2007年10月29日
#159.ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた
ストーリー・・・
ジェンナ(ケリー・ラッセル)は片田舎の小さなダイナーで働くウェイトレス。素敵な出逢いに心がときめいたり、辛い現実に心が乱れたときに、自分の気持ちを込めたオリジナル・レシピでパイを焼き、食べる人を優しく温かな気持ちにさせる才能を持っている。ところが、嫉妬深い夫アール(ジェレミー・シスト)のせいで、人生失敗続き。家とダイナーを往復するだけの人生を送っていた。密かに家出計画を進行させていたある日、予想外の妊娠が判明する。絶望と困惑に駆られるジェンナの前に現れたたのは、産婦人科医のポマター(ネイサン・フィリオン)先生。挨拶がわりにと持参したマシュマロパイが、ふたりの心を急接近させてしまい・・・。
なんとなくオールディーズ風味がする、古い時代設定のような気がするのだけれど、特に物語設定は現代と違うということになってはいない・・・はず。
古いアメリカ、という感じがして、なんだか妙に気持ちがほっこりするの。
いつの時代設定だとしても、共感出来るような女性のオハナシだと思う私。
女性の自立と、子供を持つ気持ち・・・。
女性に共通するような、いろいろな疑問点を、実際に妊娠中の監督、エイドリアン・シェリーが、同時期に描いた物語。
そんなこともあって、女性の目線というものが、すごく等身大なの。
物語冒頭、あまり笑えないジョークだったり、コメディといってもアメリカン・ジョーク?というような気がして、ノレないような気持ちを抱えているうちに、次第に共感してしまった。
なんともまぁインディペンデント映画、というようなテイストの、懐かしさすら覚えるような空気の流れ方なの。うまく言葉に出来ないんだけど、
昔から単館系映画が好きな人には、見れば分かってもらえそうな気がするよ。
言いたいことも性格上我慢してしまう、主人公のジェンナは、日本人的ともいえるような、古風な性格をしているの。
だんだん好きでなくなってしまったダンナに対しても、ついつい従ってしまう。
ダメダメ恋愛をしたことのある女性に、特に分かると思う(笑)
相手に対して言いたいことがあるのに、つい我慢して、相手の好きな自分を装ってしまう人。基本、人に対して寛容性があって、優柔不断なのかもしれないけれど。
自分の人生に区切りをつけたいと思いつつも、なかなかその一歩を踏み出せない気持ち。
周りの同僚を欠点にも関わらず愛したり、うるさいお客さんのジョー(アンディ・グリフィス)とも仲良くなったり、本当はとても優しくていい人なジェンナを見ているのは、とても気分がいい。
自分のおなかの中に居る子供を、決して好きになれそうにもなかったり、
この主人公がずっと抱えている“不幸な感じ”?
普通の映画にはあまりなくて、これこそローバジェットだからこそ、そんなテイストをひしひしと感じてしまう。
ああ・・・全然この映画の良さを説明できていないなあ。とほほ
主人公が妊娠をして、生まれてくる子供に対して、不安感と責任感に苛まれる。その中で、ようやく自分の不幸な人生に対して、何か手を打たなければいけない、と彼女は思っているのね。
その彼女が、少しづつ成長して、赤ん坊を産むまでの物語。
誰しも、「子供を持つ心の準備」なんて、十分に出来る人間なんかいない。
そしてそんな自分を「ウン、肯定出来る」って、少しだけ思えるようになるまでの物語。・・・ってとこかな。
赤ん坊をもうける、そこに本当は「救済」なんかなかったはずなのに。
そして回答なんて求めていなかったのに、不幸な人生と対決する、というか、自分の中でようやく一つの区切りを、彼女なりにつけていく・・・。
目線がとても優しくて、女性らしい丸さがあって素敵な物語だった。
余計なことを言うようだけど、ケリー・ラッセルがどうしてもジャック・ブラックに見えて仕方が無かった・・・
あと、最後に一言だけ。
最後に流れるテロップで、「エイドリアン・シェリーに捧ぐ」と書かれています。この作品で殺されてしまったという監督である彼女。子供を産み、彼女が書いた脚本のこの映画は、口コミでボックス・オフィスの6位にまで昇っていったというのに。
とても残念です。
安らかにお眠りください。
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この記事へのコメント
≫目線がとても優しくて、女性らしい丸さがあって素敵な物語だった。
・・・ですね。
その一文につきると思います。
ただ、出産した途端にあんなに女性って価値観が変わるもんなのかな?
たぶん、一生子供を産みたいと思わない私には、一生理解できない感覚なのかもしれないと思いましたです。

こちらにもありがとうございます★
うんなるほど。睦月さんが、この映画が噛み砕けなかった部分というものが、この女性の出産を答えのようにしていたところだったのでしょうか。
物語の冒頭から彼女は妊娠してましたよね。
子供を産んで価値観が変わった、というよりは、
彼女は、妊娠したことによって、それまでの自分の人生というものを肯定できるようになった・・・
そういう話だったように思っています。
誰しも、子供を持つ準備なんて、出来る人はいないと思うのですが。
それでも、何かで彼女はけじめをつけた。
そういうことかな。と自分は思いましたです。
NYのキャリアウーマンを描いた作品は多いですが、南部の田舎町の普通の主婦の物語はわりと新鮮。
与えられた状況をいかに打破して幸せをつかんでいくか?が丁寧に描かれた作品でした。
そうそう。監督さんが亡くなってしまったことにびっくり。さぞかし無念だったことでしょう。
こちらにもありがとうございます♪
ええ、そうですよね!この作品は、都会のキャリアウーマンを描いたわけでなく、女性の生き方、というものを描いていました。
アメリカはほとんどが田舎ですから、都会の人ばかり描かれるより、こうした作品があってもいいんですよね。
監督の訃報には、本当に驚きました。
この映画を観て強く感じたのは「やっぱり女性は強いなぁ」という事でした。赤ん坊が生まれるシーンで男たちが完全に蚊帳の外になる演出には、あまりの潔さに男の僕でも笑ってしまいましたよ。
監督がそんな事になっていたとは知りませんでした。ご冥福をお祈りします。

こちらにもありがとうございます♪
そうですね、女性の強さを感じる作品でしたね。
でも、社会の上で男に対抗する、という強さではなくて、自分らしく出来ることを、料理とか、子育てとか、女性らしい優しさがある強さだったので、すごく私は好きです。
監督は残念でした・・・。
>ケリー・ラッセルがどうしてもジャック・ブラックに見えて仕方が無かった・・・
えっ?と思ったけど、言われてみれば
笑顔の雰囲気が似ているような気がしなくもない...。
この映画、多少の不満はありますが
全体的には良く出来た映画だと思います。
エイドリアン・シェリー、
これからもっといい作品を生み出すことが
できただろうに...。残念でなりません。

こんばんは☆コメントありがとうございます。
やっぱり、ジャック・ブラックに似てますよね、ケリー・ラッセル!
私には、ケリー・ラッセルは最初から最後までジャク・ブラックに見えますし、パリス・ヒルトンはいつ見ても小林幸子に見えます

エイドリアン・シェリーの訃報、初めは自殺って言われてたんですよね。
後で他殺と分かったんですよ。私が調べた時の辺りの話なんです。
あの静止した表情の時が、コミカルで激似でした。
(ジャック・ブラックがよく使う表情ですよね)
ケリーの名誉の為にも、普段はさすがにそう似てないと思いますが。(^-^;A
エイドリアン・シェリーの事件を知って少なからずショックを受けました。エイドリアンの小さな子供の事を考えるとちょっと悲しい気持ちです。
ねむねむで、れろれろの私の記事ですがTBさせて下さいね〜♪
とらねこさんの丁寧で的確なレビューに頷きながら
みていたのに
>ケリー・ラッセルがどうしてもジャック・ブラックに見えて
って〜、もう爆笑

そんで
>パリス・ヒルトンはいつ見ても小林幸子に見えます
ぃや〜〜ん、そうかも(笑)
こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました!
ですよね、ですよね!静止したまんまのこわばった笑顔、あれ、ジャック・ブラックの生き写しでした!
おっしゃる通り、ジャック・ブラックがよくする表情なんですよね〜。
エイドリアン・シェリーの訃報は、本当に残念で悲しくなります・・・。
この映画でも、すごく優しくていい人そうなのに・・・(泣)
悲しいです(泣)

こんばんは〜♪コメントTBありがとうございます!
>ねむねむのレロレロ
な、なんか、すごく気持ち分かります!私もときどき、そんな感じのレロレロ状態で、うすらぼんやりと記事を書いてます〜!
それなのに、丁寧で的確な・・・なんて、トンデもない!
しかしこの映画は、本当に何を書いていいやら、結構難しい映画でしたよね★
等身大でおかしくてかわいい映画でしたねぇ。
筋金入りの単館系映画好きとしては、新鮮味はないテイストなんだけど、じゃじゃーんっていうハリウッドものを主に観ている人には大好評というのも納得です。
エイドリアン・シェリーの件は酔いどれ詩人後にふぇあるーざさんのコメントによって、知り得たんですが、今年の前半にたまたま彼女の主演の旧作『トラスト・ミー』を観ていて、キュートな女優さんだなと思ったばかりなので、残念感もひとしおでしたー。

こんばんは。コメントありがとうございました。
ハリウッドメジャー映画好きの私の様な者からすると、とても良く出来た素敵な映画でした。
彼女の旧作も素敵なのですね。
エイドリアン・シェリーの死は誠に残念でした。
ふぇあるーざさんはそんなに早くからご存知だったのですね〜。私は、あのテロップを見てビックリしました。
というパターンになってますねっ。
その元手が・・・
なかなかいい設定でした。
しかし、ここでも女は強し・・でした。
こちらにもありがとうございます〜♪
うんそうですね、今年ってレストラン関係の映画が本当多かったですね。
ひらりんさんが見てないレストラン映画は、『厨房で逢いましょう』かなーーーっ。
女は強いですが、この人は基本、優しい人すぎたんですよね。そこがまたスキでした★
そうなのよー、ジェンナはまるで私ぢゃんかーと思いながら見ていて;ううう。
優柔不断で、人に合わせてばかりの自分が嫌でたまらなくてーなんてところ。とらねこさんならお見通しね;
ジェンナは子供が生まれて、あら、かわいいっ!ってなったからいいけど、私なんて子供の存在さえしばらく肯定できなかったものでした。たくさん後悔もしたし。
・・・私の場合、劇的に価値観が変わった出来事って出産とか育児ではなかったのだけど、やっぱり人には自分を大きく変える出来事は何かしらあるものですね…。私はどっちかというとスサンネ・ビア監督が描きそうな人生かも。ふっふっふ おしえなーい。
あ、本作品は舞台劇みたいで面白い演出だなあと思いました。ケリーはバレエもやっていたんですよ〜。顔はジャックだー。24? 否、黒よね。爆

こんばんは☆コメントありがとうございました!
ジェンナを、まるで自分じゃないか、と思われたのですね!へ〜。
それがお嫌なんですね。私は、そうやって人に合わせるのは、ジェンナの優しさだと思いましたよ〜。ますます、シャーロットさんのイメージが上がってしまうわ*^^*
でも、子供が出来てからも後悔したり、そういう割り切れない気持ち、本当はきっとあるのが人間ですよね。
特に男の子のお母さんだったら、バタバタ忙しくて大変そう〜!でも、シャーロットさんは、男の子のお母さんとは思いませんでしたよ。オットリされている優しいイメージだったので。いつもはもっと怖いのですか?(爆)
スザンネ・ビア監督が描きそうな世界?
気になってしまうわ!そんなこと言われたら!
も、もしかしてしあわせな孤独的?あひゃー。「BROTHER」ではないと思うし?
ああでも私だって言ってないことが・・
劇場で見逃したのでDVD鑑賞となりましたが、すっごく好きです、この映画・・・。
「古き良きインディペンデント映画」ってホント、ぴったりな表現ですね☆
思いのままに感想を書いたのですが、なんか、コメントなど読むと主人公に「共感できない」方が多いのかも・・・。
そりゃそうですよね、同じ女性でも考え方や立場も違うし、ジェナのこと否定的に見る人がいてもおかしくないですよね。
私は弱い人間(ダメ人間?)なので、ジェナに共感しまくってしまいました(笑)。
20分間ですよ〜、20分間でいいの〜(叫)。
ではでは、また来ますね。

こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
お返事が大変遅れてしまって、本当にすいませんでした。
おお、「古き良きインディペンデント映画」って言葉、賛同していただけますか!
そうなんですよね、人に流されたり、キツイ言葉を人に投げつけたり出来ないこの主人公、
都会派のハッキリした女性から見ると、なんだか優柔不断な流されやすい女性にしか思えない、って人も居るんじゃないかなあ、という気持ちは分かるんです。
自分は、むしろ今見ると珍しい優しさや、同時に女性のしなやかさを感じて、逆に嬉しくなってしまったんですよ。
自分の価値観とは違っていても・・・。
やっとこの映画観ました〜。
基本的に不倫大反対派なんだけど、ジェンナ側からだと何となく気持ちはわかるかな。
ただ、産婦人科医からの立場からは理解できなかったけれど。
それでも大好きな映画です。
なかでも一番好きなのは、パイづくり中に歌う歌。
なんて優しくって愛情あふれる歌なんだろって…。
そのワリには歌詞は全部忘れちゃったんだけど。アハ♪

アンマリーさん!!!お久しぶり!!
ちょっと寂しかったよ〜!お元気でしたか?
で、この映画、アンマリーさんはなかなか楽しめたんですね、良かったァ!
でしょう、不倫推奨するってワケじゃないんですが、ジェンナみたいに「出口が見えない」、と考えがちな時には、きっと心に栄養になる出来事だったに違いないの・・・。
パイ作りの歌、すごく優しくて素敵でしたね!
それなのに、あんなことになるなんて。。。なんだか、ここまで残酷な死に方もないような気がしてしまった。



