2007年06月23日
#89.あるスキャンダルの覚え書き
誰も、“ホラー”とは教えてくれなかった。・・・
うひゃぁ〜、これ、かなり来ましたよ。
よく、“言葉の暴力”、って言い方しますよね?実際は暴力じゃないけど、それくらいの衝撃がある言葉という意味で。
この映画は、人間ドラマに見えて、ホラーですね、ホラー。
霊は出て来ないし、誰も血だらけにならないけど・・・。
これに似ていると言えば、スティーブン・キングの『ミザリー』を即座に私、挙げちゃう。
あれも、精神的な迫り来る恐怖を描いて、閉じ込められた者の圧迫感がひしひしと伝わってくる小説だった。
で、この物語も、そうしたテイストをすごく感じてしまう。
ホラーなんて言うのは大ゲサだけど、あながちそう言えなくもない。
ジュディ・デンチは嫌と言うほど恐しいし・・・。
何より、この孤独な老教師のリアリティの凄さ・・・壮絶です。
頑固で頭の固い老女教師というのは、誰もがその人生で見たことがあるような人物像、という気がする。
ああいう人っていうのは、どこの学校にも一人は必ず常備されているのでしょうかっ。
生徒である私達から見ても、いかにも性的に干からびてそうというか、「蜘蛛の巣張ってるんじゃないか」なんて、当時よくもま〜、酷いこと言ってた気がする。
だけど、いかにも厳格さだけが取りえの、学校中の嫌われ者、そんなオールド・ミスが、この映画のバーバラ(ジュディ・デンチ)。
それから、全く対照的に、美しくて純真なところのある、シーバ(ケイト・ブランシェット)。
40を過ぎてなお、地に足のつかない、“自分探し”をいつまでもしているかのような人物像で、サムシングを求めているが故に、どこか危なっかしい人。
子供が大きくなり、手がかからなくなって、ある程度自分の人生を振り返る時間が出来、
このまま人生が終焉に向かっていくのを、寂しいと感じている、若さの幻想が崩れ始めたこの女性。
だからこそ、その後起こる、普通であれば呆れてしまうような事件に、シーバがハマりこんでしまったのだろうな、と。
起きる出来事は順行で、次の展開も十分予想がつくものなのに、“サスペンスタッチ”とさえ言えるような、この見事な切り口。
老女バーバラの視点で物語が展開し、ナレーションがつけられているのが、なんともかとも。
見ている方はハラハラしてしまうのが、危なっかしいシーバの“恋愛事件”で、「やめときなさいな、あんたもまた〜
」と、かなりシブい顔して観客は見ているのに、次の展開が楽しみで見てしまうことが出来るなんて。
これは、圧倒的な力技がゆえだと思う。
ウマイですよ。
「もう嫌だっ」て言うほど、このジュディ・デンチが、迫力満点でしょ。
それから、もうアカデミーも3度目のノミネート(助演女優賞)というケイト・ブランシェットがまた、確かな演技力で魅せてくれる。
とにかく、予想していた以上にずっとよく出来た、サイコホラー(だと私は思う)。
もう、陰惨な恐怖感をじわじわ叩みかけて行くクライマックス。
よく考えれば、ただ単にスキャンダラスな一つの醜聞を、
まるで悲劇の大転落のように感じさせる、この圧倒的なドラマ作りに感激。
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この記事へのコメント
私も観てきました(レディスデイだったことで満席でした!)。
二人の女優の演技力につきますね。
女の持つ「怖さ」を再認識させられる映画では?
孤独もあそこまで行くと「ストーカー」に変身するのでしょうか?そして魅力的な女性は子供(それも障害児)がいても、少年や諸々の男性にもてる・・
バスタブに浸かりながらディンチが呟く言葉「今までに一度も異性に触れられなかった体」が印象的でした。ディンチの鬼気迫る表情や音楽がホラー映画そのものでしたね。
でも、後味は悪くない・・・だって、彼女は何も反省してないし、これからも同じように生きていくのですもの。

さんへこんばんは〜♪コメントありがとうございます!
満席でしたか★私の時も2週間半前(記事書くの、遅・・)で満席でした^^
あのストーカーぶり、本当に恐ろしくて、ちょっと嫌な気分にすらなるくらいでしたよね。本気で怖かったです(泣)
誰しも孤独って嫌ですよね・・・この人の行動は、行き過ぎなんですが、現実に居そうで。
そうそう!おっしゃる通り、バスタブに浸かってのあの一言

心に食い込む怖さでしたよね。ひいいいい。
忘れられなそうです。
>でも、後味は悪くない・・・だって、彼女は何も反省してないし、これからも同じように生きていくのですもの
よくぞ、おっしゃってくださいました!
その通りでしたね。後味の悪さを感じさせないのは、この人が懲りない人だからですよね。
可哀想な人でしたが、悲惨なラストでなくて、良かったですよね(あれはあれで問題ですが・笑)
多分、似たような見方をしている気がします。
>「もう嫌だっ」て言うほど、
> サイコホラー
この辺が感じられると、スタッフもニンマリする予感がしますね。
バーバラの後半の態度は、絶対に普通の人間が考えることと違う点が、僕の確信に繋がりました。
私もここまでホラーな作品とは思っていませんでした^^
ラストでまた次の標的(?)が現れましたけど、人間って簡単に弱さを人につけこまれちゃうんだよね・・・そんなところでもすごく納得してしまうし、怖いな〜って思いました。
ジュディ・デンチの入浴シーンはある意味強烈でしたよね(汗)。
ホラーですよね!
おばーちゃんを野放しにしてていいんでしょか?
相手をかえて同じことを繰り返してるんだもん。危険すぎです。
あの終わり方はホント、ホラーでした。
ゾゾゾでした。
でもシーバよりも同情しちゃう。さみしい人生だよね。
TB&コメントありがとうございましたー。
いやぁ、これは凄い作品でしたね。これぞホラーでしたね。完璧でしたね

92分という短い尺の中に、これ程に濃密でリアルな人生劇場をまとめ上げるとはっ、恐れ入っちゃいました。私としては、間違いなく6月に観た中でベスト1だし、上半期で振り返ってもベスト10に余裕で顔を出すくらいの勢いです。

バーバラがおぞましいと感じる方が多いと思ってましたけど。とらねこさんもシーバについて触れているので、何か嬉しく思っちゃいました。
私は、シーバがバーバラに詰め寄るシーンの迫力、今でも忘れられません。この場面のケイトの迫力が余りにも凄くて、ジュディ・デンチも思わず本気でビビッてしまったのではないかと錯覚してしまう程でしたわ。
ちなみに、私はシャンテでの鑑賞でした。バッタリ会えずに残念でしたが〜

この映画もそうですが、去年公開された『ディセント』といい、試写会で観た『怪談』といい、最近は「女の恐怖」を描くのが流行りなんですかね?
この映画では本当にジュディ・デンチが恐ろしかったです。好きな役者だからなおさら。
でもある意味で一番怖かったのは例の入浴シーンだったりします(笑)。
自分の身にもいつ起こるかわからない恐怖、とも言えそうで。>壮年、高齢に向かう女性が、若い魅力的な女性に…。怖。。。
ある意味、需要と供給って感じです。バーバラのターゲットに成り得る女性は、結局、「そういう女性」だったりするわけで。一歩間違えば、犯罪。間違わなくても、異常。でも、社会的には野放し。
やっぱ、ホラーですね。これ。

こんにちは☆コメントありがとうございます。
>バーバラの後半の態度は、絶対に普通の人間が考えることと違う点が、僕の確信に繋がりました
そうなんですよね!私も、後半見て、いよいよ「ほら!やっぱりホラーだ!」と確信いたしました!(笑)
ジャンルを破壊する勢いのある映画っていいですよね。

こんにちは☆コメントありがとうございました。
そうですね、次の標的現れていましたね。
普通、出会った相手が、しかも同性だったら、相手を異常とは最初から思わないですもんね・・・。
でも、この終わり方は、いつどこにそういう人がいるかもしれない、という感じの終わり方でしたよね。

こんにちは〜♪コメントTBありがとうございました!
本当、最後、全然懲りていないのを見てゾっとしましたねー。
でも、法を犯したりしていない、ギリギリのラインなんですよね。
それが逆に怖いですよね。
でも、孤独なおばあちゃんってちょっと可哀想。
相当怖い人ですけどね・・・。
本当、いろんなことを表現してる映画でしたね!


こんにちは☆コメントありがとうございます。
となひょうさんは、最近HNを“となひょう”と言ってらっしゃるのですね☆
なんか自分でそう言ってるのって、カワイイw
私もこの作品、結構高い評価になりそうですよ。
こうしたただの猥談のようなゴシップを、ここまでの物語にしたというのがすごいなって!
そして、おっしゃる通り、90分という尺って、短くっていいですよね〜♪
私も、90分〜100分程度が、ちょうど集中力が切れなくて好きです☆
ケイト・ブランシェットも、さすがですよね。
私、大好きなんです♪どんな役でもこなしちゃうのがすごいですよね。
となひょうさんは、シャンテでの鑑賞だったのですね。
武蔵野館より見やすいですね☆

こんにちは〜♪コメントTBありがとうございました。
おやっ“女の恐怖”ですか。この手の女性の恐ろしさって、もう、恐ろしいというか、おぞましいというか、凄まじくなってしまいますね。
『ディセント』も『怪談』もホラー、そしてこの作品も、私に言わせればホラーテイストでしたっ。
やっぱ、ホラーには女性の執念は必需品と言えるかもしれませんね〜。
あの入浴シーンは、『サイコ』に匹敵する恐怖シーンでした!
うん、サイコホラーだわね。
いつ血が迸るシーンがでてくるのかと、ビビリーな私は終始ぞぞぞっとしてましたです。髪の毛保存とかだけですんでてちょっとホッとしてたりもして;
デンチさん、こういう役柄の方がイメージかも。

こんにちは〜♪コメントありがとうございます!TBも下さいねっ。
>一歩間違えば、犯罪。間違わなくても、異常。でも、社会的には野放し。
本当、ここなんですよね〜。社会的に間違ったことをしていて、投獄されたのは、シーバの方で。
なのに、この犯罪すれすれのバーバラの方は、野放しなんですよね。
>需要と供給
そうなんですよね、友人関係だろうが、恋人関係だろうが、ある種、人間関係には、こうしたものが存在すると言えますが、それにしても、何かが狂ってしまっているのは、相手を所有しよう、という間違った考え方から来ているんですよね。

こんにちは〜♪コメントTBありがとうございました。
そうですね、“血が出ないホラー”でしたね。
猫の死体に血はついていましたっけ?
髪の毛の保存だけで、あれほど恐ろしいというもの、面白いですよね。
ジュディ・デンチ、私にはキャシー・ベイツにしか思えませんでした>by『ミザリー』
怖い役を思いっきりやれる女優さんは、素晴らしいですね。
バーバラの心理は、「自己愛」の変異型でしょうか? 自分が大事だと思う相手は、自分のことを何よりも優先してくれなくてはいけない…というような。

こんばんは☆
>バーバラの心理は、「自己愛」の変異型でしょうか?
そうですね、すごく鋭い意見だと思います。
私は、バーバラは相手に絶対を求めすぎているのだろうと思います。
自分と全く同じ他人を作り出したいというか、求めるものが大きいが故に、失望が大きくなってしまう。
要するに、自己同一化したいのだと思います。
それは裏を返せば、自己愛の変形。
おっしゃる通り、自己愛パーソナリティなのだと思います。
ジュディ・デンチ、巧かったですね〜。迫力も余裕もありました。ケイト・ブランシェットももちろん巧かったのですが、ジュディの印象のほうが強かった私です。
たった92分の作品とは思えない、ぎっちりびっしり詰まった見応えのある映画で、観てよかったです^^

こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました。
ジュディ・デンチは壮絶でしたね・・・。
あのシャワーシーンなんて、皆ビックリしてますもんね(爆)!
この映画は自分も結構ハマりました。
無駄の無さがいいですよね。
私も、二大女優の競演ということでもっと静かな人間ドラマを期待していたのですが、かなりホラーに傾いていましたね。
ジュディ・デンチは凄いですね・・、バーバラに迫られたら私も逃げたくなるな〜。。
ケイトも、隙のある女性を巧みに演じていたと思います。彼女のイメージとは全く違う役柄だと思ったのですが、さすがに役を自分のものにしていましたね。
TBさせていただきました!ではでは〜。
幽霊モノとかいくつになっても普通に恐いんですけど、人間の方がよっぽど恐いと確信しました(笑)
ある意味ナルシストな人だと感じました。
ストーカーの心理が解ったような……。
下手なホラーより恐かったです。

こんにちは〜♪コメントTBありがとうございました!
そうですね、確かに、このラスト近くのジャンル破壊ぶりは、“人間ドラマ”の範疇にはくくれないような気がしてしまいました。
ジュディ・デンチの役は心底恐ろしかったですよね〜。
ケイト・ブランシェットは、あまりイメージにないように思えるのですが、『バンディッツ』でも、頼りない天然の女性を、ごく自然に演じていました。
なので、その時の彼女の演技を思い出してしまいましたね!

こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
本当、人間よりよっぽど怖いのは、オールドミスの、頑固な老女教師ですよね。
私、年取った女の先生って、昔から嫌いでした。
ナルシストというか、自分が間違っているとは、一度も考えない性格が、信じられません!
ストーカーって、確かに、自分の世界で生きているんでしょうね。
TBとコメントありがとうございました。
本当に、こういう女同士の感情のぶつかり合いって、下手なホラー映画よりよっぽど怖いものがありますね。。
でも、サスペンスタッチな展開に釘付けで、面白い見応えのある映画を観たという感じでした!
ジュディ・デンチはさすが演技が上手いです。

こんばんは!こちらこそ、TBありがとうございました。
あ★nyankoさんの方が、今回はいらしていただいたのですねっ

初めまして^^
本当、血の流れないホラーでした!あの作りは、わざとだと思います♪
ジュディ・デンチは、上手すぎて、みんなが引く。でもそれを恐れないという、素晴らしい女優根性を見せてくれましたよね〜。
やっぱりこれはホラーだったんだ。
ジュディ・デンチ怖かったもんなぁ。
でも、彼女とケイトの演技には感服しました。
実はもっと裏のあるサスペンスかと思ってたんですが、案外単純なストーリー展開でしたね。
それ故に二人の演技が更に際立った感じでした。

こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
やっぱりホラーでしたよね〜。
でも面白かったです^^すごく上手でした。
ジュディ・デンチ、薄ら寒くなるほどリアリティありすぎでしたね〜。
案外単純と言われたら、確かにそうかもしれませんね。
でも、この演出は、かなり完璧にキマっていたと思うんですよね。
私も怖かったです。かな〜り。
ストーリーもですが,バーバラの人物像や,表情が。
確かに!ミザリーに似た恐怖ですね。
最初は親切そうに近づき,だんだん意のままに相手を操ろうとし,
それが叶わないと鬼のような形相に変貌するところが。
キャシー・ベイツの名演を思い出しました。
バーバラもバーバラですが,シーバもシーバだとは思いましたね。
彼女,絶対教師に向いてませんよ。

こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました!
うん、怖かったですね、これ。
バーバラは本当に、演技が凄かったですよね。
次が読めるのに、サスペンスとしてちゃんと怖かった・・・なかなかの作品でしたよね。
ですが、サスペンスというジャンルだけでなく、文学的な匂いもするんですよね。
おっしゃる通り、キャシー・ベイツを思い出したんですよ、私も!
確かにあの二人は教師らしからぬ人達でしたね。

