2008年08月30日
113●コレラの時代の愛
『ノーカントリー』+『ハモンハモン』、ストーキング+種馬っぷりをハビエル様に学ぶ。
ストーリー・・・
事故で夫を亡くし、傷心で葬儀に臨む老いたフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツジョルノ)のもとにフロレンティーノ・アリーサ(ハビエル・バルデム)が現われ「この日を待っていた。ずっと愛していたんだ」と告げた。1897年のコロンビア・カルタヘナ。郵便局員のフロレンティーノは、配達先の令嬢フェルミーナと恋に落ちる。しかし、娘を裕福な名士のもとに嫁がせたい父によって引き裂かれてしまう。その後、フェルミナが医師フベナル・ウルビーノ(ベンジャミン・ブラット)と結婚した事を聞き、何年でも彼女を待ち続けると心に誓う。・・・
'07年、アメリカ。
マイク・ニューウェル監督。原作:ガブリエル・ガルシア=マルケス
長い時間軸を描いた、恋愛物語。
一人の人を想い、会えなくなっても、たとえ相手が結婚しても、その人のことをただひたすらに一人の人を思い続ける男、フロレンティーノ(ハビエル・バルデム)。
元は一介の郵便配達員、お金も地位も無い一人の貧乏青年だった頃から、ずっと金持ちの家の令嬢を思い続ける。
自分には、なるほど、って思えるところがあったんですよね。彼の片思い、その一途さが切なくて。どうしても好きな人、諦めきれない人、この人しか思えない、とまで想う片思いは、自分にも覚えがあるから。
その人を簡単に諦めて、他の誰かを好きになれば、楽になれるんだろうか?
・・・きっと、彼にとっては、そうだったと思う。でも、彼は、そう出来なかった。待ち続けることを、選んでしまった。そんな不幸な人。
フェルミーナを思い続ける間、ずっと“純潔”を守り続けるつもりだったのに、とある経験から、その純潔を失ってしまう。そしてその後は、何百人もと経験して(600人以上だったよね、確か)、それなのに自分は純潔を守ったとヌケヌケと言う。でも、彼にとっては、気持ちはずっと変わらなかったのかもしれない。そうこうするうちに、いつしか老人になってしまう。そして、ようやく遂げた思い・・・。
やっと日の目を見ることが出来た、彼の思い。でもその時はすでに老人になっている・・そんな話。
一体、彼は幸せだったのかな?
人生を棒に振った、と考えるべきなのか、それとも、たった一つの幸せだけでも、思いが叶って、良かったんだろうか・・・。
彼の気持ちを考えて、一緒になっておめでとう、って言いたい気持ちになった。私は。
ただ、作品自体の完成度としては、正直、あまり褒められたものではないのかもしれない。
一人の人をじっくりストーカーのように思い続けるハビエル・バルデムの姿は、大真面目な顔をすればするほど、『ノーカントリー』の殺人鬼、アントン・シガーを彷彿とさせてしまう。同じ今年の公開なので、仕方が無いような気が・・・。
さらに、そのあくなき性欲の探求ぶりには、かつてのスペイン映画の彼の出世作、『ハモンハモン』を思い出してしまう。(あれもかなりの種馬ぶりだったなあ〜)
この作品では、600何人もと経験して、それをご丁寧に全部ノートにつけておきながら、「自分は純潔を守りました」、と抜け抜けと言い切るフロレンティーノには、呆れ果てて失笑してしまう。
人によっては、思わず、辛口のブラック・コメディなのか、本気で作っているのか、製作者の意図を疑問に思ってしまう人もいるかもしれない。
でも、おそらく、真面目な恋物語なんだろう、と思う。
一人の人を想いつつ、多くの人と関係した貴公子、というと、日本人であれば、『源氏物語』の光源氏を思い出さずにはいられない。
かの紫式部も、光源氏を描く時に、まごうかたなきプレイボーイである彼の姿を、描いていたなあと。光源氏も、いろんな人と幾多の恋愛を経験しても、なおも初めに好きだった藤壺が忘れられない。
きっと平安時代の人も、光源氏のプレイボーイの手腕を楽しみながら読んだと思う。
それと同じように、この物語も、このバランスの悪い冗長な表現も、むしろ、楽しむべきなのかもしれない。
老いてなお盛んな、女子大生との性行為の姿も、むしろ微笑ましく見るべきなのかも。
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この記事へのコメント
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
本当、一人の人を思い続けるなんて、なかなか出来ないですよね!
この主人公にとって、この女性は自分の夢の全てだったようです。
だから、忘れてしまえばいいのに、どうしても出来なくなってしまうんですよ、
それはおそらくある種の悲劇でもあったと思います・・・。
愛する女性はちゃんと家庭をしっかりと築き
他の男性を愛しているにも関わらず思い続けるって
もう執念以外のなにものでもないようにも感じるのですが、
それでも美しい物語なんでしょうね。
確かに作品自体はあまり完成度が高いように感じませんでしたね。
お話は文学でも、映画は文学してなかったように感じました。
ところどころで笑えるシーンがあって結構劇場でも笑いが起こってました(´▽`*)アハハ
1人の女性を思い続けるパワーとたくさんの女性を愛するパワー。
抜け抜けと精力的なハビエルさんでしたね〜( ´艸`)
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
うん、そうですね、執念すごいなあ、と思いつつ、それでもこの不器用な男が、自分なりに幸せを見出すのには、なかなか考えさせられるものがあったんですよ。
完成度としては、少々残念な点もあるんですが、それでもまあまあ楽しめたかなあ・・。
確かに、ところどころで劇場内で、笑いが起きちゃってましたね。
無理もないんですが・・。
ツッコミを入れながら見るようなタイプに作ってないのに、やっぱりツッコミを入れたくなってしまう・・・。
まあともあれ、結構楽しめましたのでいいかな?

