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勝手にデヴィッド・リンチ祭り 『ザ・ショート・フィルム・オブ・デヴィッド・リンチ』『ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・リンチ・ドットコム』『ダムランド』『ミッドナイトムービー』

『ツイン・ピークス』続編のニュースを聞いたのは去年のこと。
90年代の傑作ドラマで、毎回訳の分からない魅力に溢れた不思議なものでした。
魔術的なリンチの術中にハマって、のめり込むようなハマり方をしてしまった。

新作の続編をリンチが監督するとのことだったが、最近になってリンチ降板のニュース。
一年四か月の交渉の末、デヴィッド・リンチの監督作としても久しぶりだったのに。
リンチが監督しないなら、私は見ないかも。うーんでも、気になってしまうのかな。

今回は、まだ未見だった短編等を、まとめて見てみました。

ザ・ショート・フィルム・オブ・デヴィッド・リンチ


デイヴィッド・リンチが1967~1995年に製作した短編5作品を集めたオムニバス。
「SIX MEN GETTING SICK」(1967)、「THE ALPHABET」(1968)、「THE GRANDMOTHER」(1970)、「THE AMPUTEE」(1973)、「LUMIERE」(1995)の5作品収で、都度、リンチの説明が入ります。

リンチが初めて作ったアニメ『SIX MEN GETTING SICK』。これ、アニメというより“動く絵”と言った感じ。
反復の多い、風変わりなもので、リンチの悪夢的な傾向の強い初期衝動をモロに見ている感じ。
オススメは『THE ALPHABET』で、初めてリンチが撮った映画。
アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)に自分から申し込み、オファーを獲得してのリンチの初監督作品。
「自分の将来を決定づけた」と言っていました。いかにもリンチ独特の色彩の、コントラストの強い、黒みの印象的な作品です。
フィルム独特の黒なので、フィルムで見たかった感じがします。
デジタル変換ですとただのベタ塗りの黒になってしまっているような。まあでもフィルムで見れる機会なんて無いんだろうな。
暗いベッドのモチーフが、どんどん育っていく様をモロに描いています。ベッドに漏らしてしまったウ◯チから、不可思議な木が生えてくる。
今後のリンチの将来に相応しい悪夢の様相を呈しています。

ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・リンチ・ドットコム


D・リンチが自ら立ち上げた会員制のサイトのみで発表された貴重な短編集。
デイヴィッド・リンチの会員制ウェブサイト“DAVIDLYNCH.COM”にて発表された、彼の本質に迫る短編作品集。「THE DARKENED ROOM」、「BOAT」、「LAMP」、「OUT YONDER-NEIGHBOR BOY」、「INDUSTRIAL SOUDSCAPE」、「BUG CRAWLS」の全7話。

『LAMP』は、デヴィッド・リンチが変わったランプを作る工程をそのまま撮ったもので、作業所のようなところで、いつもの出で立ちのリンチが
「さて、これからこちらのランプ【完成図】を作ります。ひとまずコーヒーを飲んでから、取り掛かります…」と始まり、
「では、“FIX IT ALL”と、こちらの黄色◯号を使って、ベースの色を混ぜていきます…」みたいに、作業工程をただ撮っただけのもの。
でも、何となく楽しそうです。
大作であれば映画製作の美術さんの仕事だと思うのですが、リンチ映像では、いかにも彼自らがこだわって指示を出していそうなイメージで、自分でも作れるものを人に教えてやっているのかもしれません。
こんなアナログ的作業もリンチ世界のエッセンス、という気がしました。

ダムランド



鬼才デイヴィッド・リンチが立ち上げた会員制サイト“DAVIDLYNCH.COM”のために、自ら画を描いて作った8本のアニメーション集の一つ。

リンチの悪夢的な原初衝動に惹かれるのは、集合的無意識的だ、と私は考えています。
無意識の根源をザラリと手で触ったようなイメージがあるからです。

でも、この手描きのアニメーションは、馬鹿で低能そのもの。
心底くだらないもので、何となく一安心してしまいました。
リンチはシネフィル的な高尚さから、だいぶ離れたところに居る人なのだなあ、と思いました。
これ、Youtubeでも見れるので、死ぬほど暇な人は見てみてください。

“偏屈で暴力的な馬鹿なアメリカ人を、皮肉に描いた”…等と、真面目に語ろうとするのが、いかにも馬鹿馬鹿しくなる代物です。
本当にアホ過ぎる!とても暴力的です。
田舎にいる偏屈なアメリカ人は、こういう人は結構居るのかも。

ミッドナイトムービー


こちら、リンチは出演のみ。
’05年製作のスチュアート・サミュエルズ監督作品、70年代カルトムービーについて扱った映画。

今で言う“カルトムービー”は、当時「ミッドナイトムービー」と呼ばれたそう。深夜興行の映画が、いかにヒットをもたらし、新鮮な驚きを得て観客に愛されたか。
扱う映画は6本で、以下↓
アレハンドロ・ホドロフスキー 『エル・トポ』
ジョージ・A・ロメロ 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、
ジョン・ウォーターズ 『ピンク・フラミンゴ』
ペリー・ヘンゼル 『ハーダー・ゼイ・カム』
リチャード・オブライエン 『ロッキー・ホラー・ショー』
デイヴィット・リンチ 『イレイザーヘッド』

「70年〜77年にかけて作られた映画が世界を変えた」。
大好きな映画ばかりで痺れます!

私がモロに影響を受けたものはちょうどピンポイントにここら辺の精神性、という気がする。
残念ながらリアルタイムでは無いのですが。
『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』は初めて見たホラー映画の一つで、『ゾンビ』と二本立てで見ました。その辺の経緯については、ココに詳しく書きました。
それから、『イレイザーヘッド』!学生時代に『ツインピークス』にハマった私が、次に好きだったのはこちらでした。
最近になって、「今見たら少しは分かるかな」と思って再見してみましたが、全く分からなかったな(笑)。

これらの“ミッドナイトムービー”が、常識をいかに覆したか。
繰り返し、繰り返しかけられることによって、次第に市民権を獲得していく様は、マイノリティ文化の勝利!という感じ。
胸がすきます。

どこか“時代と寝た感覚”はあるのですが、それよりも“時代を先取りして”、観客のアンテナを拡げさせた、というイメージが大きい。
だって、これらの映画がその後の映画にいかに影響を与えたか。

「映画のメインストリームではないが、今やメインストリームの方がB級映画のエッセンスを受け継いでいる」。
ここに、タランティーノの名前が出てくる辺り、まあ自分の大好きな映画の本質はココなのだろうな、とがっしり掴まれた感がありました。

 

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