2008年08月23日
109●帰らない日々
ストーリー・・・
大学教授のイーサン(ホアキン・フェニックス)は、10歳の息子ジョシュがチェロを演奏するリサイタルに妻のグレース(ジェニファー・コネリー)と8歳の娘エマ(エル・ファニング)と出かけ、幸せな一時を過ごし帰途につく。一方、弁護士のドワイト(マーク・ラファロ)は、別れた妻(ミラ・ソルヴィーノ)の元へ愛息ルーカス(エディ・アンダーソン)を送り届けるために車を飛ばしていた。そして悲劇は起きる。イーサンの目の前でジョシュがひき逃げされ、幼い命を落としてしまう・・・
'07年、アメリカ。
監督・脚本、テリー・ジョージ。
原作・脚本、ジョン・バーナム・シュワルツ。
犯人の見つからないあるひき逃げ事件を中心に、物語が展開していくのだけれど、
被害者ばかりでなく、加害者の側からの視点を大分織り交ぜられていて、
その手法にとまどいつつも、段々に、
共に痛々しく、共感できるような作りになっていた。
不思議に心に残る作品となったように思う。
加害者側から見れば、犯人だということがいつ発覚するのかと、
心理的にハラハラするように見せられていて、ちょっとだけミステリっぽく描かれてもいる。
被害者のイーサン(ホアキン・フェニックス)の持つ家族愛ばかりではなく、
加害者のドワイト(マーク・ラファロ)の息子に対する愛、こうしたものも丁寧に描かれていたため、
誰もがいつ、被害者にも、あるいは加害者にもなりえるのか分からない・・
こうしたことを考えざるを得ない。
極度に緊張感を保ったシーンは多く、とても上手に描かれていて、この後一体この物語がどう終着することになるのかと、本気で心配・ハラハラし、
時に加害者のドワイトの気持ちになったり、
時に被害者のイーサンの気持ちになったり、思いは千々に乱れながら、
ラストを見守っていった。
顔が見え、その人となりが分かるからこそ、“許し”のあった、救いのあるラストだったと思う。
相手も同じ人間である、という気持ち。相手にも家族があって、そこに葛藤があって、思いというものがあって・・・。
だからこそ、許す気持ちになれたんだろう、と。
本来であれば、顔も見えない加害者を、想像の中でもっと憎んだだろうと思う。
大都市では決して想像もつかないけれど、小さい片田舎に住む、小さい社会で起こったこうした出来事であれば、
こんな風に物ごとが進んだだろうか。そんな風に考えた。
相手を許す、という行為が出来て初めて、自分の苦しみもようやく終わりを告げることが出来る・・。
本来、罪というもの、罰というものはこういうものであって、
裁判で決着するものではなく、人の気持ちの問題なんだ、
そういうことを、とても上手に見せてくれた作品だった。
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この記事へのコメント
look like a love story
面白ですか?
読んでいて劇中のセリフにあった
「裁判に正義はない、あるのは法律だけだ」と
いうのを思い出しました。
そうゆう意味でも本来の贖罪、赦しも裁判では
なしえないのかもしれませんね。
でも、彼が自ら裁きをしなくって本当に良かったです。
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
うん、なかなか良い映画でしたよ〜。ちょっと重いかもしれませんが、見ごたえがありました!
it's about crime and punishment without the Court.
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
>裁判に正義はない、あるのは法律だけだ
この台詞とても印象的でしたね!
>本来の贖罪、赦しも裁判ではなしえないのかもしれませんね。
ただ自分の場合は、これを悪い意味ではなくて、人間の心の中で起こるもの、相手を許すという行為や心の動きが、本来の裁判に勝るもの、と捉えて、
このラストが心に沁みました。
最近またしても怠慢な私で;なかなかお邪魔できなくてごめんなさいね;
事故を目撃、又、自分で起してしまう度に、事前に回避できたらいいのにって後悔やら何やら思い悩んでしまいますぅ。
毎日車を運転する身としては、加害者となってしまったら、、、という緊張感に包まれての鑑賞でした。
でも両方の視点になった描き方が印象的でしたね。
どちらの心情もわかるがゆえに、なお息苦しく…。
許すという事が最良かもしれないと頭でわかっていたとしても、それがなかなかできないのが人間で、、、だからラストは言いようのない気持ちで心が痛くてたまらなかったけれど、でも本来人はそうやって前を向いて生きて行けるんだなってとても希望も与えてもらえたのでした。
ほんと、気持ち次第ですね。。。
おはよーございます♪コメントありがとうございました。
イヤ、余りそちらへ伺えてないのは、こちらも同じ、お互い様ですので。
加害者もまた人間である、って、当たり前の事なのに、身をもってその痛みが伝わってくるような、
そんな描き方が良かったです。
おっしゃる通り、車を運転した事のある人には、リアルに感じられる、恐ろしさがありました。
なかなか骨太な映画でした。
だからこそ、心の中で反芻しながら考えちゃいます
自分なら、どーするだろうか、と
運転する身なので、どーしてもドワイトに感情移入してしまって・・・
やりきれないですね。
>>物語がどう終着することになるのかと、本気で心配・ハラハラし、
ボクもそう感じました。
でも、人間の良心を信じた終わり方でホッとしました




さんへこちらにもコメントありがとうございます〜♪
これ、おっしゃる通りヘビーだけど、すごく良く描けていて、ナニゲにすごくいい作品だと思いませんか?
それなのに当時はあんまり見た人が居なくて・・結構寂しかったです。
そっか、サイさんはドワイトに感情移入してしまったんですね。
へえ・・・。
ドワイトのしたことは許せないけれど、でも逆の立場も描いたことろがこの作品のすごく好きなところでした。
人間の良心を信じた終わり方・・そうですね。
裁判で裁けない部分を、自分の中できっと納得したのだ、と思うと、本当の解決になっているとも思いました。
最後はホッとして、すごく泣けてしまいましたよ。


