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『パレードへようこそ』 手をつないで生まれるパワーは数百倍

2015-03-19_1913少し前の先月(3月)、レズビアン・ゲイに対する反対デモが渋谷で行われたニュースを聞いて、信じられない思いでいっぱいだった。まだそんな考えの人が居るなんて。
そんな時に見たので余計、いろいろな思いが符号し、思いがこみ上げて来た。そんな映画体験だった。

政治的な関心の高い人も、それほど政治には参加意識の無い人も、皆が楽しめる。とても力強くて、勇気が湧いてくるようなパワフルな作品だった。
ゲイ・レズビアン等を扱っていると、それだけでレッテルを貼り、苦手意識を持ってしまう人も多いかもしれない。先ほどの渋谷のデモではないけれど、個人の感覚というものの差に驚くことは、まだまだいくらでもある。

以前、友人との話の中で、「どうして自分は、ゲイの物語にいつもこんなに共感してしまうのだろう?ゲイでもなければ、ただのストレートな普通の男なのに」と問われたことがある。
私は、「彼らマイノリティが苦しんでいるという感覚が、自分が一般社会に馴染めないと思う感覚と、似通っているからじゃないの」と答えたことがある。
ゲイやレズビアンの人たちは人一倍何かに怒っていたり、傷ついていたり、普通の人生より何倍も繊細に生きている気がして、つい目を奪われてしまうのではないか、と答えた。

この作品もまさにそうした、自分と立場の違う別の人とを、符号させて共闘していく物語だった。初めこそ全く何も関係の無い人達がぶつかり合っていく。
つまり、「自分と考えの違う人々に対して、どう接していくか」ということを描いているところが素晴らしいと思った。
はじめから差別意識のまるで無い人、差別の塊である人。何かキッカケがあれば、許せる余地のある人、まるでない人。一元的な価値観に凝り固まっている人をどう説得するか。自分と考えが同じでも、共闘するほどの強い意思を持てない人、彼らをそっと取り込んでいくこと。

それから、日本が他国に対してやっているように、何かを支援する時に「単にお金を出す」だけでは、全く十分ではないのだ、ということも分かる。
募金をした、それだけが支援では断じてない。献金はむしろ、単なるキッカケづくりにしかならない。援助を受ける側の本意も知らず、人となりも知ろうとすらしないで、ただ単にお金だけ投じる、金銭授受だけで済ませてしまうのは、まるで違うものだと、心底納得した。

サッチャー政権下の80年代のイギリス。不況にあえぐ中で炭坑の人たちによるストライキが深刻化し、彼らに対して何故かロンドンのゲイ・レズビアンの人たちが彼らのために戦うことを決心したところから物語が始まる。募金して多くの金を集めたが、受け入れ先が無い。ところが一つの炭坑町の役場の人が、募金受け入れの意を示した。もっとも保守的とすら言える、田舎の片田舎からはるばる炭坑町の代表者がやって来て、互いの不思議な交流が始まる。

いかにもイギリスらしい、社会派映画。ケン・ローチ的な精神性も感じる。
オススメ!

 

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コメント(4件)

  1. >まだそんな考えの人が居るなんて。
    この作品は「MPAA:Rated R for language and brief sexual content」なんですよね(IMDBによると)
    この程度で?
    と驚きました。
    こんな部分にも、感じ方や考え方の違いを感じてしまいました。

    >ただ単にお金だけ投じる、金銭授受だけで済ませてしまうのは、まるで違うものだと、心底納得した。
    お金も必要だけれど、本当に必要なのは・・・
    言葉だけじゃなく彼らの行動からも滲み出てきていて、すっと心にしみこみました。

  2. 哀生龍さんへ

    >この作品は「MPAA:Rated R for language and brief sexual content」なんですよね

    なんと!それはショックですね。こんなレイティング自体、全く知りませんでした…。

    >言葉だけじゃなく彼らの行動からも滲み出てきていて、すっと心にしみこみました。

    本当に。これ単館もので、ほとんどの人に顧みられないのがすごく残念でなりません。
    こんなにいい作品なのに(泣)!

  3. とらねこさん、こんにちは!
    記事アップしたあとこちらで記事探したのだけど見つけられなくて。
    URLに入れてくれてて助かりました、ありがとう。

    ホント、私がイメージする「英国映画」!って感じの作品でした。
    観に行った甲斐がありました。
    私も、とらねこさんのお友達と同じように、LGBT関連の作品に共感しがちなのは何故なんだろう?って思うことがある。
    ままならない人生だからかな・・・フフフ

    ところで、お誕生日だったのですね、おめでとうございます。
    いい季節に生まれたんだね^^

  4. 真紅さんへ

    こんばんは!コメントありがとうございます。
    あら、見つかりませんでしたか。
    我が家での検索の仕方はですね…
    右カラムの「Google検索」のところで検索を文字入力していただくか、
    「映画INDEX」のところに全部あいうえお順で載ってるので、こちらからお願いしまーす。
    インデックスは苦労して作ってるものなんです、え〜〜ん!
    でも、「Google検索」は、サクッと直ぐ出てくるので早いですよ〜

    そうそう、LGBT関連はどうしても惹かれてしまいますよね〜
    やっぱりマイノリティだから?
    お祝いコメントもどうもです^^




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