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『Dearダニー 君へのうた』 パチーノをヌルくフィーチャーする

20150905032311アル・パチーノが久々に復活している!と期待して選んでみた。
監督のダン・フォーゲルマンは、『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『ラブ・アゲイン』の脚本家。そのキャリアは優秀で、確かな実力を感じさせる。そして今回はいよいよ初監督作、脚本も担当している。
しかし正直、凡作だった。何故アル・パチーノがこんな作品に出てしまったのか。いや、ここ数年長いことパッとしなかったアル・パチーノだからこそ、こんな脚本を選んでしまったのだろう。不遇のパチーノをフィーチャーし、輝かせるために全てが動いている作品。だから、なんとも生ヌルい。

パチーノ演じるダニー・コリンズは、ただのいい人でしかない。若者の頃から“ポスト・レノン”と将来を有望視されたロックスターで、誰もがその存在を知る超有名人。小さな子供ですら一目で認識があるぐらいだから、それこそ国民的な大スター。でも少し服装が派手なぐらいで、本人は誰に対してもフランクで飾り気の無い、いかにも人好きのする人物なのだ。昨今の問題は、最近鬱気味であることだけ。

冒頭で明らかになるのは、夢にまで見たジョン・レノンからの手紙。40年経て、初めて本人に渡った。手紙の中でレノンは、
「人を堕落させるものは“成功”ではない、“自分自身”だ。どうかな?」と疑問文で終わっている。
これをキッカケに、自分の生き方を見つめ直すダニー。突然思い立って、“自分の半分の年の若い妻”を置いて、一人旅に出かける。妻の間男を発見するも、彼は怒ったりしない。何故ってダニーは完璧な人なのだ。時々ドラッグをやるという悪癖があるだけで。
だから物語の着地点まで見えてしまう。こうなると、少々退屈さを感じずには居られない。

真っ赤なメルセデス・ベンツで辿り着いたのは、ニュージャージーのヒルトン・ホテル。小さな田舎町にあるため逆に閑古鳥が泣いているような、小じんまりとした豪華ホテル。
ホテルをフィーチャーするのは、パチーノの出演作『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』を思い出させる。『セント・オブ・ウーマン』は隠れた名作だ。ああ、ニューヨークのウォルドーフ・ホテル!もしニューヨークに行ったらここに泊まって、ルームサービスで「ジョン・ウォーカー」と頼んでみたい。そんな私のような人も居るだろう。

レノンの曲は贅沢にかかるので、冒頭が1番盛り上がる。
途中のアル・パチーノ本人が歌っていると思われる新作ソングは、歌が驚異的に下手すぎてテンションだだ下がり。
『シュガーベイビー』は口パクと見ました。

アル・パチーノが私は
1)過去好きだった か
2)今現在好きか。

途中の台詞のやり取りにあるのを真似してみたが、この作品のせいで2から1に。

うーん、私がちょっと厳しいのでしょうか。
確かに、単純にハートウォーミングさを狙った、普通の物語ではあります。

 

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コメント(4件)

  1. こんばんは。
    鑑賞後の感想があまりにもとらねこさんと似ているのにビックリ!
    アル・パチーノには「セント・オブ・ウーマン」でのセクシーなダンスを思い出し、期待して行ったけど・・・・・。
    仰る通り「ハートウオーミングな普通の悪くない映画」でした!最近、刺激の強い映画の観すぎかな?
    懐かしいレノンの曲とアネット・ベニングの可愛さ(?)が心に残ったかな?

  2. cinema_61さんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    おお、感想が似てましたか!良かった。
    やりたいことは分かるんですけれど、アル・パチーノの綺麗な姿を見せよう、見せようとして、逆に物語が転がっていかないんですよね。
    そうそう、冒頭辺りに贅沢に使われたレノンの曲、きっと使用料が高いんでしょうね!
    セント・オブ・ウーマンが大好きなパチーノ好きとしては、「きっとこんな話だろうなあ」なんて予想がつきつつも、つい見たくなってしまいました…。
    アネット・ベニングは良かったです!

  3. いやいや、すばらしかったと思いますよー。
    http://bojingles.blog3.fc2.com/blog-entry-3149.html

  4. ボーさんへ

    お気に入りになったんですね。
    パチーノがとてもラブリーでしたね。




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