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『フルスタリョフ、車を!』 ロシア的なるものの恐ろしさを堪能せよ

ロシア映画で1番ロシアらしさを感じるのは、私にとってはこの作品かもしれない。
“ロシア的なるもの”に大学の頃から憧れを持ち続け、酒は弱い癖にウォッカをロックで飲む私ですよ。ロシア映画とくれば、出来ることなら『罪と罰』の冒頭のような神がかったクレイジネスを求む!アレクサンドル・タルコフスキー、ヴィターリー・カネフスキー、ソクーロフ、イオセリアーニ、コンチャロフスキー、パラジャーノフ、ミハルコフ、フドイナザーロフ…ロシアの名立たるこうした映像作家より、エイゼンシュタインの『十月』や、この作品のようであって欲しい!ロシア映画こそ、狂気の宿る映画であって欲しいのだ。

再見したけれど、やはり最高だった。一人ひとりが勝手に喋るかのような、台詞の繋がらない会話。縦横無尽に撮影を続ける長回し、呆気にとられるようなモンタージュ。初めて見ると追いかけるのすら一苦労だ。物語を追うことをやめ、自分を解放して、ロシアの容赦のない雪の深さにその身を埋めるしかない。
この軍服を着て“少将”と呼ばれるハゲの大男である主人公が、脳外科医という設定にも驚いてしまう。革命の終焉が近づく最中に、一つの大きな星が落ちる。

決して一人にしてくれない人々。どの家に居ても一枚の戸を隔ててすぐ隣人が居て、その上にも下にもまた別の一家が住んでいる。ドタバタと足音がいつも聞こえている。貧しさと喧騒。共産主義的なロシアの家の典型なのだろう。ずっと金切り声で喋る少年やら、生意気盛りの双子の姉妹。太った国語教師とのセックスに至るまでのやり取りは爆笑ものだし、突然捕らえられて男たちに襲われるシーンはとても恐ろしい。
二度見てようやく掴めた気がする。というか、丸ごと飲み込むしかない世界。決して古びることのない、いつ見ても新鮮な驚きをもたらす稀有な作品。

 

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コメント(4件)

  1. ロシア映画いいですよね。
    と言ってもまだ、タルコフスキーもソクーロフにも足踏み入れてないんですけど。
    これはアレクセイ・ゲルマン作品の中でも一番のお気に入りになりました。繰り返し観賞したい作品。
    ソフトを持っていても良いし、たまに上映されるんで、その度に再見しに行くのも良いと思ってます。
    結局、今回の特集、既観賞の「道中」「戦争のない20日」も再観賞しちゃいました。

  2. imaponさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    imaponさんも、ロシア映画に手をつけ始めたのですね。
    私も、これがゲルマンの中で1番のお気に入りです。

    ロシア映画は、文学も音楽もそうかもしれませんが、芯が一本力強くて、自分にとっては“特別な印象を与える何か“があります。だからやめられないんですよね。
    私も、気になる分野はいくつもあるのですが、「これ気になる」と思ってから、案外ジワジワと広げていかないと、同じ作家ばかり見てしまいますね。

  3. とらねこさん、こんばんは。
    私が今後ロシア映画はなるべく観ていこうと思ったきっかけは「キンザザ」の監督が撮った「モスクワを歩く」っていう映画なんですけど、あれは良かったのでもう一度観たい。
    とらねこさんはご覧になってますか?

  4. imaponさんへ

    こんばんはアゲイン♪
    『モスクワを歩く』ですか。これ、まだ見てないです。私も見に行くリストに入れておきます!
    アテネ・フランセなどでロシア映画特集、また行きたいですね。
    imaponさんとは何かと同じ特集に通っていたりしますね^^*




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