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『EDEN』 青春が長かった者は代償を払う

eden_1p-740x1024フレンチ・エレクトロのミュージック・シーンを描いた、ミア・ハンセン=ラブの新作。
DJポールの栄光と挫折。片や真横にダフト・パンクが居て、彼らの成功を尻目に見た90年代。
ポールは人気DJとしてのし上がり、シーンに重要な人物としてそこに居る。しかしドラッグに溺れ借金は膨れ上がり、恋人との関係は長くは続かない。

90年代はクラブカルチャーが発達していた時代だった。誰もがDJの真似事のようなことをしていた。一つの企画を仲間と立ち上げて、どこかに入り込めさえすれば、そこから人脈も広がっていったし、仲間もどんどん増えていった。
横の広がりが増えれば、顔パスだけで入れるクラブも増えた。仲良くなったお客さんも、客というよりみんな仲間みたいなものだった。そのまま飲みに行ったり、普段からつるんだりして、そこに居さえすれば人生がまるで違って見えた。

何より、音楽が好きだった。音楽に身を任せている間は、いかにも“刹那に生きている”感じがする。
大音量で音楽を聞いているというその一瞬だけは、余計な雑音が聞こえないし、音楽と一体化していると自分を忘れることが出来るように思えたのかもしれない。
音楽がないと生きていけないと当時の自分は感じていたから、音楽ナシの自分は考えられなかった。私には、気づけば周りに置いてけぼりにされてしまった、あの感覚が凄く分かる。

なんだか「言われたくないようなことを言われてしまった」的な居心地の悪さを感じた。フランス映画らしい鋭さと退屈さ。
栄光を描きながら同時に挫折も描いていた。ポール(フェリックス・ド・ジブリ)は、こうと信じた生き方を進んではいる。自分の足下にたくさん居るお客さん達。喜びも感じる。しかし気づけば周りには置いて行かれ、何より金が無い。地味に過ごすならやり過ごせただろうに、派手な生活からは逃れられない。

オリヴィエ・アサイヤスの『五月の後』を思い出させるけれど、前者には無い痛みがあった。青春の過ぎ去った痛みに似ていたのかもしれない。若さに溺れた生き方をしたことのある者には、痛烈な皮肉となって刺さるだろう。青春と自堕落の境目がつかなくなった人間は、その過ぎ去った年月ゆえの返り討ちに遭うのだ。

【結論】お母さんの年金を使い込んで反省しない男に、未来は無し。

 

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