : アリス
カイル・チャンドラー : ジョーのパパ
ライリー・グリフィス : チャールズ
ライアン・リー : ケリー
ガブリエル・パッソ : マーティン
ザック・ミルズ : プレストン
スピルバーグのオマージュが逆に新しい、とは!なるほどそうか。最先端を行きすぎて、すでに一回転した感じのJ.J.エイブラムス。やっぱやり手ですわー、この人。一本取ったり!・・・て感じの、爽快な佳作。
タイトルに『SUPER 8』とあるだけあって、映画作りと、そこに偶然映ったもの、これが物語のポイントにもなってくる。作品タイトルが昔の8ミリフィルムの登録商標であった、という、ここが自分には面白く思えたのだ。映像技術がどんどん革新され、新しい時代の到来を感じさせながら、むしろ行き止まりのような息苦しさすら感じはしまいか、この現在の映画業界を鑑みるに?そんな中、堂々の「スーパー8ミリ」と来たもんだ。
嗚呼、80年代のスピルバーグ!僕らはこの黄金期のスピルバーグに、どれほど夢を与えられたことだろう!この名に関連する新作の一作一作を、どれほど楽しみにしていたことだろう。洋画を初めて見たのも、洋画が好きになったのも、スピルバーグから、という人も世界中にいるのではあるまいか?SFの楽しさが科学と未来への憧れに直結していた、そんな時代。
J.J.エイブラムスのスピルバーグオマージュは、懐かしさいっぱい。まるで宝の山を前にした少年少女の気持ちに戻る。主人公もそれぐらいの歳なのだもの、スンナリ子供心に帰ることが出来た。
まるで『未知との遭遇』に『E.T.』が出会い、『グーニーズ』のエッセンスを加えたような楽しさ。『ニューヨーク東八番街の奇跡』、『宇宙戦争』、etc,etc…。
私はついこないだ、偶然にも『世にも奇妙なアメージング・ストーリー』を片っ端から借りて見ていた。すると不思議なことに、スピルバーグが監督をした回のみ、強烈な印象で心に残っていたのだった。「これが面白かったんだよー、この後が楽しくてさ・・・」などと言いながら見ていたのだが・・・。告白するが、今見るとかなり陳腐な話であった。単純明快。善意は通じ、悪は必ず露見する。そこには明らかな物語の定型パターンがあり、だからこそ安心して楽しむことが出来た。子供の頃の私には。ところが今見ると、「安全に着地するはずの価値判断」は、単に退屈に感じてしまうのである。特に短編の「奇妙なお話」を揃えたシリーズであるからこそ余計に。
同様に、この作品のラストで描かれたような「善意が必ず通じるお伽話」的な唐突さには、途端に興味がしぼんでしまった。ラストのクリーチャーがいかにもアレな風貌であるから、このラスト部分が何にオマージュを捧げているかは一目瞭然だ。
しかし、子供の真っ直ぐな心だからこそ、善意は通じ、共感が生まれる。だが、この単純な善意の呼びかけこそ、911を(そして311も)経験した我々に、逆に新鮮に感じさせるものでもあるのだ。
※ストーリー・・・
’79年、合衆国政府はネバダ州の空軍基地エリア51を閉鎖。すべての研究素材はオハイオ州の別施設に極秘のうちに列車で移送されようとしていた。だが、列車が事故に遭い、荷の中から“何か“が姿を現わす。スーパー8ミリ・フィルムが捕えていた、その正体とは!?・・・
・SUPER8/スーパーエイト@ぴあ映画生活
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’10年、アメリカ
原題:Hereafter
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、ピーター・モーガン、ティム・ムーア
製作:キャスリーン・ケネディ、ロバート・ロレンツ
脚本:ピーター・モーガン
撮影:トム・スターン
美術:ジェームズ・J・ムラカミ
マット・デイモン : ジョージ
セシル・ド・フランス : マリー・ルレ
ジェイ・モーア : ビリー
フランキー・マクラーレン : ジェイソン / マーカス
ジョージ・マクラーレン : ジェイソン / マーカス
ブライス・ダラス・ハワード : メラニー
ティエリー・ヌーヴィック : ディディエ
イーストウッドは『グラン・トリノ』以降、そのテイストには少し変化が見られるようだ。より表現欲は貪欲になったようであるし、何を語るについても「恐れる」などといった姿勢がまるで感じられない。これまでがそうでなかった、というのではもちろん無い。タブーと言われるものに対してこうまで大胆不敵に斬り込んでくるんだもの、なんだか私は胸が熱くなってしまう。表現者は、まず自分が自由でなければならないのだ!と。
冒頭近くの津波、洪水のシーンが迫力の災害モノのようで、まず仰天してしまった。イーストウッド映画でこんなシーンを、全く想像していなかったものだから。一体どうやって撮影したのだろう!?私などでは到底思いつかない。波が商店街に向かってグワーーーっと襲ってくるシーンだけでも見物だし、その後、一瞬でマリーが水に呑み込まれていく、水の感覚をカメラいっぱいに収めたあの迫力の映像。これひとつ取ってみても、感激してしまうものがあった。
静かな日常から物語が始まり、そこへ予告もなく災害パニックが襲ってきて、その恐ろしさ覚めやらぬ中、また静かでこれまで通りの日常が始まっていく。何気なく自然体にカメラが回っているのに、実はこんなペースの映画はとても珍しいと、新鮮な感覚が覚える。群像劇スタイルで同時進行に人びとを描きながら、少しづつテーマへ近づいていく。
”ヒアアフター”・・・「死後の世界」を描いたものというと、日本人にはすぐさま『丹波哲郎の大霊界』を思い出してしまってなんだか可笑しい。この作品は、死後の世界について描いたわけではない。死後の世界について想像を膨らませる人間たち、死という「生のその先」を怖がりながら今を生きる私たちに、優しく諭すような作品だった。
生は、死と隣り合わせでありながら、どこか禁忌の領域でもある。恐ろしいものとして、本気で考えることは棚上げしてしまう人たちも居る。でも私の考えでは、死も死後の世界も自然なもので、生の延長線上にあり、死について考えることは自然なことだ。友人が死んだり、親が死んだり、家族が死んだりした経験から、人は死を考え始めるのかもしれない。ペットの犬や猫でもいい。どんな人にとっても、身近な死を経験した後に、死について考え始め、すると生はその歩みのテンポを変えるように思える。もしかするとこの作品をケナしている人々は、死を忌むべきものとして切り離しているのではないか、と私は思ってしまう。
私は、イーストウッドが文字通り、「人間」のレベルをいよいよ超え始めたような気がしている(笑)。そう言ったら可笑しいだろうか?死について見つめた物語が、最後、未来を希望で彩る愛の物語で終わる。死はイコール生であり、愛であるかのように。
※ストーリー・・・
子供の頃に死の危機に瀕して以来、現世に残る霊たちと交信できるようになってしまったジョージは、霊能力者として有名になる。その能力を聞きつけて、双子 の兄弟の死から立ち直れない少年マーカスと、津波の災害で臨死体験をした女性マリーが近づいてくる・・・・
ヒア アフター@ぴあ映画生活
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’09年、アメリカ
原題:This is It
監督:ケニー・オルテガ
プロデューサー:ランディ・フィリップス
音楽:マイケル・ビアーデン
振り付け:トラビス・ペイン
マイケルが急逝して以来の、手の平を返したようなマスコミと大衆の気持ちの変動っぷり。これを見て、心底ショウビジネスは恐ろしいな、と思った次第。
映画は、幻となったロンドン公演のリハーサル風景を収めた映像と、別テイクで撮ったミュージカルクリップで構成されている。
何より、真摯なアーティストとしてのマイケルの姿、今まで見たことのない風景を映した映像。これを見て、心が揺れる気持ちは分かる。妥協なく、しかし相手の気持ちを硬くさせないように気遣いながら、正確でテキパキとしたリハーサルが行われていく。
生き生きと、しかし抑えたダンスと歌で「仕事」をするマイケルの姿。これまで長年ずっと、「完璧なモノ」をクリエイトしてきた天才が、そうではなく未熟のモノを世に出さざるを得なくなった哀しみ。それらは、今見ている映像が、未熟であるが故に感じる等身大の人間性と、不意の死によっておそらく、彼の意志に背く結果となった、このことにより喪失感を感じさせるのだ。
ミュジージック・クリップでは、ハンフリー・ボガードが出て煙草をくゆらし、マイケルがまるでムービー・スターのように動く・・・。誰にも追いつけないように逃げるマイケル。
映画のラスト近くで、マイケルの「Heal the Earth」という“メッセージ”を謳った姿が流されていく。映画の構成としては、少々鼻につくような、余計なものに感じさせるようにも思い、思わずハッとした。
マイケル・ジャクソン、音楽の殉教者、孤高のアーティスト。そして、彼の純粋な人間性・・・とこうだ。綺麗にまとめようとするが故に、それまでの「不意の感動」に水をかけられたように思うのは、何故か。この映画の恣意性、それもあるだろう。ロンドン公演の穴埋めのための音楽ビジネス。この映画の出る、余りに早いタイミング。その不意の死にすら、ドラマティックに仰々しく飾られ、それを食い物にされてしまう人生。
そして、子供のような「地球を癒そう」というメッセージ、これだ。
マイケルの作った晩年の音楽には、あまりにシンプルで分かりやすいメッセージが含まれる。こうしたメッセージを音楽に乗せることで、それを聴く者たちの心に届くと、真剣に彼は考えているのだ。まるで新興宗教の教祖のように見えてくる。
マイケル・ジャクソン、というこの天才は、その人生の途中から、民衆の心とかけ離れていることに気づくことが、おそらくなかったのかもしれない。普通の人間の意識からすると、少々狂っているかのように思えるのも、この天才さ故。そして、自らがどう見えるであろうこと、大衆の視点で自分を振り返ることがおそらく、とても下手だ。
音楽クリエイターとしてはあれほど天才であるにも関わらず、この民衆の意識とのズレ。マスコミによって餌食にされた裁判と、子供のように純粋な彼の姿がオーバーラップする。
ジャクソン5の時のマイケルの音楽は、どれほど素晴らしかったか!
かん高い声で正確なキーを歌う、あどけない子供。
商業ビジネスの恐ろしさを、マイケル・ジャクソンによってつくづく感じさせられた。
ショウビジネスの恐ろしさにゲッソリ、大衆の気持ちの変わりやすさにはゲンナリ。
マイケル・ジャクソン、ショウビジネスの世界で食い尽くされた、一人の男。
・マイケル・ジャクソン THIS IS IT@映画生活
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