’10年アメリカ
原題:Restless
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ブライス・ダラス・ハワード、ガス・ヴァン・サント
製作総指揮: エリック・ブラック、デビッド・アレン・クレス、フランク・マンクーソ・Jr.
脚本: ジェイソン・リュウ
撮影: ハリス・サビデス
音楽: ダニー・エルフマン
キャスト: ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、シュイラー・フィスク、ジェーン・アダムス、ルシア・ストラス、チン・ハン
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’10年、ドイツ
原題: Goethe!
監督:フィリップ・シュテルツェル
製作:クリストフ・ムーラー、ヘルゲ・ザッセ
脚本:フィリップ・シュテルツェル、クリストフ・ムーラー、アレクサンダー・ディディナ
撮影:コーリャ・ブラント
美術:ウド・クラマー
音楽:インゴ・L・フレンツェル
キャスト:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライブトロイ、フォルカー・ブルフ、ブルクハルト・クラウスナー、ヘンリー・ヒュプヒェン
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’10年、アメリカ
監督・脚本:デレク・シアンフランス
脚本:ジョーイ・カーティス、カミ・デラビーン
ライアン・ゴズリング : ディーン
ミシェル・ウィリアムズ : シンディ
マイク・ヴォーゲル : ボビー
フェイス・ウラディカ : フランキー
「恋」について描いた物語なら、片思いの一方通行な純粋さこそが一番面白い、と思っている私は、『(500)日のサマー』がとても好きだ。でも、「愛」について描いた物語であるなら、その愛が泥沼にいつしか成り変わってゆき、愛が崩壊する物語にシビれてしまう。ちょうどこの作品のように。
こちらもまた、愛という幻想をお互いに抱き、自分たちの愛こそ本物だと感じたその果てに、いつしか手からスリ抜けていく物語だった。出会いのワクワクする感じと、日々の暮らしの中で、次第に絶望へと形を変えてゆく姿を描いている。素晴らしく満足度の高い、恋愛映画を久々に見たな!という感じ。この確かな手応えがとても嬉しい。
しかも、シーンごとに台詞が決まっていたわけではなく、まるでジョン・カサヴェテスのように、俳優たちの即興によって演じられていったのだという。そんな話を聞いてしまったものだから、余計に映画ファンにはグッと来るじゃない?映像技術の素晴らしさや、タイトルロール、エンドクレジットの格好良さばかりでなく、最初から最後まで無駄なシーンを一つとして感じさせない。これまた、注目すべき映画監督が一人増えたな、というこの喜び。
物語の構成は『(500)日のサマー』同様に、時間軸に沿って進まない。どこかお互いにスレ違いのある日常風景から始まる。ここの一場面を見ただけで、この二人に幸せなエンディングが迎えられないことが示されている。状況説明的ナレーションが全く必要ないまでに、心理に肉薄したカメラ。二人の顔を寄り画で映すにしろ、変わった角度だったりして、そうした辺りも面白くて目が離せない。観客には顔の筋肉の動かし方で、二人の気持ちが手に取るように読める。でもお互いにはどこか見えていない部分があるのだ。愛し合うが故に、真実の姿そのものを見ることが出来なくなるあの瞬間は、私たちも経験したことのある、あの「日常に点在する相手への小さな幻滅」。
物語は、元々内包していたお互いの問題点が次第に浮き彫りになると同時に、一番幸せだったあの時代がクローズアップされているところが、どうしようもない程切ない。出会いのシーンがあまりに美しくて胸を打つ。でもあの出会いのシーンは、男の側の目線なんだよね。より相手を愛しているのは男の方で、ロマンチックなのも男の方。女の方はより現実的で、でも彼女の方がずっと世間的に見れば立派な人間だ。男の方は、愛すべきダメ人間。でも彼の方がより子供で。子供と同じような目線で遊ぶことの出来るお父さんは、彼の方が精神的に子供であったことを示してもいるのかも。
「恋愛映画がイマイチ好きでない」と言う人の中には、相手と自分との「自我の境目」が区別がつかなくなるほどに、相手にのめり込んだ、そうした経験がない人なのではないか。などと私は考えている。相手を別の個として見ることをやめ、自分の一部として考えているが故に、相手に対する欲求も増えるし、思いやりも次第になくなっていったり。
この間、結婚してハネムーンに行ったばかりの若いカップルと飲んだ。彼らは二人とも、大学卒業するかしないかの年齢である。ほぼ1年間ゲームばかりして遊んで居たこともある、などと云う。PC好きが高じて、ネット関係の仕事についた途端に優秀さを発揮する妻は、見た目からして幼く、いかにもオタク好きしそうな萌え系ルックス。夫の方は、本当に頭が良いが故に普通の人の価値観を全く有していない、東大を辞めてしまった変わり者。途轍もない風変わりなカップルだ。
彼女からも彼からも、普段普通の人がするような、退屈な会話は全く出て来ない。奥さんの方は、旦那の朝勃ち写真を私に見せてくれたり、SMが高じて首締めプレイをした、などという初対面に全くそぐわない話が飛び出す。とても面白いのだけれど、私は全然違うことを考えていた。彼らの結婚生活は、どの位続くのだろう。彼らは、彼らの世界には誰もついて来れないぐらいの、濃密な関係性を有しているようだ。お互いが遊び道具のように、ずっと一緒に居ても退屈はしないのだろう。世界には彼らしか居ない、と思えるのだろう。一方で私たちといえば全く逆で、世間並の価値観しか有していない、慎ましやかな好ましい関係性を維持していた。彼らのその濃密さが私には羨ましく、またつっ走る若さが羨ましくも、懐かしくも感じた。彼らが長続きすれば良いが。などと、大人目線で考えている自分を発見した。
※ストーリー・・・
ディーンとシンディは、結婚7年目の夫婦。夫の仕事は芳しくないものの、妻の稼ぎもあり、娘と家族3人でつつがなく暮らしている。だが、夫婦はパートナーに対する不満を互いに抱えたまま。それを言葉にしたら今の生活が崩れると分かっているから口にしなく・・・
・ブルーバレンタイン@ぴあ映画生活
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2010、日本
監督・脚本:トラン・アン・ユン
原作:村上春樹
プロデューサー:小川真司
エグゼクティブ・プロデューサー:豊島雅郎、亀山千広
撮影:リー・ピンビン
音楽:ジョニー・グリーンウッド
主題歌:ザ・ビートルズ
松山ケンイチ : ワタナベ
菊地凛子 : 直子
水原希子 : 小林緑
キズキ : 高良健吾
永沢 : 玉山鉄二
レイコ : 霧島れいか
トラン・アン・ユンの『ノルウェイの森』は、まるで村上春樹の文章のような世界の構築の様式をしていた。丁寧により分けられ、ふるいにかけられた言葉たち。それらは現実味がない、と思われることもある。物事のありようを彼の言葉で捉え直すことは、この映画でトラン・アン・ユンが(もしくはリー・ピンビンのカメラによって)フレームに収めることと何だか似ていた。
ハルキ世界の人物たちのダイアローグが、実際に映像と音で発されると、トンチンカンな響きをもっていた。現実の重みを排除した表象が、初めてこの世で響いたかのように。それが見ているものをとてつもなく落ち着かない気持ちにさせる。だが、そこがいい。この感覚は留保無く新しい。私にはとても衝撃だった。映像の美しさとフレームの確かさに心を打たれながら、思いもかけないほど座りの悪いこの感覚は何なのだ。しかしハッとするのは、それこそが村上文学の真骨頂であることだった。美学により発せられた、ハルキ・ワールド・ワンダーランド。
何より、『ノルウェイの森』を読んだ時のあの感じがみずみずしく蘇って、忘れていた泉に水がもう一度湧き上がるような思いがする。こういうからと言って、私がこの作品の大ファンだったわけでもない。あのスカした感じはなんなのよ、と心のどこかで反発する思いがあった。そんなものまでしっかりとあの映画が思い出させてくれた。しかし今こうして見ると、主人公が森を彷徨うとき、深く精神が傷つき当てどもなく打ちひしがれているとき、自分の苦しみがそこに描かれているのを見ることが出来た。より深く森の中に入り込むことができた。当時には若すぎて理解出来なかったあの主人公の抱えていた物事の重さ、葛藤や苦しみを感じることが出来た。こうした共有を得られたひとには、この作品は文句ない佳作だ。
唯一いただけない部分があるとすれば、ビートルズ『ノルウェイジャン・ウッド』の演奏が恐ろしく下手なところで、あれには思わず怒り狂うところだった。ビートルズのファンでない自分ですらこう思うのだが、あの曲を聴いたことのない人にも(そんな人が居るとは思えないが)その思いは分かってもらえそうなほどだ。付け加えるなら、ラスト間近のレイコさんとのセックスシーンの唐突さも。そうした欠点を抜かせば、とてつもなく素晴らしい作品だった。トラン・アン・ユンをこれまで見ていた人で、この作品だけ文句言う人はおそらく居ないだろう、ということだけはハッキリしている。
ストーリー・・・ドイツ行きの機内で“ノルウェイの森“を耳にしたワタナベは18年前に恋に落ちた直子のことを思い出す。直子は親友キズキの恋人であったが、キズキはある日突然自殺をしてしまう。ワタナベは誰も自分を知る者がいないところで生活を始めようと、東京に出るが……
・ノルウェイの森@ぴあ映画生活
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