2008年11月04日
136●その土曜日、7時58分
シブい!そしてカッコいい。
見ごたえアリな感じが好みなのだ。
サスペンスでありながら、そこにドッシリ重厚さを感じさせるのがたまらない。
ストーリー・・・
ニューヨーク郊外にある小さな宝石店に強盗が押し入る。隙を見て女性店員が強盗を撃つが、彼女もまた銃弾を浴びる。慌てて逃げる共犯者ハンクの車…。強盗3日前、ハンク(イーサン・ホーク)は兄のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)から両親が経営する宝石店への強盗計画を持ちかけられる。ハンクは養育費の支払いが滞り、お金に困っていた。一見、贅沢な暮らしを送るアンディもまた、ドラッグに溺れて会社の金に手を出していた。やがて二人は強盗が失敗しただけでなく、撃たれたのが自分たちの母親だったと知り・・・
'07年、アメリカ・イギリス。
シドニー・ルメット監督作品。
この作品、演技のしっかりした、いい俳優を配役をした。もうこれだけで、すでに見ごたえのある作品になってる。
「この人に任せておけば安心」というような、ドッシリ構えて見れる安定した俳優、というわけではなく、
何をしでかすか分からなそうなフィリップ・シーモア・ホフマン(私は、この人が怖くて仕方がないのです)、彼に加えて、どことなく間の抜けた顔をしたイーサン・ホーク。彼らだからこそ、このハラハラ感が持続したのかも。
のっけから、いきなりフィリップ・シーモア・ホフマンとマリサ・トメイのベッドシーン。
フィリップ・シーモア・ホフマンの尻なんて、誰も見たくないって言うんですよ・・・。
噴いた。そして、ググっときた。
シドニー・ルメット監督、80歳台にして、若々しく精力的だなあ、と、思わず苦笑と共に唸る冒頭。
持続する緊張感と、これから起こる物ごとに背中の毛を逆立てながら、不安感に駆られるシーンの連続には、たまらなく嬉しくなってしまった。
時間軸をいじって、サスペンス効果を盛り上げる巨匠監督。
それほど細かく時間軸をいじっているワケではないのだけれど、やはり誰が何の事件の何日前に、どんな行動を取ったのかが明確になるやり方だ。
大した事件でもなくても、運命的に感じる。
そこにアンディとハンクの兄弟葛藤や、父と子の姿、というものが等身大に描かれる。
さらに、中年期を過ぎて、人生が空虚に感じ始めたアンディやハンクの、男としての人生もありありと見て取れる。
振り返り地点を過ぎて、自分は何を成していて、何を成していないのか。ちっぽけな自分の人生という名のオンボロ車のハンドルをしっかり握り直して、もう一度軌道に乗せるべくハンドルの握り直しを計ろうとする、そんなアンディやハンクの姿。
サスペンスを描く時に、こうした重厚な人間の内面が描かれると、見ている方には、グッと近しく感じてしまう。
それが、自分とはかけ離れたタイプであっても。
「死んだことを悪魔が気づく前に」
という、英語の原題がまたいい。
これから起こる悲劇的な事件、それが一体どういうものなのか、期待と不安で胸一杯になりながら見ていた。
人一人の人生が、あっという間に転落していく。これを見るだけで、空恐ろしくて、いつも私達は震え上がってしまうのだ。
そこで何もしなかったら、きっといつもどおりの生活が送られていたはず。
空虚で、どこか物足りなくて、刺激はないけれども、同じ単調な生活。
何度も繰り返し、繰り返し行われる、退屈で退屈であくびを殺しながらのルーティン・・・。
きっと、だから自分はこういうサスペンスを真剣に見入ってしまうんだ。
今こうして退屈で退屈で仕方がないのに、どこか幸せなのは、
不安にチビりそうになるような大事件が起こらずに済んでいる、ってことだから。
自分と同じ、平凡で、葛藤にまみれた男達が、ここまでの空恐ろしい大惨事を巻き起こす。
ああ、自分のことじゃなくって良かった・・・とホッと一息つく。
自分の地面の下に確かな手ごたえを感じ、ヨレヨレではあっても、何とかこうしていまだ立っていられる自分に、ほんの少しの安堵感を覚えることが出来るのだ。
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この記事へのコメント
こうゆうちょっと心臓に悪い系のサスペンスは
あんまり得意じゃないかも(;・∀・)
だから、ホラーも苦手なのですよ。
心臓がドキドキしちゃって嫌なの。
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、これって、考えていた計画が、予想もつかない最悪の展開を迎えてしまう物語でしたからね・・・。
でも、そこがいいのかも、って思っちゃいました。
悪夢が怖ろしければ怖ろしいほど、現実に戻る瞬間が、ありがたいのかもしれません。
う〜ん、渋い映画でした・・・。ハンクはあの後どうなったんでしょうね?
父の声を背中で聞いたのか、それとも。。
マリサ・トメイは、この映画の冒頭のシーンを「親には見せたくない」と言ったとか。
わかるわ〜(笑)。相手があのお方ですから(爆)。
ホント、84歳でこんな映画撮れるなんて凄いですね!あやかりたい。
ではでは、また来ます〜。

こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あの後のハンク・・私は正直、あんまり都合のいい展開を想像はしてないんですよね・・。
もう一段階も二段階も、悪いことが起こったのではないかなあ、と

この辺り、きちんと言ってないところが、この映画の上手いところでもあったのかもしれませんね。
マリサ・トメイ、親に見せられないなんて言ってたんですね。
それを聞いて、ちょっとだけ、一体自分がいくつのつもりなんだろーなんて思ってしまう、意地悪な私がいましたけど。
だって私だったら、そんな年でラブシーンは・・親ばかりでなく、親・兄弟・姉妹、親戚一同全員に見られたくはないですから(笑)
いやーでも、マリサ・トメイは、いくつになっても、スタイル抜群でビックリですね!綺麗な裸でした。
フィリップ・シーモア・ホフマンは、今をときめく、「イケてるキモメン俳優」の一人じゃないですかー。
真紅さんはやっぱりイケメンが好きですか?「イケてるキモメン」も略せば「イケメン」なんですけど・・だめ?
こんばんは☆
すごいですよね、ほんと未だに現役でこんな作品を84歳ながら撮ってしまうとは!
一見平凡な家族なのに、、、、
すごく興味深く観ちゃった、
重いけどこういう作品好きです!
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
migさんも気に入られたようですね!
重いけど、たまにはこういうずっしり来るのもいいもんですよね!
私もとっても気に入ってます。
migさんはもしや、時間軸いじくる編集がお好きなんでしょうか★
でも男性である私はもちろんマリサ・トメイのお尻の方が好きでしたけど。
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
ジェフリー・ラッシュの『シャイン』で見せた尻ですか〜!
じゃあ私は、ジャック・ニコルソンの『恋愛適齢期』の尻に一票で!
マリサ・トメイは本当、脱ぎっぷりがいいですよね!
『レスラー』の時のマリサ・トメイは、この作品より後だったんですよ。この作品を見ると、『レスラー』でオールドミスのストリッパーの役が、女優としてイメージダウンに繋がりそうだったにも関わらずこの役に挑んだ、というのが、素晴らしいことに思えてきます。

