2006年12月05日
135.マスターズ・オブ・ホラー 『ゾンビの帰郷』
『マスターズ・オブ・ホラー』という、アメリカの“SHOWTIME”という企画モノのシリーズをUPして来ましたが、自分の中では、これは一番か二番くらいにオススメしたい作品です。
この13作品の中でグランプリを決めるなら、自分にとっては『インプリント/ぼっけえ、きょうてえ』に1票、とずっと(劇場公開された時分から)思っていましたが、投票するゾンビにこそ1票入れたくなってしまいました。
監督は、『スモールソルジャー』、『エクスプローラーズ』のジョー・ダンテ。
以下、ネタバレ気味です!!
反戦ムードが濃くなる一方で、政府はそういった意見に対しその場を取り繕い、情報操作で臨んでいた。TV番組のコメンテーターの一人、デイビッド(ジョン・テネイ)はそれらの中でも優秀な、元大統領の演説作家であった。
デイビッドは、「ではベトナム戦争で死んだ兵士たちが、帰って来たら何というだろうか」、誇りを持って死んだことについて述べるだろう、と発言し、大統領から褒められ、その発言を自分自身の言葉にすげ替えられたりする、などの栄誉を受けた。さらに、その場にいたコメンテーターのジェーン(テア・ジル)の尊敬を勝ち得、関係を持つようになった。
だが、ゾンビが本当に戻ってきた!
墓場から蘇り、街を闊歩するようになる。もちろん死者なので、二度は殺せない。彼らの目的は何なのか?・・・どうやら、彼らは“投票するため”に戻ってきたようだ。大統領選挙に向けて。彼らの投票は、当然ながら・・・。
とても力強い風刺と皮肉。
こんなに政治風刺とホラー映画を合わせた社会批判はめったにないように思える。そして、分かりやすいのがいい!政治風刺は、分かりやすくて、力強いほど、人々の心に訴えるもの、そう考えて作られたようにと思うが、それは本当に当たりだ!と思う。喝采を送りたい
初めは、気が荒々しくて人でなしの発言をする、コメンテーターのジェーンが、見ていてイライラしていたが、この人は当て馬だった。
ジェーンの発言の数々は、今はゾンビとして蘇って来た者達に対し、祖国のために無駄に死んでいったという、敬意も追悼の意も微塵も感じられず、痛烈に響いて耳ごこちが悪い。
だが、この人ほど過激ではないにしろ、その戦争に兵を送り出すことは、そういった態度と五十歩百歩なのだ。
それから、ゾンビの票を数えると約束しておきながら、それを知らぬ間に翻し、無効にする大統領は誰の姿にそっくりだ!(当然ながら・・・)
「息子よ・・・」と言って温かい毛布を差し出すタバーンの経営者の姿には、滂沱してしまった。
そして、最後に、主人公デイビッドの忘れていた過去、というものがある。
戦争から生きて戻って来た兄の話、これがまたこの話に深みを与えていて、うまくこの話を纏め上げていた。脱帽し敬礼したい気持ち!
ゾンビに向かって敬礼したくなった、素晴らしい作品だった。
その他のマスターズ・オブ・ホラー作品
・『インプリント ぼっけえ、きょうてえ(トークショーつき)』
・『愛しのジェニファー』
・『世界の終わり』
・『ダンス・オブ・ザ・デッド』
・『チョコレート』
・『ディア・ウーマン』
・『閉ざされた場所』
・『ハンティング』
・『ヘッケルの死霊』
・『魔女の棲む館』
・『虫おんな』
・『ムーンフェイス』
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この記事へのコメント
もう、毎晩調子悪いですよねぇ、、livedoor。
今日は、昼間も調子悪いし、、、
これねぇ、全然怖くなかったケド、
こういうのも、アリですよねぇ。
おもしろかったです。


こんばんは♪
そうですね、最近特にコメント欄が不具合で・・・イライラします。
わざわざ、戻って来ていただき、ありがとうございました!
この作品は、自分は『インプリ ぼっけえ〜』の次に好きな作品になりました!
ゾンビに政治的風刺を交えるなんて、素敵ですよね!
「ゾンビ」ホラー??と思わせといて
この展開!
もう見てて感動しました。ジョー・ダンテ監督の作品の中でも、傑作の方かもって思わせる作品でした。
こんばんは☆
この作品は感動しましたよね〜!!私も、文句なしです!
ゾンビが生き生きとしていました!
これは傑作だったと思います。大好きな作品でした。
ココログで53時間もの間メンテナンスかけていたので、登場が遅れてしまいましてん。
>投票するゾンビにこそ1票入れたくなってしまいました。
おおお!とても気に入ったようですね。
私は、ゾンビと言えばノロノロと動いてウ〜ッと苦しそうに唸るものだという強いイメージがあったので。予告を見て、この作品は全然期待していませんでした。
でも、実際に見てみたら。風刺の度合いが気持ち良いと言うか、とにかく楽しめましたわ。ホラーと社会派が融合するなんて思ってもみませんでした。


こんばんは♪
確かに、このゾンビは、あのノロノロ動く不気味さはありませんでしたね。そこが初めは意表をついて、珍しく感じましたが、短編だったから良かったのかな、なんて思ったりもしました。
これが長編だったら、その辺り間延びしたでしょうね。
この作品は、自分は一番気に入りましたよ。・・・(三池さん以外で)
ロメロの『ゾンビ』が「消費社会への警鐘」とか、フーパーの『悪魔のいけにえ』が「病んだアメリカの暗部の象徴」とか、ダンテも『ハウリング』が「マイノリティーの悲しみを狼男に置き換えた」とか、言われてた時代が懐かしい。
にしても、ついホロリとさせられました。
今作のように「モンスターより人間のほうが人でなし」という映画といえば、『デビルマン』はさておき、ホラー小説家のクライヴ・パーカーが監督した『ミディアン』にも泣かされたもんです。
ヒネクレモノのクセに涙もろいなんて意外と人間らしい一面も持ってるのね、なんて言わないでください。
だって「モンスターより人間のほうが人でなし」説の信者ですから(笑)。
てなわけで、TBありがとうございました。


私も泣きましたよー、この作品は、泣かせますよね。
でも、一昔前は、そんな風に、ゴアが全て、といった感じでない、ホラーが、きちんとその表現を評価されていた訳ですね。なるほど。
いろいろと、教えてくださり、ありがとうございます。
教えていただいた作品、是非とも観てみたくなりました。
なんだか、ほぼ毎日、いろんな映画を消化しているはずなのに、見るべき作品が、ドンドン溜まっていくような気がしますが・笑

私も、“人間の方が人でなし”テーマの作品は、たぶん、自分の好みかと思います。
クライブ・バーカーの『ミディアン』、これまだ見てませんでしたので、にらさまオススメのこの作品、観てみたいです!!

