2008年04月20日
60●つぐない
ストーリー・・・
1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女に生まれた美しいヒロイン、セシーリア(キーラ・ナイトレイ)。兄妹のように育てられた使用人の息子・ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)を、身分の違いを越えて愛しているのだと初めて気付いた。だが、彼ら二人のある一場面を、小説家を目指す多感な少女・ブライオニー(シアーシャ・ローナン→ラモーラ・ガモイ)は目撃し、・・・
'07年、イギリス。
ジョー・ライト監督、原作はイアン・マーキュアン『贖罪』。
力強く描かれた、とある一日の一場面、これがとても印象的で、忘れがたいものとなった。
ナレーションもなく、映像だけで語るスタイルは、少々丁寧すぎるようにも思えなくもなかったけれど、
でも、それぞれの思いから丁寧に描くというスタイルは、それぞれの思惑というものを完璧に説明していたし、彼らのドラマの長い時間軸を考えたら、その発端となったこの事件だけは、ここまで描く必要があったのかな、と思えた。
ブライオニーがまだ子供だった頃のこの一日、彼女が罪を犯してしまった一日のその重さ。
この事件とその前後を語るだけで、その人間関係が浮き彫りになってゆく様というのも見事で、目を見張るものがあった。
小さい少女の勝手な思い込みが、恋人二人の運命を変え、さらに彼女の運命をも変えることになる。
流れてゆく時間というものは非情で、運命は二人を引き裂いたまま、その爪跡を痛々しく残して、観る者にその辛さを味わわせる。
そして最後、ネタバレはしないけれども、いわゆる“フィクション”というものの価値、現実と違う甘さ、それからそこに託す望み・・・
フィクションを描く者の“視点”というものをそこに付け加えることによって、逆に哀愁を感じさせる、そんなやり方をしていて、
分かってはいるけれども、ついつい涙が流れてしまった。
いかにも現代風の映画に出ることもあれば、その一方で、文芸物、時代物に割と挑戦することの多い、キーラ・ナイトレイ。
ここでは、彼女が今までに出た時代物の中で、グンと頭一つ突き出た、なかなかの傑作、と言えるように思う。
実際、彼女の存在感あってのこの作品という感じ。
初めは、性格がキツくて何を考えているのか分からない、気紛れなお嬢様にしか見えなかったセシーリアが、本当は情熱的で、一途で、そして官能的に見えて、素晴らしい存在感を放っていた。演技も見事。
私は彼女の作品は、『パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド』と『シルク』以外全部見ていて、
・・・要するに『ベッカムに恋して』の初主演作から、ここ最近までほとんど見ていたのだけれど、初めに見た『ベッカムに恋して』が一番好きだった。
でも、この作品のキーラ・ナイトレイは文句なく素晴らしい。元々なかなか上手い女優さんだと思うけれど、完全に見直してしまったな。
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この記事へのコメント
この映画も「ランジェ公爵夫人」のすぐあとで観ました。
ゴールデングローブ賞受賞も納得の見ごたえあつ映画でしたね。
映像と音楽がマッチしていたのと、ストーリー展開が上手で飽きさせない・・・・・眠くなる暇がありませんでした。この監督若いんでしすよね。
これからが楽しみです。
役者ではなんといってもプライオニーの少女期を演じたシアーシャ・ローナンが秀逸でした!彼女の幼い恋の可愛い嫉妬心を秘めた表情、そして事の重大さを知った衝撃などが言葉を抜きによくわかりました。キーラもこのような映画では気品があってさすがにヒロインというかんじですね。(私はプライドと偏見が好きです)
何だか同じ映画を観ているかたがいるって幸せです。

さんへこんばんは〜♪コメントありがとうございます!
イエイエ、「度々失礼」と言わず、いつでもお待ちしております〜♪
本当、同じ映画を見ている人が居る喜びは、ブログの喜びでもあります

これ、本当見ごたえある人間模様でしたね。
映像もいいですし、おっしゃる通り、音楽の使い方がバシっと決まってましたよね。
タイプライターの音なんか、怖かったですもん。
この監督のこれからが楽しみですね。
『プライドと偏見』、こちらそんなに上手に撮れていたっけ?と思って、またDVDで今日見てたところだったんです。
この頃のキーラは、今見ると若いですね!
少女期を演じたシアーシャ・ローナン、おっしゃる通りすごく透明感と存在感があって、良かったですね。'07年の作品では、4作出づっ張りのようですし、今製作中のものは、主役だそうですね。
この少女、期待の新人女優ですね。
私もこれ、あんまり期待してなかったせいもあってか楽しめました。
いや、楽しむってのはちょっと違うかな。
でも上手い具合に描かれてましたよね。
私はキーラもよかったと思ったんですが、ブライオニーを演じた少女の存在感がすごかったなぁと。
あの目力というかなんというか。
ちょっとぞくっとするような恐ろしさみたいなのも感じちゃいました。
キーラは「ベッカムに恋して」の時も可愛かったですが、「ラブ・アクチュアリー」のあのちょっとの役も私の中では印象的でした〜。
こちらはブライオニーを演じたロモーラ・ガモイが高評価ですよね!
たしかに凄い存在感でした。が、
やっぱりキーラはこういう時代物って似合ってますよね!
あのネイビーのコートと帽子だけでも凄く雰囲気が出てました。
ひたすらロニーだけを見て生きる姿もよかった〜

ロニーの姿と、彼女の手紙、『コールド・マウンテン』が重なりました。

こちらにもコメントありがとうございます☆
そうですね!キーラ・ナイトレイって、結構この年代の女優さんの中では筆頭格だと思うんですが、これと言って、大ヒットした代表作がまだないんですよね。
(『パイレーツ〜』がありましたけど・・)
この作品がもしかしたら、今までの中で一番良かったかもしれませんね!作品としてもいいですしね。
ジョー・ライトの手腕はお見事でした。
でも、そう文章で綴られたものをワンショットで表現できる素晴らしさを感じた反面、別のところでは、あからさま過ぎて親切丁寧過ぎる描写じゃないのかなぁ、鑑賞者が確信をもてたら、ミステリーの醍醐味が目減りしちゃうのになーと、的確なうまさにSTOPをかけたくなる部分もありました。
キーラは案外と「ドミノ」が好きかもー

こんにちは〜!初めまして。
コメントありがとうございます!
私も、「楽しめた」って言ったらちょっとおかしいですが、楽しんで見れてしまいました♪
おっしゃる通り、あの少女シアーシャ・ローナンの、目力、凄かったですね!
見ているだけで気持ちが伝わって来てしまいましたね!
そうですね!私も、『ラブ・アクチュアリー』のキーラ、すごく好きでした♪
『ラブ・アクチュアリー』の映画自体もとっても好きです^^

こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね!シアーシャ・ローナンも良かったんですが、ラモーラ・ガモイも、見ていて心が痛んでくるようでした。
キーラ・ナイトレイ、すごく良かったですよね〜!
初め、なんて性格の悪いお嬢なんだろう、と思ったら、その実すごく情熱的で

『コールド・マウンテン』、そうですね、少し思い出しましたね!
ただこの映画は、自分にとって一番印象深いのは、レニー・ゼルウィガーだったりするんですよ・・。
これ凄く良い映画でした。予想してたのとは随分違いましたが、そこが逆によかったかもしれませんね。
キーラ・ナイトレイは相変わらず綺麗で演技も上手い。弱点を挙げるとすれば、致命的なまでに胸が無いことでしょうか(笑)。でも本人は全然気にしていないんだとか。むしろ脚が気になるらしく、本作では脚を見せる場面で代役を立てたらしいですよ。

こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
自分にとって、冒頭の「あの日」の描き方というのが小説的で、なんだか気に入ってしまったんですよ。
「七難隠す」って訳じゃないんですがw
おっしゃる通り、少し饒舌すぎるきらいもありましたよね。
あのロリ気味な従兄弟なんて、一目見ただけで、犯罪者顔だなって思っちゃいますし(笑)
あと、「二人が暮らした想像上の家」も、明らかにおかしい描写なのがアリアリですしね。
ロビーが倒れる瞬間なんかも、読める展開だったのにアレ?なんていう。
でも、そこに明らかに別の視点を感じることが出来たので、自分には納得がいってしまったんですよ。
「妹の想像の中の描写」としてのあの家の二人、カーテンの揺れ方、明らかにウソの描写という、観客にヒントが与えられているところ、映像でそれすら伝えているのが、自分は面白く思えてしまったんですよ。
はじめまして!コメント&TB、ありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願いします。
この映画の出だしの撮り方、すごく上手に撮れていたなあ、と思います。
おはようございます♪コメントありがとうございます。
そうですね、これはとても技巧派な狙いが感じられましたね。
確かにキーラ・ナイトレイって、胸がないですね。
でも、日本人は結構、細い人はみんな胸がないし、すごく親しみやすいですね。
グラビアアイドルとかって、みんな豊胸手術してるんじゃないの?なんて思ってしまうんですよ。
ウソっぽいというか。
繊細でよく出来てます。これ、監督の功績が大きいんでしょうね。
シアーシャ・ローナンという才能を知ったのも収穫。
「プライドと偏見」も見なきゃ!
アゴばってて、胸板薄いからか・・・(ひらりん的誉め言葉ですよーーー)
どの時代でも、ちょっととがった役回りが多いですね。

こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、監督の功績が大きいのかな?と思って『プライドと偏見』の方も見返してみたんですが、
そっちの方では、割とベタに撮ってるんですよ。
文学の原作を、一般受けする形にして撮るのが上手なんでしょうね。
こんばんは★コメントありがとうございます。
ですね〜、キーラ・ナイトレイって、顔立ちからして似合うんでしょうか?
『穴』なんかは結構好きだったです★
そうですね、綺麗でハッキリした女性の役が多いですよね♪
『ベッカムに恋して』はすごく好きでした〜。
噴水でのやり取りでのツンっぷり、そして書庫でデレが溢れ出すとこにはゾクゾクしました
寸止めで刑務所&戦場送りって、こ、これはツライ
あーもう!なんでソコにいるかなぁ、ブライオニー
「私は見ました」て嘘証言する場面では少女の顔に鬼が見えましたよ、無頼鬼ー…
実にワーキングタイトルらしい良作だと思うのですが…
何をうっかりしても良いけど、エロレターは取り違えちゃいかんだろ!うっかり八兵衛でもそんなミスしないよー
ローラの結婚相手が?えー!じゃあヤツは犯しといてイケシャーと求婚したってこと?
と、瑣末事(でもないかな)が引っ掛かって酔いきるとこまでは至らずでした…
原作本、読んでみよっかな
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
みさまも、キーラ・ナイトレイのツンデレぶりにワクドキ
しましたか〜♪物語冒頭、セシーリアって、超気紛れだし勝気だし、性格の極悪お嬢サマに思えたんですが、
図書室での変身ブリが素敵ックスでしたよね〜

それ以降、胸倉を掴まれっぱなしでしたわw
>うっかり八兵衛なエロレター取り違え
こちらですが、女の本音を言っていい?
自分の非礼を丁寧に謝る、退屈な野郎なんて、女心を捉える訳ないじゃないですか〜
全く想像だにしない人から、あさっての方向の激恥ずかしい言葉を聞かされたら、思わず濡れてしまうんでは?
私は、エロレター取り違えは「よっしゃっ
」てワクドキ最高潮でしたよ〜その後のブライオニーの従兄弟の性交シーン遭遇は、思わず噴いてしまいましたがな・・
なんて一日だったんでしょうね〜。その日の終わりに「無頼鬼〜」に変身しても、多感な少女としては仕方がないかも・・
(この言葉最高ですね!)
とは言え、ローラの結婚相手のところは、確かにちょっと残念でしたね。
ラストのいまいちさに加えて、少し整合性が置いてけぼりにされていて・・
この辺りは、足したり引いたりして、点数加算が結構大変だったですw
キーラ・ナイトレイもジェームズ・マカヴォイもよかったけれど、やっぱり自分はシアーシャ・ローナンのあの多感期の少女を乾いた演技で魅了するあの実力にビックリしてしまいました。
一度狂った歯車ってなかなか元には戻らないですよねー。
しんぽん
さんへこんばんは!こちらでは初めまして!
TB&コメントありがとうございました♪
シアーシャ・ローナン、UPになった顔やら、この少女の佇まいを見ているだけで、
性格やら、これまでの育ちやら、感じさせるようでした。
台詞を喋るのが演技だけじゃないですよね。素晴らしかったです。
そうですね、狂った歯車のきしみを止めることが出来ず、でしたね・・・。
こういう文芸作は、どうしても観る前から構えてしまうんですが、
これはなかなか始まってすぐ引き込まれましたね。
ほとんどの他の人と同じ感想ですが、
少女時代のブライオニーを演じた
シアーシャ・ローナンが良かったと思います。
13歳という歳もさながら、芸術的素養を持つ女性は、更に感受性が強いんだろうなぁと思います。
カント、なんて言葉を知っているのも凄い!
正直私は知りませんでした(苦笑)。

こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、冒頭のストーリーテリングが、なかなか上手でした!
シアーシャ・ローナン、ここでは結構皆が褒めてるみたいです★
彼女の今後がすごく楽しみですね!
んーしかし、カントという言葉を知ってるのって、スゴイんでしょうか

日本で言えば、駅の公衆便所に書いてある落書きみたいなモンですからね^^;
この映画とても切なく、ことしのアカデミーノミネート作の中では一番すきでした。
私は単純な人間なので
やはり最後でやられてしまいました。
詳しい感想は私の映画ブログに載せてありますのでよろしかったら見てみてください。
http://blue.ap.teacup.com/azymuth/
こんにちは〜★初めまして。
コメントありがとうございました。
そうですよね、私も最後のところは、十分にやられてしまいましたよ。
まあ、「それをやってしまうと、フィクションそのものとしての価値として、どうかなあ」という風に思ってしまう気持ちもありますけど・・^^;
早速遊びに行かせていただきますね。
もしよろしければ、今後は、TBを送っていただいけると、直にリンクすることになるので、送っていただいてもよろしいかと思います。いかがでしょうか?
今後もハリウッド映画よりもイギリスえいが中心で頑張ってほしいものですよ。
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あーそうですね、なるほど、確かにハリウッドでは彼女は輝かないのかもしれませんね。
脚本もあるのでしょうか?
『ベッカムに恋して』、これてっきりインド映画だと思ってたら、これ実はイギリス映画でしたね・・
>フィクションというものの価値
こういう例、実際にもあるかもしれませんね
モデルになった話もハッピーエンドで終わったのだとばかり思っていたら、実は作者の願望だった・・・とか
最近は「実話に基づいている」という映画も多いだけに、よけいそんなことを思います
序盤のキーラ・ナイトレイには細い刃物のような危うさと刺々しさを感じましたが、看護服に身を包んだ彼女にはうってかわった物柔らかさがにじみでていて
まあ大した女優さんだな、と思いました


おはようございます〜!コメントありがとうございました。
そうですね、作者が作る物語の中で、それが自分の中で、思い入れが深ければ深いほど、
「こうしたかった」という事実が盛り込まれる・・
この気持ちはすごく分かるんですよね。それがフィクションであればいいんですが。
一方、事実に基づいた映画で、かつ、関係者がそこに携わっている映画を、
自分にとってそれほど好きになれないのは、それが理由なんです。
どこまでが事実なのか、そしてどこからが願望なのか分からないから。


