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『ルナ・パパ』 荒唐無稽な愛すべきファンタジー

可愛い作品で虜になった!
荒唐無稽なファンタジーでドタバタとやかましく、画はとても綺麗でウットリする。
この作品の一つの切り口として、“もし母親が自分を産むまでに、こんな苦労をしたら”と考えるなら…
世界一不幸で可愛らしい母の奮闘。
何も分からない内に妊娠してしまう彼女は、この世に降りた聖母。

これを見た友人は、「クストリッツァみたい」と言っていた。なるほど、『ウェディング・ベルを鳴らせ!』を思い出す。
民族的な音楽の調べも、ドタバタとやかましいジプシーっぽさも、ムスリムの雰囲気に通じるものがあったりして。
画の作り込みは相当気を配っていて、細部まで本当に美しかった。

主人公の女の子、マムラカット(チュルパン・ハマートヴァ)がすごく可愛くて、見ていて飽きない。
冒頭の登場では、自分の中の女性性を意識し始めたばかりの少女として登場する。本当に子供っぽく思えたのに、とある満月の晩に男と出会い、崖から落ちた隙を狙って妊娠させられてしまう。コトが起った後では、急に女っぽく思えたのだけれど、一体どんな演出があったのだろう?気付かなかった!誰かどんな演出をしてそう見せたか、気づいた人いますか?

小さな村なものだから、お腹が大きくなった未婚の女性にとても厳しい。だらしがないと村八分にされてしまう。
父親(アト・ムハメドシャドフ)は、戦争で負傷し精神を病んでしまった兄・ナスレディン(モーリッツ・ブライプトロイ)を連れて、マムラカットの夫探しに出かける。
モーリッツ・ブライプトロイが出ていて初めに驚いてしまった。処女作からの2作はタジキスタン映画だし、少なくともロシアの田舎町を描いたファンタジーだと思っていたけれど。どことも言えない架空の村が舞台なのかな。そして製作はドイツ・オーストリア・日本合作。

マムラカットが妊娠してしまった時に、ナスレディンが暴れて汽車を動かそうとするシーンがある。精神逆行を起こしている病気であるのに、妹のことをすごく愛していることが分かり、思わずジンとする。
父親も頑固でキレやすい(「今日は爆発しないでね」と言いつつ手足を縛る)割に、娘を全力で守る優しさもある。3人の姿がすごく愛らしく思えて、すっかり彼らの味方になった。

父親になる、と言ってくる男性も現れる。このくだりは特に好き。アレク(メラーブ・ミニッゼ)は男らしいし、なかなかカッコ良くて好きだったな。
結婚する前にマムラカットを守ろうと、父親とナスレディンの二人が、就寝時にアレクと足を紐で縛る。これを外してしまうアレクだけれど、この時のナスレディンの決断を見せるのが良いのね。

そしてやっぱり、乗り物の好きなフドイナザーロフ。今回は、車・船・屋根部分の飛行船?!
ラストはあっと驚く。彼らが一体どうなったのかは分からないけれど、そこはナスレディン、モーリッツ・ブライプトロイの笑顔で全て許したくなってしまう。意外にも厭世観の強いファンタジー的結末でした。

ちなみに、ナレーションをしていたのもまだ見ぬお腹の中の赤ちゃん。そう言えば、とうとうこの世に出てこないで終わってしまうのよね。
不思議な話でした。

 

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