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『四畳半襖の裏張り』『四畳半襖の裏張り しのび肌』『恋文』神代辰巳特集

四畳半襖の裏張り

897173a64bb45b821a0c315238762b54 神代辰巳特集。
この監督はそれほど見てはいないのだけれど、『赫い髪の女』で初めて見た時は、日本映画も凄い映画を撮る人が居るものだなあと驚いた。
今のところ私のベストは『黒薔薇昇天』だけれど、これを超えられるかどうか。

私の大好きな大島渚の『愛のコリーダ』に影響を与えたと言われている作品なので、見たかったもの。なるほど卵の描写を始めとして、世界観や独特な叙情性に頷く。
私が見に行ったのは、主演の宮下順子さんと白鳥あかねさん(スクリプター)のトークショー付きの回だったけれど、神代監督は『愛のコリーダ』には打ちのめされた、と言っていたらしい。「自分がやってきたことは、全て偽りだったのか」と悩んでしまったのだとか。

こちらの作品では3つのパートに分かれていて、一つはベテランの芸者・宮下順子が、初めてのお客(江角英明)相手に感じてしまうシーン。これがカメラを切り返しても延々と続くんですねw。この作品の要になっている。
それから、絵沢萠子と芹明香のシーン、初々しくて若い芹明香が、芸姑のノウハウを先輩から伝授を受けるもの。芹明香の態度が何となくふてぶてしくて面白い。

あとは、丘奈保美と粟津號の絡み。たまにしか会えない軍人と芸者の二人の営みが、もの悲しくもあり可笑しくもありで面白い。日露戦争出兵前の二人のそれには、笑いながらも思わず涙してしまう。
ここで、この監督らしさを私が感じたのは、セックスをことさら強調することもなく、あくまでも人間臭い等身大の行為として捉えているところ。なるほどロマンポルノで仰々しく描かれがちなこの行為を、この監督がいつも決して嘘くさくなく響かせているのは、この点だと思った。

’73年、日活 監督・脚本:神代辰巳 原作:永井荷風 製作:三浦朗 撮影:姫田真佐久
キャスト:宮下順子(袖子)、江角英明(信介)、山谷初男(ぴん助)、丘奈保美(夕子)、絵沢萠子(花枝)、芹明香(花丸)

四畳半襖の裏張り しのび肌

同じようなタイトルが付けられながらも、全く別の個性を持った一作品。
これはこれでまた傑作。
正太郎(中澤洋)の不気味さが凄い。実は、正太郎はまだ12歳ぐらいの子供という設定らしいが、法律に触れてしまうので、18歳の子を使ったらしい。

男も女も同様に相手をしてしまう、不気味な少年。
映写技師の夫婦の中に、不思議と溶け込んでしまう。
母親(宮下順子)が芸者であったために、性の世界を早く知ってしまった、中性的な魅力を持った不気味な少年。
「ドロンドンドンドンドンドンドン、ドロンドンドンドンドンドン…」太鼓持ちの弟子入りをする彼の姿が忘れられなくなる。
宮下さん曰く撮影当時のマル秘エピソード、「彼はまだ若かったので、時々本当に元気になってしまって、どうしようかと困った」ですって(笑)。

’74年、日活 監督:神代辰巳 脚本:中島丈博 原作:「高資料」より
キャスト:宮下順子(花清)、江角英明(小宮山)、丘奈保美(島村美也子)、絵沢萠子(染八)、芹明香(小ふく)

恋文

149057_01 こちらは…いやー、刺さりましたね〜。こんなに刺さると思わなかったな。
切なかった。割と本気刺さりしました。
イテェー、本気で痛え〜

本気で愛して、しかし時間が経った時の“スレ違い”。男と女の見ている世界が違うんですね。
最初、どうしてあの状態で郷子(倍賞美津子)は男(萩原健一)を行かせてしまうのか、と疑問に思った。そんなに理解がある態度を示して大丈夫なのかと。
全然だいじょうぶじゃないんですよね、実際。
でも、そこで激しく反対していれば良かったかと言えば、そういうタイプの男ではない。
いつもなんだかんだ、自分の思う通りにしか動かない人だと、よく分かっているから行かせた…。

女二人の心理戦も、実は深いものであったことが、後で分かる。
抉り取るような描写で、女二人が実は見た目どおりの呑気なひとではないことが、後で明らかになる。
純情そうに見える恵津子(高橋惠子)も実は騙していた。しかしずるいだけの女ではなく、彼女のそれまでの背景と葛藤が、ズシリと重く感じる…。
そしてここまで来ると、あんなに魅力的なクルクル変わる表情のショーケンが、存在感が薄く感じられる位!

“恋文”というタイトルの本当の意味が分かる、この描写にも痺れた。
このチラシと惹き句、実は上手にミスディレクション。

これ、初めにもらった恵津子からの手紙。
「あなたの道を迷わずに歩いて下さい」。
なぜこの一言で、昔の女の元へ戻りたくなってしまったのか。
私にはすごく分かる気がする。

一番誰かに言って欲しい言葉。
きっと、今の奥さん(郷子)は言わない言葉だったんだ。
でも最後に、「こんな凄いラブレターもらったの、初めてだよ…」という将一(ショーケン)の言葉。
誰に対して何に向かって言うか。
郷子のあの覚悟を思うと、切なくて辛い…。

“ロマンポルノ”ではない神代も、いやはや良かった!

いやいや、全ての男と女の縮図になってるんじゃないでしょうか!!
ラストも…辛いな。
冒頭で楽しそうにチンチ◯揺らしてた男の子の表情が、あんな風にシビアになってしまうなんて…(そこじゃないだろ!)。

’85年、松竹 監督:神代辰巳 脚本:高田純、神代辰巳 原作:連城三紀彦
キャスト:萩原健一(竹原将一)、倍賞美津子(竹原郷子)、和田求由(竹原優)、高橋惠子(田島江津子)、小林薫(神谷哲史)

 

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コメント(2件)

  1. 今回もまたロマポ優先にしてしまった神代監督作品。
    神代監督の一般映画は今のところあまり相性が良くない。今回選んだ1本も酷かった。
    ショーケンの出ている奴は抑えておきたいところ。
    『恋文』今回、スケジュール合わず、またの機会を楽しみにしておきます。

  2. imaponさんへ

    こちらにもありがとうございます♪

    そっか、神代の一般映画はイマイチですか。
    imaponさんは、ロマポが一番の得意分野というイメージですから。

    私は、『恋文』がすごく気に入ってしまいましたよ。
    やばいなあ、本当に良かった。
    もしかしたら、個人的神代ベスト『黒薔薇昇天』も超えたかも!?




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