rss twitter fb hatena gplus

*

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

everybody_wants_some_ver380年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。
日本の80年代の映画は、バブルの盛り上がりとマスコミ最盛期のおかげで、自分には馴染めない空気感が満載だったりする。全部が全部そうとは言わないけれど。
対して、80年代のアメリカ映画はとてもしっくり来るなあと、最近思う。
例えば、Smokey Robinson & the Miraclesの「You Really got a hold on me」が流れるような映画。The Knackの「My Sharona」が流れるような映画。
心からリラックスして週末を楽しく過ごせるような、心地よいヤツら。

リンクレイターは文字通り、一周回って戻ってきた。
六歳のボクが、大人になるまで』がちょうど大学入学前で終わっていたので、「その後に、『バッド・チューニング』が来るんだ!」なんて当時に私は言っていたところ。今回文字通り一周回って、またも大学生活に戻ってきた。ちょうど、『バッド・チューニング』の原題が『Dazed and Confused』、とレッド・ツェッペリンの曲であったように、今度はヴァン・ヘイレンの『Everybody Wants some』そのままのタイトルで。

物語は70年代、80年代を彷彿とさせるような空気感そのままの作りだ。デジタルで撮りながら、あえてカラーコントロールをチープな印象を与えるよう統一してある。懐かしさ溢れる雰囲気はこのカラーリングのせいも多分にあるだろう。これは実は、最近のハリウッド映画(特にアメコミ映画を初めとしたCG最先端の技術が使われた映画)が、決してやりそうもないテイストかもしれない。

このおちゃらけたテイストが心から呑気に楽しめるものである理由は、作品の持つレイドバック路線でもある。また“大学入学前”の学生という、この世で一番自由を謳歌スルことの出来る生き物を描いているおかげだろう。
たったの3日間の精神的フリーダムだったのかもしれない。
その後、一旦入ってしまえばアメリカの大学生活は意外に厳しいであろうし、将来がその肩にかかった重要な時期なのだから。
だからこそ翻って、この作品のここまでの享楽的さにも納得がいくのだ。

心から笑い、夢に溢れていた“あの時代”を懐かしく思い出す、幸せな映画。
今の流行からすれば、明るく青春を謳歌するリア充を描いたこと自体が、亜流なのかもしれないけれど(苦笑)。

つくづく、いつも難しい顔をして、映画を見ているなあと思った。
心から楽しめるような映画なんて、久しぶりだ。

P.S…いつも配給会社の付ける邦題がブツブツ…と文句ばかりの私だけれど、今回ばかりはその副題だって許しちゃうよ。このタイトルは原題ままでないと行けないのをわかってくれているようだし、それに『6才のボクが大人になるまで』という邦題よりはず〜っとマシじゃないw。今回の『世界はボクらの手の中に』の“ボク”も、あの作品の主人公ー“ボク”を踏襲しているように思えて。細かいのだけれど(笑)。

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

美容師にハマりストーカーに変身する主婦・常盤貴子 『だれかの木琴』

お気に入りの美容師を探すのって、私にとってはちょっぴり大事なことだった...
記事を読む

『日本のいちばん長い日』で終戦記念日を迎えた

今年も新文芸坐にて、反戦映画祭に行ってきた。 3年連続。 個人的に、終...
記事を読む

694

コメント(2件)

  1. こんにちは、ついついお邪魔致しますが、
    この作品は、きっと男子諸君にはコタエられない作品なのではないか、と推測致します。ホント、「たったの3日間の精神的フリーダム」だったのでしょうね。
    で、副題の件、私はバッチリ!秀逸!と感じております。。

  2. ここなつさんへ

    こんにちは〜♪すっかりお久しぶりです!
    コメントありがとうございました。

    男子寮って憧れます。そんな女子諸君にもコタエられない作品でした♪
    あとやっぱり会話の楽しさや軽快なリズムがいいですね^^
    たった三日間のフリーダム、これから授業が始まるところで終わるところがもう…




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑