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『日本のいちばん長い日』で終戦記念日を迎えた

longest今年も新文芸坐にて、反戦映画祭に行ってきた。
3年連続。
個人的に、終戦記念日のイベントになりつつある。
今年も行けて良かった。
もう一本は『激動の昭和史 軍閥』との二本立てということで、134分+157分。5時間たっぷりの二本立て。
この重さ、今年もまたずっしり来ました。
いつも文芸坐のおかげで、良い終戦記念日を迎えられてます。感謝感謝。

去年、同名リメイク(15年、原田版)の公開に合わせて、オリジナルのこちらの放映があった。ところが、録画したつもりが失敗。なかなか手に入らないソフトなのに、私と来たら間抜けでした…。(いつもいつもHDDがパンパンなのがいけないんだけど。)
今年は、『シン・ゴジラ』ブームで岡本喜八リスペクトがあったおかげで(『シン・ゴジラ』映画内のキーパーソン、巻博士の写真が岡本喜八になっている)、この作品と『激動の昭和史 軍閥』がセットにされていた。

『激動の昭和史 軍閥』とこちらとのカップリングがまた、見事なこと。
『〜軍閥』を先に見たため、自分としては“正解”の順番だった。
というのは、『〜軍閥』が太平洋戦争前〜終戦まで。そして、こちらの『日本のいちばん長い日』はちょうどその後の時間軸。
特に、“ポツダム宣言受諾”については、両者が重要な出来事としてクローズアップしているため、すんなりと分かりやすいのだった。

さて、こちらの作品について。
まるで、あの時代をそのまま写し取ったような、観客自身が経験するかのようなリアルタイム性。“とある一日”がテーマになり、その一日に出来事の発端から終わりまでが描かれるタイプの映画は、いつも面白いものが多いけれど。この一日は先の大戦の全てと言える特別な一日だった。面白くない訳がない。
私は、岡本喜八が自費をつぎ込んでまでこだわって作った『肉弾』を、是が非でも見なければ!と気合を入れて見たけれど、こちらの作品は日本人一人一人が絶対に見るべき必見の作品だった。まさかここまでに素晴らしいなんて、今まで見ていなかった私は映画好きを到底名乗れない、ただのドアホウだ。
(でも、そんな台詞は言ってもキリがないのは知ってるし、必見の傑作はゴロゴロ世界に転がってるので出来るだけ言いたくない。)

ただ言えるのは、当時の国民の虚しさも戦争の傷跡も労苦も、あの戦争のあらゆる全てが表れているのがこの一日だったのだから。

“日本の葬式”という言葉の重さ。
玉音放送にはそんな意味があったのかと、見た人は途方も無い思いになるに違いない。

阿南将軍の複雑な心境を演じきった三船敏郎も見事だった。
(当時のポスターはこんなのだったのね…。)

ところで、よく言われているように『シン・ゴジラ』は岡本喜八のこの作品を思い浮かべる、と。
もし少しでも手本にした部分があるとすれば、このドキュメンタリーとも見まごうかのような本筋の立て方と言えるかもしれない。
ただし私自身は、『日本のいちばん長い日』には正直あまり似ていないように思う。時々言われるような『激動の昭和史 沖縄決戦』にも似ているとは思えない。前者は起こった出来事を時間軸のまま描くにしろ、画作りもカット割に似通ったものがあまり感じられなかった上に、テンポの良さや展開の仕方がまるで異質のものに思えた。後者のテンポには多少似ているところがあるとは言える。しかし、沖縄決戦はいかに政府が無能であったかが一番に描かれた作品であり、人の死があまりにも頻繁に描かれ、その非業な死の表現が苛烈なものとなっている。累々歴々と積まれた自死の虚しさが胸を打つ作品であるのに、巧妙に死を避けゴジラを震災として描き、その事件を政府が手腕を発揮し鎮圧したシンゴジとは、むしろ真逆の違う作品と言えるのではないか。
もし似ているとすれば、SFでありながらドキュメンタリー形式のような、『ブルー・クリスマス』が一番良く似ていたかもしれない。また、監督は違えど『軍閥』の前半であれば無骨なカットや重ねた議会の退屈さなどが良く似ていたように思える。

 

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コメント(2件)

  1. 今年の夏は体調崩して(またまた)咳が残ってしまい劇場観賞を自重せざるを得ませんで、戦争映画、原爆映画を沢山観ようと思っていたのにほとんど諦めました。仕方ないと思っていたのですが「シン・ゴジラ」を見て、興奮状態のため岡本喜八の本作の見逃しがとても残念に思えて来ました。
    来夏も新文芸坐に期待します。

    ところで、とらねこさんの「シン・ゴジラ」レビューはそのうち読めるのでしょうか・・・・

  2. imaponさんへ

    こんにちはん♪
    imaponさん、体調崩されてたのですね。
    この夏は暑すぎましたね、どうか無理せずご自愛くださいませ。
    私も今年の夏は夏バテしとりまして、映画をあまり見ずに過ごしてしまいました。
    シンゴジラは自分はそれほど好きじゃなかったのです。
    ゴジラは旧一作目、エメゴジ、一つ前のギャレゴジしか見てないんで、語れないカナと思ってしまって。
    ゴジラ評では、宮台真司のが面白かったです。

    宮台真司のゴジラ評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性
    http://realsound.jp/movie/2016/08/post-2595.html




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