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『シング・ストリート 未来へのうた』 青春+音楽映画の大傑作!

sing street youtube青春+音楽映画はとにかく最高。
一見するとありがちと思われても仕方がない物語なのに、これが「人生ベスト級!」とまで断言するほどに力強い作品だった。
私はこうした青春音楽映画にいつも心惹かれるタイプのようで、同様に『WE ARE YOUR FRIENDS』にも心動かされたけれど。こちらの作品が圧倒的な理由は、一作目の『ONCE ダブリンの街角で』以来、これまでずっと音楽映画に拘って描き続けた、ジョン・カーニーの集大成的作品になり得ているからかもしれない。

冒頭の主人公のイケてなさもいかにもアイルランド風。この時代の空気を完璧に映し出したものになっていて、おやおやこれは…と身を乗り出した。
というのは、『ONCE ダブリンの街角で』の狙ったまでのシンプルなボーイ・ミーツ・ガール映画っぷりを思い出すに、“アイルランド臭”を随所に感じさせた“こだわりの手垢”と同じ匂いを感じたから。
やっぱりな!と拳を握りしめてしまう。
ジョン・カーニーは狙いたいものをストレートに打ち付けてくるところが好き。監督の個性、“らしさ”をヒシヒシと感じてしまう。私なぞは思いきり鼻腔を膨らませる感じ(笑)。

実は『はじまりのうた』はスルーしてしまった。この監督なのにハリウッド俳優の、しかもキーラ・ナイトレイなんかを使っちゃうのか、というのが正直少し残念にも感じてしまったため。でも実際に見てみれば、キーラは歌は上手いし、それだけで判断してしまうには勿体無い。魅力に溢れた作品だったことは確かだけれど。やはりアメリカ製作ともなると、あの『ONCE ダブリンの街角で』の田舎っぽさやストレートな手触りからはすり抜け、大分垢抜けたものになっていた。好きな部分もありつつ、どこか小綺麗なよく出来た映画になったのがちょっぴり残念でね。

でも、この作品でまた戻ってきた。まるでこれが自分らしさだと言わんばかりに、個性的で“アイリッシュ風味”たっぷりの作品。

とにかく好きな部分がいっぱいなんですよ。思い出すだけで涙が溢れてしまう。
356506_003たとえば、お兄ちゃんを描くのに個人的な手触りを感じさせる、思い入れたっぷりの手法。
お兄ちゃん(ジャック・レイナー)は最高だったのに、彼の絶望の深さは後半でみるみる浮き彫りになる。主人公にとって家族の誰より大好きだった筈なのに、あの喧嘩はきっと辛かっただろうね。
ラストの展開は、お兄ちゃんが主人公の大脱走に肩入れする。しかし彼の人生の悩みはまだまだ続くことを感じさせるまま。ハリウッド流には決してなり得ない“オチを付けない”終わり方に、オオっと思ってしまう。

maxresdefaultそれから、バンドをやる者にはよくある事実ではあるけれど、校内のはみ出し者をかき集めた、“寄せ集めバンド”のあの煌めき。
特に好きだったのはダサメガネの相棒、イーモンを演じたマーク・マケナ。彼こそはジョン・レノンが出会ったポール・マッカートニーそのもの。
いじめっ子の扱い方についても、単なる“いじめられっ子の復讐譚”とは一味違う、優しさ溢れる目線。
主人公が一目惚れしてしまうラフィーナ(ルーシー・ボーイントン)は、まるでオリビア・ニュートン・ジョン。彼女に対する甘酸っぱさは、もう笑ってしまうくらい最高なんですよ。モテるためにバンドやっちゃうって本当にありがちだけど、「見たかったのはこれだよ」とグッと来る。どこを切っても金太郎飴みたいなサイコーっぷり!
singstreet_03

 

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コメント(3件)

  1. こちら、今回の旅行の、飛行機の中で観ました。
    字幕なしなので、かなりいい加減なのですが
    懐かしい80年代のポップスが出て来て胸キュンでしたが
    ”アイリッシュ臭”が紛々としてましたね~!
    私も『ONCE ダブリンの街角で』は好きでしたが
    『はじまりの歌』はスルーしてしまいました。

  2. あら?
    コメントしたつもりでしたが…
    反映されてない?

  3. zooeyさんへ

    すみません!!!
    今さっき初めて気がついたのですが、何故かスパムフォルダの中に入っておりました><
    しかもこれ、コメントくださったのが一ヶ月も前…。
    大変、大変失礼いたしました。

    これ、ものすごく気に入った映画でしたので、この作品にコメントくださったのすごく嬉しかったです。
    『はじまりの歌』はスルー組、というのも一緒でしたね^^

    これに懲りずに、またよろしくお願いします。
    本当に申し訳ありませんでした〜。




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